恒真式の否定と恒偽式は論理的に同値であり、恒偽式の否定と恒真式は論理的に同値です。また、任意の論理式と恒真式の和は恒真式となり、任意の論理式と恒偽式の論理積は恒偽式になります。さらに、任意の論理式と恒真式の論理積をとっても論理式として変わらず、任意の論理式と恒偽式の論理和をとっても論理式として変わりません。
恒等律
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恒真式と恒偽式の関係

恒真式\(\top \)が任意に与えられたとき、任意の解釈のもとで、\(\top \)から得られる命題は真であるため、\(\lnot \top \)から得られる命題は偽です。また、恒偽式\(\bot \)が任意に与えられたとき、任意の解釈のもとで、\(\bot \)から得られる命題は偽であるため、\(\lnot \top \)から得られる命題は真です。以上を踏まえると、\begin{align*}
& \left( a\right) \ \lnot \top \Leftrightarrow \bot \\
& \left( b\right) \ \lnot \bot \Leftrightarrow \top
\end{align*}という関係が成り立ちます。

命題(恒真式と恒偽式の関係)
恒真式\(\top \)と恒偽式\(\bot \)の間には以下の関係が成り立つ。\begin{align*}
& \left( a\right) \ \lnot \top \Leftrightarrow \bot \\
& \left( b\right) \ \lnot \bot \Leftrightarrow \top
\end{align*}
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例(恒真式と恒偽式の関係)
命題関数\(P\left( x\right) \)が与えられたとき、矛盾律より、\begin{equation*}
P\left( x\right) \wedge \lnot P\left( x\right)
\end{equation*}は恒偽式です。この恒偽式の否定は、ド・モルガンの法則より、\begin{equation*}
\lnot P\left( x\right) \vee \lnot \lnot P\left( x\right)
\end{equation*}となりますが、先の命題よりこれは恒真式です。
例(恒真式と恒偽式の関係)
命題関数\(P\left( x\right) \)が与えられたとき、以下の論理式\begin{equation*}
\left( P\left( x\right) \vee \lnot P\left( x\right) \right) \vee P\left(
x\right)
\end{equation*}が恒真式であることを示します。実際、上の論理式の否定をとると、\begin{eqnarray*}
\lnot \left( \left( P\left( x\right) \vee \lnot P\left( x\right) \right)
\vee P\left( x\right) \right) &\Leftrightarrow &\lnot \left( P\left(
x\right) \vee \lnot P\left( x\right) \right) \wedge \lnot P\left( x\right)
\quad \because \text{ド・モルガンの法則} \\
&\Leftrightarrow &\left( \lnot P\left( x\right) \wedge \lnot \lnot P\left(
x\right) \right) \wedge \lnot P\left( x\right) \quad \because \text{ド・モルガンの法則} \\
&\Leftrightarrow &\left( \lnot \lnot P\left( x\right) \wedge \lnot P\left(
x\right) \right) \wedge \lnot P\left( x\right) \quad \because \text{交換律} \\
&\Leftrightarrow &\lnot \lnot P\left( x\right) \wedge \left( \lnot P\left(
x\right) \wedge \lnot P\left( x\right) \right) \quad \because \text{結合律} \\
&\Leftrightarrow &\lnot \lnot P\left( x\right) \wedge \lnot P\left( x\right)
\quad \because \text{ベキ等律} \\
&\Leftrightarrow &\bot
\end{eqnarray*}となります。したがって、先の命題より、\begin{equation*}
\left( P\left( x\right) \vee \lnot P\left( x\right) \right) \vee P\left(
x\right) \Leftrightarrow \top
\end{equation*}が成り立つ。

 

零元としての恒真式・恒偽式

論理式\(A\)が任意に与えられたとき、解釈を任意に選んだ上で、その場合に\(A\)から得られる命題を\(\overline{A}\)で表記します。すると、恒真式\(\top \)および恒偽式\(\bot \)との間に、\begin{align*}
& \left( a\right) \ \overline{A}\vee \top \Leftrightarrow \top \\
& \left( b\right) \ \overline{A}\wedge \bot \Leftrightarrow \bot
\end{align*}という関係が成り立ちます。任意の解釈において同様の議論が成立するため、\begin{align*}
& \left( a\right) \ A\vee \top \Leftrightarrow \top \\
& \left( b\right) \ A\wedge \bot \Leftrightarrow \bot
\end{align*}という関係が成り立ちます。\(\left( a\right) \)論理式と恒真式の論理和をとると恒真式になる一方で、\(\left( b\right) \)論理式と恒偽式の論理積をとると恒偽式になるということです。

