排他的論理和の値

排他的論理和\(\veebar \)は入力された論理式\(A,B\)に対して、それらのどちらか一方の値だけが\(1\)である場合にのみ\(1\)を値としてとる論理式\(A\veebar B\)を出力する論理演算です。
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論理式の排他的論理和

論理式の定義より、論理式\(A,B\)に論理演算子\(\veebar \)を作用させることで得られる\(A\veebar B\)もまた論理式です。\(\veebar \)は排他的論理和(exclusive disjunction)と呼ばれる論理演算子であり、論理式\(A\veebar B\)を\(A\)と\(B\)の排他的論理和(exclusive disjunction of \(A\) and \(B\))や\(A\)か\(B\)のどちらか一方(either \(A\) or \(B\ \)/\ \(A\) or \(B\), but not both)などと呼びます。

例(排他的論理和)
「鈴木と加藤はともに嘘をついているか、2 人とも嘘をついていないかのどちらか一方だ。」という言明を定式化します。命題変数\(P,Q\)を、\begin{eqnarray*}
P &:&\text{鈴木は嘘をついている} \\
Q &:&\text{加藤は嘘をついている}
\end{eqnarray*}とおくと、「鈴木と加藤はともに嘘をついている」は\(P\wedge Q\)として、「鈴木と加藤はともに嘘をついていない」は\(\lnot P\wedge \lnot Q\)としてそれぞれ定式化されるため、言明全体は、\begin{equation*}
\left( P\wedge Q\right) \veebar \left( \lnot P\wedge \lnot Q\right)
\end{equation*}と定式化されます。
例(排他的論理和)
命題変数\(P,Q\)をそれぞれ、\begin{eqnarray*}
P &:&\text{夫が働く} \\
Q &:&\text{妻が働く}
\end{eqnarray*}とおくとき、\begin{eqnarray*}
P\wedge \lnot Q &:&\text{夫が働き妻が働かない} \\
\lnot P\wedge Q &:&\text{夫が働かず妻が働く}
\end{eqnarray*}となり、さらに、\begin{equation*}
\left( P\wedge \lnot Q\right) \veebar \left( \lnot P\wedge Q\right) :\text{夫が働き妻が働かないか、夫が働かず妻が働くかのどちらか一方}
\end{equation*}となります。

 

排他的論理和の値

排他的論理和\(A\veebar B\)の値は\(A\)と\(B\)の値に依存しますが、その対応規則を以下の真理値表に定めます。つまり、排他的論理和\(\veebar \)は入力された論理式\(A,B\)に対して、それらのどちらか一方の値だけが\(1\)である場合にのみ\(1\)を値としてとる論理式\(A\veebar B\)を出力する論理演算です。

$$\begin{array}{ccc}
\hline
A & B & A\veebar B \\ \hline
1 & 1 & 0 \\ \hline
1 & 0 & 1 \\ \hline
0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 0 \\ \hline
\end{array}$$

表:排他的論理和の値

論理和\(A\vee B\)が真になるためには\(A\)と\(B\)の少なくとも一方が真であればよく、\(A\)と\(B\)がともに真である場合にも\(A\vee B\)は真になります。一方、排他的論理和\(A\veebar B\)が真になるのは、\(A\)と\(B\)のどちらか一方だけが真のときに限られます。\(A\)と\(B\)がともに真である場合、\(A\veebar B\)は真ではありません。以上が排他的論理和と論理和の違いです。

論理式の定義より、命題変数\(P\)や命題定数\(T,F\)もまた論理式であるため、これらもまた\(\veebar \)を作用させる対象となり得ます。\(P,T,F\)とそれらの排他的論理和の真理値の対応規則は以下の真理値表の通りです。

$$\begin{array}{cccccc}
\hline
P & T & F & P\veebar T & P\veebar F & T\veebar F \\ \hline
1 & 1 & 0 & 0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 1 & 0 & 1 & 0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$

表:排他的論理和の値
例(排他的論理和の値)
命題変数\(P,Q\)が与えられたとき、その排他的論理和\(P\veebar Q\)は論理式であるため、さらにそれと命題変数\(R\)の排他的論理積\(\left( P\veebar Q\right) \veebar R\)もまた論理式です。それらの真理値について、

$$\begin{array}{ccccc}
\hline
P & Q & R & P\veebar Q & \left( P\veebar Q\right) \veebar R \\
\hline
1 & 1 & 1 & 0 & 1 \\ \hline
1 & 1 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
1 & 0 & 1 & 1 & 0 \\ \hline
1 & 0 & 0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 1 & 1 & 1 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 1 & 0 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
\end{array}$$

表:排他的論理和の値

という関係が成り立ちます。

例(排他的論理和の値)
命題変数\(P,Q\)が与えられたとき、否定\(\lnot \)や排他的論理和\(\veebar \)の定義より、\(P\veebar Q\)や\(\lnot P\veebar Q\)や\(P\veebar \lnot Q\)はいずれも論理式であり、それらの真理値について、

$$\begin{array}{ccccccc}
\hline
P & Q & \lnot P & \lnot Q & P\veebar Q & \lnot P\veebar Q & P\veebar \lnot Q \\ \hline
1 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 0 & 1 & 1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 & 0 & 1 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 0 & 1 & 1 & 0 & 1 & 1 \\ \hline
\end{array}$$

表:排他的論理和の値

という関係が成り立ちます。

例(排他的論理和の値)
命題変数\(P,Q,R\)が与えられたとき、否定\(\lnot \)や論理積\(\wedge \)、排他的論理和\(\veebar \)の定義より、\(\left( \lnot P\wedge Q\right) \veebar \lnot R\)は論理式であり、その真理値について、

$$\begin{array}{ccccccc}
\hline
P & Q & R & \lnot P & \lnot R & \lnot P\wedge Q & \left( \lnot P\wedge Q\right) \veebar \lnot R \\ \hline
1 & 1 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
1 & 1 & 0 & 0 & 1 & 0 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
1 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 1 \\ \hline
0 & 1 & 1 & 1 & 0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 1 & 0 & 1 & 1 & 1 & 0 \\ \hline
0 & 0 & 1 & 1 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 0 & 0 & 1 & 1 & 0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$

表:排他的論理和の値

という関係が成り立ちます。

 

排他的論理和と否定・論理積・論理和の関係

論理式\(A,B\)を任意に選んだとき、以下の真理値表を得ます。

$$\begin{array}{cccccc}
\hline
A & B & A\veebar B & A\wedge \lnot B & \lnot A\wedge B & \left( A\wedge \lnot B\right) \vee \left( \lnot A\wedge B\right) \\ \hline
1 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
1 & 0 & 1 & 1 & 0 & 1 \\ \hline
0 & 1 & 1 & 0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
\end{array}$$

表:排他的論理和

上の真理値表より、排他的論理和\(A\veebar B\)の値は論理式\(\left( A\wedge \lnot B\right) \vee \left( \lnot A\wedge B\right) \)の値と常に一致します。この事実は、排他的論理和\(\veebar \)は否定\(\lnot \)と論理積\(\wedge \)と論理和\(\vee \)から間接的に定義可能であることを意味します。したがって、否定、論理積、そして論理和さえ定義されていれば、排他的論理和を新たな論理演算として定義する必要はありません。とは言え、排他的論理和を独立した論理演算として定義しておくと何かと便利ですので、本稿ではこのまま\(\veebar \)を採用します。

次回は含意の解釈について学びます。

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