論理式\(A,B\)に関して含意\(A\rightarrow B\)が恒真式であるとき、\(B\)は\(A\)であるための必要条件と言い、\(A\)は\(B\)であるための十分条件と言います。

2018年11月14日:公開

必要条件と十分条件

論理式\(A,B\)に関して含意\(A\rightarrow B\)が恒真式であるならば、このことを\(A\Rightarrow B\)で表します。またこのとき、\(B\)は\(A\)であるための必要条件(necessary condition)と言い、\(A\)は\(B\)であるための十分条件(sufficient condition)と言います。

恒真式について復習する

 
\begin{array}{ccccc}
\hline
A & B & T & A\rightarrow B & \left( A\rightarrow B\right) \leftrightarrow T \\ \hline
1 & 1 & 1 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 1 & 1 & 1 \\ \hline
\end{array}

表:含意の値

論理式\(A,B\)について\(A\Rightarrow B\)が成り立つことは、論理式\(A\rightarrow B\)の値が常に\(1\)であることを意味します。したがって、\(A\Rightarrow B\)の場合には、上の真理値表において 2 行目の場合は起こり得ません。さらに、上の真理値表より、\(A\rightarrow B\)と\(\left( A\rightarrow B\right) \leftrightarrow T\)の値は常に等しいため、\(A\Rightarrow B\)が成り立つことは、\(\left( A\rightarrow B\right) \Leftrightarrow T\)が成り立つことと同義です。

 

直感的な解釈

論理式\(A,B\)に関して\(A\Rightarrow B\)が成り立つ場合には、\(B\)のことを「\(A\)であるための必要条件」と呼びますが、これは「\(A\)が真であるためには、\(B\)は真である必要がある」と理解します。その理由は以下の通りです。

\begin{array}{ccc}
\hline
A & B & A\rightarrow B \\ \hline
1 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 1 \\ \hline
\end{array}

表:含意の値

\(A,B\)の値の組み合わせは 4 通り存在しますが、それぞれの場合における\(A\rightarrow B\)の値が上の真理値表に記されています。\(A\Rightarrow B\)の場合には\(A\rightarrow B\)の値は\(0\)になり得ないため、真理値表の 2 行目の場合は起こり得ず、残りの 3 通りだけが議論の対象になります。つまり、\(A\)が真の場合は 1 行目だけに限定されるため、\(A\)が真であることを保証するためには\(B\)は真である必要があります。以上が必要条件の直感的な意味です。なお、\(A\)が真であるためには\(B\)は真である必要がありますが、\(B\)が真の場合にも\(A\)が偽になる可能性はあります。真理値表の 3 行目の場合が起こり得るからです。

論理式\(A,B\)に関して\(A\Rightarrow B\)が成り立つ場合には、\(A\)のことを「\(B\)であるための十分条件」と呼びますが、これは「\(B\)が真であるためには、\(A\)が真であれば十分である」と理解します。先と同様の議論により、\(A\)が真の場合は真理値表の 1 行目だけに限定されるため、この場合には\(B\)は真です。以上が十分条件の直感的な意味です。なお、\(B\)が真であるためには\(A\)が真であれば十分ですが、\(A\)が偽の場合も\(B\)が真になる可能性はあります。真理値表の 3 行目の場合が起こり得るからです。

 

暗記方法

必要条件と十分条件を意味から理解するのではなく、シンプルに暗記するためには、記号\(\Rightarrow \)をコンパス(方位磁石・羅針盤)の針に見立てればよいです。コンパスの針の先は北(North)を指します。また、含意の記号の先にあるのは必要条件(Necessary condition)です。両者とも英語の頭文字が N ですから「針の先は N」であることを思い出せば、必要条件と十分条件を混同する恐れはありません。

次回は必要十分条件について学びます。

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