WIIS

教材一覧
教材一覧
教材検索
RELATION

順序部分集合の上界・下界

目次

Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

順序部分集合の上界

半順序集合\(\left( A,\leq \right) \)の非空な部分集合\(X\)について、\(A\)のある要素\(a\)が\(X\)の任意の要素以上である場合には、つまり、\begin{equation*}\exists a\in A,\ \forall x\in X:x\leq a
\end{equation*}が成り立つならば、\(a\)を\(A\)の上界(upper bound)と呼びます。定義より、\(A\)の上界は\(A\)の要素である必要はありません。この点において、上界は最大元極大元とは異なります。

逆に、\(A\)の要素である\(a\)が\(X\)の上界でないことは、\begin{equation*}\exists x\in X:\lnot \left( x\leq a\right)
\end{equation*}が成り立つことを意味します。特に、\(\leq \)が完備律を満たす場合、すなわち\(\leq \)が全順序である場合には、これは、\begin{equation*}\exists x\in X:a<x
\end{equation*}と必要十分です。つまり、\(A\)の要素である\(a\)に対して、それよりも大きい\(X\)の要素が存在する場合、\(a\)は\(X\)の上界ではありません。

例(実数の大小関係と上界)
すべての実数からなる集合\(\mathbb{R} \)上に大小関係\(\leq \)を定義します。\(\left( \mathbb{R} ,\leq \right) \)は全順序集合です。\(\mathbb{R} \)の部分集合\begin{equation*}\left[ 0,1\right] =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ 0\leq x\leq 1\right\}
\end{equation*}に注目します。任意の\(x\in \left[ 0,1\right] \)に対して、\begin{equation*}\forall x\in \left[ 0,1\right] :x\leq 1
\end{equation*}が成り立つため、実数\(1\)は\(\left[ 0,1\right] \)の上界です。
例(標準的順序と上界)
2次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{2}\)上に標準的順序\(\leq \)を定義します。つまり、任意の点\(\left( x_{1},y_{1}\right) ,\left(x_{2},y_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)について、\begin{equation*}\left( x_{1},y_{1}\right) \leq \left( x_{2},y_{2}\right) \Leftrightarrow
x_{1}\leq y_{1}\wedge x_{2}\leq y_{2}
\end{equation*}を満たすものとして\(\leq \)を定義します。ただし、右側の\(\leq \)は\(\mathbb{R} \)上の大小関係です。\(\left( \mathbb{R} ^{2},\leq \right) \)は半順序集合です。\(\mathbb{R} ^{2}\)の部分集合\begin{equation*}A=\left\{ \left( x_{1},x_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ x_{1}^{2}+x_{2}^{2}\leq 1\right\}
\end{equation*}に注目します。任意の点\(\left( x_{1},x_{2}\right) \in A\)に対して、\begin{equation*}0\leq x_{1}\leq 1\wedge 0\leq x_{2}\leq 1
\end{equation*}が成り立つため、点\(\left( 1,1\right) \)は\(A\)の上界です。
例(包含関係と上界)
集合\(A=\left\{ a,b,c\right\} \)のベキ集合\begin{equation*}2^{A}=\left\{ \phi ,\left\{ a\right\} ,\left\{ b\right\} ,\left\{ c\right\}
,\left\{ a,b\right\} ,\left\{ b,c\right\} ,\left\{ a,c\right\} ,\left\{
a,b,c\right\} \right\}
\end{equation*}上に包含関係\(\subset \)を定義します。\(\left( 2^{A},\subset \right) \)は半順序集合です。\(2^{A}\)の部分集合\begin{equation*}X=\left\{ \left\{ a\right\} ,\left\{ a,b\right\} ,\left\{ a,b,c\right\}
\right\}
\end{equation*}に注目します。集合\(\left\{ a,b,c\right\} \in 2^{A}\)は、\begin{eqnarray*}\left\{ a\right\} &\subset &\left\{ a,b,c\right\} \\
\left\{ a,b\right\} &\subset &\left\{ a,b,c\right\} \\
\left\{ a,b,c\right\} &\subset &\left\{ a,b,c\right\}
\end{eqnarray*}を満たすため、\(\left\{a,b,c\right\} \)は\(X\)の上界です。
例(整除関係と上界)
集合\(A=\left\{ 2,3,4,5,8,10,12,24,30\right\} \)が与えられたとき、それぞれの順序対\(\left( x,y\right) \in A\times A\)に対して、\begin{equation*}x|y\Leftrightarrow y\text{は}x\text{の倍数}
\end{equation*}を満たす整除関係\(|\)を定義します。\(\left( A,|\right) \)は半順序集合です。\(A\)の部分集合\begin{equation*}X=\left\{ 8,12\right\}
\end{equation*}に注目します。\(24\)は\(X\)の要素である\(8,12\)双方の倍数であり、したがって、\begin{eqnarray*}&&8|24 \\
&&12|24
\end{eqnarray*}がともに成り立つため、\(24\)は\(X\)の上界です。

