教材一覧
教材検索
CURVE

無限大における曲線の極限

目次

< 前のページ
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

正の無限大における曲線の極限

これまでは曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)について、その変数\(x\)がある実数\(a\)とは異なる定義域\(X\)上の点をとりながら\(a\)に限りなく近づく際の\(f\)の極限について考えましたが、\(X=\mathbb{R} \)の場合など、\(f\)が限りなく大きい任意の実数において定義されている場合には、変数\(x\)が限りなく大きくなる場合の\(f\)の極限を考えることもできます。

具体的には、曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)の定義域\(X\)が限りなく大きい任意の実数を要素として持つとき、変数\(x\)が\(X\)上の点をとりながら限りなく大きくなるにつれて\(f\left( x\right) \)の値が\(\mathbb{R} ^{m}\)上のある点\(b\)に限りなく近づくならば、\(x\)が限りなく大きくなるときに\(f\)は\(b\)に収束する(converge)と言い、このことを、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) =b
\end{equation*}で表記します。繰り返しになりますが、\(x\)が限りなく大きくなる場合の\(f\)の収束可能性について議論する際には、\(f\)は限りなく大きい任意の実数において定義されている必要があります。具体例を挙げると、関数\(f\)の定義域\(X\)が全区間\(\mathbb{R} \)や無限区間\([s,+\infty ),(s,+\infty )\)などであれば問題ありません。一方、関数\(f\)の定義域\(X\)が有界な区間\(\left[ s,t\right] ,\left( s,t\right) \)である場合などには、\(f\)は限りなく大きい任意の実数において定義されていないため、\(x\rightarrow +\infty \)の場合の\(f\left( x\right) \)の値の挙動を調べることができず、したがって\(x\)が限りなく大きくなるときに\(f\)が収束するかどうかを検討することさえできません。

繰り返しになりますが、曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が\(x\rightarrow +\infty \)のときに点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)へ収束すること、すなわち、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) =b
\end{equation*}が成り立つこととは、\(x\)が\(X\)上の点をとりながら限りなく大きくなるにつれて\(f\left( x\right) \)の値が\(b\)に限りなく近づくことを意味しますが、これはどのような形で厳密に表現できるでしょうか。まず、\(f\left( x\right) \)が\(b\)に限りなく近いと言うためには、\(f\left( x\right) \)と\(b\)の近さを表す指標が必要です。そこで、\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離を表す指標として正の実数\(\varepsilon >0\)を導入したとき、\begin{equation*}
d\left( f\left( x\right) ,b\right) <\varepsilon
\end{equation*}が成り立つならば、「\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離は\(\varepsilon \)よりも小さい」と言えます。

次に問題になるのは「\(x\)が大きくなるにつれて」という表現の定式化です。\(x\)が大きくなるにつれて\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離が\(\varepsilon \)よりも小さくなることとは、ある値以上の任意の\(x\)について、\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離が\(\varepsilon \)よりも小さくなることとして言い換え可能です。つまり、ある正の実数\(M>0\)が存在して、\(x>M\)を満たす任意の\(x\)について\(d\left( f\left( x\right) ,b\right) <\varepsilon \)が成り立つということです。これを定式化すると、

\begin{equation}
\exists M>0,\ \forall x\in X:\left( x>M\Rightarrow d\left( f\left( x\right) ,b\right) <\varepsilon \right) \quad\cdots (1)
\end{equation}

となります。上の論理式が成り立つならば、「\(x\)が大きくなるにつれて\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離が\(\varepsilon \)よりも小さくなる」と言えます。

