ある条件を満たす対象をすべて集めたものを集合と呼びます。集合は命題関数の真理集合として定義できます。

2019年1月10日:公開

集合

ある条件を満たす対象をすべて集めたものを集合(set)と呼び、これをアルファベットの大文字\(X,Y,Z,\cdots \)などで表します。

集合は命題関数の真理集合として定義できます。つまり、定義域を\(U\)とする変数\(x\)に関する命題関数\(P\left( x\right) \)が与えられたとき、\(U\)に属する\(x\)の値の中でも\(P\left( x\right) \)に代入して得られる命題が真になるようなものを集めれば、この命題関数\(P\left( x\right) \)の真理集合に相当する 1 つの集合が得られます。

述語論理について復習する

 

集合は命題関数の真理集合として定義される
図:集合は命題関数の真理集合として定義される

以降では表記を簡略化するために、変数\(x\)がとり得る値もまた\(x\)で表記します。「変数\(x\)」と言う場合の\(x\)は変数を表す記号であり、「値\(x\)」という場合の\(x\)は変数を表す記号であると同時に、変数\(x\)が取り得る値を表す記号とも解釈します。

命題関数\(P\left( x\right) \)の真理集合\(\phi \left( P\right) \)が上図のグレーの領域で表されています。真理集合\(\phi \left( P\right) \)とは、変数\(x\)の定義域\(U\)に属する値の中でも、命題\(P\left( x\right) \)が真になるような値\(x\)からなる集合です。したがって、命題関数\(P\left( x\right) \)から集合\(X\)を定義することは、この命題関数の真理集合\(\phi \left( P\right) \)を特定することと実質的に同じです。つまり、\(X=\phi \left( P\right) \)という関係が成り立ちます。

 

集合の要素

命題関数\(P\left( x\right) \)から定義される集合\(X\)について考えます。変数\(x\)の定義域\(U\)に属するそれぞれの値\(x\)について、命題\(P(x)\)は真か偽のどちらか一方です。そこで、命題\(P\left( x\right) \)が真であるような値\(x\)を\(X\)の要素(element)やなどと呼び、値\(x\)が集合\(X\)の要素であることを\(x\in X\)で表します。

定義より、定義域\(U\)に属するそれぞれの値\(x\)について、\begin{equation*}
x\in X\ \Leftrightarrow \ P\left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、値\(x\)が集合\(X\)の要素であるという命題と、その値\(x\)に関する命題\(P\left( x\right)\)は同値であり、両者の真理値は常に一致します。

他方で、命題\(P\left( x\right) \)が偽であるような値\(x\)は\(X \)の要素ではなく、このことを\(x\not\in X\)で表します。定義より、\(U\)に属するそれぞれの値\(x\)について、\begin{equation*}
x\not\in X\ \Leftrightarrow \ \lnot P\left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、値\(x\)が集合\(X\)の要素でないという命題と、その値\(x\)に関する命題\(\lnot P\left( x\right) \)は同値であり、両者の真理値は常に一致します。

定義域\(U\)に属するそれぞれの値\(x\)について命題\(P\left( x\right)\)は真か偽のどちらか一方ですので、それぞれの値\(x\)は\(P\left( x\right)\)から定義される集合\(X\)に属するか属さないかのどちらか一方です。

集合の簡単な例を挙げます。

例(集合)
すべての整数からなる集合\(\mathbb{Z}\)を定義域とする変数\(x\)に関する命題関数\(P\left( x\right) \)を、\begin{equation*}
P(x):x\text{は偶数}
\end{equation*}と定義します。命題\(P\left( x\right) \)が真になるような整数\(x\)を集めて得られる集合\(X\)は、すべての偶数からなる集合に他なりません。例えば、値\(x=2\)を命題関数\(P\left( x\right) \)に代入して得られる命題\begin{equation*}
P\left( 2\right) :2\text{は偶数}
\end{equation*}は真ですから、\(2\in X\)が成り立ちます。一方、値\(x=3\)を命題関数\(P\left( x\right) \)に代入して得られる命題\begin{equation*}
P\left( 3\right) :3\text{は奇数}
\end{equation*}は偽ですから、\(3\not\in X\)が成り立ちます。\(\mathbb{Z}\)に属するそれぞれの整数について、それは集合\(X\)の要素であるか否かのどちらか一方です。
例(集合)
すべての実数からなる集合\(\mathbb{R}\)を定義域とする変数\(x\)に関する命題関数\(P\left( x\right) \)を、\begin{equation*}
P\left( x\right) :x\text{は無理数}
\end{equation*}と定義します。命題\(P\left( x\right) \)が真になるような実数\(x\)を集めて得られる集合\(X\)は、すべての無理数からなる集合に他なりません。例えば、値\(x=\pi \)を命題関数\(P\left( x\right) \)に代入して得られる命題\begin{equation*}
P\left( \pi \right) :\pi \text{は無理数}
\end{equation*}は真ですから、\(\pi \in X\)が成り立ちます。一方、値\(x=1.2\)を命題関数\(P\left( x\right) \)に代入して得られる命題\begin{equation*}
P\left( 1.2\right) :1.2\text{は無理数}
\end{equation*}は偽ですから、\(1.2\not\in X\)が成り立ちます。\(\mathbb{R}\)に属するそれぞれの実数について、それは集合\(X\)の要素であるか否かのどちらか一方です。

次回は集合の表記について学びます。

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