多変数関数の連続微分可能性

多変数関数が偏微分可能であることに加えてすべての変数に関する偏導関数が連続である場合、その関数は連続微分可能であると言います。

\(C^{0}\)級の多変数関数

多変数関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が点\(a\in X\)において連続である場合、\(f\)は\(a\)において\(C^{0}\)級である(class \(C^{0}\) at \(a\))と表現します。

関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が\(C^{0}\)級であるような点からなる集合が\(Y\subset X\)である場合、\(f\)は\(Y\)において\(C^{0}\)級である(class \(C^{0}\) on \(Y\))と表現します。これは\(f\)が\(Y\)上の任意の点において連続であることを意味します。特に、\(Y=X\)である場合、すなわち\(f\)が定義域上の任意の点において\(C^{0}\)級である場合には、\(f\)は\(C^{0}\)級である(class \(C^{0}\))と表現します。これは\(f\)が定義域\(X\)上の任意の点において連続であることを意味します。

例(\(C^[0]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =x^{4}+y^{4}-4x^{2}y^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多変数の多項式関数であるため定義域\(\mathbb{R} ^{2}\)上で連続です。つまり、\(f\)は\(C^{0}\)級の関数です。
例(\(C^[0]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\frac{1}{x^{2}+y^{2}+1}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多変数の有理関数であるため定義域\(\mathbb{R} ^{2}\)上で連続です。つまり、\(f\)は\(C^{0}\)級の関数です。
例(\(C^[0]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\sin \left( x^{2}y^{2}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多変数の単項式関数\(x^{2}y^{2}\)と1変数の正弦関数\(\sin \left( x\right) \)の合成関数であることに注意してください。これらはともに連続であるため、合成関数の連続性より\(f\)は\(\mathbb{R} ^{2}\)上で連続です。つまり、\(f\)は\(C^{0}\)級の関数です。

偏微分可能性は連続性を含意しないため、関数\(f\)が点\(a\)において偏微分可能である場合、\(f\)は点\(a\)において\(C^{0}\)級であるとは限りません。以下の例より明らかです。

例(偏微分可能だが\(C^[0]\)級ではない関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\frac{xy}{x^{2}+y^{2}} & \left( if\ \left( x,y\right) \not=\left( 0,0\right)
\right) \\
0 & \left( if\ \left( x,y\right) =\left( 0,0\right) \right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は偏微分可能である一方で点\(\left( 0,0\right) \)において連続ではありません。つまり、\(f\)は点\(\left( 0,0\right) \)において\(C^{0}\)級ではありません(演習問題)。

逆もまた成立しません。つまり、関数\(f\)が点\(a\)において\(C^{0}\)級であるとき、\(f\)は点\(a\)において偏微分可能であるとは限りません。以下の例より明らかです。

例(\(C^[0]\)級だが偏微分可能ではない関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\vert x\right\vert +\left\vert y\right\vert
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は\(\mathbb{R} ^{2}\)上の任意の点において連続、すなわち\(C^{0}\)級である一方、\(f\)は点\(\left( 0,0\right) \)において偏微分可能ではありません(演習問題)。

 

\(C^{1}\)級の多変数関数

関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が点\(a\in X\)において偏微分可能であるとともに、任意の変数\(x_{k}\ \left(k=1,\cdots ,n\right) \)に関する偏導関数\(f_{x_{k}}^{\prime }\)が点\(a\)において連続である場合、\(f\)は\(a\)において\(C^{1}\)級である(class \(C^{1}\) at \(a\))とか\(a\)において連続微分可能である(continuously differentiable at \(a\))などと表現します。これは、点\(a\)における勾配ベクトル\begin{equation*}\nabla f\left( a\right) =\left( f_{x_{1}}^{\prime }\left( a\right) ,\cdots
,f_{x_{n}}^{\prime }\left( a\right) \right) \in \mathbb{R} ^{n}
\end{equation*}が存在するとともに、勾配ベクトル場\(\nabla f\left( x\right) \)が点\(a\)において連続であることと必要十分です。

