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集合の定義と表記

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集合と外延的表記

ある条件を満たす対象をすべて集めたものを集合(set)と呼び、多くの場合、個々の集合をアルファベットの大文字\begin{equation*}
A,B,C,\cdots
\end{equation*}を用いて表記します。

集合\(A\)に属する個々の対象を\(A\)の要素(element)やなどと呼びます。\(a\)が集合\(A\)の要素であることを、\begin{equation*}a\in A
\end{equation*}と表記し、\(a\)が集合\(A\)の要素でないことを、\begin{equation*}a\not\in A
\end{equation*}と表記します。ちなみに、\(\in \)の記号は古代ギリシア語の「\(\varepsilon\sigma \tau \iota \)(である)」に由来し、イタリアの数学者ジュゼッペ・ペアノ(Guseppe Peano)によって導入されました。

集合\(A,B\)がまったく同じ要素を持つとき、\(A\)と\(B\)は等しい(equal)といい、そのことを、\begin{equation*}A=B
\end{equation*}と表記します。

集合を表現する際に、その要素を具体的に列挙する方法を外延的表記(extensive notation)や名簿表記(roster notation)などと呼びます。例えば、集合\(A\)の要素が\(1,2,3\)という3つの数字である場合には、そのことを、\begin{equation*}A=\{1,2,3\}
\end{equation*}と表記します。つまり、集合の要素をコンマ\(,\)で区切って並べた上で、それらを括弧\(\{\ \}\)で囲みます。

例(集合の外延的表記)
\(10\)以下の正の偶数からなる集合\(A\)は、\begin{equation*}A=\{2,4,6,8,10\}
\end{equation*}となります。例えば、\begin{eqnarray*}
2 &\in &A \\
3 &\not\in &A \\
10 &\in &A
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(集合の外延的表記)
日本の関東地方にある都道府県からなる集合\(A\)は、\begin{equation*}A=\{\text{茨城},\text{栃木},\text{群馬},\text{埼玉},\text{千葉},\text{東京},\text{神奈川}\}
\end{equation*}となります。例えば、\begin{eqnarray*}
\text{東京} &\in &A \\
\text{北海道} &\not\in &A \\
\text{神奈川} &\in &A
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

集合が数多くの要素を持つ場合など、すべての要素を列挙することが不可能ではあるものの、残りの要素が文脈から明らかである場合には省略記号\(\cdots \)を利用します。例えば、集合\(A\)がすべての自然数を要素として持つ場合、すべての自然数を列挙することは不可能であるため、\begin{equation*}A=\{1,2,3,\cdots \}
\end{equation*}などと表記します。ここでは\(4\)以上のすべての自然数を省略記号\(\cdots \)を用いて表現しています。

例(集合の外延的表記)
すべての正の偶数からなる集合\(A\)は、\begin{equation*}A=\{2,4,6,8,10,\cdots \}
\end{equation*}となります。例えば、\begin{eqnarray*}
16 &\in &A \\
-5 &\not\in &A \\
\frac{1}{2} &\in &A
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(集合の外延的表記)
日本のすべての都道府県からなる集合\(A\)は、\begin{equation*}A=\{\text{北海道},\text{青森},\text{秋田},\text{岩手},\text{山形},\cdots \}
\end{equation*}となります。例えば、\begin{eqnarray*}
\text{東京} &\in &A \\
\text{ニューヨーク} &\not\in &A \\
\text{沖縄} &\in &A
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(集合の外延的表記)
数集合の表記には慣例があります。すべての自然数からなる集合を\(\mathbb{N} \)で、すべての整数からなる集合を\(\mathbb{Z} \)で、すべての有理数からなる集合を\(\mathbb{Q} \)で、そしてすべての実数からなる集合を\(\mathbb{R} \)で表記します。したがって、例えば、\begin{eqnarray*}1 &\in &\mathbb{N} \\
-1 &\not\in &\mathbb{N} \\
-1 &\in &\mathbb{Z} \\
\frac{1}{2} &\not\in &\mathbb{Z} \\
\frac{1}{2} &\in &\mathbb{Q} \\
\pi &\not\in &\mathbb{Q} \\
\pi &\in &\mathbb{R} \end{eqnarray*}などが成り立ちます。

集合を外延的表記で表現するとき、集合の要素を並べる順番を変えても、集合としては等しいものと定めます。したがって、例えば、\begin{equation*}
\{1,2,3,4\}=\{2,4,1,3\}=\{4,3,2,1\}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

集合を外延的表記で表現するとき、同じ要素を重複して書くことは禁じられていませんが、同じ要素をいくつ書いても効果は1つだけ書いた場合と同じと定めます。したがって、例えば、\begin{equation*}
\{1,1,1,2,2,3,4\}=\{1,2,3,4\}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

