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命題論理

命題論理における連言導入

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連言導入

論理式\(A,B\)を任意に選んだとき、以下の推論規則\begin{equation*}A,\ B\ \models \ A\wedge B
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、\(A\)と\(B\)がともに真であるような任意の解釈において\(A\wedge B\)は必ず真になります。以上の推論規則を連言導入(conjunction introduction)や\(\wedge \)導入(\(\wedge \) introduction)などと呼びます。

命題(連言導入)
任意の論理式\(A,B\)に対して、\begin{equation*}A,\ B\ \models \ A\wedge B
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(連言導入)
命題変数\(P,Q\)を任意に選びます。命題変数は論理積であるため、連言導入より、\begin{equation*}P,\ Q\ \models \ P\wedge Q
\end{equation*}が成り立ちます。これは、\(P\)と\(Q\)がともに真である場合には\(P\wedge Q\)が真であることを意味します。
例(連言導入)
命題変数\(P,Q,R\)を任意に選んだとき、これらの含意\begin{eqnarray*}P &\rightarrow &Q \\
Q &\rightarrow &R
\end{eqnarray*}はともに論理式であるため、連言導入より、\begin{equation*}
P\rightarrow Q,\ Q\rightarrow R\ \models \ \left( P\rightarrow Q\right)
\wedge \left( Q\rightarrow R\right)
\end{equation*}が成り立ちます。

例(連言導入)
以下の推論について考えます。\begin{eqnarray*}
&&\text{今日は日曜日である。} \\
&&\text{今日は私は仕事が休みだ。} \\
&&\text{ゆえに、今日は日曜日であるとともに私は仕事が休みだ。}
\end{eqnarray*}命題変数\(P,Q\)を、\begin{eqnarray*}P &:&\text{今日は日曜日である} \\
Q &:&\text{私は仕事が休みだ}
\end{eqnarray*}とおくと、先の推論は、\begin{equation*}
P,\ Q\ \therefore \ P\wedge Q
\end{equation*}と定式化されます。連言導入よりこれは妥当な推論です。つまり、\begin{equation}
P,\ Q\ \models \ P\wedge Q \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つということです。これは\(P\)と\(Q\)が真であるような状況において\(P\wedge Q\)が必ず真になることを意味します。では、上の推論の結論に相当する「今日は日曜であるとともに仕事が休み」が偽である場合には何が起きているでしょうか。つまり、\(P\wedge Q\)が偽である場合について考えるということです。推論規則\(\left( 1\right) \)が成り立つことを踏まえると、推論の結論である\(P\wedge Q\)が偽である場合、推論の前提である\(P\)と\(Q\)の少なくとも一方が偽になります。つまり、「今日は日曜であるとともに仕事が休み」が偽である場合には「今日は日曜日ではない」か、もしくは「仕事が休みではない」ということになります。
例(連言導入)
論理式\(A,B,C\)に関する以下の推論\begin{equation*}A\rightarrow B,\ A\rightarrow C,\ A\ \therefore \ B\wedge C
\end{equation*}について考えます。\(A\rightarrow B\)と\(A\rightarrow C\)と\(A\)がいずれも真であるものとします。\(A\)と\(A\rightarrow B\)が真であるとき、含意除去より\(B\)は真です。また、\(A\)と\(A\rightarrow C\)が真であるとき、含意除去より\(C\)は真です。\(B\)と\(C\)が真であるため、連言導入より\(B\wedge C\)は真であり、したがって先の推論が妥当であることが示されました。つまり、\begin{equation*}A\rightarrow B,\ A\rightarrow C,\ A\ \models \ B\wedge C
\end{equation*}が成り立ちます。

 

連言導入の一般化

連言導入は以下のように一般化可能です。

命題(連言導入)
任意の論理式\(A_{1},\cdots ,A_{n}\)に対して、\begin{equation*}A_{1},\cdots ,A_{n}\ \models \ \bigwedge_{i=1}^{n}A_{i}
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(連言導入)
命題変数\(P_{1},\cdots ,P_{n}\)を任意に選びます。命題変数は論理式であるため、連言導入より、\begin{equation*}P_{1},\cdots ,P_{n}\ \models \ \bigwedge_{i=1}^{n}P_{i}
\end{equation*}が成り立ちます。

例(連言導入)
論理式\(A,B,C,D\)に関する以下の推論\begin{equation*}A\rightarrow B,\ A\rightarrow C,\ A\rightarrow D,\ A\ \therefore \ B\wedge
C\wedge D
\end{equation*}について考えます。\(A\rightarrow B\)と\(A\rightarrow C\)と\(A\rightarrow D\)と\(A\)がいずれも真であるものとします。\(A\)と\(A\rightarrow B\)が真であるとき、含意除去より\(B\)は真です。同様に、\(A\)と\(A\rightarrow C\)から\(C\)が、\(A\)と\(A\rightarrow D\)から\(D\)がそれぞれ含意除去より導かれます。\(B,C,D\)が真であるため、連言導入より\(B\wedge C\wedge D\)は真であり、したがって先の推論が妥当であることが示されました。つまり、\begin{equation*}A\rightarrow B,\ A\rightarrow C,\ A\rightarrow D,\ A\ \models \ B\wedge
C\wedge D
\end{equation*}が成り立ちます。

 

演習問題

問題(連言導入)
論理式\(A,B\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}A,\ B\ \models \ A\wedge B
\end{equation*}が成り立つことを本文中では真理値表を用いて証明しましたが、同じことを同値変形で示してください。

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問題(連言導入)
論理式\(A_{1},\cdots ,A_{n}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}A_{1},\cdots ,A_{n}\ \models \ \bigwedge_{i=1}^{n}A_{i}
\end{equation*}が成り立つことを同値変形を通じて示しましたが、同じことを論理式の個数\(n\)に関する数学的帰納法で示してください。
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問題(連言導入)
任意の論理式\(A,B,C\)に対して、\begin{equation*}A,\ B\wedge \lnot C\ \models \ A\wedge \lnot C
\end{equation*}が成り立つことを示してください。

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