開集合・開集合系

1次元ユークリッド空間 R の部分集合 A に属するそれぞれの点に対して、その点を中心とする近傍の中に A の部分集合が存在するならば、A を R の開集合と呼びます。

2019年7月20日:開集合の例を追加
2019年5月10日:公開

開集合

\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)に属するそれぞれの点に対して、その点を中心とする近傍の中に\(A\)の部分集合が存在するならば、すなわち、\begin{equation*}
\forall a\in A,\ \exists \varepsilon >0:U_{\varepsilon }\left( a\right) \subset A
\end{equation*}が成り立つ場合には、\(A\)を\(\mathbb{R}\)の開集合(open set)と呼びます。点の近傍の定義を踏まえると、これは、\begin{equation*}
\forall a\in A,\ \exists \varepsilon >0:\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \subset A
\end{equation*}と言い換え可能です。つまり、\(A\)に属するそれぞれの点について、その点を中心とする有界開区間の中に\(A\)の部分集合が存在するということです。

例(開区間は開集合)
有界開区間\(\left( a,b\right) \subset \mathbb{R}\)に属するそれぞれの点\(x\in \left( a,b\right) \)に対して、\begin{equation*}
\varepsilon =\min \{x-a,b-x\}>0
\end{equation*}とおくと\(U_{\varepsilon }\left( x\right) \subset \left( a,b\right) \)が成り立つため、\(\left( a,b\right) \)は\(\mathbb{R}\)の開集合です。また、無限区間\((a,+\infty )\subset \mathbb{R}\)に属するそれぞれの点\(x\in (a,+\infty )\)に対して、\begin{equation*}
\varepsilon =x-a>0
\end{equation*}とおくと\(U_{\varepsilon }\left( x\right) \subset \left( a,+\infty \right) \)が成り立つため、\((a,+\infty )\)は\(\mathbb{R}\)の開集合です。また、無限区間\((-\infty ,b)\subset \mathbb{R}\)に属するそれぞれの点\(x\in (-\infty ,b)\)に対して、\begin{equation*}
\varepsilon =b-x>0
\end{equation*}とおくと\(U_{\varepsilon }\left( x\right) \subset (-\infty ,b)\)が成り立つため、\((-\infty ,b)\)は\(\mathbb{R}\)の開集合です。
例(点の開近傍は開集合)
点\(a\in \mathbb{R}\)と正の実数\(\varepsilon >0\)が与えられたとき、\(a\)を中心とする\(\varepsilon \)-近傍は、\begin{align*}
U_{\varepsilon }\left( a\right) & =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \left\vert x-a\right\vert <\varepsilon \right\} \\ & =\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \end{align*}という\(\mathbb{R}\)における有界開区間です。先に例で示したように有界開区間は\(\mathbb{R}\)の開集合ですので\(U_{\varepsilon }\left( a\right) \)は\(\mathbb{R}\)の開集合です。
例(開区間ではない開集合)
\(\mathbb{R}\)において開区間は常に開集合ですが、逆に開集合は開区間であるとは限りません。そこで、2つの開区間\(\left( 1,2\right) ,\left( 3,4\right) \)の和集合\begin{equation*}
\left( 1,2\right) \cup \left( 3,4\right)
\end{equation*}について考えます。開区間は開集合ですが、後に示すように複数の開集合の和集合は開集合であるため、上の和集合は\(\mathbb{R}\)の開集合です。さて、\(\mathbb{R}\)の部分集合\(I\subset \mathbb{R}\)が区間であるとは、\(a<b\)を満たす\(a,b\in I\)を任意に選んだとき、\(a<c<b\)を満たす任意の\(c\)もまた\(c\in I\)であることを意味します。先の和集合に関しては、\(a\in \left( 1,2\right) \)を満たす\(a\)と\(b\in \left( 3,4\right) \)を満たす\(b\)をそれぞれ任意に選んだとき、例えば、\(a<\frac{5}{2}<b\)を満たす\(\frac{5}{2}\)は\(\left( 1,2\right) \)と\(\left( 3,4\right) \)のどちらの要素でもないため、先の和集合は区間ではありません。したがって開区間でもありません。
例(閉区間や半閉区間は開集合ではない)
有界閉区間\(\left[ a,b\right] \subset \mathbb{R}\)に対しては、例えばその端点\(a\)に対してどのような\(\varepsilon >0\)を選んだ場合においても、\begin{equation*}
U_{\varepsilon }\left( a\right) =\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \not\subset \left[ a,b\right] \end{equation*}となるため、\(\left[ a,b\right] \)は\(\mathbb{R}\)の開集合ではありません。また、有界右半開区間\([a,b)\subset \mathbb{R}\)に対しては端点\(a\)に対して上と同様に考えることによって、また、有界左半開区間\((a,b]\subset \mathbb{R}\)に対しては端点\(b\)に対して上と同様に考えることによって、いずれも\(\mathbb{R}\)の開集合ではないことが示されます。