 

集合と内包的表記

集合は命題関数から定義することができます。具体的には、変数\(x\in X\)に関する命題関数\(P\left( x\right) \)が与えられたとき、命題\(P\left( x\right) \)が真になるような定義域\(X\)の要素\(x\)をすべて集めれば\(P\left( x\right) \)の真理集合に相当する1つの集合\(A\)が得られます。そこで、そのような集合を、\begin{equation}A=\left\{ x\in X\ |\ P\left( x\right) \right\} \quad \cdots (1)
\end{equation}と表記します。つまり、値\(x\in X\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}x\in A\Leftrightarrow \text{命題}P\left( x\right) \text{が真}
\end{equation*}という関係を満たすものとして集合\(A\)を表現するということです。このように、命題関数を用いて集合を表現する方法を内包的表記(intensive notation)と呼びます。

変数の定義域\(X\)に属するそれぞれの値\(x\)について、排中律より、命題\(P\left( x\right) \)は真か偽のどちらか一方です。したがって、集合\(A\)を\(\left( 1\right) \)のように内包的に定義したとき、定義域\(X\)に属するそれぞれの値\(x\)は、集合\(A\)に属するか否かのどちらか一方です。

例(集合の内包的表記)
すべての正の整数からなる集合\(A\)を内包的表記で表現すると、\begin{equation*}A=\{x\in \mathbb{Z} \ |\ x>0\}
\end{equation*}となります。ただし、\(\mathbb{Z} \)はすべての整数からなる集合を表す記号です。例えば、整数\(10\)に関して\(10>0\)は真であるため、\begin{equation*}10\in A
\end{equation*}が成り立ちます。一方、整数\(-10\)に関して\(-10<0\)は偽であるため、\begin{equation*}-10\not\in A
\end{equation*}が成り立ちます。その他にも、\begin{eqnarray*}
7 &\in &A \\
-1 &\not\in &A \\
100 &\in &A
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(集合の内包的表記)
すべての片仮名からなる集合\(A\)を内包的表記で表現すると、\begin{equation*}A=\left\{ x\in X\ |\ x\text{は片仮名}\right\}
\end{equation*}となります。ただし、\(X\)は日本語のすべての文字からなる集合です。例えば、「カ」は片仮名であるため、\begin{equation*}\text{カ}\in X
\end{equation*}が成り立ちます。一方、「か」は片仮名ではないため、\begin{equation*}
\text{か}\not\in X
\end{equation*}が成り立ちます。その他にも、\begin{eqnarray*}
\text{サ} &\in &X \\
\text{火} &\not\in &X \\
\text{つ} &\not\in &X
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(集合の内包的表記)
二次方程式\(x^{2}=1\)の実数解からなる集合\(A\)を内包的表記で表現すると、\begin{equation*}A=\{x\in \mathbb{R} \ |\ x^{2}=1\}
\end{equation*}となります。ただし、\(\mathbb{R} \)はすべての実数からなる集合を表す記号です。例えば、実数\(1\)に関して\(1^{2}=1\)は真であるため、\begin{equation*}1\in A
\end{equation*}が成り立ちます。一方、実数\(2\)に関して\(2^{2}=1\)は偽であるため、\begin{equation*}2\not\in A
\end{equation*}が成り立ちます。その他にも、\begin{eqnarray*}
-1 &\in &A \\
\frac{1}{2} &\not\in &A \\
\pi &\not\in &A
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(集合の内包的表記)
日本の関東地方にある都道府県からなる集合\(A\)を内包的表記で表現すると、\begin{equation*}A=\{x\in X\ |\ x\text{は関東地方にある}\}
\end{equation*}となります。ただし、\(X\)は日本のすべての都道府県からなる集合です。例えば、「東京」は関東地方にあるため、\begin{equation*}\text{東京}\in A
\end{equation*}が成り立ちます。一方、「北海道」は関東地方にはないため、\begin{equation*}
\text{北海道}\not\in A
\end{equation*}が成り立ちます。その他にも、\begin{eqnarray*}
\text{千葉} &\in &A \\
\text{沖縄} &\not\in &A \\
\text{神奈川} &\in &A
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

集合を内包的に表現する場合、集合を規定する命題関数の変数を表す記号として何を採用しても構わないものと定めます。したがって、例えば、\begin{eqnarray*}
\{x\in X\ |\ P(x)\} &=&\{y\in X\ |\ P\left( y\right) \} \\
&=&\{z\in X\ |\ P\left( z\right) \}
\end{eqnarray*}などの関係が成り立ちます。

