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数直線の位相

実数空間における連結集合・非連結集合

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非連結集合

実数空間の部分集合\(X\subset \mathbb{R} \)に対して、その切断が存在する場合には、すなわち、以下の条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \left( X\cap A\right) \cap \left( X\cap B\right) =\phi
\\
&&\left( b\right) \ \left( X\cap A\right) \cup \left( X\cap B\right) =X \\
&&\left( c\right) \ X\cap A\not=\phi \\
&&\left( d\right) \ X\cap B\not=\phi
\end{eqnarray*}を満たす開集合\(A,B\in \mathcal{O}\)が存在する場合には、\(X\)は非連結(disconnected)であるとか不連結(disconnected)であるなどと言います。つまり、\(X\)が非連結集合であることとは、何らかの開集合\(A,B\)との交わりをとることにより集合\(X\)を互いに素な2つの非空な集合である\(X\cap A\)と\(X\cap B\)に分割できることを意味します。

例(非連結集合)
以下のような\(\mathbb{R} \)の部分集合\begin{equation*}X=\left( 0,\frac{1}{2}\right) \cup \left( \frac{1}{2},1\right)
\end{equation*}に注目します。さらに、以下の2つの集合\begin{eqnarray*}
A &=&\left( 0,\frac{1}{2}\right) \\
B &=&\left( \frac{1}{2},1\right)
\end{eqnarray*}に注目します。有界な開区間は\(\mathbb{R} \)上の開集合であるため\(A,B\)は開集合です。さらに、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \left( X\cap A\right) \cup \left( X\cap B\right) =A\cup
B=X \\
&&\left( b\right) \ \left( X\cap A\right) \cap \left( X\cap B\right) =A\cap
B=\phi \\
&&\left( c\right) \ X\cap A=A\not=\phi \\
&&\left( d\right) \ X\cap B=B\not=\phi
\end{eqnarray*}が成り立つため、\(\left\{A,B\right\} \)は\(X\)の切断です。したがって\(X\)は非連結集合です。
例(自然数集合は非連結)
すべての自然数からなる集合\(\mathbb{N} \)は非連結集合です(演習問題)。
例(整数集合は非連結)
すべての整数からなる集合\(\mathbb{Z} \)は非連結集合です(演習問題)。
例(有理数集合は非連結)
すべての有理数からなる集合\(\mathbb{Q} \)は非連結集合です(演習問題)。
例(無理数集合は非連結)
すべての無理数からなる集合\(\mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \)は非連結集合です(演習問題)。
例(2点集合は非連結)
異なる2つの実数\(x,y\in \mathbb{R} \)を選んだ上で、それらだけを要素として持つ2点集合\(\left\{ x,y\right\} \)について考えます。\(\left\{x,y\right\} \)は非連結集合です(演習問題)。

実数空間の部分集合\(X\subset \mathbb{R} \)に対して、\(\mathbb{R} \)上の2つの開集合\(A,B\in \mathcal{O}\)が以下の条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ X\cap A\cap B=\phi \\
&&\left( b\right) \ X\subset A\cup B \\
&&\left( c\right) \ X\cap A\not=\phi \\
&&\left( d\right) \ X\cap B\not=\phi
\end{eqnarray*}を満たすことは、\(\left\{A,B\right\} \)が\(X\)の切断であるための必要十分条件です。以上の事実を踏まえると非連結集合を以下のように表現することもできます。

命題(非連結集合)
実数空間の部分集合\(X\subset \mathbb{R} \)に対して、以下の条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ X\cap A\cap B=\phi \\
&&\left( b\right) \ X\subset A\cup B \\
&&\left( c\right) \ X\cap A\not=\phi \\
&&\left( d\right) \ X\cap B\not=\phi
\end{eqnarray*}を満たす開集合\(A,B\in \mathcal{O}\)が存在することは、\(X\)が非連結集合であるための必要十分条件である。
例(非連結集合)
以下のような\(\mathbb{R} \)の部分集合\begin{equation*}X=\left( 0,\frac{1}{2}\right) \cup \left( \frac{1}{2},1\right)
\end{equation*}に注目します。先に示したように\(X\)は非連結集合であるため、上の命題中の条件を満たす開集合\(A,B\in \mathcal{O}\)が存在するはずです。実際、以下の2つの開集合\begin{eqnarray*}A &=&\left( 0,\frac{1}{2}\right) \\
B &=&\left( \frac{1}{2},1\right)
\end{eqnarray*}に注目したとき、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ X\cap A\cap B=X\cap \phi =\phi \\
&&\left( b\right) \ X=A\cup B \\
&&\left( c\right) \ X\cap A=A\not=\phi \\
&&\left( d\right) \ X\cap B=B\not=\phi
\end{eqnarray*}となるため条件が満たされています。以上の結果は上の命題の主張と整合的です。