命題(零元としての恒真式・恒偽式)
任意の論理式\(A\)、恒真式\(\bot \)および恒偽式\(\bot \)の間には以下が成り立つ。\begin{align*}
& \left( a\right) \ A\vee \top \Leftrightarrow \top \\
& \left( b\right) \ A\wedge \bot \Leftrightarrow \bot
\end{align*}
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例(零元としての恒真式・恒偽式)
命題関数\(P\left( x\right) \)と\(Q\left( x,y\right) \)に関する論理式\begin{equation*}
\left( P\left( x\right) \wedge Q\left( x,y\right) \right) \wedge \lnot
Q\left( x,y\right)
\end{equation*}が恒偽式であることを示します。実際、\begin{eqnarray*}
\left( P\left( x\right) \wedge Q\left( x,y\right) \right) \wedge \lnot
Q\left( x,y\right) &\Leftrightarrow &P\left( x\right) \wedge \left( Q\left(
x,y\right) \wedge \lnot Q\left( x,y\right) \right) \quad \because \text{結合律} \\
&\Leftrightarrow &P\left( x\right) \wedge \bot \quad \because \text{矛盾律} \\
&\Leftrightarrow &\bot
\end{eqnarray*}となるため、証明が完了しました。
例(零元としての恒真式・恒偽式)
命題関数\(P\left( x\right) \)と\(Q\left( x\right) \)に関する論理式\begin{equation*}
\left( P\left( x\right) \vee Q\left( x\right) \right) \vee \left( P\left(
x\right) \vee \lnot Q\left( x\right) \right)
\end{equation*}が恒真式であることを示します。実際、\begin{eqnarray*}
\left( P\left( x\right) \vee Q\left( x\right) \right) \vee \left( P\left(
x\right) \vee \lnot Q\left( x\right) \right) &\Leftrightarrow &\left(
P\left( x\right) \vee P\left( x\right) \right) \vee \left( Q\left( x\right)
\vee \lnot Q\left( x\right) \right) \quad \because \text{交換律} \\
&\Leftrightarrow &P\left( x\right) \vee \left( Q\left( x\right) \vee \lnot
Q\left( x\right) \right) \quad \because \text{ベキ等律} \\
&\Leftrightarrow &P\left( x\right) \vee \top \quad \because \text{排中律} \\
&\Leftrightarrow &\top
\end{eqnarray*}となるため、証明が完了しました。

 

単位元としての恒真式・恒偽式

論理式\(A\)が任意に与えられたとき、解釈を任意に選んだ上で、その場合に\(A\)から得られる命題を\(\overline{A}\)で表記します。すると、恒真式\(\top \)および恒偽式\(\bot \)との間に、\begin{align*}
& \left( a\right) \ \overline{A}\wedge \top \Leftrightarrow \overline{A} \\
& \left( b\right) \ \overline{A}\vee \bot \Leftrightarrow \overline{A}
\end{align*}という関係が成り立ちます。任意の解釈において同様の議論が成立するため、\begin{align*}
& \left( a\right) \ A\wedge \top \Leftrightarrow A \\
& \left( b\right) \ A\vee \bot \Leftrightarrow A
\end{align*}という関係が成り立ちます。\(\left( a\right) \)論理式と恒真式の論理積をとるともとの論理式に戻り、\(\left( b\right) \)論理式と恒偽式の論理和をとるともとの論理式に戻るということです。

命題(単位元としての恒真式・恒偽式)
任意の論理式\(A\)、恒真式\(\bot \)および恒偽式\(\bot \)の間には以下が成り立つ。\begin{align*}
& \left( a\right) \ A\wedge \top \Leftrightarrow A \\
& \left( b\right) \ A\vee \bot \Leftrightarrow A
\end{align*}
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例(単位元としての恒真式・恒偽式)
命題変数\(P\left( x\right) \)と\(Q\left( x,y\right) \)に関する論理式\begin{equation*}
\left( P\left( x\right) \wedge Q\left( x,y\right) \right) \vee \left(
P\left( x\right) \wedge \lnot Q\left( x,y\right) \right)
\end{equation*}が\(P\left( x\right) \)と論理的に同値であることを示します。実際、\begin{eqnarray*}
\left( P\left( x\right) \wedge Q\left( x,y\right) \right) \vee \left(
P\left( x\right) \wedge \lnot Q\left( x,y\right) \right) &\Leftrightarrow
&P\left( x\right) \wedge \left( Q\left( x,y\right) \vee \lnot Q\left(
x,y\right) \right) \quad \because \text{分配律} \\
&\Leftrightarrow &P\left( x\right) \wedge \top \quad \because \text{排中律} \\
&\Leftrightarrow &P\left( x\right)
\end{eqnarray*}となるため、証明が完了しました。
例(単位元としての恒真式・恒偽式)
命題変数\(P\left( x\right) \)と\(Q\left( x\right) \)に関する論理式\begin{equation*}
\left( P\left( x\right) \vee Q\left( x\right) \right) \wedge \left( P\left(
x\right) \vee \lnot Q\left( x\right) \right)
\end{equation*}が\(P\left( x\right) \)と論理的に同値であることを示します。実際、\begin{eqnarray*}
\left( P\left( x\right) \vee Q\left( x\right) \right) \wedge \left( P\left(
x\right) \vee \lnot Q\left( x\right) \right) &\Leftrightarrow &P\left(
x\right) \vee \left( Q\left( x\right) \wedge \lnot Q\left( x\right) \right)
\quad \because \text{分配律} \\
&\Leftrightarrow &P\left( x\right) \vee \bot \quad \because \text{矛盾律} \\
&\Leftrightarrow &P\left( x\right)
\end{eqnarray*}となるため、証明が完了しました。

次回は二重否定の法則について学びます。

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