論理式\(A\)の否定\(\lnot A\)もまた論理式ですから、さらにその否定\(\lnot \left( \lnot A\right) \)を考えることができます。これを\(\lnot \lnot A\)で表し\(A\)の二重否定と呼びます。

2018年11月17日:公開

二重否定

論理式\(A\)の否定\(\lnot A\)もまた論理式ですから、さらにその否定\(\lnot \left( \lnot A\right) \)を考えることができます。これを\(\lnot \lnot A\)で表し\(A\)の二重否定(double negation)と呼びます。論理式とその二重否定は同値です。

命題(二重否定)
任意の論理式\(A\)に対して以下が成り立つ。\begin{equation*}
\lnot \lnot A\Leftrightarrow A
\end{equation*}
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人間の脳は二重否定を含む主張を処理するのが得意ではありません。例として、以下の主張\begin{equation*}
\text{私は公共の場で喫煙するのは嫌いではないわけではない}
\end{equation*}について考えます。このままでは、この人は公共の場で喫煙することが好きなのか嫌いなのかがよく分かりません。そこで、\begin{equation*}
P:\text{私は公共の場で喫煙するのが嫌いだ}
\end{equation*}とおくと、\begin{eqnarray*}
\lnot P &:&\text{私は公共の場で喫煙するのが嫌いではない} \\
\lnot \lnot P &:&\text{私は公共の場で喫煙するのが嫌いではないわけではない}
\end{eqnarray*}となり、もとの主張を\(\lnot \lnot P\)と表せますが、二重否定よりこれは\(P\)と同値であるため、この人は公共の場で喫煙することが嫌いであることがはっきりしました。

例(二重否定)
命題変数\(P,Q\)に関する論理式\begin{equation*}
\lnot \left( \lnot P\vee \lnot Q\right)
\end{equation*}が\(P\wedge Q\)と同値であることを示します。実際、\begin{eqnarray*}
\lnot \left( \lnot P\vee \lnot Q\right) &\Leftrightarrow &\lnot \lnot
P\wedge \lnot \lnot Q\quad \because \text{ド・モルガンの法則} \\
&\Leftrightarrow &P\wedge Q\quad \because \text{二重否定}
\end{eqnarray*}となるため証明できました。

 

二重否定の一般化

論理式\(A\)に対して、その二重否定\(\lnot \lnot A\)のみならず、三重否定\(\lnot \lnot \lnot A\)や四重否定\(\lnot \lnot \lnot \lnot A\)なども考えられます。先の命題を繰り返し適用すれば、それらはいずれも\(A\)もしくは\(\lnot A\)と同値になります。例えば、三重否定\(\lnot \lnot \lnot A\)に関しては、\begin{equation*}
\lnot \lnot \lnot A\Leftrightarrow \lnot A
\end{equation*}が成り立ち、四重否定\(\lnot \lnot \lnot \lnot A\)に関しては、\begin{equation*}
\lnot \lnot \lnot \lnot A\Leftrightarrow \lnot \lnot A\Leftrightarrow A
\end{equation*}が成り立ちます。以降についても同様です。

次回は含意、同等、そして排他的論理和の同値表現について学びます。
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