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命題論理

命題論理における論理積

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論理式の論理積

論理式の定義より、論理式\(A,B\)に論理演算子\(\wedge \)を作用させることで得られる、\begin{equation*}A\wedge B
\end{equation*}もまた論理式です。\(\wedge \)は論理積(logical product)と呼ばれる論理演算子であり、論理式\(A\wedge B\)を\(A\)\(B\)の論理積(logical product of \(A\) and \(B\))や\(A\)かつ\(B\)(\(A\) and \(B\))などと呼びます。

例(論理積)
命題変数\(P,Q\)をそれぞれ、\begin{eqnarray*}P &:&\text{彼は出かける} \\
Q &:&\text{彼は家に帰る}
\end{eqnarray*}とおくとき、\begin{eqnarray*}
P\wedge Q &:&\text{彼は出かけて、なおかつ家に帰る} \\
P\wedge \lnot Q &:&\text{彼は出かけて、なおかつ家に帰らない} \\
\lnot P\wedge Q &:&\text{彼は出かけず、なおかつ家に帰る} \\
\lnot P\wedge \lnot Q &:&\text{彼は出かけず、なおかつ家に帰らない}
\end{eqnarray*}などとなります。

 

論理積の解釈

論理積\(A\wedge B\)の値は\(A\)と\(B\)の値に依存しますが、その対応規則を以下の真理値表によって定義します。

$$\begin{array}{ccc}
\hline
A & B & A\wedge B \\ \hline
1 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 0 \\ \hline
0 & 0 & 0 \\ \hline
\end{array}$$

つまり、論理積\(\wedge \)は入力された論理式\(A,B\)に対して、それらの値がともに\(1\)である場合にのみ\(1\)を値としてとる論理式\(A\wedge B\)を出力する論理演算です。他の任意の場合、すなわち\(A\)と\(B\)の少なくとも一方の値が\(0\)である場合、論理積\(A\wedge B\)の値は\(0\)です。

論理式の定義より、命題変数\(P\)や命題定数\(T,F\)もまた論理式であるため、これらもまた論理積\(\wedge \)を作用させる対象となります。論理積の定義より、\(P,T,F\)およびそれらの論理積の真理値の組合せは以下のように定まります。

$$\begin{array}{cccccc}
\hline
P & T & F & P\wedge T & P\wedge F & T\wedge F \\ \hline
1 & 1 & 0 & 1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
\end{array}$$

例(論理積の解釈)
命題変数\(P,Q\)が与えられたとき、その論理積\(P\wedge Q\)は論理式であるため、さらにそれと命題変数\(R\)の論理積\(\left( P\wedge Q\right) \wedge R\)もまた論理式です。それらの真理値について以下の関係

$$\begin{array}{ccccc}
\hline
P & Q & R & P\wedge Q & \left( P\wedge Q\right) \wedge R \\ \hline
1 & 1 & 1 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 1 & 0 & 1 & 0 \\ \hline
1 & 0 & 1 & 0 & 0 \\ \hline
1 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 0 & 1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
\end{array}$$

が成り立ちます。

例(論理積の解釈)
命題変数\(P,Q\)が与えられたとき、否定\(\lnot \)や論理積\(\wedge \)の定義より、\(P\wedge Q\)や\(\lnot P\wedge Q\)や\(P\wedge \lnot Q\)はいずれも論理式であり、それらの真理値について以下の関係

$$\begin{array}{ccccccc}
\hline
P & Q & \lnot P & \lnot Q & P\wedge Q & \lnot P\wedge Q & P\wedge \lnot Q \\ \hline
1 & 1 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 \\ \hline
1 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 1 \\ \hline
0 & 1 & 1 & 0 & 0 & 1 & 0 \\ \hline
0 & 0 & 1 & 1 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
\end{array}$$

が成り立ちます。

 

演習問題

問題(論理式の定式化)
以下の言明をそれぞれ論理式として定式化してください。

  1. 彼は出かけたまま帰ってこない。
  2. 加藤と鈴木がともに在宅中というわけではない。
  3. 加藤と鈴木はともに在宅中ではない。
  4. 妻が幸せなのはショッピングするときだけだ。
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問題(論理式の定式化)
命題変数\(P,Q,R\)をそれぞれ、\begin{eqnarray*}P &:&\text{鈴木は試験に受かった} \\
Q &:&\text{加藤は試験に受けった} \\
R &:&\text{高橋は試験に受かった}
\end{eqnarray*}とおきます。このとき、以下の主張をそれぞれ論理式として定式化してください。

  1. 3人の中で鈴木だけが試験に受かった
  2. 3人の中で鈴木だけが試験に落ちた
  3. 3人の中で少なくとも1人が試験に受かった
  4. 3人の中で試験に受かったのは高々2人である
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問題(真理値表)
以下の真理値表を完成させてください。

$$\begin{array}{ccccccc}
\hline
P & Q & T & F & P\wedge Q & \left( P\wedge Q\right) \wedge T & \left( P\wedge Q\right) \wedge F \\ \hline
1 & 1 & 1 & 0 & & & \\ \hline
1 & 0 & 1 & 0 & & & \\ \hline
0 & 1 & 1 & 0 & & & \\ \hline
0 & 0 & 1 & 0 & & & \\ \hline
\end{array}$$

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問題(論理積)
「\(2\)は偶数で\(4\)は奇数である」という主張を論理式として定式化した上で、その真偽を判定してください。
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問題(論理積)
「\(2\)は偶数で\(4\)は奇数ではない」という主張を論理式として定式化した上で、その真偽を判定してください。
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