最後に問題になるのは「限りなく近づく」という表現の定式化です。\(x\rightarrow +\infty \)のときに\(f\left( x\right) \)が\(b\)に収束することとは、\(x\)が大きくなるにつれて\(f\left( x\right) \)が\(b\)に限りなく近づくことを意味しますが、この場合、限りなく小さい実数\(\varepsilon \)を選んだ場合においても、\(x\)が大きくなるにつれて\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離が\(\varepsilon \)よりも小さくなるはずです。\(\left( 1\right) \)を踏まえるとこれは、\begin{equation}
\forall \varepsilon >0,\ \exists M>0,\ \forall x\in X:\left( x>M\Rightarrow d\left( f\left( x\right) ,b\right) <\varepsilon \right)
\end{equation}すなわち、\begin{equation}
\forall \varepsilon >0,\ \exists M>0,\ \forall x\in X:\left( x>M\Rightarrow \sqrt{\sum_{i=1}^{m}\left( f_{i}\left( x\right) -b_{i}\right) ^{2}}<\varepsilon \right) \quad\cdots (2)
\end{equation}と表現できます。そこで、曲線\(f\)が点\(b\)に対して\(\left( 2\right) \)を満たす場合、\(f\)は\(x\rightarrow +\infty \)のときに\(b\)へ収束すると言い、このことを、\begin{equation}
\lim_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) =b
\end{equation}と表記します。以上が曲線\(f\)が正の無限大において収束することの定義です。

例(正の無限大における曲線の極限)
終集合が1次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} \)であるような曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)は関数に他なりません。この曲線\(f\)が\(x\rightarrow +\infty \)のときに点\(b\in \mathbb{R} \)へ収束することとは、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0,\ \exists M>0,\ \forall x\in X:\left( x>M\Rightarrow
\sqrt{\left( f\left( x\right) -b\right) ^{2}}<\varepsilon \right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0,\ \exists M>0,\ \forall x\in X:\left( x>M\Rightarrow
\left\vert f\left( x\right) -b\right\vert <\varepsilon \right)
\end{equation*}が成り立つことを意味しますが、これは関数\(f\)が\(x\rightarrow +\infty \)のときに点\(b\)へ収束することの定義に他なりません。したがって、正の無限大における曲線の極限は正の無限大における関数の極限の一般化です。
例(正の無限大における曲線の極限)
曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)が\(x\rightarrow +\infty \)のときに点\(b=\left( b_{1},b_{2}\right) \in \mathbb{R} \)に収束することは、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0,\ \exists M>0,\ \forall x\in X:\left( x>M\Rightarrow
\sqrt{\left( f_{1}\left( x\right) -b_{1}\right) ^{2}+\left( f_{2}\left(
x\right) -b_{2}\right) ^{2}}<\varepsilon \right)
\end{equation*}が成り立つこととして表現されます。ただし、\(f_{i}\ \left( i=1,2\right) \)は\(f\)の座標関数です。

 

負の無限大における曲線の極限

曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、変数\(x\)が定義域\(X\)上の点をとりながら限りなく大きくなる場合の極限について考えましたが、\(X=\mathbb{R} \)の場合など、\(f\)が限りなく小さい任意の実数において定義されている場合には、変数\(x\)が限りなく小さくなる場合の曲線\(f\)の極限を考えることもできます。

具体的には、曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)の定義域\(X\)が限りなく小さい任意の実数を要素として持つとき、変数\(x\)が定義域\(X\)上の点をとりながら限りなく小さくなるにつれて\(f\left( x\right) \)の値が\(\mathbb{R} ^{m}\)上のある点\(b\)に限りなく近づくならば、\(x\)が限りなく小さくなるときに\(f\)は\(b\)に収束する(converge)と言い、このことを、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow -\infty }f\left( x\right) =b
\end{equation*}で表記します。繰り返しになりますが、\(x\)が限りなく小さくなる場合の\(f\)の収束可能性について議論する際には、当然ながら、\(f\)は限りなく小さい任意の実数において定義されている必要があります。具体例を挙げると、曲線\(f\)の定義域\(X\)が全区間\(\mathbb{R} \)や無限区間\((-\infty ,t],(-\infty ,t)\)などであれば問題ありません。一方、曲線\(f\)の定義域\(X\)が有界な区間\(\left[ s,t\right] ,\left( s,t\right) \)である場合などには、\(f\)は限りなく小さい任意の実数において定義されていないため、\(x\rightarrow -\infty \)の場合の\(f\left( x\right) \)の値の挙動を調べることができず、したがって\(x\)が限りなく小さくなるときに\(f\)が収束するかどうかを検討することさえできません。