 

順序部分集合の下界

半順序集合\(\left( A,\leq \right) \)の非空な部分集合\(X\)について、\(A\)のある要素\(a\)が\(X\)の任意の要素以下である場合には、つまり、\begin{equation*}\exists a\in A,\ \forall x\in X:a\leq x
\end{equation*}が成り立つならば、\(a\)を\(A\)の下界(lower bound)と呼びます。定義より、\(A\)の下界は\(A\)の要素である必要はありません。この点において、下界は最小元極小元とは異なります。

逆に、\(A\)の要素である\(a\)が\(X\)の下界でないことは、\begin{equation*}\exists x\in X:\lnot \left( a\leq x\right)
\end{equation*}が成り立つことを意味します。特に、\(\leq \)が完備律を満たす場合、すなわち\(\leq \)が全順序である場合には、これは、\begin{equation*}\exists x\in X:x<a
\end{equation*}と必要十分です。つまり、\(A\)の要素である\(a\)に対して、それよりも小さい\(X\)の要素が存在する場合、\(a\)は\(X\)の下界ではありません。

例(実数の大小関係と下界)
すべての実数からなる集合\(\mathbb{R} \)上に大小関係\(\leq \)を定義します。\(\left( \mathbb{R} ,\leq \right) \)は全順序集合です。\(\mathbb{R} \)の部分集合\begin{equation*}\left[ 0,1\right] =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ 0\leq x\leq 1\right\}
\end{equation*}に注目します。任意の\(x\in \left[ 0,1\right] \)に対して、\begin{equation*}\forall x\in \left[ 0,1\right] :0\leq 1
\end{equation*}が成り立つため、実数\(0\)は\(\left[ 0,1\right] \)の下界です。
例(標準的順序と下界)
2次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{2}\)上に標準的順序\(\leq \)を定義します。つまり、任意の点\(\left( x_{1},y_{1}\right) ,\left(x_{2},y_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)について、\begin{equation*}\left( x_{1},y_{1}\right) \leq \left( x_{2},y_{2}\right) \Leftrightarrow
x_{1}\leq y_{1}\wedge x_{2}\leq y_{2}
\end{equation*}を満たすものとして\(\leq \)を定義します。ただし、右側の\(\leq \)は\(\mathbb{R} \)上の大小関係です。\(\left( \mathbb{R} ^{2},\leq \right) \)は半順序集合です。\(\mathbb{R} ^{2}\)の部分集合\begin{equation*}A=\left\{ \left( x_{1},x_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ x_{1}^{2}+x_{2}^{2}\leq 1\right\}
\end{equation*}に注目します。任意の点\(\left( x_{1},x_{2}\right) \in A\)に対して、\begin{equation*}0\leq x_{1}\leq 1\wedge 0\leq x_{2}\leq 1
\end{equation*}が成り立つため、点\(\left( 0,0\right) \)は\(A\)の上界です。
例(包含関係と下界)
集合\(A=\left\{ a,b,c\right\} \)のベキ集合\begin{equation*}2^{A}=\left\{ \phi ,\left\{ a\right\} ,\left\{ b\right\} ,\left\{ c\right\}
,\left\{ a,b\right\} ,\left\{ b,c\right\} ,\left\{ a,c\right\} ,\left\{
a,b,c\right\} \right\}
\end{equation*}上に包含関係\(\subset \)を定義します。\(\left( 2^{A},\subset \right) \)は半順序集合です。\(2^{A}\)の部分集合\begin{equation*}X=\left\{ \left\{ a\right\} ,\left\{ a,b\right\} ,\left\{ a,b,c\right\}
\right\}
\end{equation*}に注目します。集合\(\left\{ a\right\} \in 2^{A}\)は、\begin{eqnarray*}\left\{ a\right\} &\subset &\left\{ a\right\} \\
\left\{ a\right\} &\subset &\left\{ a,b\right\} \\
\left\{ a\right\} &\subset &\left\{ a,b,c\right\}
\end{eqnarray*}を満たすため、\(\left\{ a\right\} \)は\(X\)の下界です。
例(整除関係と下界)
集合\(A=\left\{ 2,3,4,5,8,10,12,24,30\right\} \)が与えられたとき、それぞれの順序対\(\left( x,y\right) \in A\times A\)に対して、\begin{equation*}x|y\Leftrightarrow y\text{は}x\text{の倍数}
\end{equation*}を満たす整除関係\(|\)を定義します。\(\left( A,|\right) \)は半順序集合です。\(A\)の部分集合\begin{equation*}X=\left\{ 8,12\right\}
\end{equation*}に注目します。\(2\)は\(X\)の要素である\(8,12\)双方の約数であり、したがって、\begin{eqnarray*}&&2|8 \\
&&2|12
\end{eqnarray*}がともに成り立つため、\(2\)は\(X\)の下界です。