実数空間の部分集合\(X\subset \mathbb{R} \)が与えられたとき、分離している2つの非空な集合の和集合として\(X\)を表せることは、\(X\)の切断が存在するための必要十分条件です。さらに、\(X\)が分離している2つの非空な集合である\(A\)と\(B\)の和集合として表されている場合、\begin{equation*}\left\{ \left( A^{a}\right) ^{c},\left( B^{a}\right) ^{c}\right\}
\end{equation*}は\(X\)の切断です。また、\(X\)の切断\(\left\{ A,B\right\} \)が存在する場合、\(X\)は分離している2つの非空な集合である\(X\cap A\)と\(X\cap B\)の和集合として表されます。以上の事実を踏まえると非連結集合を以下のように表現することもできます。

命題(非連結集合)
実数空間の部分集合\(X\subset \mathbb{R} \)が与えられたとき、分離している2つの非空な集合の和集合として\(X\)を表せることは、\(X\)が非連結集合であるための必要十分条件である。
例(非連結集合)
以下のような\(\mathbb{R} \)の部分集合\begin{equation*}X=\left( 0,\frac{1}{2}\right) \cup \left( \frac{1}{2},1\right)
\end{equation*}に注目します。先に示したように\(X\)は非連結集合であるため、分離している2つの非空な集合の和集合として\(X\)を表せるはずです。実際、以下の2つの集合\begin{eqnarray*}X\cap A &=&\left( 0,\frac{1}{2}\right) \\
X\cap B &=&\left( \frac{1}{2},1\right)
\end{eqnarray*}に注目すると、\begin{eqnarray*}
\left( X\cap A\right) ^{a} &=&\left[ 0,\frac{1}{2}\right] \\
\left( X\cap B\right) ^{a} &=&\left[ \frac{1}{2},1\right] \end{eqnarray*}であるため、\begin{eqnarray*}
\left( X\cap A\right) ^{a}\cap \left( X\cap B\right) &=&\phi \\
\left( X\cap A\right) \cap \left( X\cap B\right) ^{a} &=&\phi
\end{eqnarray*}が成立しており、したがって\(X\cap A\)と\(X\cap B\)は分割されています。加えて、\begin{equation*}X=\left( X\cap A\right) \cup \left( X\cap B\right)
\end{equation*}が成立するため、\(X\)は分離している2つの非空な集合である\(X\cap A\)と\(X\cap B\)の和集合として表されます。以上の結果は上の命題の主張と整合的です。

 

連結集合

実数空間の部分集合\(X\subset \mathbb{R} \)が非連結でない場合には、\(X\)は連結(connected)であると言います。つまり、\(X\)が連結であることとはその切断が存在しないこと、すなわち、以下の条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \left( X\cap A\right) \cap \left( X\cap B\right) =\phi
\\
&&\left( b\right) \ \left( X\cap A\right) \cup \left( X\cap B\right) =X \\
&&\left( c\right) \ X\cap A\not=\phi \\
&&\left( d\right) \ X\cap B\not=\phi
\end{eqnarray*}を満たす開集合\(A,B\in \mathcal{O}\)が存在しないことを意味します。つまり、どのような開集合\(A,B\in \mathcal{O}\)を選んだ場合でも、上の4つの条件のうちの少なくとも1つが成り立たないということです。もしくは、上の4つの条件を満たす集合\(A,B\)を任意に選んだとき、それらの少なくとも一方は開集合ではないということです。さらに言い換えると、\(X\)が連結であることとは、いかなる開集合\(A,B\)との交わりをとっても集合\(X\)を互いに素な2つの非空な集合である\(X\cap A\)と\(X\cap B\)に分割できないことを意味します。