繰り返しになりますが、曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が\(x\rightarrow -\infty \)のときに点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)へ収束すること、すなわち、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow -\infty }f\left( x\right) =b
\end{equation*}が成り立つこととは、\(x\)が\(X\)上の点をとりながら限りなく小さくなるにつれて\(f\left( x\right) \)の値が\(b\)に限りなく近づくことを意味しますが、これはどのような形で厳密に表現できるでしょうか。まず、\(f\left( x\right) \)が\(b\)に限りなく近いと言うためには、\(f\left( x\right) \)と\(b\)の近さを表す指標が必要です。そこで、\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離を表す指標として正の実数\(\varepsilon >0\)を導入したとき、\begin{equation*}
d\left( f\left( x\right) ,b\right) <\varepsilon
\end{equation*}が成り立つならば、「\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離は\(\varepsilon \)よりも小さい」と言えます。

次に問題になるのは「\(x\)が小さくなるにつれて」という表現の定式化です。\(x\)が小さくなるにつれて\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離が\(\varepsilon \)よりも小さくなることとは、ある値以下の任意の\(x\)について、\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離が\(\varepsilon \)よりも小さくなることとして言い換え可能です。つまり、ある負の実数\(L<0\)が存在して、\(x<L\)を満たす任意の\(x\)について\(d\left( f\left( x\right) ,b\right) <\varepsilon \)が成り立つということです。これを定式化すると、\begin{equation}
\exists L<0,\ \forall x\in X:\left( x<L\Rightarrow d\left( f\left( x\right)
,b\right) <\varepsilon \right) \quad\cdots (1)
\end{equation}となります。上の論理式が成り立つならば、「\(x\)が小さくなるにつれて\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離が\(\varepsilon \)よりも小さくなる」と言えます。

最後に問題になるのは「限りなく近づく」という表現の定式化です。\(x\rightarrow -\infty \)のときに\(f\left( x\right) \)が\(b\)に収束することとは、\(x\)が小さくなるにつれて\(f\left( x\right) \)が\(b\)に限りなく近づくことを意味しますが、この場合、限りなく小さい実数\(\varepsilon \)を選んだ場合においても、\(x\)が小さくなるにつれて\(f\left( x\right) \)と\(b\)の間の距離が\(\varepsilon \)よりも小さくなるはずです。\(\left( 1\right) \)を踏まえるとこれは、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0,\ \exists L<0,\ \forall x\in X:\left( x<L\Rightarrow
d\left( f\left( x\right) ,b\right) <\varepsilon \right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation}
\forall \varepsilon >0,\ \exists L<0,\ \forall x\in X:\left( x<L\Rightarrow
\sqrt{\sum_{i=1}^{m}\left( f_{i}\left( x\right) -b_{i}\right) ^{2}}<\varepsilon \right) \quad\cdots (2)
\end{equation}と表現できます。そこで、曲線\(f\)が点\(b\)に対して\(\left( 2\right) \)を満たす場合、\(f\)は\(x\rightarrow -\infty \)のときに\(b\)へ収束すると言い、このことを、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow -\infty }f\left( x\right) =b
\end{equation*}と表記します。以上が曲線が負の無限大において収束することの定義です。

例(負の無限大における曲線の極限)
終集合が1次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} \)であるような曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)は関数に他なりません。この曲線\(f\)が\(x\rightarrow -\infty \)のときに点\(b\in \mathbb{R} \)へ収束することとは、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0,\ \exists L<0,\ \forall x\in X:\left( x<L\Rightarrow
\sqrt{\left( f\left( x\right) -b\right) ^{2}}<\varepsilon \right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0,\ \exists L<0,\ \forall x\in X:\left( x<L\Rightarrow
\left\vert f\left( x\right) -b\right\vert <\varepsilon \right)
\end{equation*}が成り立つことを意味しますが、これは関数\(f\)が\(x\rightarrow -\infty \)のときに点\(b\)へ収束することの定義に他なりません。したがって、負の無限大における曲線の極限は負の無限大における関数の極限の一般化です。
例(負の無限大における曲線の極限)
曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)が\(x\rightarrow -\infty \)のときに点\(b=\left( b_{1},b_{2}\right) \in \mathbb{R} \)に収束することは、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0,\ \exists L<0,\ \forall x\in X:\left( x<L\Rightarrow
\sqrt{\left( f_{1}\left( x\right) -b_{1}\right) ^{2}+\left( f_{2}\left(
x\right) -b_{2}\right) ^{2}}<\varepsilon \right)
\end{equation*}が成り立つこととして表現されます。ただし、\(f_{i}\ \left( i=1,2\right) \)は\(f\)の座標関数です。