 

上界や下界の存在

一般に、順序集合の非空な部分集合について、その上界や下界は存在するとは限りません。以下の例より明らかです。

例(実数の大小関係と上界・下界)
すべての実数からなる集合\(\mathbb{R} \)上に大小関係\(\leq \)を定義します。\(\left( \mathbb{R} ,\leq \right) \)は全順序集合です。すべての整数からなる集合\(\mathbb{Z} \)は\(\mathbb{R} \)の非空な部分集合です。仮に\(\mathbb{Z} \)の上界に相当する実数\(a\in \mathbb{R} \)が存在するものと仮定した場合、アルキメデスの性質より\(a\)よりも大きい整数が存在しますが、すなわち、\begin{equation*}\exists z\in \mathbb{Z} :a<z
\end{equation*}が成り立ちますが、これは\(a\)が\(\mathbb{Z} \)の上界であることと矛盾です。したがって\(\mathbb{Z} \)の上界は存在しません。同様に、\(\mathbb{Z} \)の下界に相当する実数\(a\in \mathbb{R} \)が存在するものと仮定した場合、やはりアルキメデスより\(a\)より小さい整数が存在しますが、すなわち、\begin{equation*}\exists z\in \mathbb{Z} :z<a
\end{equation*}が成り立ちますが、これは\(a\)が\(\mathbb{Z} \)の下界であることと矛盾です。したがって\(\mathbb{Z} \)の下界は存在しません。

ただし、問題としている順序集合\(\left( A,\leq \right) \)が全順序集合であり、なおかつその非空な部分集合\(X\)が有限集合である場合には、\(X\)の上界や下界が存在することが保証されます。

命題(全順序集合の有限部分集合の上界と下界)
全順序集合\(\left( A,\leq \right) \)の非空な部分集合\(X\)が有限集合である場合には、\(X\)の上界と下界がそれぞれ存在する。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

 

上界や下界の個数

繰り返しになりますが、順序集合の非空な部分集合は上界や下界を持つとは限りません。また、上界や下界が存在する場合、それらはそれぞれ一意的に定まるとは限りません。以下の例より明らかです。最大元や最小元が存在する場合にはそれぞれ一意的であることと対称的な結果です。

