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集合演算におけるド・モルガンの法則

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ド・モルガンの法則

集合\(A,B\)を任意に選んだとき、全体集合の任意の要素\(x\in U\)を任意に選ぶと、\begin{eqnarray*}x\in \left( A\cap B\right) ^{c} &\Leftrightarrow &\lnot \left[ x\in \left(
A\cap B\right) \right] \quad \because \text{補集合の定義} \\
&\Leftrightarrow &\lnot \left( x\in A\wedge x\in B\right) \quad \because
\text{共通部分の定義} \\
&\Leftrightarrow &\lnot \left( x\in A\right) \vee \lnot \left( x\in B\right)
\quad \because \text{論理演算のド・モルガンの法則} \\
&\Leftrightarrow &x\in A^{c}\vee x\in B^{c}\quad \because \text{補集合の定義} \\
&\Leftrightarrow &x\in A^{c}\cup B^{c}\quad \because \text{和集合の定義}
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
\left( a\right) \ \left( A\cap B\right) ^{c}=A^{c}\cup B^{c}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。共通部分の補集合は補集合の和集合と一致するということです。また、\(\left( a\right) \)において\(\cap \)と\(\cup \)を入れ替えると、\begin{equation*}\left( b\right) \ \left( A\cup B\right) ^{c}=A^{c}\cap B^{c}
\end{equation*}を得ますが、これもまた成り立ちます。つまり、和集合の補集合は補集合の共通部分と一致します。共通部分と和集合の間に成立する以上の性質をド・モルガンの法則(De Morgan’s law)と呼びます。

命題(ド・モルガンの法則)
任意の集合\(A,B,C\)に対して、\begin{eqnarray*}\left( a\right) \ \left( A\cap B\right) ^{c} &=&A^{c}\cup B^{c} \\
\left( b\right) \ \left( A\cup B\right) ^{c} &=&A^{c}\cap B^{c}
\end{eqnarray*}が成り立つ。

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例(ド・モルガンの法則)
全体集合\(U\)および集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*}U &=&\left\{ 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10\right\} \\
A &=&\left\{ 4,5,6,7,8\right\} \\
B &=&\left\{ 2,4,6,8,10\right\}
\end{eqnarray*}と定義されているとき、\begin{eqnarray*}
\left( A\cap B\right) ^{c} &=&U\backslash \left( A\cap B\right) \\
&=&\left\{ 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10\right\} \backslash \left\{ 4,6,8\right\} \\
&=&\left\{ 1,2,3,5,7,9,10\right\}
\end{eqnarray*}である一方で、\begin{eqnarray*}
A^{c}\cup B^{c} &=&U\backslash A\cup U\backslash B \\
&=&\left\{ 1,2,3,9,10\right\} \cup \left\{ 1,3,5,7,9\right\} \\
&=&\left\{ 1,2,3,5,7,9,10\right\}
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
\left( A\cap B\right) ^{c}=A^{c}\cup B^{c}
\end{equation*}が成立しています。これはド・モルガンの法則と整合的です。

例(ド・モルガンの法則)
任意の集合\(A,B\)について、\begin{equation*}\left( A^{c}\cap B\right) ^{c}=A\cup B^{c}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。実際、\begin{eqnarray*}
\left( A^{c}\cap B\right) ^{c} &=&\left( A^{c}\right) ^{c}\cup B^{c}\quad
\because \text{ド・モルガンの法則} \\
&=&A\cup B^{c}\quad \because \text{反射律}
\end{eqnarray*}となるからです。

例(ド・モルガンの法則)
集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*}A &:&\text{すべての男性からなる集合} \\
B &:&\text{すべての}50\text{歳未満の人からなる集合}
\end{eqnarray*}であるものとします。この場合、ド・モルガンの法則\begin{equation*}
\left( A\cap B\right) ^{c}=A^{c}\cup B^{c}
\end{equation*}は何を意味しているのでしょうか。左辺は、\begin{equation*}
\left( A\cap B\right) ^{c}:\text{「}50\text{歳未満の男性」ではない人の集合}
\end{equation*}であり、右辺は、\begin{equation*}
A^{c}\cup B^{c}:\text{「女性」もしくは「}50\text{歳以上」の少なくとも一方であるような人の集合}
\end{equation*}です。ド・モルガンの法則より、これらは等しい集合です。