変数\(x\in X\)に関する命題関数\(P\left( x\right) \)から集合\(A\)を内包的に定義する場合、変数\(x\)の定義域\(X\)が文脈から明らかである場合には、それを省略して、\begin{equation*}A=\{x\ |\ P(x)\}
\end{equation*}と表記することも可能です。

 

外延的表記と内包的表記の比較

外延的表記を使うと集合に属する個々の要素が一目瞭然であることから、外延的表記は内包的表記よりも分かりやすさの面で優れています。その反面、外延的表記では表現が難しい集合を内包的表記はシンプルに表現できるケースがあります。例えば、すべての正三角形からなる集合\(A\)表現しようとするとき、三角形をすべて列挙するのは不可能です。一方、内包的表記を使えば、例えば、\begin{equation*}A=\{\Delta ABC\ |\ AB=BC=AC\}
\end{equation*}などと表現できます。

集合\(A\)が変数\(x\in X\)に関する命題関数\(P\left( x\right) \)から内包的に定義されるものとします。このとき、命題\(P(x)\)が真になるような\(X\)の要素\(x\)を具体的に特定することが困難である場合には、その集合\(A\)を外延的表記によって表現することは困難です。一方、内包的表記であれば、\(P\left( x\right) \)が真になるような\(x\)を具体的に特定する必要はなく、そのまま、\begin{equation*}A=\{x\in X\ |\ P(x)\}
\end{equation*}と表現できます。つまり、内包的表記は外延的表記よりも表現手段として柔軟です。

変数\(x\in X\)に関する命題関数\(P\left( x\right) \)から集合\(A\)を、\begin{equation*}A=\left\{ x\in X\ |\ P\left( x\right) \right\}
\end{equation*}と定義します。このとき、変数がとり得る値\(x\in X\)を任意に選ぶと、\begin{equation*}x\in A\Leftrightarrow P\left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、\(x\)が\(A\)の要素であることとと命題\(P\left( x\right) \)が真であることは必要十分です。同時に、\begin{equation*}x\not\in A\Leftrightarrow \lnot P\left( x\right)
\end{equation*}という関係も成り立ちます。つまり、\(x\)が\(X\)の要素でないことと命題\(P\left( x\right) \)の否定が真(命題\(P\left( x\right) \)が偽)であることは必要十分です。このような関係を利用すれば、集合に関する議論を命題関数に関する議論に置き換えることができるため、述語論理の知識を用いて集合に関する議論を展開できます。つまり、内包的表記は外延的表記よりも議論のツールとして有用です。

 

演習問題

問題(内包的に表現された集合を外延的に表現する)
内包的に表現された以下のそれぞれの集合を外延的に表現してください。ただし、\(\mathbb{R} \)はすべての実数からなる集合、\(\mathbb{Z} \)はすべての整数からなる集合、\(\mathbb{N} \)はすべての自然数からなる集合です。

  1. \(\left\{ 5x-1\ |\ x\in \mathbb{Z} \right\} \)
  2. \(\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ -2\leq x<7\right\} \)
  3. \(\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x^{2}+5x=-6\right\} \)
  4. \(\left\{ x\in \mathbb{Z} \ |\ \left\vert 2x\right\vert <5\right\} \)
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問題(外延的に表現された集合を内包的に表現する)
外延的に表現された以下のそれぞれの集合を内包的に表現してください。

  1. \(\left\{ 0,4,16,36,64,100,\cdots \right\} \)
  2. \(\left\{ \cdots ,-8,-3,2,7,12,17,\cdots \right\} \)
  3. \(\left\{ \cdots ,\frac{1}{8},\frac{1}{4},\frac{1}{2},1,2,4,8,\cdots\right\} \)
  4. \(\left\{ \cdots ,-\pi ,-\frac{\pi }{2},0,\frac{\pi }{2},\pi ,\cdots\right\} \)
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問題(集合の表現)
集合\(A=\left\{ x\in \mathbb{N} \ |\ 3x=9\right\} \)について\(A=3\)が成り立ちますか?成り立つ場合にはそれを証明し、成り立たない場合にはその理由を述べてください。
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問題(集合の表現)
集合\(A=\left\{ 3x^{3}+2\in \mathbb{R} \ |\ x\in \mathbb{Z} \right\} \)について考えます。ただし、\(\mathbb{Z} \)はすべての整数からなる集合です。このとき以下を示してください。

  1. \(-22\in A\)
  2. \(-1\in A\)
  3. \(5\in A\)
  4. \(0\not\in A\)
  5. \(\frac{1}{2}\not\in A\)
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次回は部分集合について学びます。

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変数を含む文や式は変数に具体的な値を代入することによりはじめて命題となり、その正しさを判定できるようになります。一般に、変数を含む文や式を命題関数と呼びます。命題関数は述語論理の対象となる最小単位の概念です。

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真理集合

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命題関数の解釈

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