任意の集合に対して、空集合との共通部分をとると空集合になり、全体集合との和集合をとると全体集合になります。また、任意の集合に対して、空集合との和集合や全体集合との共通部分をとるといずれももとの集合に戻ります。これを恒等法則と呼びます。

2019年3月12日:公開

零元としての空集合・全体集合

任意の集合と空集合ないし全体集合の間には以下の関係が成り立ちます。これを恒等法則(identity law)と呼びます。

命題(恒等法則)
空集合\(\phi \)、全体集合\(U\)、そして任意の集合\(X\)に対して以下が成り立つ。\begin{eqnarray*}
\left( a\right) \ X\cap \phi &=&\phi \\
\left( b\right) \ X\cup U &=&U
\end{eqnarray*}
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例(恒等法則)
集合\(X,Y\)に関して、\begin{equation*}
\left( X\cap Y\right) \cap Y^{c}=\phi
\end{equation*}が成り立つことを示します。実際、\begin{eqnarray*}
\left( X\cap Y\right) \cap Y^{c} &=&X\cap \left( Y\cap Y^{c}\right) \quad \because \text{結合律} \\
&=&X\cap \phi \quad \because \text{補集合法則} \\
&=&\phi \quad \because \text{恒等法則}
\end{eqnarray*}となるため証明できました。

 

単位元としての空集合・全体集合

以下も恒等法則のバリエーションです。

命題(恒等法則)
空集合\(\phi \)、全体集合\(U\)、そして任意の集合\(X\)に対して以下が成り立つ。\begin{eqnarray*}
\left( a\right) \ X\cup \phi &=&X \\
\left( b\right) \ X\cap U &=&X
\end{eqnarray*}
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例(恒等法則)
集合\(X,Y\)に関して、\begin{equation*}
\left( X\cap Y\right) \cup \left( X\cap Y^{c}\right) =X
\end{equation*}が成り立つことを示します。実際、\begin{eqnarray*}
\left( X\cap Y\right) \cup \left( X\cap Y^{c}\right) &=&X\cap \left( Y\cup Y^{c}\right) \quad \because \text{分配律} \\
&=&X\cap U\quad \because \text{補集合法則} \\
&=&X\quad \because \text{恒等法則}
\end{eqnarray*}となるため証明できました。

次回は差集合法則と呼ばれる集合演算の性質について学びます。
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