命題論理において命題変数や命題定数は単独で論理式とみなされます。また、それらに論理演算子を作用させて得られる式も論理式とみなされます。また、論理式に論理演算子を作用させて得られる式も論理式です。

2018年11月12日:公開

論理式の再帰的定義

先ほど定めたように、命題論理において命題変数や命題定数は単独で論理式とみなされます。また、それらに論理演算子を作用させて得られる式も論理式とみなされます。また、論理式に論理演算子を作用させて得られる式も論理式です。

命題変数・命題定数について復習する 論理演算子について復習する

以上を踏まえた上で、論理式を以下のように再帰的に定義します。

定義(論理式)
  1. 命題変数\(P,Q,\cdots \)は論理式である。
  2. 命題定数\(T,F\)は論理式である。
  3. \(A\)が論理式ならば、\(\left( \lnot A\right)\)は論理式である。
  4. \(A,B\)が論理式ならば、\(\left( A\wedge B\right)\)は論理式である。
  5. \(A,B\)が論理式ならば、\(\left( A\vee B\right)\)は論理式である。
  6. \(A,B\)が論理式ならば、\(\left( A\underline{\vee}B\right)\)は論理式である。
  7. \(A,B\)が論理式ならば、\(\left( A\rightarrow B\right)\)は論理式である。
  8. \(A,B\)が論理式ならば、\(\left( A\leftrightarrow B\right)\)は論理式である。
  9. 以上のルールから論理式と判定されるものだけが論理式である。

論理式の例をいくつか挙げます。

例(論理式)
命題変数\(P\)はそれ自体が論理式です。したがって、\((\lnot P)\)もまた論理式です。ちなみに、\(\left( P\right) \)や\(\lnot \left( P\right) \)などは論理式ではありません。
例(論理式)
命題変数\(P,Q\)はいずれもそれ自体が論理式です。したがって、\(\left(P\wedge Q\right) \)もまた論理式です。また、命題変数\(R\)はそれ自体が論理式です。したがって、\((\left( P\wedge Q\right) \vee R)\)は論理式です。
例(論理式)
命題変数\(P,Q,R\)はいずれもそれ自体が論理式ですから、\(\left( P\wedge Q\right) \)と\(\left( P\vee R\right) \)はともに論理式です。したがって、\(((P\wedge Q)\rightarrow (P\vee R))\)は論理式であり、さらに、\((\lnot ((P\wedge Q)\rightarrow (P\vee R)))\)もまた論理式です。

 

論理式中の括弧の省略

上の最後の例のように、定義にもとづいて生成された論理式が括弧\((\ )\)を多く含む場合には見づらいため、以下のルールのもとで括弧を省略できます。

規則(論理式中の括弧の省略)
  1. 一番外側の括弧は省略できる。
  2. 括弧を省略した結果、複数の論理演算子が括弧によって遮られない形で存在している場合には、最初に\(\lnot \)を作用させ、次に\(\wedge ,\vee ,\veebar \)を作用させ、最後に\(\rightarrow ,\leftrightarrow \)を作用させる。このルールを踏まえた上で、論理式中のある括弧を外して新たな式を得たときに、その式における論理演算子の作用の順番がもとの論理式の内容と整合的であるならば、その括弧を省略できる。

いくつか例を挙げましょう。

例(論理式)
命題変数\(P\)に対して、\((\lnot P)\)は論理式ですが、先のルールより、これは\(\lnot P\)と表せます。
例(論理式)
命題変数\(P,Q,R\)に対して、\((\left( P\wedge Q\right) \vee R)\)は論理式ですが、先のルールより、これは\(\left( P\wedge Q\right) \vee R\)と表せます。ちなみに、この論理式を\(P\wedge Q\vee R\)と表すことはできません。なぜなら、先のルールより、\(\wedge \)と\(\vee \)は作用の順番が等しいため、\(P\wedge Q\vee R\)と記述した場合、これは\(\left( P\wedge Q\right) \vee R\)と\(P\wedge \left( Q\vee R\right) \)のどちらに対応するかを判別できないからです。
例(論理式)
命題変数\(P,Q,R\)に対して、\((\lnot ((P\wedge Q)\rightarrow (P\vee R)))\)は論理式ですが、先のルールより、これは\(\lnot (P\wedge Q\rightarrow P\vee R)\)と表せます。

次回は部分論理式について学びます。

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