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述語論理

述語論理における含意

目次

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含意

論理式の定義より、論理式\(A,B\)に論理演算子\(\rightarrow \)を作用させることで得られる\(A\rightarrow B\)もまた論理式です。\(\rightarrow \)は含意(implication)と呼ばれる論理演算子であり、論理式\(A\rightarrow B\)を\(A\)から\(B\)への含意(implication from \(A\) to \(B\))と呼びます。これは「\(A\)ならば\(B\)(if \(A\) then \(B\))」という表現に対応する論理式です。含意\(A\rightarrow B\)を構成する\(A\)を前件(antecedent)や前提(premise)、仮定(assumption)などと呼び、\(B\)を後件(consequent)や結論(conclusion)などと呼びます。

例(含意)
以下の主張\begin{equation*}
x\text{が}4\text{の倍数ならば、}x\text{は偶数である}
\end{equation*}はどのような論理式として定式化できるでしょうか。命題関数\(P\left( x\right) ,Q\left( x\right) \)をそれぞれ、\begin{eqnarray*}P\left( x\right) &:&x\text{は}4\text{の倍数である} \\
Q\left( x\right) &:&x\text{は偶数である}
\end{eqnarray*}とおくと、先の主張は、\begin{equation*}
P\left( x\right) \rightarrow Q\left( x\right)
\end{equation*}という論理式として定式化されます。同様に考えると、\begin{equation*}
x\text{が}4\text{の倍数でないならば、}x\text{は偶数ではない}
\end{equation*}という主張は、\begin{equation*}
\lnot P\left( x\right) \rightarrow \lnot Q\left( x\right)
\end{equation*}という論理式として定式化されます。

例(含意)
以下の主張\begin{equation*}
x\text{と}y\text{が知り合いであり、}y\text{と}z\text{が知り合いならば、}x\text{と}z\text{は知り合いである}
\end{equation*}はどのような論理式として定式化できるでしょうか。以下の命題関数\begin{eqnarray*}
P\left( x,y\right) &:&x\text{と}y\text{は知り合いである} \\
Q\left( y,z\right) &:&y\text{と}z\text{は知り合いである} \\
R\left( x,z\right) &:&x\text{と}z\text{は知り合いである}
\end{eqnarray*}を定義すると、先の主張は、\begin{equation*}
\left( P\left( x,y\right) \wedge Q\left( y,z\right) \right) \rightarrow
R\left( x,z\right)
\end{equation*}という論理式として定式化されます。また、\begin{equation*}
x\text{と}y\text{が知り合いではなく、}y\text{と}z\text{も知り合いでなければ、}x\text{と}z\text{は知り合いではない}
\end{equation*}という主張は、\begin{equation*}
\left( \lnot P\left( x,y\right) \wedge \lnot Q\left( y,z\right) \right)
\rightarrow \lnot R\left( x,z\right)
\end{equation*}と定式化されます。

 

含意の解釈

2つの論理式\(A,B\)が与えられたとき、それらの含意\(A\rightarrow B\)もまた論理式です。論理式の値を特定するためには何らかの解釈を与える必要があります。解釈が与えられたとき、\(A,B\)から得られる命題を\(\overline{A},\overline{B}\)でそれぞれ表記し、同じ解釈のもとで\(A\rightarrow B\)から得られる命題を\(\overline{A}\rightarrow \overline{B}\)で表記します。その上で、任意の解釈のもとで\(\overline{A}\rightarrow \overline{B}\)は命題論理の意味での\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)の含意であるものと定めます。つまり、解釈を任意に選んだとき、以下の真理値表

$$\begin{array}{ccc}
\hline
\overline{A} & \overline{B} & \overline{A}\rightarrow \overline{B} \\
\hline
1 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$

