集合 X が命題関数 P(x) から、集合 Y が命題関数 Q(x) からそれぞれ定義されるとき、X と Y の対称差とは命題 P(x), Q(x)のどちらか一方だけを満たすような要素を集めた集合です。言い換えると、Xだけに属する要素とYだけに属する要素を集めた集合が X と Y の対称差です。

2019年1月18日:公開

対称差

集合演算子\(\triangle \)を対称差(symmetric difference)と呼び、集合\(X,Y\)に\(\triangle \)を作用させることで得られる集合\(X\triangle Y\)を\(X\)と\(Y\)の対称差(symmetric difference of \(X\) and \(Y\))と呼びます。

集合\(X=\{x\in U\ |\ P(x)\},\ Y=\{x\in U\ |\ Q(x)\}\)に対して、それらの対称差を、\begin{equation*}
X\triangle Y=\{x\in U\ |\ \left[ P(x)\wedge \lnot Q(x)\right] \vee \left[ Q(x)\wedge \lnot P(x)\right] \}
\end{equation*}と定義します。つまり、全体集合\(U\)に属する要素の中でも、命題\(P\left( x\right) \)は真だが命題\(Q\left( x\right) \)は偽である要素\(x\)と、\(Q\left( x\right) \)は真だが\(P\left( x\right) \)は偽であるような要素\(x\)からなる集合が\(X\triangle Y\)です。言い換えると、\(X\triangle Y\)は命題\(P\left( x\right) \)と\(Q\left( x\right) \)のどちらか一方だけを満たすような要素を集めた集合です。

否定ついて復習する 論理積ついて復習する 論理和ついて復習する

それぞれの要素\(x\in U\)に対して、\begin{align*}
x\in X\bigtriangleup Y& \Leftrightarrow \ \left[ P(x)\ \wedge \ \lnot Q(x)\right] \ \vee \ \left[ Q(x)\ \wedge \ \lnot P(x)\right] \quad \because \
\Delta \text{の定義} \\
& \Leftrightarrow \ x\in X\backslash Y\ \vee \ x\in Y\backslash X\quad \therefore \ \backslash \text{の定義} \\
& \Leftrightarrow \ x\in (X\backslash Y)\cup (Y\backslash X)\quad \because \ \cap \text{の定義}
\end{align*}という関係が成り立つため、\begin{equation*}
X\bigtriangleup Y=(X\backslash Y)\cup (Y\backslash X)
\end{equation*}と表せます。つまり、全体集合\(U\)に属する要素の中でも、\(X\)には属するが\(Y\)には属さない要素と、\(Y\)には属するが\(X\)には属さない要素からなる集合が\(X\bigtriangleup Y\)です。言い換えると、\(X\bigtriangleup Y\)は\(X\)だけに属する要素と\(Y\)だけに属する要素を集めた集合です。

またこの関係は、対称差\(\triangle \)が差集合\(\backslash \)と和集合\(\cup \)から間接的に定義される集合演算であることを示唆しています。さらに差集合\(\backslash \)は補集合\(c\)と共通部分\(\cap \)から間接的に定義される集合演算ですから、結局、\(c,\cap ,\cup \)さえ定義されていれば\(\Delta \)を新たな集合演算として定義する必要はありません。

例(対称差)
集合\(X=\{1,2,4,6,a\}\)と集合\(Y=\{4,a,b,c,d,e\}\)について、\begin{eqnarray*}
X\triangle Y &=&(X\backslash Y)\cup (Y\backslash X) \\
&=&\{1,2,6\}\cup \{b,c,d,e\} \\
&=&\{1,2,6,b,c,d,e\}
\end{eqnarray*}です。
例(対称差)
集合\(X=\{1,2,3\}\)と集合\(Y=\{4,5,6\}\)について、\begin{eqnarray*}
X\triangle Y &=&(X\backslash Y)\cup (Y\backslash X) \\
&=&\{1,2,3\}\cup \{4,5,6\} \\
&=&\{1,2,3,4,5,6\} \\
&=&X\cup Y
\end{eqnarray*}です。
例(対称差)
集合\(X,Y\)が、\begin{align*}
X& =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ 1<x<10\right\} \\
Y& =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ 4\leq x\leq 15\right\}
\end{align*}としてそれぞれ与えられているとき、それらの対称差は、\begin{equation*}
X\Delta Y=\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ 1<x<4\ \vee \ 10\leq x\leq 15\right\}
\end{equation*}となります。

 

対称差のベン図

命題関数\(P\left( x\right) ,Q\left( x\right) \)の真理集合として\(X,Y\)がそれぞれ定義されるとき、\(X,Y\)はそれぞれ下図の丸い領域で表されます。対称差\(X\Delta Y\)は論理式\begin{equation*}
\left[ P(x)\wedge \lnot Q(x)\right] \vee \left[ Q(x)\wedge \lnot P(x)\right] \end{equation*}の真理集合\(\phi (\left( P\wedge \lnot Q\right) \vee \left( Q\wedge \lnot P\right) )\)に相当し、下図のグレーの領域で表されます。

対称差

表:対称差

次回から包含関係の性質について学びます。

次へ進む 演習問題(プレミアム会員限定)