ある集合の要素がいずれも集合であるとき、それを集合族や集合の集合などと呼びます。集合族には有限集合族、可算集合族、添字付けられた集合族などがあります。
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集合族

ある集合の要素がいずれも集合であるとき、そのことを明示したい場合にはそれを集合族(family of sets)や集合の集合(set of sets)などと呼びます。

集合を表記する記号としてアルファベットの大文字\(A,B,C,\cdots \)が使われるのに対して、集合族を表記する場合にはドイツ文字\(\mathfrak{A},\mathfrak{B},\mathfrak{C},\cdots \)を使うのが慣例です。ただ、そうしなければならないという決まりはないため、文脈から判断する必要があります。

例(集合族)
\(\left\{ \left\{ 1,2\right\} ,\left\{ 2,3\right\} ,\left\{ 1,3\right\} \right\} \)は集合族であり、その要素は\(\left\{ 1,2\right\} ,\left\{ 2,3\right\} ,\left\{ 1,3\right\} \)という3つの集合です。
例(集合族)
ある高校の全校生徒からなる集合を\(A\)で表します。1年生からなる集合を\(A_{1}\)で、2年生からなる集合を\(A_{2}\)で、3年生からなる集合を\(A_{3}\)で表します。これらはいずれも\(A\)の部分集合です。このとき、\(\left\{ A_{1}\right\} \)や\(\left\{ A_{1},A_{3}\right\}\)や\(\left\{ A_{1},A_{2},A_{3}\right\} \)などはいずれも集合族です。
例(集合族)
空集合\(\phi \)は集合です。したがって、空集合を唯一の要素とする集合\(\left\{ \phi \right\} \)は集合族です。
例(集合族)
集合\(A=\left\{ a,b,c\right\} \)のすべての部分集合からなる集合族は、\begin{equation*}
\left\{ \phi ,\left\{ a\right\} ,\left\{ b\right\} ,\left\{ c\right\}
,\left\{ a,b\right\} ,\left\{ a,c\right\} ,\left\{ b,c\right\} ,A\right\}
\end{equation*}です。空集合\(\phi \)や\(A\)自身もまた\(A\)の部分集合であるため、これらもまた上の集合族の要素であることに注意してください。

 

有限集合族

有限個の集合を要素として持つ集合族を有限集合族(finite family of sets)と呼びます。

例(有限集合族)
集合族\(\left\{ \left\{ 1,2\right\} ,\left\{ 2,3\right\} ,\left\{ 1,3\right\} \right\} \)は3つの集合を要素として持つ有限集合族です。
例(有限集合族)
集合族\(\left\{ \phi \right\} \)は1つの集合を要素として持つ有限集合族です。

有限集合族をどのような形で一般的に表現すればよいでしょうか。有限集合族は有限個の集合を要素をして持つため、それらの集合の個数を表す\(n\)は有限な自然数です。この場合、その\(n\)個の集合には\(A_{1},A_{2},\cdots ,A_{n}\)と順番に番号を振ることができるため、それらを要素をして持つ有限集合族を、\begin{equation*}
\left\{ A_{1},A_{2},\cdots ,A_{n}\right\}
\end{equation*}と外延的に表現できます。また、番号\(i\in \left\{ 1,2,\cdots ,n\right\} \)が割り当てられた集合を\(A_{i}\)と表記するのであれば、同じ集合族を、\begin{equation*}
\left\{ A_{i}\ |\ i\in \left\{ 1,2,\cdots ,n\right\} \right\}
\end{equation*}と内包的に表現することもできます。慣例として、これをより簡素に、\begin{equation*}
\left\{ A_{i}\right\} _{i\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} }^{{}},\quad
\left\{ A_{i}\right\} _{i=1}^{n}
\end{equation*}などと表現することもできます。さらに、議論の対象である集合族が有限集合族であることが文脈から明らかである場合には、それを、\begin{equation*}
\left\{ A_{i}\right\}
\end{equation*}と表現することもできます。

