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SCALAR FIELD

スカラー場(多変数関数)の定義

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スカラー場

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)もしくはその部分集合\(X\)のそれぞれの要素に対して実数を1つずつ定める写像\begin{equation*}f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}をスカラー場(scalar field)やベクトル変数の実数値関数(real-valued function of a vector variable)や多変数関数(function of several real variables)などと呼びます。また、\(X\)を\(f\)の始集合(initial set)と呼び、\(\mathbb{R} \)を\(f\)の終集合(final set)と呼びます。

スカラー場\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、始集合\(X\)の要素\(x\)を任意に選ぶと、\(f\)はそれに対して実数を1つだけ定めます。これを\(f\)による\(x\)の(value)や(image)などと呼び、これを、\begin{equation*}f\left( x\right)
\end{equation*}で表記します。

例(スカラー場)
スカラー場\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =x^{2}+y^{2}
\end{equation*}を定めるものします。例えば、\begin{eqnarray*}
f\left( 1,2\right) &=&1^{2}+2^{2}=5 \\
f\left( -2,-1\right) &=&\left( -2\right) ^{2}+\left( -1\right) ^{2}=5 \\
f\left( 0,0\right) &=&0^{2}+0^{2}=0
\end{eqnarray*}などとなります。

例(スカラー場)
スカラー場\(f:\mathbb{R} ^{3}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y,z\right) \in \mathbb{R} ^{3}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y,z\right) =x+2y-3z
\end{equation*}を定めるものします。例えば、\begin{eqnarray*}
f\left( 1,2,3\right) &=&1+2\cdot 2-3\cdot 3=-4 \\
f\left( -3,-2,-1\right) &=&-3+2\cdot \left( -2\right) -3\cdot \left(
-1\right) =-4 \\
f\left( 0,0,0\right) &=&1+2\cdot 0-3\cdot 0=0
\end{eqnarray*}などとなります。

例(スカラー場)
緯度が\(x\)であり経度が\(y\)であるような地球表面上の位置に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\text{位置}\left( x,y\right) \text{の標高}
\end{equation*}を定める\(f\)は2つの変数\(x,y\)に関するスカラー場です。
例(スカラー場)
3次元空間における位置は3次元ベクトル\(\left(x,y,z\right) \in \mathbb{R} ^{3}\)として表現されます。部屋内部のそれぞれの位置\(\left( x,y,z\right) \)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y,z\right) =\text{位置}\left( x,y,z\right) \text{の温度}
\end{equation*}を定める\(f\)は3つの変数\(x,y,z\)に関するスカラー場です。
例(スカラー場)
「半年複利・年利2% 」という条件の定期預金に\(x\)円を預けると、\(y\)年後の元利合計(円)は、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =x\left( 1+\frac{0.02}{2}\right) ^{2y}
\end{equation*}になります。この\(f\)は2つの変数\(x,y\)に関するスカラー場です。
例(スカラー場)
BMI(Body Mass Index)は人間の体重と身長の関係から算出される肥満度を表す指標です。具体的には、体重(kg)が\(x\)であり身長(cm)が\(y\)である人のBMIは、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\frac{x}{y^{2}}
\end{equation*}と定義されます。この\(f\)は2つの変数\(x,y\)に関するスカラー場です。
例(スカラー場)
モステラーの公式(Mosteller formula)は人間の体重と身長から体表面積の目安を計算するための式です。具体的には、体重(kg)が\(x\)であり身長(cm)が\(y\)である人の体表面積(平方メートル)の目安は、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\frac{\sqrt{xy}}{60}
\end{equation*}と導出されます。この\(f\)は2つの変数\(x,y\)に関するスカラー場です。
例(スカラー場)
定義域が1次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} \)もしくはその部分集合\(X\)であるようなスカラー場\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は実変数の実数値関数に他なりません。つまり、関数は特別なスカラー場です。

スカラー場\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの点\(x\in X\)に対して実数\(f\left( x\right) \in \mathbb{R} \)を1つずつ定める規則です。したがって、ある\(x\in X\)に対して\(f\)が定める値\(f\left( x\right) \)が1つの実数として定まらなかったり、ある\(x\in X\)に対して\(f\)が定める値\(f\left( x\right) \)が存在しない場合、\(f\)はスカラー場ではありません。