例(空集合は連結集合)
空集合\(\phi \)は任意の集合の部分集合であるため\(\phi \subset \mathbb{R} \)であり、したがって\(\phi \)の切断が存在するか検討できます。そこで、\(\phi \)の切断の候補であるような開集合の組\(\left\{ A,B\right\} \)を任意に選びます。切断の定義より\(A\not=\phi \)かつ\(B\not=\phi \)ですが、このとき、\begin{eqnarray*}\phi \cap A &=&\phi \\
\phi \cap B &=&\phi
\end{eqnarray*}となるため\(\left\{ A,B\right\} \)は\(\left\{ \phi \right\} \)の切断ではありません。したがって\(\phi \)の切断は存在せず、\(\phi \)は連結集合であることが明らかになりました。
例(1点集合は連結集合)
実数\(x\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、それだけを要素として持つ1点集合\(\left\{ x\right\} \)について考えます。\(\left\{ x\right\} \subset \mathbb{R} \)であるため、\(\left\{ x\right\} \)の切断が存在するか検討できます。そこで、\(\left\{ x\right\} \)の切断の候補であるような開集合の組\(\left\{ A,B\right\} \)を任意に選びます。切断の定義より、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \left( \left\{ x\right\} \cap A\right) \cap \left(
\left\{ x\right\} \cap B\right) =\phi \\
&&\left( b\right) \ \left( \left\{ x\right\} \cap A\right) \cup \left(
\left\{ x\right\} \cap B\right) =\left\{ x\right\} \\
&&\left( c\right) \ \left\{ x\right\} \cap A\not=\phi \\
&&\left( d\right) \ \left\{ x\right\} \cap B\not=\phi
\end{eqnarray*}が成り立ちます。\(\left(c\right) ,\left( d\right) \)より\(x\in A\)かつ\(x\in B\)ですが、すると\(x\in \left\{x\right\} \cap A\)かつ\(x\in \left\{ x\right\} \cap B\)となり、したがって、\begin{equation*}x\in \left( \left\{ x\right\} \cap A\right) \cap \left( \left\{ x\right\}
\cap B\right)
\end{equation*}となり、これは\(\left( a\right) \)と矛盾です。したがって\(\left\{ x\right\} \)の切断は存在せず、\(\left\{ x\right\} \)は連結集合であることが明らかになりました。
例(実数空間は連結空間)
すべての実数からなる集合\(\mathbb{R} \)は\(\mathbb{R} \)の部分集合であるため、切断が存在するか検討できます。\(\mathbb{R} \)に関しては、\(\mathbb{R} \)の部分集合で開集合かつ閉集合であるものが\(\mathbb{R} \)と\(\phi \)だけであることは、\(\mathbb{R} \)が連結集合であるための必要十分です(演習問題)。実際、\(\mathbb{R} \)の部分集合で開集合かつ閉集合であるものが\(\mathbb{R} \)と\(\phi \)だけであるため(演習問題)、\(\mathbb{R} \)は連結集合です。このような事情を踏まえた上で、\(\mathbb{R} \)が連結集合であると言う代わりに連結空間(connected space)であると言うこともできます。

非連結集合の代替的な定義に関する先の命題を踏まえると、連結集合を以下のように表現することもできます。

命題(連結集合)
実数空間の部分集合\(X\subset \mathbb{R} \)に対して、以下の条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ X\cap A\cap B=\phi \\
&&\left( b\right) \ X\subset A\cup B \\
&&\left( c\right) \ X\cap A\not=\phi \\
&&\left( d\right) \ X\cap B\not=\phi
\end{eqnarray*}を満たす開集合\(A,B\in \mathcal{O}\)が存在しないことは、\(X\)が連結集合であるための必要十分条件である。

つまり、\(X\)が連結集合であることとは、どのような開集合\(A,B\in \mathcal{O}\)を選んだ場合でも、上の4つの条件のうちの少なくとも1つが成り立たないということです。もしくは、上の4つの条件を満たす集合\(A,B\)を任意に選んだとき、それらの少なくとも一方は開集合ではないということです。

切断と分離している集合の関係を用いた非連結集合の定義に関する先の命題を踏まえると、連結集合を以下のように表現することもできます。

命題(連結集合)
実数空間の部分集合\(X\subset \mathbb{R} \)が空集合ではない分離している2つの集合の和集合として表すことができないことは、\(X\)が連結集合であるための必要十分条件である。

 

演習問題

問題(非連結集合)
以下の\(\mathbb{R} \)の部分集合\begin{equation*}X=\left( 0,1\right) \cup \left( 1,2\right)
\end{equation*}が非連結集合であることを示してください。

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問題(自然数集合は非連結)
すべての自然数からなる集合\(\mathbb{N} \)が非連結集合であることを示してください。
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問題(整数集合は非連結)
すべての整数からなる集合\(\mathbb{Z} \)が非連結集合であることを示してください。
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問題(有理数集合は非連結)
すべての有理数からなる集合\(\mathbb{Q} \)が非連結集合であることを示してください。
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問題(無理数集合は非連結)
すべての無理数からなる集合\(\mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \)が非連結集合であることを示してください。
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問題(2点集合な非連結)
異なる2つの実数\(x,y\in \mathbb{R} \)を選んだ上で、それらだけを要素として持つ2点集合\(\left\{ x,y\right\} \)について考えます。\(\left\{x,y\right\} \)が非連結集合であることを示してください。
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問題(連結集合)
すべての実数からなる集合\(\mathbb{R} \)に関しては、\(\mathbb{R} \)の部分集合で開集合かつ閉集合であるものが\(\mathbb{R} \)と\(\phi \)だけであることは、\(\mathbb{R} \)が連結集合であるための必要十分であることを示してください。その上で、\(\mathbb{R} \)が連結集合であることを示してください。
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問題(境界を持たない集合)
\(\mathbb{R} \)の部分集合の中でも、境界点を持たないものは\(\phi \)と\(\mathbb{R} \)だけであることを示してください。
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