例(有限集合族)
正の整数\(n\)を任意に選んだ上で、\begin{equation*}
\left\{ \left\{ 1\right\} ,\left\{ 1,2\right\} ,\left\{ 1,2,3\right\}
,\cdots ,\left\{ 1,\cdots ,n\right\} \right\}
\end{equation*}と外延的に表現される集合族について考えます。これは明らかに有限集合族です。これを内包的に表現すると、\begin{equation*}
\left\{ \left\{ 1,2,\cdots ,i\right\} \ |\ i\in \left\{ 1,2,\cdots
,n\right\} \right\}
\end{equation*}となります。もしくは、それぞれの番号\(i\in \left\{ 1,2,\cdots ,n\right\} \)に対して、\begin{equation*}
A_{i}=\left\{ 1,2,\cdots ,i\right\}
\end{equation*}という集合を定義するのであれば、先の集合族を、\begin{equation*}
\left\{ A_{1},A_{2},A_{3},\cdots ,A_{n}\right\} ,\quad \left\{ A_{i}\right\}
_{i=1}^{n}
\end{equation*}などと表現できます。

 

可算集合族

ある集合族は無限個の集合を要素として持つとともに、それらの集合を\(1,2,3,\cdots \)と順番に数えることができる場合、その集合族を可算集合族(countable family of sets)と呼びます。「可算」とは数えられるという意味であり、可算集合族とは、その要素である無限個の集合を\(1,2,3,\cdots \)と数えていくことが可能であるような集合族です。ただし、可算集合族は無限個の集合を要素として持つため、すべての要素を最後まで数え尽くすことはできません。

例(可算集合族)
以下の集合族\begin{equation*}
\left\{ \left\{ 1\right\} ,\left\{ 1,2\right\} ,\left\{ 1,2,3\right\}
,\cdots \right\}
\end{equation*}について考えます。この集合族は無限個の集合を要素として持ちます。さらに、それぞれの自然数\(n\)について、\begin{equation*}
A_{n}=\left\{ 1,\cdots ,n\right\}
\end{equation*}という集合を定義するのであれば、先の集合族を、\begin{equation*}
\left\{ A_{1},A_{2},A_{3},\cdots \right\}
\end{equation*}と表現できるため、その要素である集合を\(1,2,3,\cdots \)と順番に数えることができます。したがって、この集合族は可算集合族です。

可算集合族をどのような形で一般的に表現すればよいでしょうか。可算集合族は無限個の集合を要素をして持つものの、それらの集合には\(A_{1},A_{2},A_{3},\cdots \)と順番に番号を振ることができるため、それらを要素をして持つ可算集合族を、\begin{equation*}
\left\{ A_{1},A_{2},A_{3},\cdots \right\}
\end{equation*}と外延的に表現できます。可算集合族は無限個の集合を要素として持つため、それぞれの集合\(A_{n}\)に割り当てられる番号\(n\)は\(1\)から始まり、\(1\)ずつ大きくなり、永遠に大きくなり続けます。したがって、\(n\)の定義域はすべての自然数からなる集合\(\mathbb{N}\)であるため、可算集合族を内包的に表現すると、\begin{equation*}
\left\{ A_{n}\ |\ n\in \mathbb{N} \right\}
\end{equation*}となります。慣例として、これをより簡素に、\begin{equation*}
\left\{ A_{n}\right\} _{n\in \mathbb{N} }^{{}},\quad \left\{ A_{n}\right\} _{i=1}^{\infty }
\end{equation*}などと表現することもできます。さらに、議論の対象である集合族が可算集合族であることが文脈から明らかである場合には、それを、\begin{equation*}
\left\{ A_{n}\right\}
\end{equation*}と表現することもできます。

例(可算集合族)
以下の集合族\begin{equation*}
\left\{ \left\{ 1,2,3,\cdots \right\} ,\left\{ 2,4,6,\cdots \right\}
,\left\{ 3,6,9,\cdots \right\} ,\cdots \right\}
\end{equation*}について考えます。これを内包的に表現すると、\begin{equation*}
\left\{ \left\{ n,2n,3n,\cdots \right\} \ |\ n\in
\mathbb{N}
\right\}
\end{equation*}となります。もしくは、それぞれの番号\(n\in \mathbb{N}\)に対して、\begin{eqnarray*}
A_{n} &=&\left\{ n,2n,3n,\cdots \right\} \\
&=&\left\{ x\in
\mathbb{N}
\ |\ x\text{は}n\text{の倍数}\right\}
\end{eqnarray*}という集合を定義するのであれば、先の集合族を、\begin{equation*}
\left\{ A_{1},A_{2},A_{3},\cdots ,A_{n},\cdots \right\} ,\quad \left\{
A_{n}\right\} _{n\in
\mathbb{N}
},\quad \left\{ A_{n}\right\} _{n=1}^{\infty }
\end{equation*}などと表現できます。

 

集合に添字付けられた集合族

ある集合族が無限個の集合を要素として持つとともに、それらの集合を\(1,2,3,\cdots \)と順番に数えることができない場合、その集合族をどのように表現すればよいでしょうか。

