部分集合(包含関係)

集合 A,B について、A のすべての要素が同時に B の要素でもある場合には A は B の部分集合であると言います。

部分集合

集合を定義できるようになると、次に重要となるのは集合どうしの関係です。例えば、「偶数の集合は整数の集合に含まれる」「関東地方の都道府県からなる集合は日本の都道府県からなる集合に含まれる」といったように、一方の集合に属するすべての要素が他方の集合にも属していることがあります。

このような「ある集合が別の集合に含まれている」という関係を表す概念が部分集合です。部分集合は集合論の最も基本的な概念の一つです。本節では、まず部分集合の定義を与え、その後、内包的に定義された集合に対して部分集合をどのように表現し、証明すればよいかを学びます。

集合\(A\)のすべての要素が集合\(B\)の要素でもある場合には、すなわち、以下の全称命題\begin{equation} \forall x\in A:x\in B \quad \cdots (1)
\end{equation}が真である場合には、\(A\)は\(B\)の部分集合(subset)であるといい、そのことを、\begin{equation*} A\subset B
\end{equation*}で表記します。

逆に、集合\(A\)が集合\(B\)の部分集合でないことは、\(\left( 1\right) \)の否定である以下の存在命題\begin{equation*} \exists x\in A:x\not\in B
\end{equation*}が真であることを意味します。つまり、\(A\)の要素である一方で\(B\)の要素ではないものが存在するということです。このことを、\begin{equation*} A\not\subset B
\end{equation*}で表記します。

部分集合を表す記号として\(\subseteq \)を採用する流儀もありますが、本稿では\(\subset \)を採用します。

例(部分集合)
以下の2つの集合\begin{eqnarray*}
A &=&\left\{ 1,3,5\right\} \\
B &=&\left\{ 1,2,3,4,5\right\}
\end{eqnarray*}に注目したとき、\(A\)の任意の要素は\(B\)の要素でもあるため、\begin{equation*} A\subset B
\end{equation*}が成り立ちます。その一方で、\(2\in B\)かつ\(2\not\in A\)であるため\(B\subset A\)は成り立たず、したがって、\begin{equation*} B\not\subset A
\end{equation*}が成り立ちます。

例(部分集合)
すべての自然数からなる集合\(\mathbb{N} \)とすべての整数からなる集合\(\mathbb{Z} \)について考えます。任意の自然数は整数でもあるため、\begin{equation*}\mathbb{N} \subset \mathbb{Z} \end{equation*}が成り立ちます。一方、負の整数は\(\mathbb{Z} \)の要素である一方で\(\mathbb{N} \)の要素ではないため\(\mathbb{Z} \subset \mathbb{N} \)は成り立たず、したがって、\begin{equation*}\mathbb{Z} \not\subset \mathbb{N} \end{equation*}が成り立ちます。
例(部分集合)
日本のすべての都道府県からなる集合を、\begin{equation*}
A=\{\text{北海道},\text{青森},\text{秋田},\text{岩手},\text{山形},\cdots \}
\end{equation*}で表記し、日本の関東地方にあるすべての都道府県からなる集合を、\begin{equation*}
B=\{\text{茨城},\text{栃木},\text{群馬},\text{埼玉},\text{千葉},\text{東京},\text{神奈川}\}
\end{equation*}で表記します。関東地方にある都道府県は日本の都道府県でもあるため、\begin{equation*}
B\subset A
\end{equation*}が成り立ちます。一方、関東地方以外の地方にある日本の都道府県が存在するため\(A\subset B\)は成り立たず、したがって、\begin{equation*} A\not\subset B
\end{equation*}が成り立ちます。

 

部分集合の内包的表現

集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*} A &=&\left\{ x\in X\ |\ P\left( x\right) \right\} \\
B &=&\left\{ x\in X\ |\ Q\left( x\right) \right\}
\end{eqnarray*}という形で変数\(x\)に関する命題関数\(P\left( x\right) ,Q\left( x\right) \)を用いて内包的に定義されているものとします。ただし、\(X\)は変数\(x\)の定義域です。つまり、任意の\(x\in X\)について、\begin{eqnarray*} x &\in &A\Leftrightarrow P\left( x\right) \\
x &\in &B\Leftrightarrow Q\left( x\right)
\end{eqnarray*}を満たすものとして集合\(A,B\)をそれぞれ定義するということです。先に、\(A\)が\(B\)の部分集合であることを、\begin{equation*} \forall x\in A:x\in B
\end{equation*}が成り立つこととして定義しましたが、これを以下の形で表現することもできます。