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が\(C^{1}\)級であるような点からなる集合が\(Y\subset X\)である場合、\(f\)は\(Y\)において\(C^{1}\)級である(class \(C^{1}\) on \(Y\))とか\(Y\)において連続微分可能である(continuously differentiable on \(Y\))などと表現します。これは\(f\)が\(Y\)上の任意の点において偏微分可能であるとともに任意の変数\(x_{k}\)に関する偏導関数\(f_{x_{k}}^{\prime }\)が\(Y\)上の任意の点において連続であることを意味します。これは、勾配ベクトル場\(\nabla f\left( x\right) \)が\(y\)上の任意の点において定義されており、なおかつ連続であることと必要十分です。特に、\(Y=X\)である場合、すなわち\(f\)が定義域上の任意の点において\(C^{1}\)級である場合には、\(f\)は\(C^{1}\)級である(class \(C^{1}\))とか連続微分可能である(continuously differentiable)などと表現します。これは\(f\)が定義域\(X\)上の任意の点において偏微分可能であるとともに任意の変数\(x_{k}\)に関する偏導関数\(f_{x_{k}}^{\prime }\)が\(X\)上の任意の点において連続であることを意味します。

例(\(C^[1]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =x^{4}+y^{4}-4x^{2}y^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多変数の多項式関数であるため偏微分可能であり、勾配ベクトル場\(\nabla f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{eqnarray*}\nabla f\left( x,y\right) &=&\left( f_{x}^{\prime }\left( x,y\right)
,f_{y}^{\prime }\left( x,y\right) \right) \\
&=&\left( 4x^{3}-8xy^{2},4y^{3}-8x^{2}y\right)
\end{eqnarray*}を定めます。\(f_{x}^{\prime }\)と\(f_{y}^{\prime }\)はともに多変数の多項式関数であるため\(\mathbb{R} ^{2}\)上で連続です。したがって\(f\)は\(C^{1}\)級の関数です。
例(\(C^[1]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\frac{1}{x^{2}+y^{2}+1}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多変数の有理関数であるため偏微分可能であり、勾配ベクトル場\(\nabla f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{eqnarray*}\nabla f\left( x,y\right) &=&\left( f_{x}^{\prime }\left( x,y\right)
,f_{y}^{\prime }\left( x,y\right) \right) \\
&=&\left( -\frac{2x}{\left( x^{2}+y^{2}+1\right) ^{2}},-\frac{2y}{\left(
x^{2}+y^{2}+1\right) ^{2}}\right)
\end{eqnarray*}を定めます。\(f_{x}^{\prime }\)と\(f_{y}^{\prime }\)はともに多変数の有理関数であるため\(\mathbb{R} ^{2}\)上で連続です。したがって\(f\)は\(C^{1}\)級の関数です。
例(\(C^[1]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\sin \left( x^{2}y^{2}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多変数の単項式関数\(x^{2}y^{2}\)と1変数の正弦関数\(\sin \left( x\right) \)の合成関数であるため偏微分可能であり、勾配ベクトル場\(\nabla f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{eqnarray*}\nabla f\left( x,y\right) &=&\left( f_{x}^{\prime }\left( x,y\right)
,f_{y}^{\prime }\left( x,y\right) \right) \\
&=&\left( 2xy^{2}\cos \left( x^{2}y^{2}\right) ,2x^{2}y\cos \left(
x^{2}y^{2}\right) \right)
\end{eqnarray*}を定めます。\(f_{x}^{\prime }\)と\(f_{y}^{\prime }\)はともに連続な多変数関数と連続な関数の合成および積であるため\(\mathbb{R} ^{2}\)上で連続です。したがって\(f\)は\(C^{1}\)級の関数です。

関数\(f\)が点\(a\)において\(C^{1}\)級である場合には、\(C^{1}\)級の定義より、\(f\)は点\(a\)において偏微分可能であることが保証されます。その逆は成立するとは限りません。つまり、関数\(f\)が点\(a\)において偏微分可能であるとき、点\(a\)において\(C^{1}\)級であるとは限りません。つまり、ある変数\(x_{k}\)に関する偏導関数\(f_{x_{k}}^{\prime }\)が点\(a\)において連続ではない状況が起こり得るということです。

例(\(C^[1]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
\left( x^{2}+y^{2}\right) \sin \left( \frac{1}{\sqrt{x^{2}+y^{2}}}\right) &
\left( if\ \left( x,y\right) \not=\left( 0,0\right) \right) \\
0 & \left( if\ \left( x,y\right) =\left( 0,0\right) \right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は点\(\left( 0,0\right) \)において偏微分可能である一方、偏導関数\(f_{x}^{\prime },f_{x}^{\prime }\)はともに点\(\left( 0,0\right) \)において連続ではなく、したがって\(f\)は点\(\left( 0,0\right) \)において\(C^{1}\)級ではありません(演習問題)。

