自然数ベキ関数の連続性
自然数\(n\in \mathbb{N} \)を任意に選んだ上で、\(n\)を指数とする自然数ベキ関数\begin{equation*}x^{n}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}について考えます。\(x^{n}\)が定義域上の点\(a\in X\)を含め周辺の任意の点において定義されている場合、点\(a\)において連続であることが保証されます。
命題(自然数ベキ関数の連続性)
自然数\(n\in \mathbb{N} \)を任意に選んだ上で、自然数ベキ関数\(x^{n}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。\(x^{n}\)が定義域上の点\(a\in X\)の周辺の任意の点において定義されているならば、\(x^{n}\)は点\(a\)において連続である。
例(自然数ベキ関数の連続性)
自然数ベキ関数は全区間上に定義可能であるため、自然数\(n\)を任意に選んだとき、関数\(x^{n}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。\(\mathbb{R} \)は開集合であるため、点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\(x^{n}\)は点\(a\)の周辺の任意の点において定義されているため、上の命題より\(x^{n}\)は点\(a\)において連続です。つまり\(\mathbb{R} \)上に定義された自然数ベキ関数は\(\mathbb{R} \)上で連続であるということです。
例(自然数ベキ関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( 3x^{3}-2x^{2}+x+1\right) ^{3}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多項式関数\(3x^{3}-2x^{2}+x+1\)と自然数ベキ関数\(x^{3}\)の合成関数であることに注意してください。点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、多項式関数の連続性より、\(3x^{3}-2x^{2}+x+1\)は点\(a\)において連続です。自然数ベキ関数の連続性より、\(x^{3}\)は点\(3a^{3}-2a^{2}+a+1\)において連続です。したがって、合成関数の連続性より、\(f\)は点\(a\)において連続です。\(\mathbb{R} \)上の任意の点において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{R} \)上で連続です。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多項式関数\(3x^{3}-2x^{2}+x+1\)と自然数ベキ関数\(x^{3}\)の合成関数であることに注意してください。点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、多項式関数の連続性より、\(3x^{3}-2x^{2}+x+1\)は点\(a\)において連続です。自然数ベキ関数の連続性より、\(x^{3}\)は点\(3a^{3}-2a^{2}+a+1\)において連続です。したがって、合成関数の連続性より、\(f\)は点\(a\)において連続です。\(\mathbb{R} \)上の任意の点において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{R} \)上で連続です。
例(自然数ベキ関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 1\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 1\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left[ \frac{2x+1}{\left( 1-x\right) ^{3}}\right] ^{4}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は有理関数\(\frac{2x+1}{\left( 1-x\right) ^{3}}\)と自然数ベキ関数\(x^{4}\)の合成関数であることに注意してください。点\(a\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 1\right\} \)を任意に選んだとき、有理関数の連続性より、\(\frac{2x+1}{\left(1-x\right) ^{3}}\)は点\(a\)において連続です。自然数ベキ関数の連続性より、\(x^{4}\)は点\(\frac{2a+1}{\left( 1-a\right) ^{3}}\)において連続です。したがって、合成関数の連続性より、\(f\)は点\(a\)において連続です。\(\mathbb{R} \backslash \left\{ 1\right\} \)上の任意の点において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{R} \backslash \left\{ 1\right\} \)上で連続です。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は有理関数\(\frac{2x+1}{\left( 1-x\right) ^{3}}\)と自然数ベキ関数\(x^{4}\)の合成関数であることに注意してください。点\(a\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 1\right\} \)を任意に選んだとき、有理関数の連続性より、\(\frac{2x+1}{\left(1-x\right) ^{3}}\)は点\(a\)において連続です。自然数ベキ関数の連続性より、\(x^{4}\)は点\(\frac{2a+1}{\left( 1-a\right) ^{3}}\)において連続です。したがって、合成関数の連続性より、\(f\)は点\(a\)において連続です。\(\mathbb{R} \backslash \left\{ 1\right\} \)上の任意の点において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{R} \backslash \left\{ 1\right\} \)上で連続です。
自然数ベキ関数の片側連続性
片側連続性に関しても先と同様の命題が成り立ちます。
命題(自然数ベキ関数の片側連続性)
自然数\(n\in \mathbb{N} \)を任意に選んだ上で、自然数ベキ関数\(x^{n}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。\(x^{n}\)が定義域上の点\(a\in X\)以上の周辺の任意の点において定義されているならば、\(x^{n}\)は点\(a\)において右側連続である。また、\(x^{n}\)が定義域上の点\(a\in X\)以下の周辺の任意の点において定義されているならば、\(x^{n}\)は点\(a\)において左側連続である。
例(自然数ベキ関数の片側極限)
自然数\(n\)を任意に選んだとき、有界閉区間上に自然数ベキ関数\(x^{n}:\mathbb{R} \supset \left[ 0,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。定義域の内点\(a\in \left( 0,1\right) \)に任意に選んだとき、自然数ベキ関数の連続性より、\(x^{n}\)は点\(a\)において連続です。定義域の端点\(0\)に注目したとき、自然数ベキ関数の右側連続性より、\(x^{n}\)は点\(0\)において右側連続です。定義域の端点\(1\)に注目したとき、自然数ベキ関数の左側連続性より、\(x^{n}\)は点\(1\)において左側連続です。したがって、\(x^{n}\)は\(\left[ 0,1\right] \)上で連続です。