例(スカラー場)
それぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、「\(x+y\)以下の実数」を値として定める規則\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はスカラー場ではありません。なぜなら、実数\(x,y\)をそれぞれ任意に選んだとき、\(x+y\)以下の実数は無数に存在し、1つの実数として定まらないからです。
例(スカラー場)
それぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\frac{1}{xy}
\end{equation*}を定める規則\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はスカラー場ではありません。なぜなら、実数をゼロで割ることは許されず、例えば、始集合\(\mathbb{R} ^{2}\)の点\(\left( 0,0\right) \)に対する、\begin{equation*}f\left( 0,0\right) =\frac{1}{0}
\end{equation*}は定義不可能だからです。一方、\(f\)の始集合を以下の集合\begin{equation*}X=\left\{ \left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ x\not=0\wedge y\not=0\right\}
\end{equation*}に制限して\(f:X\rightarrow \mathbb{R} \)とすれば、それぞれの\(\left( x,y\right) \in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\frac{1}{xy}
\end{equation*}が1つの実数として必ず定まるため、この場合の\(f\)はスカラー場です。

 

等しいスカラー場

2つのスカラー場\(f:\mathbb{R} ^{m}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と\(g:\mathbb{R} ^{n}\supset Y\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ m=n \\
&&\left( b\right) \ X=Y \\
&&\left( c\right) \ \forall x\in X:f\left( x\right) =g\left( x\right)
\end{eqnarray*}がすべて成り立つ場合には、\(f\)と\(g\)は等しい(equal)といい、そのことを、\begin{equation*}f=g
\end{equation*}と表記します。つまり、2つのスカラー場\(f,g\)が等しいとは、それらの始集合どうしが一致するとともに、始集合のそれぞれの要素に対して\(f\)が定める値と\(g\)が定める値が常に一致することを意味します。

例(等しいスカラー場)
スカラー場\(f,g:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{eqnarray*}f\left( x,y\right) &=&x^{2}+y^{2} \\
g\left( x,y\right) &=&\left\vert x^{2}+y^{2}\right\vert
\end{eqnarray*}を定めるものとします。\(f\)と\(g\)は始集合\(\mathbb{R} ^{2}\)を共有しているとともに、任意の\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}x^{2}+y^{2}=\left\vert x^{2}+y^{2}\right\vert
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
f\left( x,y\right) =g\left( x,y\right)
\end{equation*}が成り立つため、\(f\)と\(g\)は等しいスカラー場です。
例(異なるスカラー場)
スカラー場\(f,g:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{eqnarray*}f\left( x,y\right) &=&x+y \\
g\left( x,y\right) &=&\left\vert x+y\right\vert
\end{eqnarray*}を定めるものとします。\(f\)と\(g\)は始集合\(\mathbb{R} ^{2}\)を共有しますが、始集合の要素である\(\left(-1,-1\right) \)に注目すると、\begin{eqnarray*}f\left( -1,-1\right) &=&-2 \\
g\left( -1,-1\right) &=&2
\end{eqnarray*}となり両者は異なるため、\(f\)と\(g\)は異なるスカラー場です。

 

演習問題

問題(スカラー場)
スカラー場\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =x^{2}-3xy
\end{equation*}を定めるものとします。以下の問いに答えてください。

  1. \(f\left( 0,-2\right) \)を求めてください。
  2. \(f\left( 2,3\right) \)を求めてください。
  3. \(f\left( 10,-5\right) \)を求めてください。
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問題(スカラー場)
スカラー場\(f:\mathbb{R} ^{3}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y,z\right) \in \mathbb{R} ^{3}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y,z\right) =x^{2}-y^{2}+z^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。以下の問いに答えてください。

  1. \(f\left( -1,2,3\right) \)を求めてください。
  2. \(f\left( 2,-1,3\right) \)を求めてください。
  3. \(f\left( 1,0,-1\right) \)を求めてください。
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問題(スカラー場)
体重(kg)が\(x\)であり身長(cm)が\(y\)である人の体表面積(平方メートル)の目安は、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\frac{\sqrt{xy}}{60}
\end{equation*}と導出されます(モステラーの公式)。ある人の体重が\(80\)kgで身長が\(165\)cmである場合、この人の体表面積の目安を計算してください。
証明

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次回はスカラー場のグラフについて解説します。

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スカラー場(多変数関数)