 

\(C^{2}\)級の多変数関数

関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が点\(a\in X\)において2階偏微分可能であるとともに、任意の2つの変数\(x_{k}x_{l}\ \left( k,l=1,\cdots ,n\right) \)の組み合わせに関する2階偏導関数\(f_{x_{k}x_{l}}^{\prime \prime }\)が点\(a\)において連続である場合、\(f\)は\(a\)において\(C^{2}\)級である(class \(C^{2}\) at \(a\))とか\(a\)において2階連続微分可能である(second ordercontinuously differentiable at \(a\))などと表現します。これは、点\(a\)におけるヘッセ行列\begin{equation*}H_{f}\left( a\right) =\begin{pmatrix}
f_{x_{1}x_{1}}^{\prime \prime }\left( a\right) & \cdots &
f_{x_{1}x_{n}}^{\prime \prime }\left( a\right) \\
\vdots & \ddots & \vdots \\
f_{x_{n}x_{1}}^{\prime \prime }\left( a\right) & \cdots &
f_{x_{n}x_{n}}^{\prime \prime }\left( a\right)
\end{pmatrix}\in M_{n,n}\left( \mathbb{R} \right)
\end{equation*}が存在するとともに、ヘッセ行列\(H_{f}\left( x\right) \)が点\(a\)において連続であることと必要十分です。

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が\(C^{2}\)級であるような点からなる集合が\(Y\subset X\)である場合、\(f\)は\(Y\)において\(C^{2}\)級である(class \(C^{2}\) on \(Y\))とか\(Y\)において2階連続微分可能である(second order continuouslydifferentiable on \(Y\))などと表現します。これは\(f\)が\(Y\)上の任意の点において2階偏微分可能であるとともに任意の2つの変数\(x_{k}x_{l}\)の組み合わせに関する2階偏導関数\(f_{x_{k}x_{l}}^{\prime \prime }\)が\(Y\)上の任意の点において連続であることを意味します。これは、ヘッセ行列\(\nabla H_{f}\left( x\right) \)が\(y\)上の任意の点において定義されており、なおかつ連続であることと必要十分です。特に、\(Y=X\)である場合、すなわち\(f\)が定義域上の任意の点において\(C^{2}\)級である場合には、\(f\)は\(C^{2}\)級である(class \(C^{2}\))とか2階連続微分可能である(second order continuouslydifferentiable)などと表現します。これは\(f\)が定義域\(X\)上の任意の点において2階偏微分可能であるとともに任意の2つの変数\(x_{k}x_{l}\)の組み合わせに関する2階偏導関数\(f_{x_{k}x_{l}}^{\prime \prime }\)が\(X\)上の任意の点において連続であることを意味します。