 

無限大における曲線の極限と座標関数の極限の関係

曲線が正もしくは負の無限大において収束することをイプシロン・デルタ論法を用いて証明するのは面倒です。また、証明を行う際に極限の候補が必要になるという問題もあります。ただ、これらの問題は以下の理由により解決可能です。

曲線が正の無限大において収束することと、その曲線のそれぞれの座標関数が正の無限大において収束することは必要十分です。つまり、曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が\(x\rightarrow +\infty \)のときに収束することは、\(f\)のそれぞれの座標関数\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)が\(x\rightarrow +\infty \)のときに収束することと必要十分であり、それらの極限の間には、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow \infty }f\left( x\right) =\left(
\begin{array}{c}
\lim\limits_{x\rightarrow \infty }f_{1}\left( x\right) \\
\vdots \\
\lim\limits_{x\rightarrow \infty }f_{m}\left( x\right)
\end{array}\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。証明は以下の通りです。

まずは十分性の証明です。曲線\(f\)が\(x\rightarrow +\infty \)のときに点\(b=\left( b_{1},\cdots ,b_{m}\right) \in \mathbb{R} ^{m}\)へ収束するものとします。つまり、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0,\ \exists M>0,\ \forall x\in X:\left( x>M\Rightarrow
\sqrt{\sum_{i=1}^{m}\left( f_{i}\left( x\right) -b_{i}\right) ^{2}}<\varepsilon \right)
\end{equation*}が成り立つということです。上の論理式の結論は両辺とも正であるため、このとき、\begin{equation}
\sum_{i=1}^{m}\left( f_{i}\left( x\right) -b_{i}\right) ^{2}<\varepsilon ^{2}
\quad\cdots (1)
\end{equation}が成り立ちます。任意の\(i\)について\(\left( f_{i}\left( x\right) -b_{i}\right) ^{2}\geq 0\)であることを踏まえると、\begin{equation*}
\left( f_{i}\left( x\right) -b_{i}\right) ^{2}\leq \sum_{i=1}^{m}\left(
f_{i}\left( x\right) -b_{i}\right) ^{2}
\end{equation*}を得ますが、これと\(\left( 1\right) \)より、\begin{equation*}
\left( f_{i}\left( x\right) -b_{i}\right) ^{2}<\varepsilon ^{2}
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\left\vert f_{i}\left( x\right) -b_{i}\right\vert <\varepsilon
\end{equation*}を得ます。したがって座標関数\(f_{i}\)は\(x\rightarrow +\infty \)のときに\(b_{i}\)へ収束します。任意の\(i\)について同様の議論が成り立つため、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow \infty }f\left( x\right) =\left(
\begin{array}{c}
\lim\limits_{x\rightarrow \infty }f_{1}\left( x\right) \\
\vdots \\
\lim\limits_{x\rightarrow \infty }f_{m}\left( x\right)
\end{array}\right)
\end{equation*}が成り立つことが明らかになりました(必要性の証明は長くなるため「命題の証明」ページへ掲載します)。

命題(正の無限大における曲線の極限と座標関数の極限の関係)
曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)のすべての座標関数\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)が\(x\rightarrow \infty \)のときに有限な実数へ収束することは、曲線\(f\)が\(x\rightarrow \infty \)のときに\(\mathbb{R} ^{m}\)の点へ収束するための必要十分条件であり、それらの極限の間には、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow \infty }f\left( x\right) =\left(
\begin{array}{c}
\lim\limits_{x\rightarrow \infty }f_{1}\left( x\right) \\
\vdots \\
\lim\limits_{x\rightarrow \infty }f_{m}\left( x\right)
\end{array}\right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。
証明を見る(プレミアム会員限定)

