境界点・境界

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1次元ユークリッド空間 R の部分集合 A が与えられたとき、点 a∈R の任意の近傍が A と A の補集合の双方と交わるならば、a を A の境界点と呼びます。また、A のすべての境界点からなる集合を A の境界と呼びます。

2019年5月13日:例の中の誤りを修正 2019年5月11日:公開

境界点

\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)が与えられたとき、点\(a\in \mathbb{R}\)の任意の近傍が\(A\)とその補集合\(A^{c}\)の双方と交わるならば、すなわち、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0:\left[ U_{\varepsilon }(a)\cap A^{c}\not=\phi \ \wedge \ U_{\varepsilon }(a)\cap A\not=\phi \right] \end{equation*}が成り立つならば、\(a\)を\(A\)の境界点(frontier point)と呼びます。なお、点の近傍の定義を踏まえると上の条件は、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0:\left[ \left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \cap A^{c}\not=\phi \ \wedge \ \left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \cap A\not=\phi \right] \end{equation*}と言い換え可能です。つまり、点\(a\)を中心とする任意の開区間が\(A\)と\(A^{c}\)の双方と交わるということです。

例(境界点)
\(a\leq b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R}\)に関する\(\mathbb{R}\)上の区間\(\left[ a,b\right] \)が与えられたとき、端点\(a\)に対して任意の\(\varepsilon >0\)が、\begin{equation*}
a-\varepsilon <a<a+\varepsilon
\end{equation*}を満たすため、\(\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \)は\(\left[ a,b\right] \)と\(\left[ a,b\right] ^{c}\)の双方と交わります。したがって\(a\)は\(\left[ a,b\right] \)の境界点です。\(b\)が\(\left[ a,b\right] \)の境界点であることも同様にして示すことができます。
例(境界点)
\(a\leq b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R}\)に関する\(\mathbb{R}\)上の区間\(\left( a,b\right) \)が与えられたとします。端点\(a\)に対して任意の\(\varepsilon >0\)が、\begin{equation*}
a-\varepsilon <a<a+\varepsilon
\end{equation*}を満たすため、\(\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \)は\(\left( a,b\right) \)と\(\left( a,b\right) ^{c}\)の双方と交わります。したがって\(a\)は\(\left( a,b\right) \)の境界点です。\(b\)が\(\left( a,b\right) \)の境界点であることも同様にして示すことができます。
例(境界点)
すべての有理数からなる集合\(\mathbb{Q}\)について考えます。その補集合\(\mathbb{Q} ^{c}=\mathbb{R} \backslash \mathbb{Q}\)はすべての無理数からなる集合です。点\(x\in \mathbb{R}\)と\(\varepsilon >0\)をそれぞれ任意に選んだとき、有理数と無理数の稠密性より、\begin{equation*}
U_{\varepsilon }\left( x\right) =\left( x-\varepsilon ,x+\varepsilon \right)
\end{equation*}という区間の中には有理数と無理数がともに存在するため\(U_{\varepsilon }\left( x\right) \)は\(\mathbb{Q}\)と\(\mathbb{Q} ^{c}\)の双方と交わります。したがって任意の実数は\(\mathbb{Q}\)の境界点です。

 

境界

\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)のすべての境界点からなる集合を\(A\)の境界(frontier)と呼び、\begin{equation*}
A^{f},\quad \partial A
\end{equation*}などで表します。

境界の定義より、\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)と任意の点\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{eqnarray*}
x\in A^{f} &\Leftrightarrow &\forall \varepsilon >0:\left[ U_{\varepsilon }(a)\cap A^{c}\not=\phi \ \wedge \ U_{\varepsilon }(a)\cap A\not=\phi \right] \\
&\Leftrightarrow &\forall \varepsilon >0:\left[ \left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \cap A^{c}\not=\phi \ \wedge \ \left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \cap A\not=\phi \right] \end{eqnarray*}という関係が成り立ちます。

例(境界)
\(a\leq b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R}\)に関する\(\mathbb{R}\)上の区間\(\left[ a,b\right] \)が与えられたとき、先に示したように、端点\(a,b\)は\(\left[ a,b\right] \)の境界点であり、それ以外の任意の点\(x\in \mathbb{R}\)は\(\left[ a,b\right] \)の境界点ではありません。したがって、\(\left[ a,b\right] ^{f}=\{a,b\}\)となります。
例(境界)
\(a\leq b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R}\)に関する\(\mathbb{R}\)上の区間\((a,b)\)が与えられたとき、先に示したように、端点\(a,b\)は\(\left[ a,b\right] \)の境界点であり、それ以外の任意の点\(x\in \mathbb{R}\)は\(\left( a,b\right) \)の境界点ではありません。したがって、\(\left( a,b\right) ^{f}=\{a,b\}\)となります。
例(境界)
すべての有理数からなる集合\(\mathbb{Q}\)について考えます。先に示したように任意の実数は\(\mathbb{Q}\)の境界点であるため、\(\mathbb{Q} ^{f}=\mathbb{R}\)という関係が成り立ちます。

上の最後の例が示すように、一般に、\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)の境界点は\(A\)に属するとは限りません。つまり、\(A^{f}\subset A\)という関係は一般には成立しません。

また、境界に関して以下が成り立ちます。

命題(境界の性質)
\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)が与えられたとき、\begin{equation*}
A^{f}=\left( A^{c}\right) ^{f}
\end{equation*}という関係が成り立つ。
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つまり、\(A\)の境界点は同時に\(A^{c}\)の境界点でもあります。

 

内部・外部・境界の関係

\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)が与えられたとき、点\(x\in \mathbb{R}\)が\(A\)の境界点でないことは、\begin{equation*}
\exists \varepsilon >0:\left[ U_{\varepsilon }(x)\cap A^{c}=\phi \ \vee \ U_{\varepsilon }(x)\cap A=\phi \right] \end{equation*}すなわち\(x\in A^{i}\cup A^{e}\)が成り立つことを意味します。つまり、\(\mathbb{R}\)は\(A^{f}\)と\(A^{i}\cup A^{e}\)に分割されるということです。さらに、\(A^{i}\subset A\)かつ\(A^{e}\subset A^{c}\)であることを踏まえると、\(A^{i}\cup A^{e}\)は\(A^{i}\)と\(A^{e}\)に分割されます。したがって以下の命題を得ます。

命題(実数の分割)
\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)が与えられたとき、\(\mathbb{R}\)は\(A\)の内部\(A^{i}\)、外部\(A^{e}\)、境界\(A^{f}\)に分割される。すなわち、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ \mathbb{R} =A^{i}\cup A^{e}\cup A^{f} \\
&&\left( b\right) \ A^{i},A^{e},A^{f}\text{の中の任意の2つは互いに素である}
\end{eqnarray*}が成り立つ。
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先に指摘したように、\(\mathbb{R}\)の部分集合の内部や外部はいずれも\(\mathbb{R}\)の開集合系\(\mathcal{O}\)から間接的に定義される概念です。さらに、内部と外部の概念が与えられれば、それらの和集合の補集合として境界が得られます。したがって、\(\mathbb{R}\)の部分集合の境界という概念もまた開集合系\(\mathcal{O}\)から間接的に定義される概念です。

 

境界は閉集合

\(\mathbb{R}\)の部分集合の境界は\(\mathbb{R}\)の閉集合です。

命題(境界は閉集合)
\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)が与えられたとき、\begin{equation*}
A^{f}\in \mathcal{F}
\end{equation*}が成り立つ。ただし、\(\mathcal{F}\)は\(\mathbb{R}\)の閉集合系である。
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次回は触点や閉包という概念について解説します。
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