例(\(C^[2]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =x^{4}+y^{4}-4x^{2}y^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。先に示したように\(f\)は\(C^{1}\)級であり、勾配ベクトル場\(\nabla f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{eqnarray*}\nabla f\left( x,y\right) &=&\left( f_{x}^{\prime }\left( x,y\right)
,f_{y}^{\prime }\left( x,y\right) \right) \\
&=&\left( 4x^{3}-8xy^{2},4y^{3}-8x^{2}y\right)
\end{eqnarray*}を定めます。\(f_{x}^{\prime }\)と\(f_{y}^{\prime }\)は多変数の多項式関数であるため偏微分可能です。したがって\(f\)は\(2\)階偏微分可能であり、ヘッセ行列\(H_{f}\left( x\right) :\mathbb{R} ^{2}\rightarrow M_{2,2}\left( \mathbb{R} \right) \)はそれぞれの\(\left( x,y\right)\in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{eqnarray*}H_{f}\left( x\right) &=&\begin{pmatrix}
f_{xy}^{\prime \prime }\left( x,y\right) & f_{xy}^{\prime \prime }\left(
x,y\right) \\
f_{yx}^{\prime \prime }\left( x,y\right) & f_{yy}^{\prime \prime }\left(
x,y\right)
\end{pmatrix}
\\
&=&\begin{pmatrix}
12x^{2}-8y^{2} & -16xy \\
-16xy & 12y^{2}-8x^{2}\end{pmatrix}\end{eqnarray*}を定めます。\(f_{xy}^{\prime \prime},f_{xy}^{\prime \prime },f_{yx}^{\prime \prime },f_{yy}^{\prime \prime }\)はいずれも多変数の多項式関数であるため\(\mathbb{R} ^{2}\)上で連続です。したがって\(f\)は\(C^{2}\)級の関数です。
例(\(C^[2]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\frac{1}{x^{2}+y^{2}+1}
\end{equation*}を定めるものとします。先に示したように\(f\)は\(C^{1}\)級であり、勾配ベクトル場\(\nabla f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{eqnarray*}\nabla f\left( x,y\right) &=&\left( f_{x}^{\prime }\left( x,y\right)
,f_{y}^{\prime }\left( x,y\right) \right) \\
&=&\left( -\frac{2x}{\left( x^{2}+y^{2}+1\right) ^{2}},-\frac{2y}{\left(
x^{2}+y^{2}+1\right) ^{2}}\right)
\end{eqnarray*}を定めます。\(f_{x}^{\prime }\)と\(f_{y}^{\prime }\)は多変数の有理関数であるため偏微分可能です。したがって\(f\)は\(2\)階偏微分可能であり、ヘッセ行列\(H_{f}\left( x\right) :\mathbb{R} ^{2}\rightarrow M_{2,2}\left( \mathbb{R} \right) \)はそれぞれの\(\left( x,y\right)\in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{eqnarray*}H_{f}\left( x\right) &=&\begin{pmatrix}
f_{xy}^{\prime \prime }\left( x,y\right) & f_{xy}^{\prime \prime }\left(
x,y\right) \\
f_{yx}^{\prime \prime }\left( x,y\right) & f_{yy}^{\prime \prime }\left(
x,y\right)
\end{pmatrix}
\\
&=&\begin{pmatrix}
\frac{2\left( 3x^{2}-y^{2}-1\right) }{\left( x^{2}+y^{2}+1\right) ^{3}} &
\frac{8xy}{\left( x^{2}+y^{2}+1\right) ^{3}} \\
\frac{8xy}{\left( x^{2}+y^{2}+1\right) ^{3}} & \frac{2\left(
-x^{2}+3y^{2}-1\right) }{\left( x^{2}+y^{2}+1\right) ^{3}}\end{pmatrix}\end{eqnarray*}を定めます。\(f_{xy}^{\prime \prime},f_{xy}^{\prime \prime },f_{yx}^{\prime \prime },f_{yy}^{\prime \prime }\)はいずれも多変数の有理関数であるため\(\mathbb{R} ^{2}\)上で連続です。したがって\(f\)は\(C^{2}\)級の関数です。
例(\(C^[2]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\sin \left( x^{2}y^{2}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。先に示したように\(f\)は\(C^{1}\)級であり、勾配ベクトル場\(\nabla f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{eqnarray*}\nabla f\left( x,y\right) &=&\left( f_{x}^{\prime }\left( x,y\right)
,f_{y}^{\prime }\left( x,y\right) \right) \\
&=&\left( 2xy^{2}\cos \left( x^{2}y^{2}\right) ,2x^{2}y\cos \left(
x^{2}y^{2}\right) \right)
\end{eqnarray*}を定めます。\(f_{x}^{\prime }\)と\(f_{y}^{\prime }\)はともに偏微分可能な多変数関数と微分可能な関数の合成および積であるため偏微分可能です。したがって\(f\)は\(2\)階偏微分可能であり、ヘッセ行列\(H_{f}\left( x\right) :\mathbb{R} ^{2}\rightarrow M_{2,2}\left( \mathbb{R} \right) \)はそれぞれの\(\left( x,y\right)\in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{eqnarray*}H_{f}\left( x\right) &=&\begin{pmatrix}
f_{xy}^{\prime \prime }\left( x,y\right) & f_{xy}^{\prime \prime }\left(
x,y\right) \\
f_{yx}^{\prime \prime }\left( x,y\right) & f_{yy}^{\prime \prime }\left(
x,y\right)
\end{pmatrix}
\\
&=&\begin{pmatrix}
2y^{2}\cos \left( x^{2}y^{2}\right) -4x^{2}y^{4}\sin \left(
x^{2}y^{2}\right) & 4xy\cos \left( x^{2}y^{2}\right) -4x^{3}y^{3}\sin
\left( x^{2}y^{2}\right) \\
4xy\cos \left( x^{2}y^{2}\right) -4x^{3}y^{3}\sin \left( x^{2}y^{2}\right)
& 2x^{2}\cos \left( x^{2}y^{2}\right) -4x^{4}y^{2}\sin \left(
x^{2}y^{2}\right)
\end{pmatrix}\end{eqnarray*}を定めます。\(f_{xy}^{\prime \prime},f_{xy}^{\prime \prime },f_{yx}^{\prime \prime },f_{yy}^{\prime \prime }\)はいずれも連続な多変数関数と連続な関数の合成および四則演算を適用したものであるため\(\mathbb{R} ^{2}\)上で連続です。したがって\(f\)は\(C^{2}\)級の関数です。