負の無限大における極限に関しても同様の命題が成り立ちます。

命題(負の無限大における曲線の極限と座標関数の極限の関係)
曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)のすべての座標関数\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)が\(x\rightarrow -\infty \)のときに有限な実数へ収束することは、曲線\(f\)が\(x\rightarrow -\infty \)のときに\(\mathbb{R} ^{m}\)の点へ収束するための必要十分条件であり、それらの極限の間には、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow -\infty }f\left( x\right) =\left(
\begin{array}{c}
\lim\limits_{x\rightarrow -\infty }f_{1}\left( x\right) \\
\vdots \\
\lim\limits_{x\rightarrow -\infty }f_{m}\left( x\right)
\end{array}\right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。
証明を見る(プレミアム会員限定)

曲線が無限大において収束することを示したい場合には、その曲線のすべての座標関数が無限大において収束することを示せばよいということです。さらに、それぞれの座標関数の極限を成分とする点が、もとの曲線の極限と一致します。以上の2つの命題は、無限大における曲線の極限に関する問題が、無限大における関数の極限に関する問題へと帰着させられることを示唆しています。関数の極限について学んだ知識は、曲線の極限を考える上でも利用できるというわけです。

例(無限大における曲線の極限と座標関数の極限の関係)
曲線\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left(
\begin{array}{c}
f_{1}\left( x\right) \\
f_{2}\left( x\right)
\end{array}\right) =\left(
\begin{array}{c}
\frac{1}{x} \\
-\frac{1}{x}\end{array}\right) \in \mathbb{R} ^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)が\(x\rightarrow \infty \)のときに収束するかどうかを検討しようとしている状況を想定します。座標関数\(f_{1},f_{2}:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)に関して、\begin{eqnarray*}
\lim_{x\rightarrow \infty }f_{1}\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow
\infty }\left( \frac{1}{x}\right) =0 \\
\lim_{x\rightarrow \infty }f_{2}\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow
\infty }\left( -\frac{1}{x}\right) =0
\end{eqnarray*}が成り立つため、上の命題より\(f\)もまた\(x\rightarrow \infty \)のときに収束し、そこでの極限は、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow \infty }f\left( x\right) =\left( 0,0\right)
\end{equation*}となります。

先の命題より、曲線\(f\)の座標関数\(f_{i}\)の中に無限大において有限な実数へ収束しないものが存在する場合、\(f\)もまた無限大において収束しません。

例(無限大における曲線の極限と座標関数の極限の関係)
曲線\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left(
\begin{array}{c}
f_{1}\left( x\right) \\
f_{2}\left( x\right)
\end{array}\right) =\left(
\begin{array}{c}
\frac{1}{x} \\
x+1\end{array}\right) \in \mathbb{R} ^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)が\(x\rightarrow \infty \)のときに収束するかどうかを検討しようとしている状況を想定します。座標関数\(f_{2}:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} \)に関して、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow \infty }f_{2}\left( x\right) =\lim_{x\rightarrow \infty
}\left( x+1\right) =+\infty
\end{equation*}が成り立つため、先の命題より、曲線\(f\)は\(x\rightarrow \infty \)のときに収束しません。

 

無限大における曲線の極限と点列の極限の関係

曲線が正の無限大において収束することは点列の収束を用いて表現することもできます。曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)と点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) =b
\end{equation*}が成り立つものとします。つまり、\(f\)は\(x\rightarrow \infty \)のときに点\(b\)へ収束するということです。このとき、以下の条件\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ \forall v\in \mathbb{N} :x_{v}\in X \\
&&\left( b\right) \ \lim_{v\rightarrow +\infty }x_{v}=+\infty
\end{eqnarray*}をともに満たす数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選びます。つまり、\(X\)の点を項とするとともに正の無限大へ発散する数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選ぶということです。この数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の任意の項\(x_{v}\)は\(X\)の要素であるため、それに対して\(f\)は像\(f\left( x_{v}\right) \)を定めます。\(f\left( x_{v}\right) \)は\(\mathbb{R} ^{m}\)の点であるため、これを項とする点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)を構成できます。このとき、この点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)が\(b\)へ収束することが保証されます。証明は以下の通りです。

曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)と点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)について\(\lim\limits_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) =b\)が成り立つものとします。つまり、\begin{equation}
\forall \varepsilon >0,\ \exists M>0,\ \forall x\in X:\left( x>M\Rightarrow
d\left( f\left( x\right) ,b\right) <\varepsilon \right) \quad\cdots (1)
\end{equation}が成り立つということです。その上で、\(X\)の点を項とするとともに正の無限大へ発散する数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選びます。\(\left\{ x_{v}\right\} \)が正の無限大へ発散することから、\(\left( 1\right) \)中の\(M>0\)が与えられたとき、それに対して、\begin{equation}
\exists N\in \mathbb{N} ,\ \forall v\in \mathbb{N} :\left( v\geq N\Rightarrow x_{v}>M\right) \quad\cdots (2)
\end{equation}が成り立ちます。\(x_{v}\in X\)であることを踏まえると、\(\left( 1\right) \)と\(\left( 2\right) \)より、\begin{equation*}
d\left( f\left( x_{v}\right) ,b\right) <\varepsilon
\end{equation*}が成り立ちます。以上の議論により、\begin{equation*}
\forall \varepsilon >0,\ \exists N\in \mathbb{N} ,\ \forall v\in \mathbb{N} :\left( v\geq N\Rightarrow d\left( f\left( x_{v}\right) ,b\right)
<\varepsilon \right)
\end{equation*}が成り立つことが示されましたが、これは点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)が\(b\)へ収束することの定義に他なりません。

命題(正の無限大における曲線の極限と点列の極限の関係)
曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)と点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、\(X\)の点を項とするとともに正の無限大\(+\infty \)へ発散する数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選んだ上で、そこから点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)をつくる。このとき、曲線\(f\)について、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) =b
\end{equation*}が成り立つならば、先のように定義された任意の点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)について、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow +\infty }f\left( x_{v}\right) =b
\end{equation*}が成り立つ。
証明を見る(プレミアム会員限定)

上の命題の逆もまた成立します。つまり、曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)と点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、以下の条件\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ \forall v\in \mathbb{N} :x_{v}\in X \\
&&\left( b\right) \ \lim_{v\rightarrow +\infty }x_{v}=+\infty
\end{eqnarray*}をともに満たす数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選んだ上で、さらにそこから点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)を構成します。このように定義される任意の点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)が\(b\)へ収束する場合には、\(x\rightarrow +\infty \)のときに曲線\(f\)が\(b\)へ収束することが保証されます(証明は長くなるため「命題の証明」ページへ掲載します)。

命題(正の無限大における曲線の極限と点列の極限の関係)
曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)と点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、\(X\)の点を項とするとともに正の無限大\(+\infty \)へ発散する数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選んだ上で、そこから点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)をつくる。このように定義された任意の点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)について、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow +\infty }f\left( x_{v}\right) =b
\end{equation*}が成り立つならば、曲線\(f\)について、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) =b
\end{equation*}が成り立つ。
証明を見る(プレミアム会員限定)

この命題について注意しなければならないのは、\(X\)の点を項とするとともに正の無限大へ発散する任意の数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)に対して、そこから構成される点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)が\(b\)へ収束することを前提条件として保証する必要があるということです。したがって、このような性質を満たす数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)が少なくとも1つ存在することを示しただけでは、上の命題が要求する前提条件を満たしたことにはなりません。

以上の2つの命題により、正の無限大において曲線が収束することは点列を用いて以下のように特徴づけられることが明らかになりました。

命題(正の無限大における曲線の極限と点列の極限の関係)
曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)と点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、\(X\)の点を項とするとともに正の無限大\(+\infty \)へ発散する数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選んだ上で、そこから点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)をつくる。このように定義された任意の点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)について、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow +\infty }f\left( x_{v}\right) =b
\end{equation*}が成り立つことは、曲線\(f\)について、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) =b
\end{equation*}が成り立つための必要十分条件である。
証明を見る(プレミアム会員限定)