例(実数の大小関係と上界・下界)
すべての実数からなる集合\(\mathbb{R} \)上に大小関係\(\leq \)を定義します。\(\left( \mathbb{R} ,\leq \right) \)は全順序集合です。\(\mathbb{R} \)の部分集合\begin{equation*}\left[ 0,1\right] =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ 0\leq x\leq 1\right\}
\end{equation*}に注目します。\(1\)以上の任意の実数は\(\left[ 0,1\right] \)の上界であり、\(0\)以下の任意の実数は\(\left[ 0,1\right] \)の下界です。つまり、\(\left[ 0,1\right] \)の上界と下界はそれぞれ無数に存在します。
例(整除関係と上界)
集合\(A=\left\{ 2,3,4,5,8,10,12,24,30\right\} \)が与えられたとき、それぞれの順序対\(\left( x,y\right) \in A\times A\)に対して、\begin{equation*}x|y\Leftrightarrow y\text{は}x\text{の倍数}
\end{equation*}を満たす整除関係\(|\)を定義します。\(\left( A,|\right) \)は半順序集合です。\(A\)の部分集合\begin{equation*}X=\left\{ 8,12\right\}
\end{equation*}に注目します。\(X\)の上界は\(24\)だけであるのに対し、\(X\)の下界は\(2,4\)の2つです。

 

上に有界・下に有界・有界

半順序集合\(\left( A,\leq \right) \)の非空な部分集合\(X\)の上界や下界は存在するとは限らず、また、存在する場合も一意的ではないことが明らかになりました。そこで、\(X\)のすべての上界からなる集合を\(U\left( X\right) \)で表記し、\(X\)のすべての下界からなる集合を\(L\left( X\right) \)で表記します。つまり、\begin{eqnarray*}U\left( X\right) &=&\left\{ a\in A\ |\ \forall x\in X:x\leq a\right\} \\
L\left( X\right) &=&\left\{ a\in A\ |\ \forall x\in X:a\leq x\right\}
\end{eqnarray*}です。\(U\left( X\right) \not=\phi \)が成り立つとき、つまり\(X\)の上界が存在するとき、\(X\)は上に有界(boundedfrom above)であると言います。また、\(L\left( X\right) \not=\phi \)が成り立つとき、つまり\(X\)の下界が存在するとき、\(X\)は下に有界(bounded from below)であると言います。さらに、\(X\)が上に有界かつ下に有界であるとき、つまり、\(U\left( X\right) \not=\phi \)と\(L\left( X\right)\not=\phi \)がともに成り立つとき、\(X\)は有界(bounded)であると言います。

例(実数の大小関係と有界性)
すべての実数からなる集合\(\mathbb{R} \)上に大小関係\(\leq \)を定義します。\(\left( \mathbb{R} ,\leq \right) \)は全順序集合です。\(\mathbb{R} \)の部分集合\begin{equation*}\left[ 0,1\right] =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ 0\leq x\leq 1\right\}
\end{equation*}に注目します。\(\left[ 0,1\right] \)の上界と下界は、\begin{eqnarray*}U\left( \left[ 0,1\right] \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x\geq 1\right\} \\
L\left( \left[ 0,1\right] \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x\leq 0\right\}
\end{eqnarray*}ですが、両者はともに非空であるため\(\left[ 0,1\right] \)は有界です。
例(標準的順序と有界性)
2次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{2}\)上に標準的順序\(\leq \)を定義します。つまり、任意の点\(\left( x_{1},y_{1}\right) ,\left(x_{2},y_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)について、\begin{equation*}\left( x_{1},y_{1}\right) \leq \left( x_{2},y_{2}\right) \Leftrightarrow
x_{1}\leq y_{1}\wedge x_{2}\leq y_{2}
\end{equation*}を満たすものとして\(\leq \)を定義します。ただし、右側の\(\leq \)は\(\mathbb{R} \)上の大小関係です。\(\left( \mathbb{R} ^{2},\leq \right) \)は半順序集合です。\(\mathbb{R} ^{2}\)の部分集合\begin{equation*}A=\left\{ \left( x_{1},x_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ x_{1}^{2}+x_{2}^{2}\leq 1\right\}
\end{equation*}に注目します。\(A\)の上界と下界は、\begin{eqnarray*}U\left( A\right) &=&\left\{ \left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ x\geq 1\wedge y\geq 1\right\} \\
L\left( A\right) &=&\left\{ \left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ x\leq -1\wedge y\leq -1\right\}
\end{eqnarray*}ですが、両者はともに非空であるため\(A\)は有界です。
例(包含関係と有界性)
集合\(A=\left\{ a,b,c\right\} \)のベキ集合\begin{equation*}2^{A}=\left\{ \phi ,\left\{ a\right\} ,\left\{ b\right\} ,\left\{ c\right\}
,\left\{ a,b\right\} ,\left\{ b,c\right\} ,\left\{ a,c\right\} ,\left\{
a,b,c\right\} \right\}
\end{equation*}上に包含関係\(\subset \)を定義します。\(\left( 2^{A},\subset \right) \)は半順序集合です。\(2^{A}\)の部分集合\begin{equation*}X=\left\{ \left\{ a\right\} ,\left\{ a,b\right\} ,\left\{ a,b,c\right\}
\right\}
\end{equation*}に注目します。\(X\)の上界と下界は、\begin{eqnarray*}U\left( X\right) &=&\left\{ \left\{ a,b,c\right\} \right\} \\
L\left( X\right) &=&\left\{ \left\{ a\right\} \right\}
\end{eqnarray*}ですが、両者はともに非空であるため\(X\)は有界です。
例(整除関係と有界性)
集合\(A=\left\{ 2,3,4,5,8,10,12,24,30\right\} \)が与えられたとき、それぞれの順序対\(\left( x,y\right) \in A\times A\)に対して、\begin{equation*}x|y\Leftrightarrow y\text{は}x\text{の倍数}
\end{equation*}を満たす整除関係\(|\)を定義します。\(\left( A,|\right) \)は半順序集合です。\(A\)の部分集合\begin{equation*}X=\left\{ 8,12\right\}
\end{equation*}に注目します。\(X\)の上界と下界は、\begin{eqnarray*}U\left( X\right) &=&\left\{ 24\right\} \\
L\left( X\right) &=&\left\{ 2,4\right\}
\end{eqnarray*}ですが、両者はともに非空であるため\(X\)は有界です。