 

\(C^{r}\)級の多変数関数

関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が点\(a\in X\)において\(r\)階偏微分可能であるとともに、任意の\(r\)個の変数\(x_{\left( 1\right) }\cdots x_{\left( r\right) }\)の組み合わせに関する\(r\)階偏導関数\(f_{x_{\left( 1\right) }\cdots x_{\left(r\right) }}^{\left( r\right) }\)が点\(a\)において連続である場合、\(f\)は\(a\)において\(C^{r}\)級である(class \(C^{r}\) at \(a\))とか\(a\)において\(r\)階連続微分可能である(\(r\) th order continuously differentiable at \(a\))などと表現します。

関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が\(C^{r}\)級であるような点からなる集合が\(Y\subset X\)である場合、\(f\)は\(Y\)において\(C^{r}\)級である(class \(C^{r}\) on \(Y\))とか\(Y\)において\(r\)階連続微分可能である(\(r\) th ordercontinuously differentiable on \(Y\))などと表現します。これは\(f\)が\(Y\)上の任意の点において\(r\)階微分可能であるとともに、任意の\(r\)個の変数\(x_{\left( 1\right) }\cdots x_{\left( r\right) }\)の組み合わせに関する\(r\)階偏導関数\(f_{x_{\left( 1\right)}\cdots x_{\left( r\right) }}^{\left( r\right) }\)が\(Y\)上の任意の点において連続であることを意味します。特に、\(Y=X\)である場合、すなわち\(f\)が定義域上の任意の点において\(C^{r}\)級である場合には、\(f\)は\(C^{r}\)級である(class \(C^{r}\))とか\(r\)階連続微分可能である(\(r\) th order continuously differentiable)などと表現します。これは\(f\)が定義域\(X\)上の任意の点において\(r\)階偏微分可能であるとともに、任意の\(r\)個の変数\(x_{\left( 1\right) }\cdots x_{\left( r\right) }\)の組み合わせに関する\(r\)階偏導関数\(f_{x_{\left( 1\right)}\cdots x_{\left( r\right) }}^{\left( r\right) }\)が\(X\)上の任意の点において連続であることを意味します。

例(\(C^[r]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =x^{4}+y^{4}-4x^{2}y^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多変数関数の多項式関数であるため\(C^{1}\)級です。\(f_{x}^{\prime }\)と\(f_{y}^{\prime }\)はともに多変数関数の多項式関数であるため\(C^{1}\)級です。したがって\(f\)は\(C^{2}\)級です。\(f_{xy}^{\prime \prime },f_{xy}^{\prime \prime},f_{yx}^{\prime \prime },f_{yy}^{\prime \prime }\)はいずれも多変数の多項式関数であるため\(C^{1}\)級です。したがって\(f\)は\(C^{3}\)級です。以降についても同様です。
例(\(C^[r]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\frac{1}{x^{2}+y^{2}+1}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多変数関数の有理関数であるため\(C^{1}\)級です。\(f_{x}^{\prime }\)と\(f_{y}^{\prime }\)はともに多変数関数の有理関数であるため\(C^{1}\)級です。したがって\(f\)は\(C^{2}\)級です。\(f_{xy}^{\prime \prime },f_{xy}^{\prime \prime },f_{yx}^{\prime\prime },f_{yy}^{\prime \prime }\)はいずれも多変数の有理関数であるため\(C^{1}\)級です。したがって\(f\)は\(C^{3}\)級です。以降についても同様です。
例(\(C^[r]\)級の関数)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\sin \left( x^{2}y^{2}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は偏微分可能な多変数関数と微分可能な関数の合成であるため\(C^{1}\)級です。\(f_{x}^{\prime }\)と\(f_{y}^{\prime }\)はともに偏微分可能な多変数関数と微分可能な関数の合成および四則演算を適用したものであるため\(C^{1}\)級です。したがって\(f\)は\(C^{2}\)級です。\(f_{xy}^{\prime \prime },f_{xy}^{\prime \prime},f_{yx}^{\prime \prime },f_{yy}^{\prime \prime }\)はいずれも偏微分可能な多変数関数と微分可能な関数の合成および四則演算を適用したものであるため\(C^{1}\)級です。したがって\(f\)は\(C^{3}\)級です。以降についても同様です。

