有限集合族を構成するそれぞれの集合の要素からなる n-組 をすべて集めてできる集合を有限集合族の直積と呼びます。

2019年3月14日:公開

\(n\)組

有限\(n\)個の成分が与えられたとき、それらを並べる順序を考慮した上で組にしたものを\(n\)組(\(n\)-tuple)と呼びます。具体的には、\(i\ \left( =1,\cdots ,n\right) \)番目の成分が\(x_{i}\)であるような\(n\)組を、\begin{equation*}
\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) ,\quad (x_{i})_{i=1}^{n},\quad \left( x_{i}\right) _{i\in \{1,\cdots ,n\}}
\end{equation*}などで表します。

\(n\)組に関する固有性は、任意の\(n\)組\((x_{i})_{i=1}^{n},(x_{i}^{\prime })_{i=1}^{n}\)に対して、\begin{equation*}
(x_{i})_{i=1}^{n}=(x_{i}^{\prime })_{i=1}^{n}\ \Leftrightarrow \ \forall i\in \{1,\cdots ,n\}:x_{i}=x_{i}^{\prime }
\end{equation*}が成り立つ、というものです。つまり、2 つの\(n\)組が等しいこととは、それらの第\(i\ \left( =1,2,\cdots ,n\right) \)成分がそれぞれ等しいことを意味します。

以下の 2 つの\(n\)組\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ (x_{1},\cdots ,x_{i},\cdots ,x_{j},\cdots ,x_{n}) \\
&&\left( b\right) \ (x_{1},\cdots ,x_{j},\cdots ,x_{i},\cdots ,x_{n})
\end{eqnarray*}について考えます。つまり、\(\left( a\right) \)の第\(i\)成分と第\(j\)成分を入れ替えたものが\(\left( b\right) \)です。このとき、\(n\)組の固有性より、\begin{equation*}
\left( a\right) =\left( b\right) \Leftrightarrow x_{i}=x_{j}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、\(x_{i}=x_{j}\)の場合に、そしてその場合にのみ、\(\left( a\right) \)と\(\left( b\right) \)は等しい\(n\)組として認識されます。他方で、\(x_{i}\not=x_{j}\)の場合に、そしてその場合にのみ、\(\left( a\right) \)と\(\left( b\right) \)は異なる\(n\)組として認識されます。

順序対は\(n=2\)の場合の\(n\)組に相当します。

 

有限集合族の直積

有限集合族\(\{X_{i}\}_{i=1}^{n}\)が与えられたとき、それぞれの集合\(X_{i}\)から要素\(x_{i}\in X_{i}\)を適当に選んだ上で\(n\)組\((x_{i})_{i=1}^{n}\)を構成します。このようなすべての\(n\)組からなる集合を、\begin{equation*}
\prod_{i=1}^{n}X_{i}=\{(x_{i})_{i=1}^{n}\ |\ \forall i\in \{1,\cdots ,n\}:x_{i}\in X_{i}\}
\end{equation*}で表し、これを\(\{X_{i}\}_{i=1}^{n}\)の直積集合(direct product)やカルテシアン積(Cartesian product)などと呼びます。つまり、\begin{equation*}
(x_{i})_{i=1}^{n}\in \prod_{i=1}^{n}X_{i}\ \Leftrightarrow \ \forall i\in \{1,\cdots ,n\}:x_{i}\in X_{i}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。また、\(X_{i}\)を\(\prod_{i=1}^{n}X_{i}\)の\(i\)因子(\(i\)-th factor)と呼びます。

有限集合族\(\{X_{i}\}_{i=1}^{n}\)から構成される直積集合の中でも以下の 2 つの直積集合\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ X_{1}\times \cdots \times X_{i}\times \cdots \times X_{j}\times \cdots \times X_{n} \\
&&\left( b\right) \ X_{1}\times \cdots \times X_{j}\times \cdots \times X_{i}\times \cdots \times X_{n}
\end{eqnarray*}に注目します。\(\left( a\right) \)の第\(i\)因子と第\(j\)因子を入れ替えて得られるのが\(\left( b\right) \)です。\(X_{i}\not=X_{j}\)の場合には、\(\left( a\right) ,\left( b\right) \)のうちの一方だけにしか属さない順序対が存在することが容易に示されるため、直積集合の定義より\(\left( a\right) \)と\(\left( b\right) \)は異なる集合です。他方で、\(X_{i}=X_{j}\)の場合には\(\left( a\right) \)と\(\left( b\right) \)は等しい集合です。

特に、\(X=X_{1}=X_{2}=\cdots =X_{n}\)の場合にこの直積は\(X\times \cdots \times X\)となるため、この集合を\(X^{n}\)で表します。

有限集合族\(\{X_{i}\}_{i=1}^{n}\)に含まれる少なくとも 1 つの集合\(X_{i}\)が空集合\(\phi \)の場合には\(x_{i}\in X_{i}\)が偽であるため、直積の定義より\(\prod_{i=1}^{n}X_{i}=\phi \)が成り立ちます。

次回は可算集合族の直積集合について学びます。
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