表:含意の値

で表される関係が成り立つものとして含意\(\rightarrow \)を定義するということです。

以上が述語論理における含意の定義です。定義を踏まえた上で、以下では、論理式\(A,B\)が開論理式である場合や閉論理式である場合など様々なケースにおいて、それらの含意\(A\rightarrow B\)がどのようなものになるのかを整理するとともに具体例を提示します。

 

開論理式どうしの含意

変数\(x\)の自由な現れを持つ開論理式\(A\left( x\right) ,B\left(x\right) \)が与えられたとき、それらの論理和\(\left(A\rightarrow B\right) \left( x\right) \)もまた変数\(x \)の自由な現れを持つ開論理式です。開論理式の値を特定するためには解釈、すなわち以下の3つの要素\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \text{議論領域(}x\text{の定義域)} \\
&&\left( b\right) \ \text{論理式}A,B\text{を構成するすべての命題関数の形状} \\
&&\left( c\right) \ \text{変数}x\text{の自由な現れに代入する値}\overline{x}
\end{eqnarray*}を具体的に特定する必要があります。含意の定義より、解釈としてどのようなものを選んだ場合においても、\(\left( A\rightarrow B\right) \left(x\right) \)から得られる命題は\(A\left( x\right) ,B\left( x\right) \)から得られる2つの命題の含意になります。つまり、\(A\left( x\right) \)から得られる命題を\(\overline{A}\left( \overline{x}\right) \)で表記し、\(B\left( x\right) \)から得られる命題を\(\overline{B}\left( \overline{x}\right) \)で表記し、\(\left(A\rightarrow B\right) \left( x\right) \)から得られる命題を\(\left( \overline{A}\rightarrow \overline{B}\right) \left( \overline{x}\right) \)で表記するとき、この3つの命題の真理値の間には、以下の真理値表

$$\begin{array}{ccc}
\hline
\overline{A}\left( \overline{x}\right) & \overline{B}\left( \overline{x} \right) & \left( \overline{A}\rightarrow \overline{B}\right) \left( \overline{x}\right) \\ \hline
1 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$

表:含意の値

で表される関係が常に成り立つということです。

同じことを真理集合を用いて表現すると以下のようになります。

命題(含意の真理集合)

変数\(x\)の自由な現れを持つ開論理式\(A\left( x\right) ,B\left(x\right) \)が与えられているものとする。\(x\)の定義域\(X\)および\(A,B\)を構成するすべての命題関数の形状を任意に選んだ上で、その場合に\(A\left( x\right) ,B\left( x\right) \)から得られる論理式を\(\overline{A}\left( x\right) ,\overline{B}\left( x\right) \)で表記し、含意\(\left( A\rightarrow B\right) \left( x\right) \)から得られる論理式を\(\left( \overline{A}\rightarrow \overline{B}\right) \left( x\right) \)で表記する。変数\(x\)の自由な現れに代入する値\(\overline{x}\in X\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\overline{x}\in \phi \left( \overline{A}\rightarrow \overline{B}\right)
\Leftrightarrow \overline{x}\in \phi \left( \overline{A}\right) \rightarrow
\overline{x}\in \phi \left( \overline{B}\right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。

証明

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例(含意の解釈)
変数\(x\)の定義域\(X\)はすべての整数からなる集合であるものとします。命題関数\(P\left( x\right) \)を、\begin{equation*}x^{2}=1
\end{equation*}と定義し、命題関数\(Q\left( x\right) \)を、\begin{equation*}x>0
\end{equation*}と定義すると、これらの真理集合は、\begin{eqnarray*}
\phi \left( P\right) &=&\left\{ -1,1\right\} \\
\phi \left( Q\right) &=&\left\{ 1,2,3,\cdots \right\}
\end{eqnarray*}となります。一方、含意\(\left( P\rightarrow Q\right) \left( x\right) \)は、\begin{equation*}x^{2}=1\rightarrow x>0
\end{equation*}であり、その真理集合は、\begin{equation*}
\phi \left( P\rightarrow Q\right) =\left\{ \cdots ,-3,-2,0,1,2,3,\cdots
\right\}
\end{equation*}となります。任意の値\(x\in X\)について、\begin{equation*}x\in \phi \left( P\rightarrow Q\right) \Leftrightarrow x\in \phi \left(
P\right) \rightarrow x\in \phi \left( Q\right)
\end{equation*}という関係が成立します。