 

ド・モルガンの法則の一般化

3つの集合\(A,B,C\)に関しても、ド・モルガンの法則を繰り返し適用することにより、\begin{align*}(A\cap B\cap C)^{c}& =(\left( A\cap B\right) \cap C)^{c}\quad \because \text{結合律} \\
& =\left( A\cap B\right) ^{c}\cup C^{c}\quad \because \text{ド・モルガンの法則} \\
& =\left( A^{c}\cup B^{c}\right) \cup C^{c}\because \text{ド・モルガンの法則} \\
& =A^{c}\cup B^{c}\cup C^{c}\quad \because \text{結合律}
\end{align*}すなわち、\begin{equation*}
\left( A\cap B\cap C\right) ^{c}=A^{c}\cup B^{c}\cup C^{c}
\end{equation*}が得られます。和集合についても同様に考えると、\begin{equation*}
\left( A\cup B\cup C\right) ^{c}=A^{c}\cap B^{c}\cap C^{c}
\end{equation*}が得られます。

任意の有限個の集合の共通部分についても同様の議論が成り立ちます。すなわち、有限個の集合\(A_{1},\cdots ,A_{n}\)について、\begin{equation*}\left( A_{1}\cap \cdots \cap A_{n}\right) ^{c}=A_{1}^{c}\cup \cdots \cup
A_{n}^{c}
\end{equation*}という関係が成立するため、これを、\begin{equation*}
\left( \bigcap_{i=1}^{n}A_{i}\right) ^{c}=\bigcup_{i=1}^{n}A_{i}^{c}
\end{equation*}と表記します。和集合についても同様に考えると、\begin{equation*}
\left( A_{1}\cup \cdots \cup A_{n}\right) ^{c}=A_{1}^{c}\cap \cdots \cap
A_{n}^{c}
\end{equation*}という関係が成立するため、これを、\begin{equation*}
\left( \bigcup_{i=1}^{n}A_{i}\right) ^{c}=\bigcap_{i=1}^{n}A_{i}^{c}
\end{equation*}と表記します。

命題(ド・モルガンの法則)
有限\(n\)個の集合集合\(A_{1},\cdots ,A_{n}\)が任意に与えられたとき、\begin{eqnarray*}\left( a\right) \ \left( \bigcap_{i=1}^{n}A_{i}\right) ^{c}
&=&\bigcup_{i=1}^{n}A_{i}^{c} \\
\left( b\right) \ \left( \bigcup_{i=1}^{n}A_{i}\right) ^{c}
&=&\bigcap_{i=1}^{n}A_{i}^{c}
\end{eqnarray*}などの関係が成り立つ。

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演習問題

問題(ド・モルガンの法則)
全体集合\(U\)および集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*}U &=&\left\{ 1,2,3,\cdots \right\} \\
A &=&\phi \\
B &=&\left\{ 2,4,6,\cdots \right\}
\end{eqnarray*}で与えられているものとします。このとき、ド・モルガンの法則\begin{equation*}
\left( A\cap B\right) ^{c}=A^{c}\cup B^{c}
\end{equation*}が成り立つことを確認してください。

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問題(ド・モルガンの法則)
全体集合\(U\)および集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*}U &=&\text{すべてのアルファベットからなる集合} \\
A &=&\text{すべての母音からなる集合} \\
B &=&\text{すべての子音からなる集合}
\end{eqnarray*}で与えられているものとします。このとき、ド・モルガンの法則\begin{equation*}
\left( A\cap B\right) ^{c}=A^{c}\cup B^{c}
\end{equation*}が成り立つことを確認してください。

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問題(ド・モルガンの法則)
任意の集合\(A,B,C\)について、\begin{equation*}\left( A\cap \left( B\cup C\right) \right) ^{c}=\left( A^{c}\cup
B^{c}\right) \cap \left( A^{c}\cup C^{c}\right)
\end{equation*}という関係が成り立つことを示してください。

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次回は補集合法則と呼ばれる集合演算に関する法則を紹介します。

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