命題(部分集合の内包的表現)
集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*} A &=&\left\{ x\in X\ |\ P\left( x\right) \right\} \\
B &=&\left\{ x\in X\ |\ Q\left( x\right) \right\}
\end{eqnarray*}と内包的に定義されているものとする。このとき、以下の3つの命題\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ A\subset B \\
&&\left( b\right) \ \forall x\in X:\left( x\in A\Rightarrow x\in B\right) \\
&&\left( c\right) \ \forall x\in X:\left[ P\left( x\right) \Rightarrow
Q\left( x\right) \right] \end{eqnarray*}はお互いに必要十分である。

証明

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集合\(A,B\)が命題関数を用いて、\begin{eqnarray*} A &=&\left\{ x\in X\ |\ P\left( x\right) \right\} \\
B &=&\left\{ x\in X\ |\ Q\left( x\right) \right\}
\end{eqnarray*}と定義されている場合、\(A\)が\(B\)の部分集合であることは以下の命題\begin{equation} \forall x\in X:\left[ P\left( x\right) \Rightarrow Q\left( x\right) \right] \quad \cdots (1)
\end{equation}が真であることを意味することが明らかになりました。したがって、\(A\)が\(B\)の部分集合であることを示すためには、\(P\left( x\right) \)を満たす任意の値\(x\in X\)について\(Q\left( x\right) \)が成り立つことを示せばよいということになります。
逆に、集合\(A\)が集合\(B\)の部分集合ではないことと、\(\left( 1\right) \)の否定である以下の命題\begin{equation*} \exists x\in X:\left[ P\left( x\right) \wedge \lnot Q\left( x\right) \right] \end{equation*}が真であることを意味します。したがって、\(A\)が\(B\)の部分集合ではないことを示すためには、\(P\left( x\right) \)を満たす一方で\(Q\left( x\right) \)を満たさないような値\(x\in X\)が存在することを示せばよいということになります。

例(部分集合の内包的表現)
集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*} A &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x>0\right\} \\
B &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x\geq 0\right\}
\end{eqnarray*}と定義されているものとします。ただし、\(\mathbb{R} \)はすべての実数からなる集合です。まずは、\begin{equation*} A\subset B
\end{equation*}が成り立つことを示します。先の命題より、これは、\begin{equation}
\forall x\in \mathbb{R} :\left( x>0\Rightarrow x\geq 0\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}が真であることを意味するため、これを示すことが目標です。実際、\(x>0\)を満たす実数\(x\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき\(x\geq 0\)が明らかに成り立つため\(\left( 1\right) \)は真であり、したがって\(A\subset B\)であることの証明が完了しました。続いて、\begin{equation*} B\not\subset A
\end{equation*}が成り立つことを示します。先の命題より、これは、\begin{equation*}
\forall x\in \mathbb{R} :\left( x\geq 0\Rightarrow x>0\right)
\end{equation*}が偽であること、すなわち、その否定である、\begin{equation}
\exists x\in \mathbb{R} :\left[ x\geq 0\wedge \lnot \left( x>0\right) \right] \quad \cdots (2)
\end{equation}が真であることを意味するため、これを示すことが目標です。実際、\(0\in \mathbb{R} \)に注目すると、\(0\geq 0\)と\(\lnot \left( 0>0\right) \)はともに成り立つため\(\left( 2\right) \)は真であり、したがって\(B\not\subset A\)であることの証明が完了しました。
例(部分集合の内包的表現)
集合\(A,B\)がそれぞれ、\begin{eqnarray*} A &=&\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x\text{は}4\text{で割り切れる}\right\} \\
B &=&\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x\text{は偶数}\right\}
\end{eqnarray*}と定義されているものとします。ただし、\(\mathbb{Z} \)はすべての整数からなる集合です。まずは、\begin{equation*} A\subset B
\end{equation*}が成り立つことを示します。先の命題より、これは、\begin{equation}
\forall x\in \mathbb{Z} :\left( x\text{は}4\text{で割り切れる}\Rightarrow x\text{は偶数}\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}が真であることを意味するため、これを示すことが目標です。実際、\(4\)で割り切れる整数\(x\in \mathbb{Z} \)を任意に選んだとき、これは何らかの整数\(k\in \mathbb{Z} \)を用いて、\begin{equation*} x=4k
\end{equation*}という形で表現できます。すると、\begin{equation*}
x=2\left( 2k\right)
\end{equation*}を得ますが、以上の事実は\(x\)が偶数であることを意味します。したがって\(\left( 1\right) \)は真であり、\(A\subset B\)であることの証明が完了しました。続いて、\begin{equation*} B\not\subset A
\end{equation*}が成り立つことを示します。先の命題より、これは、\begin{equation*}
\forall x\in \mathbb{Z} :\left( x\text{は偶数}\Rightarrow x\text{は}4\text{で割り切れる}\right)
\end{equation*}が偽であること、すなわち、その否定である、\begin{equation}
\exists x\in \mathbb{Z} :\left( x\text{は偶数}\wedge x\text{は}4\text{で割り切れない}\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}が真であることを意味するため、これを示すことが目標です。実際、\(2\in \mathbb{Z} \)に注目すると、\(2\)は偶数であるとともに\(4\)では割り切れないため\(\left( 2\right) \)は真であり、したがって\(B\not\subset A\)であることの証明が完了しました。