 

\(C^{\infty}\)級の多変数関数

関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が点\(a\in X\)において無限階偏微分微分可能であるならば、\(f\)は\(a\)において\(C^{\infty }\)級である(class \(C^{\infty }\) at \(a\))とか\(a\)において無限階微分可能である(infinitely differentiable at \(a\))などと表現します。

関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が\(C^{\infty }\)級であるような点からなる集合が\(Y\subset X\)である場合、\(f\)は\(Y\)において\(C^{\infty }\)級である(class \(C^{\infty }\) on \(Y\))とか\(Y\)において無限階連続微分可能である(infinitely differentiable on \(Y\))などと表現します。これは\(f\)が\(Y\)上の任意の点において無限階偏微分可能であることを意味します。特に、\(Y=X\)である場合、すなわち\(f\)が定義域上の任意の点において\(C^{\infty }\)級である場合には、\(f\)は\(C^{\infty }\)級である(class \(C^{\infty }\))とか無限階連続微分可能である(infinitely continuouslydifferentiable)などと表現します。これは\(f\)が定義域\(X\)上の任意の点において無限階微分可能であることを意味します。

例(\(C^[\infty ]\)級の関数)
多変数の多項式関数\(f\)は\(C^{1}\)級です。任意の変数\(x_{k}\)に関する偏導関数\(f_{x_{k}}\)もまた多項式関数であるため\(C^{1}\)級です。したがって\(f\)は\(C^{2}\)級です。同様の議論をいくらでも繰り返すことができるため\(f\)は\(C^{\infty }\)級です。
例(\(C^[\infty ]\)級の関数)
多変数の有理関数\(f\)は\(C^{1}\)級です。任意の変数\(x_{k}\)に関する偏導関数\(f_{x_{k}}\)もまた有理関数であるため\(C^{1}\)級です。したがって\(f\)は\(C^{2}\)級です。同様の議論をいくらでも繰り返すことができるため\(f\)は\(C^{\infty }\)級です。
例(\(C^[\infty ]\)級の関数)
多変数の多項式関数(もしくは有理関数)と初等関数(三角関数・指数関数・対数関数など)の合成関数として定義される多変数関数\(f\)は\(C^{1}\)級です。任意の変数\(x_{k}\)に関する偏導関数\(f_{x_{k}}\)もまた多項式関数(もしくは有理関数)と初等関数(三角関数・指数関数・対数関数など)の合成および四則演算を適用したものであるため\(C^{1}\)級です。したがって\(f\)は\(C^{2}\)級です。同様の議論をいくらでも繰り返すことができるため\(f\)は\(C^{\infty }\)級です。

 

演習問題

問題(連続微分可能性)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\frac{xy}{x^{2}+y^{2}} & \left( if\ \left( x,y\right) \not=\left( 0,0\right)
\right) \\
0 & \left( if\ \left( x,y\right) =\left( 0,0\right) \right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は偏微分可能である一方で点\(\left( 0,0\right) \)において\(C^{0}\)級ではないことを示してください。
証明

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問題(連続微分可能性)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\left\vert x\right\vert +\left\vert y\right\vert
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は\(C^{0}\)級である一方、点\(\left( 0,0\right) \)において偏微分可能ではないことを示してください。
証明

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問題(連続微分可能性)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
\left( x^{2}+y^{2}\right) \sin \left( \frac{1}{\sqrt{x^{2}+y^{2}}}\right) &
\left( if\ \left( x,y\right) \not=\left( 0,0\right) \right) \\
0 & \left( if\ \left( x,y\right) =\left( 0,0\right) \right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は点\(\left( 0,0\right) \)において偏微分可能である一方、偏導関数\(f_{x}^{\prime },f_{x}^{\prime }\)はともに点\(\left( 0,0\right) \)において連続ではないことを示してください。
証明

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