例(集合族)
\(0\)以上\(1\)以下の実数からなる区間\(\left[ 0,1\right] \subset \mathbb{R}\)に属するそれぞれの実数\(n\in \left[ 0,1\right] \)に対して、\begin{equation*}
A_{n}=\left\{ x\in \mathbb{R}\ |\ 0\leq x\leq \frac{1}{n+1}\right\}
\end{equation*}という集合を定義します。すべての\(n\in \left[ 0,1\right] \)に対してこのような集合\(A_{n}\)をとった上で、それらの集合を要素とする集合族\(\mathfrak{A}\)を作ります。後に濃度という概念について学ぶ際に詳しく解説しますが、区間\(\left[ 0,1\right] \)の要素であるすべての実数を\(1,2,3,\cdots \)と順番に数え上げることはできません。したがって、集合族\(\mathfrak{A}\)の要素である集合に対して\(A_{1},A_{2},A_{3},\cdots \)と番号を振ることはできず、\(\mathfrak{A}\)を外延的に表現することは困難です。一方、\(n\)がとり得る値の範囲が\(\left[ 0,1\right] \)であることは分かっているため、この集合族\(\mathfrak{A}\)を、\begin{equation*}
\mathfrak{A}=\left\{ A_{n}\ |\ n\in \left[ 0,1\right] \right\}
\end{equation*}と内包的に表現することは可能です。

上の例を参考に議論を一般化します。集合\(\Lambda \)のそれぞれの要素\(\lambda \in \Lambda \)に対して集合\(A_{\lambda }\)が1つずつ対応しているとき、すべての\(\lambda \)に関する集合\(A_{\lambda }\)を要素として持つ集合族を\(\left\{ A_{\lambda }\ |\ \lambda \in \Lambda \right\} \)と内包的に表現できます。慣例として、これをより簡素に、\begin{equation*}
\left\{ A_{\lambda }\right\} _{\lambda \in \Lambda }
\end{equation*}と表現することもできます。このような集合族を\(\Lambda \)によって添字付けられた集合族(family of sets indexed by \(\Lambda \))と呼びます。また、\(\Lambda \)を添字集合(index set)と呼び、\(\Lambda \)のそれぞれの要素\(\lambda \in \Lambda \)を添字(index)と呼びます。さらに、それぞれの添え字\(\lambda \)に対して割り当てられた集合\(A_{\lambda }\)を添字付き集合(indexed set)と呼びます。議論の対象としている集合族の添字集合\(\Lambda \)が文脈から明らかである場合には、\(\Lambda \)によって添字付けられた集合族を\begin{equation*}
\left\{ A_{\lambda }\right\}
\end{equation*}と表現することもできます。

例(集合に添字付けられた集合族)
それぞれの実数\(n\in \left[ 0,1\right] \)に対して、\begin{equation*}
A_{n}=\left( n-1,n+1\right)
\end{equation*}という集合を定義します。これは、\(n-1\)より大きく\(n+1\)より小さいすべての実数からなる集合です。すべての\(n\in \left[ 0,1\right] \)に対してこのような集合\(A_{n}\)をとった上で、それらの集合を要素とする集合族を作ると、それは、\begin{equation*}
\left\{ A_{n}\right\} _{n\in \left[ 0,1\right] }
\end{equation*}と表現できます。この集合族の添字集合は\(\left[ 0,1\right] \)であり、それぞれの添字\(n\in \left[ 0,1\right] \)に対する添字付き集合は\(A_{n}\)です。

有限集合族\(\left\{ A_{i}\right\} _{i\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} }^{{}}\)は\(1\)以上\(n\)以下の有限個の自然数からなる集合\(\left\{ 1,\cdots ,n\right\}\)を添字集合とする集合族であり、可算集合族\(\left\{ A_{n}\right\} _{n\in \mathbb{N} }\)はすべての自然数からなる集合\(\mathbb{N}\)を添字集合とする集合族です。つまり、添字付けられた集合族は有限集合族や可算集合族などを内包する一般的な概念です。さらに、上で解説したように、添字付けられた集合族を使えば、可算集合族や有限集合族として表現できないような集合族(無限個の集合を要素として持つとともに、それらの集合を\(1,2,3,\cdots \)と順番に数えることができないケースなど)を表現することもできます。添字付けられた集合族を利用すれば、集合族という概念を一般的な形で扱うことができます。

次回は部分集合族について学びます。

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