論理式の否定
論理式の定義より、論理式\(A\)に論理演算子\(\lnot \)を作用させることにより得られる、\begin{equation*}\lnot A
\end{equation*}もまた論理式です。\(\lnot \)は否定(negation)と呼ばれる論理演算子であり、論理式\(\lnot A\)を\(A\)の否定(negation of \(A\))と呼びます。これは「\(A\)ではない(not \(A\))」という表現に対応する論理式です。
\end{equation*}とおいたのでは「〜ではない」という否定を上手く表現できていません。そこで、命題変数\(Q\)を、\begin{equation*}Q:\text{私は出かける}
\end{equation*}とおいた上で、言明を\begin{equation*}
\lnot Q:\text{私は出かけない}
\end{equation*}と表現するほうが望ましいです。
Q &:&3\text{は}15\text{の約数である} \\
R &:&\pi >3
\end{eqnarray*}とおくとき、これらの否定は、\begin{eqnarray*}
\lnot P &:&\text{今日は日曜日ではない} \\
\lnot Q &:&3\text{は}15\text{の約数ではない} \\
\lnot R &:&\pi \leq 3
\end{eqnarray*}などとなります。
否定の解釈
否定\(\lnot A\)の値は\(A\)の値に依存しますが、その対応規則を以下の真理値表によって定義します。
$$\begin{array}{cc}
\hline
A & \lnot A \\ \hline
1 & 0 \\ \hline
0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$
つまり、否定\(\lnot \)は入力された論理式\(A\)に対して、それとは逆の値をとる論理式\(\lnot A\)を出力する論理演算です。
$$\begin{array}{cc}
\hline
P & \lnot P \\ \hline
1 & 0 \\ \hline
0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$
$$\begin{array}{cc}
\hline
T & \lnot T \\ \hline
1 & 0 \\ \hline
\end{array}$$
$$\begin{array}{cc}
\hline
F & \lnot F \\ \hline
0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$
$$\begin{array}{cccccc}
\hline
P & \lnot P & \lnot \lnot P & \lnot \lnot \lnot P & \lnot \lnot \lnot \lnot P & \cdots \\ \hline
1 & 0 & 1 & 0 & 1 & \cdots \\ \hline
0 & 1 & 0 & 1 & 0 & \cdots \\ \hline
\end{array}$$
が成り立ちます。つまり、否定\(\lnot \)を偶数回作用させると\(P\)と同じ真理値を持つ論理式が得られる一方で、否定\(\lnot \)を奇数回作用させると\(\lnot P\)と同じ真理値を持つ論理式が得られます。
$$\begin{array}{cccc}
\hline
T & F & \lnot T & \lnot F \\ \hline
1 & 0 & 0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$
が成り立ちます。つまり、\(T\)と\(\lnot F\)の真理値は常に一致し、\(F\)と\(\lnot T\)の真理値は常に一致します。
演習問題
$$\begin{array}{cccccccc}
\hline
P & Q & T & F & \lnot P & \lnot Q & \lnot T & \lnot F \\
\hline
1 & 1 & 1 & 0 & & & & \\ \hline
1 & 0 & 1 & 0 & & & & \\ \hline
0 & 1 & 1 & 0 & & & & \\ \hline
0 & 0 & 1 & 0 & & & & \\ \hline
\end{array}$$
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