ある集合とその補集合の共通部分は空集合になります。また、ある集合とその補集合の和集合は全体集合になります。これを補集合法則と呼びます。
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補集合法則

集合\(A\)を任意に選んだとき、全体集合の任意の要素\(x\in U\)について、\begin{eqnarray*}
x\in A\cap A^{c} &\Leftrightarrow &x\in A\wedge x\in A^{c}\quad \because
\cap \text{の定義} \\
&\Leftrightarrow &x\in A\wedge \lnot \left( x\in A\right) \quad \because c\text{の定義} \\
&\Leftrightarrow &\bot \quad \because \text{矛盾律(}\bot \text{は恒偽式)} \\
&\Leftrightarrow &x\in \phi \quad \because \phi \text{の定義}
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
\left( a\right) \ A\cap A^{c}=\phi
\end{equation*}という関係が成り立ちます。集合とその補集合の共通部分は空集合と一致するということです。上の命題において\(\cap \)と\(\cup \)を入れ替え、\(\phi \)を\(U\)に入れ替えると、\begin{equation*}
\left( b\right) \ A\cup A^{c}=U
\end{equation*}を得ますが、これもまた成り立ちます(演習問題にします)。つまり、集合とその集合の和集合は全体集合と一致するということです。以上を補集合法則(complement law)と呼びます。

命題(補集合法則)
空集合\(\phi \)、全体集合\(U\)、そして任意の集合\(A\)に対して以下が成り立つ。\begin{eqnarray*}
\left( a\right) \ A\cap A^{c} &=&\phi \\
\left( b\right) \ A\cup A^{c} &=&U
\end{eqnarray*}
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例(補集合法則)
任意の集合\(A,B\)について、\begin{eqnarray*}
\left( A\cap B\right) \cap \left( A^{c}\cup B^{c}\right) &=&\left( A\cap
B\right) \cap \left( A\cap B\right) ^{c}\quad \because \text{ド・モルガンの法則} \\
&=&\phi \quad \because \text{補集合法則}
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
\left( A\cap B\right) \cap \left( A^{c}\cup B^{c}\right) =\phi
\end{equation*}という関係が成り立ちます。
例(補集合法則)
任意の集合\(A,B\)について、\begin{eqnarray*}
\left( A\cup B\right) \cup \left( A^{c}\cap B^{c}\right) &=&\left( A\cup
B\right) \cup \left( A\cup B\right) ^{c}\quad \because \text{ド・モルガンの法則} \\
&=&U\quad \because \text{補集合法則}
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
\left( A\cup B\right) \cup \left( A^{c}\cap B^{c}\right) =U
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

 

空集合と全体集合の関係

全体集合の任意の要素\(x\in U\)について、\begin{eqnarray*}
x\in \phi ^{c} &\Leftrightarrow &\lnot \left( x\in \phi \right) \quad
\because c\text{の定義} \\
&\Leftrightarrow &\lnot \bot \quad \because \phi \text{の定義(}\bot \text{は恒偽式)} \\
&\Leftrightarrow &\top \quad \because \top \text{は恒真式} \\
&\Leftrightarrow &x\in U\quad \because U\text{の定義}
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
\left( a\right) \ \phi ^{c}=U
\end{equation*}という関係が成り立ちます。空集合の補集合は全体集合と一致するということです。上の命題において\(\phi \)と\(U\)を入れ替えると、\begin{equation*}
\left( b\right) \ U^{c}=\phi
\end{equation*}を得ますが、これもまた成り立ちます(演習問題にします)。つまり、全体集合の補集合は空集合と一致するということです。以上も補集合法則と呼びます。

命題(空集合と全体集合の関係)
空集合\(\phi \)と全体集合\(U\)に対して以下が成り立つ。\begin{eqnarray*}
\left( a\right) \ \phi ^{c} &=&U \\
\left( b\right) \ U^{c} &=&\phi
\end{eqnarray*}
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例(空集合と全体集合の関係)
任意の集合\(A\)について、\begin{equation*}
\left( A\cap A^{c}\right) ^{c}=U
\end{equation*}が成り立つことを示します。1つ目の証明方法は、\begin{eqnarray*}
\left( A\cap A^{c}\right) ^{c} &=&\phi ^{c}\quad \because \text{補集合法則} \\
&=&U\quad \because \text{補集合法則}
\end{eqnarray*}というものです。もう1つの証明方法は、\begin{eqnarray*}
\left( A\cap A^{c}\right) ^{c} &=&A^{c}\cup \left( A^{c}\right) ^{c}\quad
\because \text{ド・モルガンの法則} \\
&=&A^{c}\cup A\quad \because \text{反射律} \\
&=&A\cup A^{c}\quad \because \text{交換律} \\
&=&U\quad \because \text{補集合法則}
\end{eqnarray*}というものです。

次回は恒等法則と呼ばれる集合演算の性質について学びます。

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