例(自然数ベキ関数の連続性)
一辺の長さが\(x\in \mathbb{R} _{+}\)の正方形の面積は、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{2}
\end{equation*}となります。この関数\(f:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} \)は自然数ベキ関数であるため、定義域の内点\(a\in \mathbb{R} _{++}\)において連続であり、定義域の端点\(0\)において右側連続です。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{+}\)上で連続です。以上の事実は、辺の長さ\(x\)を連続的に変化させると正方形の面積\(x^{2}\)もまた連続的に変化することを意味します。
\end{equation*}となります。この関数\(f:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} \)は自然数ベキ関数であるため、定義域の内点\(a\in \mathbb{R} _{++}\)において連続であり、定義域の端点\(0\)において右側連続です。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{+}\)上で連続です。以上の事実は、辺の長さ\(x\)を連続的に変化させると正方形の面積\(x^{2}\)もまた連続的に変化することを意味します。
例(自然数ベキ関数の連続性)
一辺の長さが\(x\in \mathbb{R} _{+}\)の立方体の体積は、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{3}
\end{equation*}となります。この関数\(f:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} \)は自然数ベキ関数であるため、定義域の内点\(a\in \mathbb{R} _{++}\)において連続であり、定義域の端点\(0\)において右側連続です。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{+}\)上で連続です。以上の事実は、辺の長さ\(x\)を連続的に変化させると立方体の面積\(x^{3}\)もまた連続的に変化することを意味します。
\end{equation*}となります。この関数\(f:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} \)は自然数ベキ関数であるため、定義域の内点\(a\in \mathbb{R} _{++}\)において連続であり、定義域の端点\(0\)において右側連続です。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{+}\)上で連続です。以上の事実は、辺の長さ\(x\)を連続的に変化させると立方体の面積\(x^{3}\)もまた連続的に変化することを意味します。
例(自然数ベキ関数の連続性)
物体を初速度\(0\)で自由落下させます。経過時間(秒)が\(x\in \mathbb{R} _{+}\)であるときの物体の移動距離(メートル)は、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{1}{2}gx^{2}
\end{equation*}となります。ただし、\(g\)は重力加速度を表す定数であり、地球上の場所によってわずかに異なりますが、ほぼ\(9.8\)です。この関数\(f:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} \)は自然数ベキ関数\(x^{2}\)の定数倍(\(\frac{1}{2}g\)倍)であるため、定義域の内点\(a\in \mathbb{R} _{++}\)において連続であり、定義域の端点\(0\)において右側連続です。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{+}\)上で連続です。以上の事実は、経過時間\(x\)を連続的に変化させると物体の移動距離\(\frac{1}{2}gx^{2}\)もまた連続的に変化することを意味します。
\end{equation*}となります。ただし、\(g\)は重力加速度を表す定数であり、地球上の場所によってわずかに異なりますが、ほぼ\(9.8\)です。この関数\(f:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} \)は自然数ベキ関数\(x^{2}\)の定数倍(\(\frac{1}{2}g\)倍)であるため、定義域の内点\(a\in \mathbb{R} _{++}\)において連続であり、定義域の端点\(0\)において右側連続です。したがって、\(f\)は\(\mathbb{R} _{+}\)上で連続です。以上の事実は、経過時間\(x\)を連続的に変化させると物体の移動距離\(\frac{1}{2}gx^{2}\)もまた連続的に変化することを意味します。
演習問題
問題(自然数ベキ関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( -x^{2}-4x+7\right) ^{5}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)が連続な点をすべて求めてください。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)が連続な点をすべて求めてください。
問題(自然数ベキ関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ \pm \sqrt{5}\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ \pm \sqrt{5}\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( \frac{5x^{2}-8x-13}{x^{2}-5}\right) ^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)が連続な点をすべて求めてください。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)が連続な点をすべて求めてください。
問題(自然数ベキ関数の連続性)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 3,-\frac{1}{2}\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 3,-\frac{1}{2}\right\} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( \frac{x^{4}-81}{2x^{2}-5x-3}\right) ^{3}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)が連続な点をすべて求めてください。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)が連続な点をすべて求めてください。
次回は整数ベキ関数の連続性について解説します。
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