開論理式どうしが異なる変数の自由な現れを持つ場合にも同様に考えます。

変数\(x,y\)の自由な現れを持つ開論理式\(A\left( x,y\right) \)と、変数\(y,z\)の自由な現れを持つ開論理式\(B\left( y,z\right) \)が与えられたとき、それらの含意\(\left( A\rightarrow B\right) \left( x,y,z\right) \)は変数\(x,y,z\)の自由な現れを持つ開論理式です。開論理式の値を特定するためには解釈、すなわち以下の3つの要素\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \text{議論領域(}x,y,z\text{の定義域)} \\
&&\left( b\right) \ \text{論理式}A,B\text{を構成するすべての命題関数の形状} \\
&&\left( c\right) \ \text{変数}x,y,z\text{の自由な現れに代入する値}\overline{x},\overline{y},\overline{z}
\end{eqnarray*}を具体的に特定する必要があります。含意の定義より、解釈としてどのようなものを選んだ場合においても、\(\left( A\rightarrow B\right) \left(x,y,z\right) \)から得られる命題は\(A\left( x,y\right) ,B\left( y,z\right) \)から得られる2つの命題の含意になります。つまり、\(A\left( x,y\right) ,B\left( y,z\right) \)から得られる命題を\(\overline{A}\left( \overline{x},\overline{y}\right) ,\overline{B}\left( \overline{y},\overline{z}\right) \)でそれぞれ表記し、\(\left( A\rightarrow B\right) \left( x,y,z\right) \)から得られる命題を\(\left( \overline{A}\rightarrow \overline{B}\right) \left( \overline{x},\overline{y},\overline{z}\right) \)で表記するとき、この3つの命題の真理値の間には、以下の真理値表

$$\begin{array}{ccc}
\hline
\overline{A}\left( \overline{x},\overline{y}\right) & \overline{B}\left( \overline{y},\overline{z}\right) & \left( \overline{A}\rightarrow \overline{B}\right) \left( \overline{x},\overline{y},\overline{z}\right)
\\ \hline
1 & 1 & 0 \\ \hline
1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$

表:含意の値

で表される関係が常に成り立つということです。

同じことを真理値表を用いて表現すると以下のようになります。証明は先の命題と同様です。

命題(含意の真理集合)

変数\(x,y\)の自由な現れを持つ開論理式\(A\left( x,y\right) \)と変数\(y,z\)の自由な現れを持つ開論理式\(B\left( y,z\right) \)が与えられているものとする。\(x,y,z\)の定義域\(X,Y,Z\)および\(A,B\)を構成するすべての命題関数の形状を任意に選んだ上で、その場合に\(A\left(x,y\right) ,B\left( y,z\right) \)から得られる論理式を\(\overline{A}\left( x,y\right) ,\overline{B}\left( y,z\right) \)で表記し、含意\(\left( A\rightarrow B\right) \left( x,y,z\right) \)から得られる論理式を\(\left( \overline{A}\rightarrow \overline{B}\right) \left( x,y,z\right) \)で表記する。変数\(x,y,z\)の自由な現れに代入する値からなる組\(\left( \overline{x},\overline{y},\overline{z}\right) \in X\times Y\times Z\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\left( \overline{x},\overline{y},\overline{z}\right) \in \phi \left(
\overline{A}\rightarrow \overline{B}\right) \Leftrightarrow \left( \overline{x},\overline{y}\right) \in \phi \left( \overline{A}\right) \rightarrow
\left( \overline{y},\overline{z}\right) \in \phi \left( \overline{B}\right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。

