集合\(X,Y\)について、\(X\)のすべての要素が同時に\(Y\)の要素でもある場合には\(X\)は\(Y\)の部分集合であるといい、このことを\(X\subset Y\)で表します。

2019年1月10日:公開

部分集合

集合\(X,Y\)について、\(X\)のすべての要素が同時に\(Y\)の要素でもある場合には\(X\)は\(Y\)の部分集合(subset)であるといい、このことを\(X\subset Y\)で表します。

命題関数を用いて部分集合の概念を表現します。集合\(X,Y\)を、\begin{eqnarray*}
X &=&\left\{ x\in U\ |\ P\left( x\right) \right\} \\
Y &=&\left\{ x\in U\ |\ Q\left( x\right) \right\}
\end{eqnarray*}と定義します。\(X\subset Y\)という命題は、任意の要素\(x\)について\(x\in X\)が真である場合には\(x\in Y\)もまた真であるという命題、すなわち、\begin{equation*}
\forall x\in U:\left( x\in X\ \Rightarrow \ x\in Y\right)
\end{equation*}という全称命題と同値です。つまり、\(X\)が\(Y\)の部分集合であることは、上の全称命題が真であることを意味します。

全称命題について復習する

集合\(X,Y\)の定義より、上の全称命題は、\begin{equation*}
\forall x\in U:\left[ P\left( x\right) \ \Rightarrow \ Q\left( x\right) \right] \end{equation*}と言い換え可能です。つまり、\(X\)が\(Y\)の部分集合であることは、任意の要素\(x\)について命題\(P\left( x\right) \)が真である場合には命題\(Q\left( x\right) \)もまた真であることを意味します。

例(部分集合)
\(X=\{1,3,5\},\ Y=\{1,2,3,4,5\},\ Z=\{1,2,3,4,5\}\)という 3 つの集合について考えます。\(X\)の任意の要素は\(Y\)の要素でもあるので\(X\subset Y\)は真です。また、\(Y\)の任意の要素は\(Z\)の要素でもあるので\(Y\subset Z\)は真です。逆に、\(Z\)の任意の要素は\(Y\)の要素でもあるので\(Z\subset Y\)も真です。
例(部分集合)
すべての自然数からなる集合\(\mathbb{N}\)、すべての整数からなる集合\(\mathbb{Z}\)、すべての実数からなる集合\(\mathbb{R}\)の間には、\begin{equation*}
\mathbb{N} \subset \mathbb{Z} \subset \mathbb{R}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

 

部分集合でないことの意味

集合\(X,Y\)について\(X\subset Y\)が真であることは、以下の全称命題\begin{equation*}
\forall x\in U:\left( x\in X\ \Rightarrow \ x\in Y\right)
\end{equation*}が真であることを意味します。\(\Rightarrow \)の定義より、これは任意の\(x\)について以下の真理値表の 2 行目が起こり得ないことを意味します。

$$\begin{array}{ccc}
\hline
x\in X & x\in Y & x\in X\rightarrow x\in Y \\ \hline
1 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$

逆に言うと、\(X\subset Y\)が偽であることは、上の真理値表の 2 行目の場合が起こり得るような\(x\)が存在すること、すなわち、以下の存在命題\begin{equation*}
\exists x\in U:\left( x\in X\ \wedge \ x\not\in Y\right)
\end{equation*}が真であることを意味します。つまり、\(X\)が\(Y\)の部分集合でないことは、\(X\)の要素だが\(Y\)の要素ではないような要素\(x\)が存在することを意味します。\(X\)が\(Y\)の部分集合でないことを\(X\not\subset Y\)で表します。

集合\(X,Y\)の定義より、上の存在命題は、\begin{equation*}
\exists x\in U:\left[ P\left( x\right) \ \wedge \ \lnot Q\left( x\right) \right] \end{equation*}と言い換え可能です。つまり、\(X\)が\(Y\)の部分集合でないことは、命題\(P\left( x\right) \)は真だが命題\(Q\left( x\right) \)が偽であるような要素\(x\)が存在することを意味します。

例(部分集合)
\(X=\{1,3,5\},\ Y=\{1,2,3,4,5\}\)という 2 つの集合について考えます。\(X\)の任意の要素は\(Y\)の要素でもあるので\(X\subset Y\)は真です。一方、\(Y\)の要素だが\(X\)の要素ではない数\(2,4\)が存在するため、\(Y\subset X\)は偽、すなわち\(X\not\subset Y\)は真です。
例(部分集合)
すべての自然数からなる集合\(\mathbb{N}\)とすべての整数からなる集合\(\mathbb{Z}\)に関して\(\mathbb{Z} \not\subset \mathbb{N}\)は真です。なぜなら、負の整数は\(\mathbb{Z}\)の要素である一方で\(\mathbb{N}\)の要素ではないからです。

次回は集合が等しいことの意味を定義します。

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