論理式 A,B がともに真であるような任意の解釈において論理式 C が真であることが示された場合には、A が真であるような任意の解釈のもとで B→C が真であることを示したことになります。これは含意導入と呼ばれる推論規則です。

含意導入

移出律より、任意の論理式\(A_{1},\cdots ,A_{n},B,C\)に対して、\begin{equation*}
\left( \bigwedge\nolimits_{i=1}^{n}A_{i}\right) \wedge B\ \rightarrow \ C\ \Rightarrow \ \bigwedge\nolimits_{i=1}^{n}A_{i}\ \rightarrow \ \left( B\rightarrow C\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。したがって、以下の 2 つの推論\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ A_{1},\cdots ,\ A_{n},\ B\ \therefore \ C \\
&&\left( b\right) \ A_{1},\cdots ,\ A_{n}\ \therefore \ B\rightarrow C
\end{eqnarray*}について、\(\left( a\right) \)が妥当ならば\(\left( b\right) \)もまた妥当です。言い換えると、\(A_{1},\cdots ,\ A_{n},\ B\)がすべて真であるような任意の解釈のもとで\(C\)が真である場合には、そのような任意の解釈において、\(A_{1},\cdots ,\ A_{n}\)がすべて真である場合には\(B\rightarrow C\)もまた真になります。これは含意導入(implication introduction)や\(\rightarrow \)導入(\(\rightarrow \) introduction)と呼ばれる推論規則です。

移出律について復習する

前提\(A_{1},\cdots ,\ A_{n}\)から含意を含む結論\(B\rightarrow C\)を導くことが目的である場合には、与えられた前提\(A_{1},\cdots ,\ A_{n}\)に加えて\(B\)が真であるような任意の解釈のもとで\(C\)が真であることを導きます。すると含意導入より、\(B\)が真であるということを仮定せずとも\(B\rightarrow C\)が真になることを示したことになります。後ほど詳しく解説しますが、これは条件付き証明と呼ばれる証明方法です。

例(含意導入)
以下の推論について考えます。\begin{eqnarray*}
&&\text{現在は}x\text{曜日または}y\text{時であるならば、店}z\text{は閉店中だ} \\
&&\text{ゆえに、現在が}x\text{曜日ならば、店}z\text{は閉店中だ}
\end{eqnarray*}変数\(x\)の定義域\(X\)はすべての曜日からなる集合、変数\(y\)の定義域\(Y\)はすべての時刻からなる集合、そして変数\(z\)の定義域\(Z\)は問題としているすべての店からなる集合であるものとします。さらに命題関数\(P,Q,R\)を、\begin{eqnarray*}
P\left( x\right) &:&\text{現在は}x\text{曜日である} \\
Q\left( y\right) &:&\text{現在は}y\text{時である} \\
R\left( z\right) &:&\text{店}z\text{は閉店中である}
\end{eqnarray*}とおくと、先の推論は、\begin{equation*}
P\left( x\right) \vee Q\left( y\right) \rightarrow R\left( z\right) \
\therefore \ P\left( x\right) \rightarrow R\left( z\right)
\end{equation*}と定式化されます。含意導入より、この推論の妥当性を示す代わりに、以下の推論\begin{equation*}
P\left( x\right) \vee Q\left( y\right) \rightarrow R\left( z\right) ,\ P\left( x\right) \ \therefore \ R\left( z\right)
\end{equation*}が妥当であることを示しても構いません。そこで、\(P\left( x\right) \vee Q\left( y\right) \rightarrow R\left( z\right) \)と\(P\left( x\right) \)が真であるような解釈を任意に選びます。\(P\left( x\right) \)が真である場合には\(P\left( x\right) \vee Q\left( y\right) \)もまた真です。このとき\(P\left( x\right) \vee Q\left( y\right) \rightarrow R\left( z\right) \)が真であるためには\(R\left( z\right) \)は真でなければならないため、推論の妥当性が示されました。

次回は連言導入と呼ばれる推論規則について学びます。

次へ進む 演習問題(プレミアム会員限定)

ワイズをさらに活用するための会員サービス

ユーザー名とメールアドレスを入力して一般会員に無料登録すれば、質問やコメントを投稿できるようになります。さらに、有料(500円/月)のプレミアム会員へアップグレードすることにより、プレミアムコンテンツ(命題の証明や演習問題、解答など)にアクセスできます。
会員サービス

ディスカッションに参加しますか?

質問やコメントを投稿するにはログインが必要です。
ログイン

現在地
目次
アカウント
ログイン