ここでは話を一般化するために、開論理式\(A\)だけが持つ変数の自由な現れ\(x\)、開論理式\(B\)だけが持つ変数の自由な現れ\(z\)、そして\(A\)と\(B\)が共有する変数の自由な現れ\(y\)がいずれも存在するケースについて考えました。実際には、\(x\)に相当する変数の自由な現れが存在しない場合(\(A\left( y\right) ,B\left( y,z\right) \))や、\(y\)に相当する変数の自由な現れが存在しない場合(\(A\left( x\right) ,B\left( z\right) \))や、\(z\)に相当する変数の自由な現れが存在しない場合(\(A\left( x,y\right) ,B\left(y\right) \))など様々な状況が起こり得ます。また、\(x,y,z\)それぞれに相当する変数の自由な現れが複数存在する状況も起こり得ます。いずれの場合にも先と同様に考えます。

例(含意の解釈)
変数\(x,y,z\)の定義域\(X,Y,Z\)が等しく、これらはある街の住人からなる集合であるものとします。命題関数\(P\left( x,y\right) \)を、\begin{equation*}x\text{と}y\text{は知り合い}
\end{equation*}と定義し、命題関数\(Q\left( y,z\right) \)を、\begin{equation*}y\text{と}z\text{は知り合い}
\end{equation*}と定義すると、含意\(\left( P\rightarrow Q\right) \left( x,y,z\right) \)は、\begin{equation*}x\text{と}y\text{が知り合いならば、}y\text{と}z\text{は知り合いである}
\end{equation*}となります。3人の住人からなる組\(\left( A,B,C\right) \in X\times Y\times Z\)について、\(A\)と\(B\)が知り合いであり、\(B\)と\(C\)が知り合いである場合には、\begin{eqnarray*}\left( A,B\right) &\in &\phi \left( P\right) \\
\left( B,C\right) &\in &\phi \left( Q\right) \\
\left( A,B,C\right) &\in &\phi \left( P\rightarrow Q\right)
\end{eqnarray*}が成り立ちます。また、\(A\)と\(B\)が知り合いであり、\(B\)と\(C\)は知り合いではない場合には、\begin{eqnarray*}\left( A,B\right) &\in &\phi \left( P\right) \\
\left( B,C\right) &\not\in &\phi \left( Q\right) \\
\left( A,B,C\right) &\not\in &\phi \left( P\rightarrow Q\right)
\end{eqnarray*}が成り立ちます。任意の\(\left( A,B,C\right) \in X\times Y\times Z\)について、\begin{equation*}\left( A,B,C\right) \in \phi \left( P\rightarrow Q\right) \Leftrightarrow
\left( A,B\right) \in \phi \left( P\right) \rightarrow \left( B,C\right) \in
\phi \left( Q\right)
\end{equation*}という関係が成立します。

