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関数の最適化

1変数関数の最大化問題の解法

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1変数関数の最大化問題

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の定義域上の点\(a\in X\)が最大点であることは、変数\(x\)が定義域\(X\)上の点をとり得る状況において、その中でも点\(a\in X\)において\(f\left( x\right) \)の値が最大化されること、すなわち、\begin{equation*}\exists a\in X,\ \forall x\in X:f\left( a\right) \geq f\left( x\right)
\end{equation*}が成り立つことを意味します。関数\(f\)の最大点を特定する問題を最大化問題(maximization problem)と呼び、これを、

$$\begin{array}{cl}\max & f\left( x\right) \\
s.t. & x\in X\end{array}$$で表記します。以下では最大化問題の解法を解説します。

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の定義域上の点\(a\in X\)が極大点であることとは、変数\(x\)がとり得る値の範囲を点\(a\)を中心とする何らかの近傍に制限した場合には点\(a\)が最大点になること、すなわち、\begin{equation*}\exists \varepsilon >0,\ \forall x\in N_{\varepsilon }\left( a\right) \cap
X:f\left( a\right) \geq f\left( x\right)
\end{equation*}が成り立つことを意味します。ただし、\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)は点\(a\)を中心とする半径\(\varepsilon \)の近傍であり、\begin{equation*}N_{\varepsilon }\left( a\right) =\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right)
\end{equation*}です。

関数\(f\)の定義域上の点\(a\)が最大点である場合、その点\(a\)は極大点でもあります。つまり、極大点だけが最大点の候補となり得るため、すべての極大点を特定した上で、その中でも\(f\left( x\right) \)の値を最大化するものを特定すれば、それは最大点になります。したがって、最大化問題を解く準備として極大点をすべて特定する必要があります。そこで以下では、極大点を特定する方法を解説した上で、それを踏まえた上で最大点を特定する方法について解説します。

 

局所最大化のための1階の必要条件

関数の定義域上の点が極大点である場合、それはどのような条件を満たすのでしょうか。まずは、関数の定義域上の内点が極大点であるための必要条件を特定します。

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の定義域上の点\(a\in X\)が\(f\)の極大点であるものとします。さらに、この点\(a\)は以下の2つの条件を満たすものとします。1つ目の条件は、点\(a\)が\(f\)の定義域\(X\)の内点であるということです。この場合、\(f\)は点\(a\)を含め周辺の任意の点において定義されていることが保証されます。2つ目の条件は、\(f\)が点\(a\)において微分可能であるということです。以上の条件を満たす点\(a\)を以下に図示しました。

図:極大点における微分係数
図:極大点における微分係数

点\(a\)は極大点であるため、\(x\)がとり得る値の範囲を点\(a\)の周辺に限定したとき、\(f\left( x\right) \)の値は点\(a\)において最大化されます。したがって、\(f\)のグラフの点\(a\)における接線は水平になるはずです。仮定より関数\(f\)は点\(a\)において微分可能ですが、微分係数\(f^{\prime }\left( a\right) \)が関数\(f\)のグラフの点\(a\)における接線の傾きに等しいことを踏まえると、先の理由により、極大点\(a\)では、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) =0
\end{equation*}が成り立つことが予想されます。後に厳密に証明しますが、これは正しい予想です。ちなみに、点\(b\)もまた先の条件を満たす\(f\)の極大点であるため、同様の理由により、\begin{equation*}f^{\prime }\left( b\right) =0
\end{equation*}が成り立つことが予想されます。

図:極大点における微分係数
図:極大点における微分係数

上の図中の点\(a\)もまた先の条件を満たす\(f\)の極大点です。ただ、先の例とは異なり、\(f\)のグラフは点\(a\)の周辺において水平です。とは言え、この場合にも\(f\)のグラフの点\(a\)における接線を引くことができ、それは水平になるため、先と同様の理由により、この場合にも、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) =0
\end{equation*}という関係が成り立つことが予想されます。実際、これは正しい主張です。

