任意の論理式から矛盾律と呼ばれる恒偽式を構成できます。これは、論理式は任意の解釈において、真であると同時に偽であるような状況は起こりえないことを主張しています。

2018年11月17日:公開

矛盾律

任意の論理式から以下のようにして恒偽式を構成できます。これを矛盾律(law of contradiction)と呼びます。

命題(矛盾律)
任意の論理式\(A\)と命題定数\(T\)の間には以下が成り立つ。\begin{equation*}
A\wedge \lnot A\Leftrightarrow F
\end{equation*}
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矛盾律は、任意の論理式\(A\)について\(A\wedge \lnot A\)が常に偽であることを主張しています。しかも、\(A\)と\(\lnot A\)の真理値は常に逆転しているため、\(A\wedge \lnot A\)が偽の場合には\(A\)と\(\lnot A\)がともに真であったりともに偽であることはありません。ゆえに矛盾律とは、論理式は任意の解釈において真であると同時に偽であるような状況は起こりえないことを主張しています。

 

矛盾律の妥当性

命題変数\(P\)を、\begin{equation*}
P:\text{外では雨が降っている}
\end{equation*}とおくとき、矛盾律より、外では雨が降っていると同時に雨が降っていない、という状況は起こり得ません。しかし、東京では雨が降っていて大阪では雨が降っていない場合には、\(P\)と\(\lnot P\)がともに真となり矛盾律が成り立ちません。また、現在は雨が降っていて 1 時間前には雨が降っていない場合にも、\(P\)と\(\lnot P\)がともに真となり矛盾律が成り立ちません。異なる場所や時間について同時に考える場合には矛盾が導かれなくなってしまいます。

ただし、このような主張はやや詭弁です。矛盾律が言っていることは、ある主張を同一の意味で解釈した場合には、それが真であると同時に偽であるようなことは起こり得ないということであり、与えられた主張を様々な形で解釈してよいということではありません。つまり、先の命題変数\(P\)は、\begin{equation*}
P:\text{ある場所である時点において雨が降っている}
\end{equation*}という意味であり、この場合には矛盾律は成り立ちます。

 

非矛盾律

矛盾律を構成する論理式の否定をとると、\begin{equation*}
\lnot \left( A\wedge \lnot A\right) \Leftrightarrow T
\end{equation*}という関係を得ます。これを非矛盾律(law of non-contradiction)と呼びます。矛盾律と非矛盾律は実質的に同じですので、どちらを採用しても構いません。

次回は排中律について学びます。
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