例(含意の解釈)
変数\(x,y,z\)の定義域\(X,Y,Z\)が等しく、これらはある街の住人からなる集合であるものとします。以下の命題関数\begin{eqnarray*}P\left( x,y\right) &:&x\text{と}y\text{は知り合いである} \\
Q\left( y,z\right) &:&y\text{と}z\text{は知り合いである} \\
R\left( x,z\right) &:&x\text{と}z\text{は知り合いである}
\end{eqnarray*}を定義します。このとき、\begin{equation*}
x\text{と}y\text{が知り合いであり、}y\text{と}z\text{が知り合いならば、}x\text{と}z\text{は知り合いである}
\end{equation*}という主張は以下の論理式\begin{equation*}
\left( P\left( x,y\right) \wedge Q\left( y,z\right) \right) \rightarrow
R\left( x,z\right)
\end{equation*}として定式化されます。3人の住人からなる組\(\left( A,B,C\right) \in X\times Y\times Z\)について、彼らがお互いに知り合いであるならば、\begin{eqnarray*}\left( A,B\right) &\in &\phi \left( P\right) \\
\left( B,C\right) &\in &\phi \left( Q\right) \\
\left( A,C\right) &\in &\phi \left( R\right) \\
\left( A,B,C\right) &\in &\phi \left( \left( P\wedge Q\right) \rightarrow
R\right)
\end{eqnarray*}が成り立ちます。\(A\)と\(B\)が知り合いであり、\(B\)と\(C\)が知り合いである一方、\(A\)と\(C\)が知り合いでない場合には、\begin{eqnarray*}\left( A,B\right) &\in &\phi \left( P\right) \\
\left( B,C\right) &\in &\phi \left( Q\right) \\
\left( A,C\right) &\not\in &\phi \left( R\right) \\
\left( A,B,C\right) &\not\in &\phi \left( \left( P\wedge Q\right)
\rightarrow R\right)
\end{eqnarray*}が成り立ちます。\(A,B,C\)がお互いに知り合いでない場合には、\begin{eqnarray*}\left( A,B\right) &\not\in &\phi \left( P\right) \\
\left( B,C\right) &\not\in &\phi \left( Q\right) \\
\left( A,C\right) &\not\in &\phi \left( R\right) \\
\left( A,B,C\right) &\in &\phi \left( \left( P\wedge Q\right) \rightarrow
R\right)
\end{eqnarray*}が成り立ちます。

 

開論理式と閉論理式の含意

変数\(x\)の自由な現れを持つ開論理式\(A\left( x\right) \)と変数の自由な現れを持たない閉論理式\(B\)が与えられたとき、それらの含意\(\left( A\rightarrow B\right) \left(x\right) \)は変数\(x \)の自由な現れを持つ開論理式です。開論理式の値を特定するためには解釈、すなわち以下の3つの要素\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \text{議論領域(}x\text{の定義域)} \\
&&\left( b\right) \ \text{論理式}A,B\text{を構成するすべての命題関数の形状} \\
&&\left( c\right) \ \text{変数}x\text{の自由な現れに代入する値}\overline{x}
\end{eqnarray*}を具体的に特定する必要があります。含意の定義より、解釈としてどのようなものを選んだ場合においても、\(\left( A\rightarrow B\right) \left(x\right) \)から得られる命題は\(A\left( x\right) ,B\)から得られる2つの命題の含意になります。つまり、\(A\left(x\right) \)から得られる命題を\(\overline{A}\left( \overline{x}\right) \)で表記し、\(B\)から得られる命題を\(\overline{B}\)で表記し、\(\left( A\rightarrow B\right) \left( x\right) \)から得られる命題を\(\left( \overline{A}\rightarrow \overline{B}\right) \left( \overline{x}\right) \)で表記するとき、この3つの命題の真理値の間には、以下の真理値表

$$\begin{array}{ccc}
\hline
\overline{A}\left( \overline{x}\right) & \overline{B} & \left( \overline{A}\rightarrow \overline{B}\right) \left( \overline{x}\right) \\
\hline
1 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$

表:含意の値

で表される関係が常に成り立つということです。

例(含意の解釈)
変数\(x\)の定義域\(X\)はすべての実数からなる集合であるものとします。以下の論理式\begin{equation}\forall x\in X:x^{2}\geq 0 \quad \cdots (1)
\end{equation}は閉論理式ですが、以下の論理式\begin{equation}
x>0 \quad \cdots (2)
\end{equation}は開論理式です。これらの含意をとると以下の開論理式\begin{equation}
\left( \forall x\in X:x^{2}\geq 0\right) \rightarrow x>0 \quad \cdots (3)
\end{equation}が得られます。変数\(x\)の自由な現れに代入する値\(\overline{x}\)を適当に選ぶと、\(\left( 1\right) ,\left( 2\right) ,\left(3\right) \)から以下の3つの命題\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall x\in X:x^{2}\geq 0 \\
&&\left( b\right) \ \overline{x}>0 \\
&&\left( c\right) \ \left( \forall x\in X:x^{2}\geq 0\right) \rightarrow
\overline{x}>0
\end{eqnarray*}が得られますが、含意の定義より、\(\left( a\right) \)と\(\left( b\right) \)がともに真である場合や\(\left( a\right) \)が偽である場合には\(\left( c\right) \)は真であり、\(\left( a\right) \)が真で\(\left( b\right) \)が偽である場合には\(\left( c\right) \)は偽です。