関数\(f\)が定義域上の点\(a\)において微分可能であり、なおかつそこでの微分係数がゼロである場合、すなわち\(f^{\prime }\left( a\right) =0\)が成り立つ場合には、そのような点\(a\)を関数\(f\)の停留点(stationary point)と呼びます。関数\(f\)の定義域上の内点\(a\)が極大点である場合には、その点\(a\)は\(f\)の停留点となります。これを局所最大化のための1階の必要条件(first ordernecessary condition for local maximizer)と呼びます。

命題(局所最大化のための1階の必要条件)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の定義域の内点\(a\in X^{i}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)において微分可能であるとともに、点\(a\)が\(f\)の極大点であるならば、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) =0
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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上の命題の逆は成立するとは限りません。つまり、関数の内点が局所最大化のための1階の必要条件を満たす場合、すなわち内点が停留点である場合、その点は極大点であるとは限りません。以下の例より明らかです。

例(停留点は極大点であるとは限らない)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{3}
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =3x^{2}
\end{equation*}を定めます。点\(0\)は定義域\(\mathbb{R} \)の内点であるとともに、そこでの微分係数は、\begin{equation*}f^{\prime }\left( 0\right) =0
\end{equation*}が成り立つため、点\(0\)は停留点です。その一方で、この点\(0\)は極大点ではありません。実際、点\(0\)より大きい周辺の任意の点\(x\)において\(f\left( x\right) >f\left( 0\right) \)である一方、点\(0\)より小さい周辺の任意の点\(x\)において\(f\left( x\right) <f\left( 0\right) \)であるからです(下図)。

図:極大点ではない停留点
図:極大点ではない停留点

 

局所最大化のための2階の必要条件

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の定義域上の点\(a\in X\)が\(f\)の極大点であるものとします。さらに、この点\(a\)は以下の2つの条件を満たすものとします。1つ目の条件は、点\(a\)が\(f\)の定義域\(X\)の内点であるということです。この場合、\(f\)は点\(a\)を含め周辺の任意の点において定義されていることが保証されます。2つ目の条件は、\(f\)が点\(a\)を中心とする近傍において\(C^{2}\)級であるということです。以上の条件を満たす点\(a\)を以下に図示しました。

図:極大点における微分係数
図:極大点における微分係数

\(C^{2}\)級であることは微分可能性を含意するため、局所最適化のための1階の必要条件より、この極大点\(a\)は停留点であることが保証されます。つまり、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) =0
\end{equation*}が成り立つということです。では、点\(a\)が極大点であることに由来する追加的な必要条件は存在するでしょうか。仮定より\(f\)は点\(a\)において2階微分可能であるため、導関数\(f^{\prime }\)は点\(a\)の周辺の任意の点において定義されています。導関数が定める値\(f^{\prime}\left( x\right) \)は点\(x\)における\(f\)のグラフの接線の傾きに相当します。点\(a\)は極大点であり、\(f\)のグラフは点\(a\)の周辺において山型です。山の頂上に相当する点\(a\)における\(f\)のグラフの接線の傾きはゼロです。\(x\)が\(a\)より小さい値をとりながら\(a\)に近づくにつれて\(f\)のグラフの接線の傾き\(f^{\prime }\left(x\right) \)は正の値から減少してゼロへ近づいていきます。逆に、\(x\)が\(a\)より大きい値をとりながら\(a\)に近づくにつれて\(f\)のグラフの接線の傾き\(f^{\prime }\left( x\right) \)は負の値から増加してゼロへ近づいていきます。つまり、点\(a\)の周辺において導関数\(f^{\prime }\)は狭義の減少関数であるため、点\(a\)において、\begin{equation}f^{\prime \prime }\left( a\right) <0 \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つことが予想されます。実際、これは正しい予想です。

図:極大点における微分係数
図:極大点における微分係数

上の図中の点\(a\)もまた先の条件を満たす\(f\)の極大点です。ただ、先の例とは異なり、\(f\)のグラフは点\(a\)の周辺において水平であるため、点\(a\)を含め周辺の任意の点\(x\)における\(f\)のグラフの接線の傾き\(f^{\prime }\left( x\right) \)はゼロを値としてとる定数関数です。したがって、点\(a\)において、\begin{equation}f^{\prime \prime }\left( a\right) =0 \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立つことが予想されます。実際、これは正しい主張です。

