集合とはある条件を満たす対象を集めたものですから、集合を集めた集合というものを考えることもできます。すべての要素が集合であるような集合を集合族と呼びます。集合族には有限集合族、可算集合族、添字付けられた集合族などがあります。

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集合族

集合とはある条件を満たす対象を集めたものですから、集合を要素として持つ集合を考えることもできます。すべての要素が集合であるような集合を集合族(family of sets)と呼びます。

通常の集合がアルファベットの大文字\(X,Y,Z,\cdots \)などで表されるのに対して、集合族は多くの場合ドイツ文字\(\mathfrak{A},\mathfrak{B},\mathfrak{C},\cdots \)で表します。

例(集合族)
集合\(X,Y,Z\)を要素とする集合族は\(\mathfrak{A}=\{X,Y,Z\}\)と表すことができます。

 

有限集合族

有限個の集合を要素として持つ集合族を有限集合族(finite family of sets)と呼びます。

有限集合族をどのように定式化すればよいでしょうか。有限集合族が有限\(n\)個の集合を要素として持つ場合には、それらの集合に対して\(1\)から\(n\)まで順番に番号を振ることができます。つまり、それら\(n\)個の集合を\(X_{1},X_{2},\cdots ,X_{n}\)と表せば、外延的表記によって有限集合族を\(\{X_{1},X_{2},\cdots ,X_{n}\}\)と表すことができます。

番号\(i\in \{1,\cdots ,n\}\)が振られた集合を\(X_{i}\)で表せば、内包的表記によって有限集合族を\(\{X_{i}\ |\ i\in \{1,\cdots ,n\}\}\)と表すことができます。ただし、有限集合族は慣習的に\(\{X_{i}\}_{i\in \{1,\cdots ,n\}}\)や\(\{X_{i}\}_{i=1}^{n}\)などで表記することもあります。番号\(i\)が\(1\)から\(n\)までの値を取り得ることが文脈から明らな場合には、有限集合族をシンプルに\(\{X_{i}\}\)で表すこともできます。

例(有限集合族)
外延的表記によって\(\mathfrak{A}=\{\{1\},\{1,2\},\{1,2,3\},\cdots ,\{1,\cdots ,n\}\}\)と記述される有限集合族\(\mathfrak{A}\)について考えます。それぞれの自然数\(i\in \{1,\cdots ,n\}\)に対して\(X_{i}=\{1,2,\cdots ,i\}\)という集合を定義すると、先の有限集合族を\(\mathfrak{A=}\{X_{i}\}_{i\in \{1,\cdots ,n\}}\)と表すことができます。

 

加算集合族

無限個の集合を\(1,2,3,\cdots \)と数えることができる場合、それらの集合を要素として持つ集合族を可算集合族(countable family of sets)と呼びます。可算とは数えられるという意味であり、加算集合族とはそこに含まれる無限個の集合を\(1,2,3,\cdots \)と数えていくことが可能であるような集合族です。ただし、可算集合族には無限個の集合が要素として含まれるため、すべての要素を数え尽くすことはできません。

可算集合族をどのように定式化すればよいでしょうか。可算集合族の要素であるそれぞれの集合には\(1,2,3,\cdots \)と番号を振ることができます。そこで、無限個の集合を\(X_{1},X_{2},\cdots ,X_{n},\cdots \)と表せば、外延的表記によって可算集合族を\(\{X_{1},X_{2},\cdots ,X_{n},\cdots \}\)と表すことができます。

自然数\(n\in \mathbb{N}\)が振られた集合を\(X_{n}\)で表せば、内包的表記によって可算集合族を\(\{X_{n}\ |\ n\in \mathbb{N} \}\)と表すことができます。ただし、可算集合族は慣習的に\(\{X_{n}\}_{n\in \mathbb{N} }\)や\(\{X_{n}\}_{n=1}^{\infty }\)などで表記することもあります。番号\(n\)が任意の自然数を値として取り得ることが文脈から明らかである場合には、可算集合族をシンプルに\(\{X_{n}\}\)で表すこともできます。