負の無限大において収束する曲線についても同様の命題が成り立ちます。つまり、曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)と点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、\(X\)の点を項とするとともに負の無限大\(-\infty \)へ発散する点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選びます。つまり、以下の条件\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ \forall v\in \mathbb{N} :x_{v}\in X \\
&&\left( b\right) \ \lim_{v\rightarrow +\infty }x_{v}=-\infty
\end{eqnarray*}をともに満たす数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選ぶと言うことです。さらにそこから点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)を構成します。このように定義される任意の点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)が\(b\)へ収束することと、\(x\rightarrow -\infty \)のときに曲線\(f\)が\(b\)へ収束することは必要十分です(証明は長くなるため「命題の証明」ページへ掲載します)。

命題(負の無限大における曲線の極限と点列の極限の関係)
曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)と点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、\(X\)の点を項とするとともに負の無限大\(-\infty \)へ発散する数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選んだ上で、そこから点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)をつくる。このように定義された任意の点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)について、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow +\infty }f\left( x_{v}\right) =b
\end{equation*}が成り立つことは、曲線\(f\)について、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow -\infty }f\left( x\right) =b
\end{equation*}が成り立つための必要十分条件である。
証明を見る(プレミアム会員限定)

以上の2つの命題は、無限大における曲線の極限に関する問題がユークリッド空間上の点列の極限に関する問題に帰着させられることを示唆しています。点列の極限について学んだ知識は、曲線の極限を考える上でも利用できるというわけです。ただ、ユークリッド空間上の点列が収束することを示すのはやや面倒です。ただ、このような問題は以下の理由により解決できます。

曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)の座標関数を\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)で表します。上の命題中の\(\mathbb{R} ^{m}\)上の点列\(\{f\left( x_{v}\right) \}\)の一般項は、\begin{equation*}
f\left( x_{v}\right) =\left( f_{1}\left( x_{v}\right) ,\cdots ,f_{m}\left(
x_{v}\right) \right)
\end{equation*}と表せるため、点列\(\{f\left( x_{v}\right) \}\)から\(m\)個の座標数列\(\{f_{1}\left( x_{v}\right) \},\cdots ,\{f_{m}\left( x_{v}\right) \}\)を得ることができます。これら\(m\)個の数列がすべて収束することは、点列\(\{f\left( x_{v}\right) \}\)が収束するための必要十分条件であり、それらの極限の間には、\begin{equation*}
\lim\limits_{v\rightarrow +\infty }f\left( x_{v}\right) =\left(
\lim\limits_{v\rightarrow +\infty }f_{1}\left( x_{v}\right) ,\cdots
,\lim\limits_{v\rightarrow +\infty }f_{m}\left( x_{v}\right) \right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。以上の事実を踏まえると、正の無限大の極限に関する先の命題を以下のように言い換えることができます。

命題(正の無限大における曲線の極限と数列の極限の関係)
曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)と点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、\(X\)の点を項とするとともに正の無限大\(+\infty \)へ発散する数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選んだ上で、そこから点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)をつくる。このように定義された任意の点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)のそれぞれの座標数列\(\left\{ f_{i}\left( x_{v}\right) \right\} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)が有限な実数へ収束することは、曲線\(f\)が\(x\rightarrow +\infty \)のときに収束するための必要十分条件であるとともに、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) =\left(
\lim\limits_{v\rightarrow +\infty }f_{1}\left( x_{v}\right) ,\cdots
,\lim\limits_{v\rightarrow +\infty }f_{m}\left( x_{v}\right) \right)
\end{equation*}が成り立つ。
証明を見る(プレミアム会員限定)

負の無限大の極限に関しても同様の命題が成り立ちます。

命題(負の無限大における曲線の極限と数列の極限の関係)
曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)と点\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、\(X\)の点を項とするとともに負の無限大\(-\infty \)へ発散する数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選んだ上で、そこから点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)をつくる。このように定義された任意の点列\(\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} \)のそれぞれの座標数列\(\left\{ f_{i}\left( x_{v}\right) \right\} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)が有限な実数へ収束することは、曲線\(f\)が\(x\rightarrow -\infty \)のときに収束するための必要十分条件であるとともに、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow -\infty }f\left( x\right) =\left(
\lim\limits_{v\rightarrow +\infty }f_{1}\left( x_{v}\right) ,\cdots
,\lim\limits_{v\rightarrow +\infty }f_{m}\left( x_{v}\right) \right)
\end{equation*}が成り立つ。
証明を見る(プレミアム会員限定)