結論をまとめると、関数\(f\)の定義域上の内点\(a\)が極大点であり、なおかつその点\(a\)の周辺の任意の点において\(C^{2}\)級である場合には、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ f^{\prime }\left( a\right) =0 \\
&&\left( b\right) \ f^{\prime \prime }\left( a\right) \leq 0
\end{eqnarray*}がとも成り立ちます。これを局所最大化のための2階の必要条件(second order necessary condition for local maximizer)と呼びます。証明ではテイラーの定理を利用します。

命題(局所最大化のための2階の必要条件)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の定義域の内点\(a\in X^{i}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)を中心とする近傍において\(C^{2}\)級であるとともに、点\(a\)が\(f\)の極大点であるならば、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ f^{\prime }\left( a\right) =0 \\
&&\left( b\right) \ f^{\prime \prime }\left( a\right) \leq 0
\end{eqnarray*}がともに成り立つ。

証明

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上の命題の逆は成立するとは限りません。つまり、関数の内点が局所最大化のための2階の必要条件を満たす場合、その内点は極大点であるとは限りません。以下の例より明らかです。

例(2階の必要条件を満たす内点は極大点であるとは限らない)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{3}
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =3x^{2}
\end{equation*}を定めます。また、この関数\(f\)は2階微分可能であり、2階導関数\(f^{\prime \prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime \prime }\left( x\right) =6x
\end{equation*}を定めます。つまり、この関数\(f\)は点\(0\)の周辺の任意の点において2階微分可能であるとともに、\begin{equation*}f^{\prime \prime }\left( 0\right) =0
\end{equation*}が成り立つため、点\(0\)は局所最大化のための2階の必要条件を満たします。しかし、先に明らかになったように、この点\(0\)は極大点ではありません。

 

局所最大化のための2階の十分条件

関数の定義域の内点が極大点であるための必要条件が明らかになりました。関数が極大点であるような内点において微分可能である場合には局所最大化のための必要条件が成り立つため、関数が微分可能な内点の中から極大点を探す際には、局所最大化のための必要条件を満たす内点だけが候補になります。ただ、局所最大化のための必要条件を満たす内点の中には極大点ではないものが存在する可能性があります。では、関数の定義域の内点が極大点であるための十分条件を特定することはできるのでしょうか。以下の命題がこの問いに対する答えを与えます。これを局所最大化のための2階の十分条件(second order sufficient condition for local maximizer)と呼びます。証明ではテイラーの定理を利用します。

命題(局所最大化のための2階の十分条件)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の定義域の内点\(a\in X^{i}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)を中心とする近傍において\(C^{2}\)級であるとともに、以下の条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ f^{\prime }\left( a\right) =0 \\
&&\left( b\right) \ f^{\prime \prime }\left( a\right) <0
\end{eqnarray*}がともに成り立つならば、点\(a\)は\(f\)の極大点である。
証明

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上の命題の逆は成立するとは限りません。つまり、関数の内点が極大点である場合、その内点は局所最大化のための2階の十分条件を満たすとは限りません。以下の例より明らかです。

例(2階の十分条件を満たさない極大点)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =-x^{4}
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =-4x^{3}
\end{equation*}を定めます。また、この関数\(f\)は2階微分可能であり、2階導関数\(f^{\prime \prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime \prime }\left( x\right) =-12x^{2}
\end{equation*}を定めます。つまり、この関数\(f\)は内点\(0\)の周辺の任意の点において2階微分可能であるとともに、\begin{equation*}f^{\prime \prime }\left( 0\right) =0
\end{equation*}が成り立つため、点\(0\)は局所最大化のための2階の十分条件を満たしません。しかし、この内点\(0\)は極大点です(演習問題)。

 