 

上界と最大元・下界と最小元の関係

一般に、順序集合の非空な部分集合が最大元を持つ場合、それは上界でもあります。また、最小元は下界でもあります。

命題(最大元は上界・最小元は下界)
半順序集合\(\left( A,\leq \right) \)の非空な部分集合\(X\)を任意に選んだとき、最大元\(\max X\)が存在するならば、それは\(X\)の上界でもある。また、最小元\(\min X\)が存在するならば、それは\(X\)の下界でもある。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(最大元は上界・最小元は下界)
すべての自然数からなる集合\(\mathbb{N} \)が与えられたとき、それぞれの順序対\(\left(x,y\right) \in \mathbb{N} \times \mathbb{N} \)に対して、\begin{equation*}x|y\Leftrightarrow y\text{は}x\text{の倍数}
\end{equation*}を満たす整除関係\(|\)を定義します。\(\left( \mathbb{N} ,|\right) \)は半順序集合です。\(\mathbb{N} \)の部分集合\begin{equation*}X=\left\{ 2,4,6,8,10,30,60,120,240\right\}
\end{equation*}に注目します。\(240\)は\(X\)の要素であるとともに、\(X\)の任意の要素の倍数であるため、\(240\)は\(X\)の最大元です。したがって先の命題より、\(240\)は\(X\)の上界でもあります。また、\(2\)は\(X\)の要素であるとともに、\(X\)の任意の要素の約数であるため、\(2\)は\(X\)の最小元です。したがって先の命題より、\(2\)は\(X\)の下界でもあります。

上の命題の逆は成り立ちません。つまり、順序集合の非空な部分集合\(X\)が上界を持つとき、それは\(X\)の最大元であるとは限りません。実際、\(X\)の上界は\(X\)の要素であるとは限らない一方で、\(X\)の最大元は\(X\)の要素でなければならないからです。同様に、順序集合の非空な部分集合\(X\)が下界を持つとき、それは\(X\)の最小元であるとは限りません。