例(可算集合族)
外延的表記によって\(\mathfrak{A}=\{\{1\},\{1,2\},\cdots ,\{1,\cdots ,n\},\cdots \}\)と記述される可算集合族\(\mathfrak{A}\)について考えます。それぞれの自然数\(n\in \mathbb{N}\)に対して\(X_{n}=\{1,2,\cdots ,n\}\)という集合を定義すると、先の可算集合族を\(\mathfrak{A=}\{X_{i}\}_{i\in \mathbb{N} }\)と表すことができます。
例(可算集合族)
外延的表記によって\begin{equation*}
\mathfrak{B}=\{\{1,2,3,\cdots \},\{2,4,6,\cdots \},\cdots ,\{n,2n,3n,\cdots
\},\cdots \}
\end{equation*}と記述される可算集合族\(\mathfrak{B}\)について考えます。それぞれの自然数\(n\in \mathbb{N}\)に対して\(X_{n}=\{x\in \mathbb{N} \ |\ x\)は\(n\)の倍数\(\}\)という集合を定義すると、先の可算集合族を\(\mathfrak{B=}\{X_{n}\}_{n\in \mathbb{N} }\)と表すことができます。

 

集合に添字付けられた集合族

集合族に含まれる集合の個数が無限であると同時に、それらの個数を\(1,2,3,\cdots \)と数え上げることができない場合には、その集合族をどのように表記すればよいでしょうか。

例えば、実数の区間\([0,1]\)に属するそれぞれの実数\(n\in \lbrack 0,1]\)に対して集合\(X_{n}=\{x\in \mathbb{R} \ |\ 0\leq x\leq \frac{1}{n}\}\)を割り当てた上で、任意の\(n\)に関する\(X_{n}\)を要素として持つ集合族\(\mathfrak{A}\)について考えましょう。後に濃度という概念について学ぶ際に解説しますが、区間\([0,1]\)に属するすべての実数を\(1,2,3,\cdots \)と数え上げることはできません。したがって、この集合族\(\mathfrak{A}\)に属するそれぞれの集合に対して\(1,2,3,\cdots \)と番号を振ることはできないため、外延的表記によって\(\mathfrak{A}\)を表現することは困難です。一方、内包的表記を用いれば、この集合族を\(\mathfrak{A=}\{X_{n}\ |\ n\in \lbrack 0,1]\}\)と表現できます。慣習的にこれを\(\mathfrak{A=}\{X_{n}\}_{n\in \lbrack 0,1]}\)と表記することもできます。

議論を一般化しましょう。集合\(\Lambda \)のそれぞれの要素\(\lambda \in \Lambda \)に対して集合\(X_{\lambda }\)が 1 つずつ対応しているとき、任意の\(\lambda \)に対する集合\(X_{\lambda }\)を要素とする集合族を\(\{X_{\lambda }\}_{\lambda \in \Lambda }\)や\(\{X_{\lambda }\ |\ \lambda \in \Lambda \}\)などで表し、これを\(\Lambda \)によって添字付けられた集合族(family of sets indexed by \(\Lambda \))と呼びます。また、\(\Lambda \)を添字集合(index set)と呼び、\(\Lambda \)のそれぞれの要素\(\lambda \in \Lambda \)を添字(index)と呼びます。さらに、添え字\(\lambda \)に対して割り当てられた集合\(X_{\lambda }\)を添字付き集合(indexed set)と呼びます。なお、添字集合\(\Lambda \)が文脈から明らかである場合には\(\Lambda \)によって添字付けられた集合族を\(\{X_{\lambda }\}\)で表すこともできます。

添字集合が\(\Lambda =\{1,\cdots ,n\}\)の場合の添字付けられた集合族\(\{X_{\lambda }\}_{\lambda \in \Lambda }\)は有限集合族\(\{X_{i}\}_{i=1}^{n}\)に他なりません。また、添字集合が\(\Lambda = \mathbb{N}\)の場合の添字付けられた集合族\(\{X_{\lambda }\}_{\lambda \in \Lambda }\)は可算集合族\(\{X_{n}\}_{n=1}^{\infty }\)に他なりません。したがって、添字付けられた集合族は有限集合族や可算集合族を拡張した概念です。

例(集合に添字付けられた集合族)
それぞれの\(n\in \lbrack 0,1]\)に対して集合\(X_{n}=(n-1,n+1)\)を定義します。実数の区間\([0,1]\)に含まれるすべての実数に対して\(1,2,3,\cdots \)と番号を振ることはできません。しかし、\(0\)以上\(1\)以下の任意の実数\(n\)に対する集合\(X_{n}\)を要素として含む集合族は、添字付き集合\([0,1]\)によって添字付けられた集合族\(\{X_{n}\}_{n\in \lbrack 0,1]}\)として表現できます。

次回はベキ集合について学びます。
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