以上の2つの命題は、無限大における曲線の極限に関する問題が、数列の極限に関する問題に帰着させられることを示唆しています。数列の極限に関して学んだ知識は、無限大における曲線の極限を考える上でも利用できるというわけです。

例(無限大における曲線の極限と数列の極限の関係)
曲線\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left(
\begin{array}{c}
f_{1}\left( x\right) \\
f_{2}\left( x\right)
\end{array}\right) =\left(
\begin{array}{c}
\frac{1}{x} \\
-\frac{1}{x}\end{array}\right) \in \mathbb{R} ^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)が\(x\rightarrow +\infty \)のときに収束するかどうかを検討しようとしている状況を想定します。\(\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)の点を項とするとともに正の無限大\(+\infty \)へ発散する数列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選んだ上で、そこから\(\mathbb{R} ^{2}\)上の点列\begin{eqnarray*}
\left\{ f\left( x_{v}\right) \right\} &=&\left\{ \left( f_{1}\left(
x_{v}\right) ,f_{2}\left( x_{v}\right) \right) \right\} \\
&=&\left\{ \left( \frac{1}{x},-\frac{1}{x}\right) \right\}
\end{eqnarray*}を作ります。座標数列\(\left\{ f_{1}\left( x_{v}\right) \right\} \)については、\begin{eqnarray*}
\lim_{v\rightarrow +\infty }f_{1}\left( x_{v}\right) &=&\lim_{v\rightarrow
+\infty }\left( \frac{1}{x_{v}}\right) \\
&=&0\quad \because \lim_{v\rightarrow +\infty }x_{v}=+\infty
\end{eqnarray*}が成り立ち、座標数列\(\left\{ f_{2}\left( x_{v}\right) \right\} \)については、\begin{eqnarray*}
\lim_{v\rightarrow +\infty }f_{2}\left( x_{v}\right) &=&\lim_{v\rightarrow
+\infty }\left( -\frac{1}{x_{v}}\right) \\
&=&0\quad \because \lim_{v\rightarrow +\infty }x_{v}=+\infty
\end{eqnarray*}が成り立つため、先の命題より、曲線\(0\)は\(x\rightarrow +\infty \)のときに収束し、そこでの極限は、\begin{eqnarray*}
\lim_{x\rightarrow +\infty }f\left( x\right) &=&\left( \lim_{v\rightarrow
+\infty }f_{1}\left( x_{v}\right) ,\lim_{v\rightarrow +\infty }f_{2}\left(
x_{v}\right) \right) \\
&=&\left( 0,0\right)
\end{eqnarray*}となります。

 

無限大における曲線の極限の一意性

曲線が正の無限大において収束するとき、その極限はそれぞれの座標曲線の正の無限大における極限を成分とする点と一致することが明らかになりました。一般に、関数が正の無限大において収束する場合には極限は一意的であるため、座標関数の極限もまた一意的です。したがって、曲線が正の無限大において収束する場合、その極限は一意的です。負の無限大における極限についても同様です。

命題(無限大における曲線の極限の一意性)
曲線\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が正の無限大\(+\infty \)において収束する場合には、その極限\(\lim\limits_{x\rightarrow +\infty }f(x)\in \mathbb{R} \)は一意的である。また、\(f\)が負の無限大\(-\infty \)において収束する場合には、その極限\(\lim\limits_{x\rightarrow -\infty }f(x)\in \mathbb{R} \)は一意的である。
証明を見る(プレミアム会員限定)

次回から曲線(ベクトル値関数)の基本的な性質について解説します。

質問・コメント(プレミアム会員限定) 演習問題(プレミアム会員限定) 次へ進む
< 前のページ
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録