論理式\(A\)に論理演算子\(\lnot \)を作用させることで得られる\(\lnot A\)もまた論理式です。\(\lnot \)は否定と呼ばれる論理演算子であり、論理式\(\lnot A\)を\(A\)の否定と呼びます。

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否定の値

論理式の定義より、議論領域\(D\)における論理式\(A\)に論理演算子\(\lnot \)を作用させることで得られる\(\lnot A\)もまた\(D\)の論理式です。\(\lnot \)は否定(negation)と呼ばれる論理演算子であり、論理式\(\lnot A\)を\(A\)の否定(negation of \(A\))や\(A\)でない(not \(A\))などと呼びます。論理式の否定の値を以下のように定めます。

論理式の定義について復習する

議論領域\(D\)における論理式\(A\)が変数を持つ開論理式\(A\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) \)である場合には、その真理集合を\(A\left( P\right) \)で表します。このとき、\(A\)の否定\(\lnot A\)もまた変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\)を持つ開論理式\(\lnot A\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) \)です。その上で、値の組\(\left( \overline{x}_{1},\cdots ,\overline{x}_{n}\right) \)が、\begin{equation*}
\left( \overline{x}_{1},\cdots ,\overline{x}_{n}\right) \not\in \phi \left( A\right)
\end{equation*}を満たす場合には\(\lnot A\)の値を\(1\)と定め、\begin{equation*}
\left( \overline{x}_{1},\cdots ,\overline{x}_{n}\right) \in \phi \left( A\right)
\end{equation*}を満たす場合には\(\lnot A\)の値を\(0\)と定めます。つまり、\(\lnot A\)は\(A\)が生成する命題とは真理値が逆転した命題を生成する論理式です。

開論理式について復習する

議論領域\(D\)における論理式\(A\)が変数を持たない閉論理式である場合には、否定\(\lnot A\)の意味は命題論理における否定と同様です。つまり、\(A\)の値が\(1\)ならば\(\lnot A\)の値は\(0\)であり、\(A\)の値が\(0\)ならば\(\lnot A\)の値は\(1\)です。

閉論理式について復習する
例(否定)
任意の整数を値として取り得る変数\(x,y\)に関する命題関数\begin{equation*}
P\left( x,y\right) :x>y
\end{equation*}について考えます。例えば、\(2>1\)は真ですので\(\left( 2,1\right) \in \phi \left( P\right) \)が成り立ちますが、\(1>2\)は偽ですので\(\left( 1,2\right) \not\in \phi \left( P\right) \)となります。この命題関数の否定は、\begin{equation*}
\lnot P\left( x,y\right) :x\leq y
\end{equation*}です。実際、\(\lnot P\left( 2,1\right) \)すなわち\(2\leq 1\)は偽であり、\(\lnot P\left( 1,2\right) \)すなわち\(1\leq 2\)は真ですので、\(P\)が生成する命題と\(\lnot P\)が生成する命題では値が逆になっています。このような関係は\(\left( x,y\right) \)の任意の値の組に関して成り立ちます。

 

否定の真理集合

変数\(x\in X\)に関する開論理式\(A\left( x\right) \)とその否定\(\lnot A\left( x\right) \)が与えられたとき、否定の定義より、変数\(x\)に値\(\overline{x}\)を代入して得られる 2 つの命題\(A\left( \overline{x}\right) ,\ \lnot A\left( \overline{x}\right) \)の真理値は常に逆転しています、したがって、この値\(\overline{x}\)は\(A\left( x\right) \)の真理値集合\(\phi \left( A\right) \)と\(\lnot A\left( x\right) \)の真理値集合\(\phi \left( \lnot A\right) \)のどちらか一方に属します。

否定の真理値表

図:否定の真理集合

変数の定義域\(X\)に属するそれぞれの値について同様の議論が成立するため、結局、\(X\)に属するそれぞれの値は\(\phi \left( A\right) \)と\(\phi \left( \lnot A\right) \)のどちらか一方に属します。したがって、\(X\)は\(\phi \left( A\right) \)と\(\phi \left( \lnot A\right) \)に分割できて、\(\phi \left( A\right) \)と\(\phi \left( \lnot A\right) \)が交わることはありません。この関係を上に図示しました。

次回は論理積の値について学びます。

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