例(上界と最大元・下界と最小元の関係)
すべての実数からなる集合\(\mathbb{R} \)上に大小関係\(\leq \)を定義します。\(\left( \mathbb{R} ,\leq \right) \)は全順序集合です。\(\mathbb{R} \)の部分集合\begin{equation*}\left[ 0,1\right] =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ 0\leq x\leq 1\right\}
\end{equation*}に注目します。繰り返しになりますが、\(\left[ 0,1\right] \)の上界と下界は、\begin{eqnarray*}U\left( \left[ 0,1\right] \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x\geq 1\right\} \\
L\left( \left[ 0,1\right] \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x\leq 0\right\}
\end{eqnarray*}であるため、\(1\)より大きい任意の実数は\(\left[ 0,1\right] \)の上界である一方で最大元ではなく、\(0\)より小さい任意の実数は\(\left[ 0,1\right] \)の下界である一方で最小元ではありません。

 

演習問題

問題(包含関係と有界性)
集合\(A=\left\{ a,b,c\right\} \)のベキ集合\begin{equation*}2^{A}=\left\{ \phi ,\left\{ a\right\} ,\left\{ b\right\} ,\left\{ c\right\}
,\left\{ a,b\right\} ,\left\{ b,c\right\} ,\left\{ a,c\right\} ,\left\{
a,b,c\right\} \right\}
\end{equation*}上に包含関係\(\subset \)を定義します。\(\left( 2^{A},\subset \right) \)は半順序集合です。\(2^{A}\)の部分集合\begin{equation*}X=\left\{ \left\{ a\right\} ,\left\{ b\right\} ,\left\{ c\right\} \right\}
\end{equation*}に注目します。\(X\)の最大元、最小元、上界、下界をぞれぞれ求めてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(整除関係と有界性)
集合\(A=\left\{ 2,4,6,8,10,30,60,120,240\right\} \)が与えられたとき、それぞれの順序対\(\left( x,y\right) \in A\times A\)に対して、\begin{equation*}x|y\Leftrightarrow y\text{は}x\text{の倍数}
\end{equation*}を満たす整除関係\(|\)を定義します。\(\left( A,|\right) \)は半順序集合です。\(A\)の部分集合\begin{equation*}X=\left\{ 30,60\right\}
\end{equation*}に注目します。\(X\)の最大元、最小元、上界、下界をぞれぞれ求めてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(大小関係と有界性)
すべての有理数からなる集合\(\mathbb{Q} \)上に大小関係\(\leq \)を定義します。\(\left( \mathbb{Q} ,\leq \right) \)は全順序集合です。以下の部分集合\begin{equation*}A=\left\{ x\in \mathbb{Q} \ |\ x^{3}<3\right\}
\end{equation*}は有界でしょうか。議論してください。

解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

上界・下界
収束する数列と有界性

数列のすべての項からなる集合が上に有界ならば、その数列は上に有界であると言います。また、数列のすべての項からなる集合が下に有界ならば、その数列は下に有界であると言います。上に有界かつ下に有界な数列を有界な数列と呼びます。収束列は有界ですが、有界な数列は収束するとは限りません。

上界・下界
点集合の上界・下界

n次元空間上の非空な部分集合に対して、その上界や下界を定義します。n次元空間の部分集合が上界と下界をともに持つとき、その集合は有界であると言います。有界であることは直方体やノルムなど様々な概念を用いて表現可能です。

上界・下界
実数集合の上界・下界

実数集合 R の空でない部分集合 A について、ある実数 a が A の任意の要素以上ならば、a を A の上界と呼びます。また、a が A の任意の要素以下ならば、a をAの 下界 と呼びます。

上界・下界
実数集合の上限・下限

実数空間 R の空でない部分集合 A が上に有界であるとともに、A の上界からなる集合 U(A) の最小値が存在するならば、それを A の上限と呼びます。また、A が下に有界であるとともに、A の下界からなる集合 L(A) の最大値が存在するならば、それを A の下限と呼びます。

アルキメデスの性質
アルキメデスの性質

実数の連続性より、すべての自然数からなる集合 N は上に有界ではないことが示されます。これをアルキメデスの原理と呼びます。

有界
ユークリッド空間における有界性

ユークリッド空間の部分集合が有界であることの意味は、標準的順序という概念を前提にせずとも、距離を用いて表現できることを示します。

局所有界
収束するベクトル値関数と有界性・局所有界性

ベクトル値関数(曲線)が有界であること、点の周辺において局所有界であることの意味を定義します。ベクトル値関数が収束する場合、有界であるとは限らない一方で、局所有界であることは保証されます。

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関係