変数とは様々な値を取り得る記号です。変数が取り得る値の範囲を定義域と呼びます。議論の対象となるすべての変数と、それらの変数の定義域をあわせて議論領域と呼びます。

2018年11月22日:公開

変数の定義域

論理式の値は変数に代入する値の組み合わせに応じて決まることを踏まえると、論理式を定義する前に変数について整理しておく必要があります。まず、\(x\)が変数(variable)であるとは、\(x\)は様々な値を取り得る記号であることを意味します。述語論理において変数は対象変数(object variable)とも呼ばれます。複数の変数を考える場合にはそれらを\(x_{1},x_{2},\cdots \)や\(x,y,\cdots \)などで表します。

変数\(x_{i}\)が取り得る値の範囲を\(x_{i}\)の定義域(domain of \(x_{i}\))と呼び、これを\(D_{i}\)で表します。\(x_{i}\)の定義域が\(D_{i}\)であることを明示的に表したい場合には\(x_{i}\in D_{i}\)と書きます。\(D_{i}\)の中には\(x_{i}\)が取り得るすべての値が含まれていますが、それらの個々の値を対称定数(object constant)と呼びます。ただし、以降では誤解の恐れのない限りにおいて、対象定数をシンプルに定数(constant)や(value)などと呼びます。なお、\(x_{i}\in D_{i}\)という表記は\(x_{i}\)が\(D_{i}\)に属する値であることを表す記号としても使われるため、どちらの意味であるかは文脈から判断する必要があります。両者を明示的に区別するために、\(D_{i}\)に属する特定の値を変数\(x_{i}\)と区別して\(\bar{x}_{i}\)と表すこともあります。なお、異なる変数\(x_{i},x_{j}\)の定義域\(D_{i},D_{j}\)は同じでもそうでなくてもかまいません。

変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\)とそれらの定義域を\(D_{1},\cdots ,D_{n}\)が与えられたとき、変数の組\(\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) \)がとり得る値の範囲は定義域の直積\(D_{1}\times \cdots \times D_{n}\)です。つまり、\(\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) \in D_{1}\times \cdots \times D_{n}\)です。なお、\(\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) \in D_{1}\times \cdots \times D_{n}\)という表記は\(\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) \)が\(D_{1}\times \cdots \times D_{n}\)に属する値の組であることを表す記号としても使われるため、どちらの意味であるかは文脈から判断する必要があります。両者を明示的に区別するために、\(D_{1}\times \cdots \times D_{n}\)に属する特定の値の組を変数の組\(\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) \)と区別して\(\left( \bar{x}_{1},\cdots ,\bar{x}_{n}\right) \)と表すこともあります。

 

議論領域

議論の対象となるすべての変数と、それらの変数の定義域をあわせて議論領域(domain of discourse)と呼び、これを\(D\)で表します。例えば、1 つの変数\(x_{i}\)を議論の対象とする場合には、その定義域\(D_{i}\)を定めることで議論領域\(D\)が特定されます。また、\(n\)個の変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\)を議論の対象とする場合には、それらの定義域\(D_{1},\cdots ,D_{n}\)をすべて定めることで議論領域\(D\)が特定されます。議論領域\(D\)において変数\(x_{i}\)の定義域\(D_{i}\)が定められているとき、\(x_{i}\)を\(D\)における変数(variable on \(D\))と呼びます。

議論に先立って議論領域\(D\)を設けることは、\(D\)における変数に関する論理式だけが議論の対象になることを意味します。なお、考察の対象になる論理式は\(D\)におけるすべての変数を自身の変数として持つ必要はありません。\(D\)における特定の変数の値の組み合わせに応じて値が決定される論理式や、\(D\)における変数に依存しない形で値が決定される論理式なども考察の対象になり得ます。この点については後述します。

次回は原子論理式について学びます。

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