\(A_{1},\cdots ,\ A_{n},\ B\)が真である場合に\(C\)が真であることが示された場合には、\(A_{1},\cdots ,\ A_{n}\)が真である場合に\(B\rightarrow C\)が真であることが示されたものとみなすことができます。これを含意導入と呼びます。

2018年11月17日:公開

含意導入

移出律より、任意の論理式\(A_{1},\cdots ,A_{n},B,C\)に対して、\begin{equation*}
\left( \bigwedge\nolimits_{i=1}^{n}A_{i}\right) \wedge B\ \rightarrow \ C\
\Rightarrow \ \bigwedge\nolimits_{i=1}^{n}A_{i}\ \rightarrow \ \left( B\rightarrow C\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

移出律について復習する

上の命題より、以下の 2 つの推論\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ A_{1},\cdots ,\ A_{n},\ B\ \therefore \ C \\
&&\left( b\right) \ A_{1},\cdots ,\ A_{n}\ \therefore \ B\rightarrow C
\end{eqnarray*}について、\(\left( a\right) \)が妥当ならば\(\left( b\right) \)もまた妥当です。言い換えると、\(A_{1},\cdots ,\ A_{n},\ B\)が真である場合に\(C\)が真であることが示された場合には、\(A_{1},\cdots ,\ A_{n}\)が真である場合に\(B\rightarrow C\)が真であることが示されたものとみなすことができます。これは含意導入(implication introduction)や\(\rightarrow \)導入(\(\rightarrow \) introduction)と呼ばれる推論規則です。

前提\(A_{1},\cdots ,A_{n}\)から含意を含む結論\(B\rightarrow C\)を導くことが目標である場合には、与えられた前提\(A_{1},\cdots ,A_{n}\)が真であるということに加えて、\(B\)を真であることを仮定した上で、\(A_{1},\cdots ,A_{n},B\)から\(C\)を導きます。すると含意導入より、\(B\)が真であるということを仮定せずとも、\(B\rightarrow C\)が真になることを示したことになります。後ほど詳しく解説しますが、これは条件付き証明と呼ばれる証明方法です。

条件付き証明について学ぶ
例(含意導入)
以下の推論について考えます。\begin{eqnarray*}
&&\text{今日が土曜日もしくは日曜日ならば、私は仕事が休みだ。} \\
&&\text{ゆえに、今日が土曜日ならば、私は仕事が休みだ。}
\end{eqnarray*}命題変数\(P,Q,R\)を、\begin{eqnarray*}
P &:&\text{今日は土曜日である} \\
Q &:&\text{今日は日曜日である} \\
R &:&\text{私は仕事が休みだ}
\end{eqnarray*}とおくと、先の推論は、\begin{equation*}
\left( P\vee Q\right) \rightarrow R\ \therefore \ P\rightarrow R
\end{equation*}と定式化されます。含意導入より、この推論の妥当性を示す代わりに、以下の推論\begin{equation*}
\left( P\vee Q\right) \rightarrow R,\ P\ \therefore \ R
\end{equation*}が妥当であることを示しても構いません。つまり、\(\left( P\vee Q\right) \rightarrow R\)と\(P\)が真であるときに\(R\)が真であることを示すことが目標です。さて、\(P\)が真の場合には\(P\vee Q\)も真ですが、このとき\(\left( P\vee Q\right) \rightarrow R\)が真であるためには\(R\)は真でなければなりません。ゆえに目標は達成されました。

次回は連言導入と呼ばれる推論規則について学びます。
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