恒真式・恒偽式・事実式

論理式を構成する命題変数の値の組み合わせによらず、その論理式の値が常に\(1\)であるならば、その論理式を恒真式やトートロジーなどと呼びます。また、論理式を構成する命題変数の値の組み合わせによらず、その論理式の値が常に\(0\)であるならば、その論理式を恒偽式や矛盾式などと呼びます。恒真式や恒偽式ではない論理式を事実式と呼びます。

恒真式

ある論理式の値が任意の解釈において常に\(1\)であるならば、つまり、その論理式を構成する命題変数の値の組み合わせによらずその論理式の値が常に\(1\)であるならば、その論理式を恒真式(tautology)やトートロジーなどと呼びます。

恒真式を表す記号を\(\top \)と定めます。命題定数\(T\)は論理式であるため、これもまた恒真式です。

例(恒真式)
命題変数\(P\)に関する論理式\(\left( P\vee \lnot P\right) \vee P\)に関して、以下の真理値表が得られます。

$$\begin{array}{cccc}
\hline
P & \lnot P & P\vee \lnot P & \left( P\vee \lnot P\right) \vee P \\
\hline
1 & 0 & 1 & 1 \\ \hline
0 & 1 & 1 & 1 \\ \hline
\end{array}$$

表:恒真式

つまり、\(\left( P\vee \lnot P\right) \vee P\)は2通りの解釈が可能ですが、いずれの解釈のもとでも\(\left( P\vee \lnot P\right) \vee P\)の値は常に\(1\)であるため、この論理式は恒真式です。

例(恒真式)
命題変数\(P,Q\)に関する論理式\(P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) \rightarrow Q\)に関して、以下の真理値表が得られます。

$$\begin{array}{ccccc}
\hline
P & Q & P\rightarrow Q & P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) & P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) \rightarrow Q \\ \hline
1 & 1 & 1 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 0 & 0 & 1 \\ \hline
0 & 1 & 1 & 0 & 1 \\ \hline
0 & 0 & 1 & 0 & 1 \\ \hline
\end{array}$$

表:恒真式

つまり、\(P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) \rightarrow Q\)は4通りの解釈が可能ですが、いずれの解釈のもとでも\(P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) \rightarrow Q\)の値は常に\(1\)であるため、この論理式は恒真式です。

 

恒偽式

ある論理式の値が任意の解釈において常に\(0\)であるならば、つまり、その論理式を構成する命題変数の値の組み合わせによらずその論理式の値が常に\(0\)であるならば、その論理式を恒偽式(contradiction)や矛盾式などと呼びます。

恒偽式を表す記号を\(\bot \)と定めます。命題定数\(F\)は論理式であるため、これもまた恒真式です。

例(恒偽式)
命題変数\(P\)に関する論理式\(\left( P\wedge \lnot P\right) \wedge P\)に関して、以下の真理値表が得られます。

$$\begin{array}{cccc}
\hline
P & \lnot P & P\wedge \lnot P & \left( P\vee \lnot P\right) \wedge P
\\ \hline
1 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 0 & 0 \\ \hline
\end{array}$$

表:恒偽式

つまり、\(\left( P\wedge \lnot P\right) \wedge P\)は2通りの解釈が可能ですが、いずれの解釈のもとでも\(\left( P\wedge \lnot P\right) \wedge P\)の値は常に\(0\)であるため、この論理式は恒偽式です。

例(恒偽式)
命題変数\(P,Q\)に関する論理式\((P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) )\wedge \lnot Q\)に関して、以下の真理値表が得られます。

$$\begin{array}{cccccc}
\hline
P & Q & P\rightarrow Q & P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) & \lnot Q & (P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) )\wedge \lnot Q \\ \hline
1 & 1 & 1 & 1 & 0 & 0 \\ \hline
1 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 0 & 1 & 0 & 1 & 0 \\ \hline
\end{array}$$

表:恒偽式

つまり、\((P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) )\wedge \lnot Q\)は4通りの解釈が可能ですが、いずれの解釈のもとでも\((P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) )\wedge \lnot Q\)の値は常に\(0\)であるため、この論理式は恒偽式です。

 

事実式

恒真式や恒偽式ではない論理式を事実式(contingency)や整合式などと呼びます。事実式の値は解釈によって\(0\)にも\(1\)にもなります。つまり、ある論理式が事実式であることは、その論理式の値が\(0\)になるような解釈と、値が\(1\)になるような解釈の双方が存在することを意味します。

例(事実式)
命題変数\(P\)に関する論理式\(\left( P\wedge \lnot P\right) \vee P\)に関して、以下の真理値表が得られます。

$$\begin{array}{cccc}
\hline
P & \lnot P & P\wedge \lnot P & \left( P\vee \lnot P\right) \vee P
\\ \hline
1 & 0 & 0 & 1 \\ \hline
0 & 1 & 0 & 0 \\ \hline
\end{array}$$

表:事実式

つまり、\(\left( P\wedge \lnot P\right) \vee P\)は2通りの解釈が可能ですが、1行目の解釈のもとでの値は\(1\)で、2行目の解釈のもとでの値は\(0\)であるため、この論理式は事実式です。

例(事実式)
命題変数\(P,Q\)に関する論理式\(P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) \)に関して、以下の真理値表が得られます。

$$\begin{array}{cccc}
\hline
P & Q & P\rightarrow Q & P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) \\
\hline
1 & 1 & 1 & 1 \\ \hline
1 & 0 & 0 & 0 \\ \hline
0 & 1 & 1 & 0 \\ \hline
0 & 0 & 1 & 0 \\ \hline
\end{array}$$

表:事実式

つまり、\(P\wedge \left( P\rightarrow Q\right) \)は4通りの解釈が可能ですが、1行目の解釈のもとでの値は\(1\)で、2,3,4行目の解釈のもとでの値は\(0\)であるため、この論理式は事実式です。

次回は必要条件と十分条件について学びます。

次へ進む 質問・コメントを投稿する 演習問題(プレミアム会員限定)
Share on facebook
Share on twitter
Share on email
Share on print

ワイズをさらに活用するための会員サービス

ユーザー名とメールアドレスを入力して一般会員に無料登録すれば、質問やコメントを投稿できるようになります。さらに、有料(500円/月)のプレミアム会員へアップグレードすることにより、プレミアムコンテンツ(命題の証明や演習問題、解答など)にアクセスできます。
会員サービス

ディスカッションに参加しますか?

質問やコメントを投稿するためにはログインが必要です
ログイン

命題論理
アカウント
ログイン