 

閉論理式どうしの含意

変数の自由な現れを持たない閉論理式\(A,B\)が与えられたとき、それらの含意\(A\rightarrow B\)もまた閉論理式です。閉論理式の値を特定するためには解釈、すなわち以下の2つの要素\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \text{議論領域} \\
&&\left( b\right) \ \text{論理式}A,B\text{を構成するすべての命題関数の形状}
\end{eqnarray*}を具体的に特定する必要があります。含意の定義より、解釈としてどのようなものを選んだ場合においても、\(A\rightarrow B\)から得られる命題は\(A,B\)から得られる2つの命題の含意になります。つまり、\(A\)から得られる命題を\(\overline{A}\)で表記し、\(B\)から得られる命題を\(\overline{B}\)で表記し、\(A\rightarrow B\)から得られる命題を\(\overline{A}\rightarrow \overline{B}\)で表記するとき、この3つの命題の真理値の間には、以下の真理値表

$$\begin{array}{ccc}
\hline
\overline{A} & \overline{B} & \overline{A}\rightarrow \overline{B} \\
\hline
1 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$

表:含意の値

で表される関係が常に成り立つということです。

例(含意の解釈)
変数\(x\)の定義域\(X\)はすべての実数からなる集合であるものとします。以下の論理式\begin{eqnarray}\forall x &\in &X:x^{2}\geq 0 \quad \cdots (1) \\
\exists x &\in &X:x^{3}\geq 0 \quad \cdots (2)
\end{eqnarray}はともに閉論理式です。これらの含意をとると以下の閉論理式\begin{equation}
\left( \forall x\in X:x^{2}\geq 0\right) \rightarrow \left( \exists x\in
X:x^{3}\geq 0\right) \quad \cdots (3)
\end{equation}が得られます。含意の定義より、\(\left( 1\right) \)と\(\left( 2\right) \)がともに真である場合や\(\left( 1\right) \)が偽である場合には\(\left( 3\right) \)は真です。一方、\(\left( 1\right) \)が真で\(\left( 2\right) \)が偽である場合には\(\left( 3\right) \)は偽です。

 

演習問題

問題(含意の解釈)
変数\(x\)の定義域\(X\)は、\begin{equation*}X=\left\{ 1,2,\cdots ,10\right\}
\end{equation*}であるものとします。命題関数\(P\left( x\right) \)を、\begin{equation*}x\leq 3
\end{equation*}と定義し、命題関数\(Q\left( x\right) \)を、\begin{equation*}x\text{は偶数}
\end{equation*}と定義します。このとき、\(P\left( x\right) \)および\(Q\left(x\right) \)およびそれらの含意\(\left( P\rightarrow Q\right) \left( x\right) \)の真理集合をそれぞれ求めてください。
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問題(含意の解釈)
変数\(x\)の定義域\(X\)は、\begin{equation*}X=\left\{ 1,2,\cdots ,10\right\}
\end{equation*}であるものとします。命題関数\(P\left( x\right) \)を、\begin{equation*}x\text{は}4\text{の倍数}
\end{equation*}と定義し、命題関数\(Q\left( x\right) \)を、\begin{equation*}x\text{は偶数}
\end{equation*}と定義します。このとき、\(P\left( x\right) \)および\(Q\left(x\right) \)およびそれらの含意\(\left( P\rightarrow Q\right) \left( x\right) \)の真理集合をそれぞれ求めてください。
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