 

開集合系

\(\mathbb{R}\)の開集合をすべて集めてできる集合系を\(\mathbb{R}\)の開集合系(system of open sets)と呼び、これを\(\mathcal{O}\)で表します。

開集合の定義より、\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)に対して、\begin{equation*}
A\in \mathcal{O\ }\Leftrightarrow \ \forall a\in A,\ \exists \varepsilon >0:U_{\varepsilon }\left( a\right) \subset A
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

\(\mathbb{R}\)の開集合系は以下の性質を満たします。

定理(開集合系の性質)
\(\mathbb{R}\)の開集合系\(\mathcal{O}\)は以下の性質を満たす。\begin{eqnarray*}
&&\left( O_{1}\right) \ \mathbb{R} \in \mathcal{O},\ \phi \in \mathcal{O} \\
&&\left( O_{2}\right) \ A_{1},\cdots , A_{m} \in \mathcal{O}\ \Rightarrow \ \bigcap\limits_{i=1}^{m}A_{i}\in \mathcal{O} \\
&&\left( O_{3}\right) \ \left( \forall \lambda \in \Lambda :A_{\lambda }\in \mathcal{O}\right) \ \Rightarrow \ \bigcup \limits_{\lambda \in \Lambda }A_{\lambda }\in \mathcal{O}\end{eqnarray*}
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性質\(\left( O_{1}\right) \)は\(\mathbb{R}\)自身と空集合\(\phi \)がともに\(\mathbb{R}\)の開集合であることを意味します。ゆえに\(\mathcal{O}\not=\phi \)が成り立ちます。性質\(\left( O_{2}\right) \)は有限個の開集合の共通部分が開集合であることを意味します。性質\(\left( O_{3}\right) \)は任意個の開集合をとったとき、それらの和集合もまた開集合であることを意味します。\(\left( O_{2}\right) \)が有限個の開集合に関してのみ成立する性質であるのに対して、\(\left( O_{3}\right) \)は無限個の開集合に関して成立することに注意する必要があります。しかも\(\left( O_{3}\right)\)において添字集合\(\Lambda \)は任意の集合ですので、問題とする開集合の個数は非可算個でもかまいません。

性質\(\left( O_{2}\right) \)は無限個の開集合に関して成り立つとは限らないことを示します。先に示したように、一般に、\(\mathbb{R}\)の有界開区間は開集合である一方で、\(\mathbb{R}\)の有界閉区間は開集合ではありません。そこで、実数\(a,b\in \mathbb{R}\)とそれぞれの番号\(i\in \mathbb{N}\)に対して、\begin{equation*}
A_{i}=\left( a-\frac{1}{i},b+\frac{1}{i}\right)
\end{equation*}と定義するとこれは\(\mathbb{R}\)の開集合ですが、無限個の\(A_{i}\)に関する共通部分は、\begin{equation*}
\bigcap\limits_{i\in \mathbb{N} }A_{i}=\bigcap\limits_{i\in \mathbb{N} }\left( a-\frac{1}{i},b+\frac{1}{i}\right) =\left[ a,b\right] \end{equation*}となり、これは\(\mathbb{R}\)の開集合ではありません。

次回は閉集合という概念について解説します。
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