 

要素と包含は違う

集合の要素であることを表す\(\in \)と、集合どうしの包含関係を表す\(\subset \)は異なる概念です。区別する必要があります。

例(要素と包含)
集合\(\left\{ 1,2\right\} \)は2つの数\(1,2\)を要素として持つため、\begin{equation*} 1\in \left\{ 1,2\right\}
\end{equation*}が成り立ちます。その一方で、\(1\)は集合ではないため、\begin{equation*} 1\subset \left\{ 1,2\right\}
\end{equation*}は成り立ちません。他方で、\(\left\{ 1\right\} \)は集合であるとともに、その唯一の要素である\(1\)は集合\(\left\{ 1,2\right\} \)の要素でもあるため、\begin{equation*} \left\{ 1\right\} \subset \left\{ 1,2\right\}
\end{equation*}が成り立ちます。

 

演習問題

問題(部分集合)
集合\(A,B,C,D\)をそれぞれ、\begin{eqnarray*} A &=&\left\{ 3,5,7,9,11\right\} \\
B &=&\left\{ 9,11,13\right\} \\
C &=&\left\{ 3,5,9\right\} \\
D &=&\left\{ 11,13\right\}
\end{eqnarray*}とします。このとき、以下の主張はそれぞれ真偽のどちらであるか、理由とともに答えてください。

  1. \(C\subset A\)
  2. \(B\subset A\)
  3. \(A\not\subset B\)
  4. \(D\not\subset B\)
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問題(部分集合)
集合\(A=\{1,2,\{3\},4,5\}\)について、以下の主張はそれぞれ真偽のどちらであるか、理由とともに答えてください。

  1. \(\{3\}\subset A\)
  2. \(\{1,2\}\subset A\)
  3. \(\{1\}\in A\)
  4. \(\{3\}\in A\)
  5. \(\{1,2,3\}\subset A\)
  6. \(\{1\}\subset A\)
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問題(部分集合)
集合\(A,B\)をそれぞれ、\begin{eqnarray*} A &=&\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x\text{は}18\text{で割り切れる}\right\} \\
B &=&\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x\text{は}6\text{で割り切れる}\right\}
\end{eqnarray*}と定義するとき、\(A\subset B\)が成り立つことを証明してください。ただし、\(\mathbb{Z} \)はすべての整数からなる集合です。
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問題(部分集合)
集合\(A,B\)をそれぞれ、\begin{eqnarray*} A &=&\left\{ 2,3,4,5\right\} \\
B &=&\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x\text{は偶数}\right\}
\end{eqnarray*}と定義するとき、\(A\)は\(B \)の部分集合ではないことを示してください。ただし、\(\mathbb{Z} \)はすべての整数からなる集合です。
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問題(部分集合の関係)
以下の集合を考えます。
\begin{eqnarray*}
A &=&\left\{ 2,4,6\right\} \\
B &=&\left\{ 1,2,3,4,5,6\right\} \\
C &=&\left\{ 2,6\right\}.
\end{eqnarray*}以下の各命題が真であるか偽であるかを判定し、その理由を説明してください。

  1. \(A\subset B\)
  2. \(C\subset A\)
  3. \(B\subset A\)
  4. \(A\not\subset C\)
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問題(部分集合の内包的表現)
以下の集合を定義します。
\begin{eqnarray*}
A &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x^{2}\leq 1\right\} \\
B &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ -2\leq x\leq 2\right\}.
\end{eqnarray*}このとき、\(A\subset B\)であることを証明してください。
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問題(部分集合ではないことの証明)
以下の集合を定義します。
\begin{eqnarray*}
A &=&\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x^{2}\leq 9\right\} \\
B &=&\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ x\geq 0\right\}.
\end{eqnarray*}このとき、\(A\not\subset B\)であることを示してください。
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