最大化問題の解法

関数\(f\)の最大点は極大点でもあるため、極大点をすべて特定した上で、その中でも\(f\left( x\right) \)の値を最大化するような点を特定すれば、それは必然的に最大点になります。ただ、以下の例が示唆するように、関数の極大点が存在する場合においても最大点は存在するとは限りません。したがって、極大点の中から最大点を探す前に、そもそも関数の最大点が存在することを確認する必要があります。その際、最大値・最小値の定理などが役に立ちます。

例(最大点が存在せず極大点が存在する場合)
有界な半閉区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \lbrack a,b)\rightarrow \mathbb{R} \)のグラフが下図で与えられています。

図:最大点は存在しないが極大点は存在するケース
図:最大点は存在しないが極大点は存在するケース

この関数\(f\)は定義域\([a,b)\)上で最大点を持たないため最大値は存在しません。\(f\)が点\(b\)において定義されていないからです。一方、点\(c,e\)はいずれも\(f\)の極大点であるため、\(f\left( c\right) \)および\(f\left( e\right) \)は極大値です。

関数の最大点が存在することが確認できたら、極大点を特定する作業へ移ります。なぜなら、極大点だけが最大点の候補だからです。局所最大化のための十分条件を満たす内点は極大点ですが、先に例を通じて確認したように、局所最大化のための十分条件を満たさない一方で必要条件を満たす内点もまた極大点になり得ます。したがって、結局、局所最大化のための必要条件を満たす内点をすべて特定し、それらを最大点の候補とする必要があります。

局所最大化のための必要条件ないし十分条件は、関数が微分可能な内点を対象とした条件であり、関数が微分可能ではない内点については何も言っていません。以下の例が示唆するように、関数が微分可能ではない内点もまた極大点となり得るため、そのようなすべての点も最大点の候補に加える必要があります。

例(関数が極大点において微分可能ではない場合)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)のグラフが下図で与えられているものとします。

図:停留点ではない極大点
図:停留点ではない極大点

点\(a\)は\(f\)の定義域の内点であるとともに極大点でもありますが、\(f\)は点\(a\)において微分可能ではありません。したがって、点\(a\)は局所最大化のための必要条件を満たしません。点\(b\)も同様です。

これまでは関数の定義域の内点のみを対象とした議論を行ってきましたが、以下の例が示唆するように、関数の定義域の境界点が極大点になることもあります。したがって、関数の定義域が境界点を要素をとして持つ場合、そのようなすべての点も最大点の候補に加える必要があります。

例(境界点であるような極大点)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)のグラフが下図で与えられているものとします。

図:境界点であるような極大点
図:境界点であるような極大点

点\(b\)は\(f\)の極大点です。加えて、点\(b\)は\(f\)の定義域\(\left[ a,b\right] \)の内点ではなく境界点です。

以上を踏まえると、関数の最大点を求めるためには以下の手順にしたがう必要があります。

  1. 関数\(f\)の最大点が存在することを確認する。その際、最大値・最小値の定理などを利用する。
  2. 関数\(f\)の定義域\(X\)の内点の中でも、局所最大化のための必要条件を満たす点をすべて特定する。特に、その中でも局所最大化のための十分条件を満たす内点は極大点であることが確定する。
  3. 関数\(f\)の定義域\(X\)の内点の中でも、関数が微分可能ではない点をすべて特定する。
  4. 関数\(f\)の定義域\(X\)に含まれる境界点をすべて特定する。
  5. 以上の点の中でも\(f\left( x\right) \)の値を最大化する点が最大点である。

特に、関数\(f\)の定義域\(X\)が\(\mathbb{R} \)上の開集合であるとともに、\(f\)が\(X\)上の任意の点において微分可能である場合には、関数\(f\)が微分可能ではない点や、関数\(f\)の定義域\(X\)に含まれる境界点は存在しないことが保証されるため、最大点を特定するためには以下の手順にしたがえばよいということになります。

  1. 関数\(f\)の最大点が存在することを確認する。
  2. 関数\(f\)の定義域\(X\)の点の中から、局所最大化のための必要条件を満たす点をすべて特定する。特に、その中でも局所最大化のための十分条件を満たす内点は極大点であることが確定する。
  3. 以上の点の中でも\(f\left( x\right) \)の値を最大化する点が最大点である。

いくつか具体例を提示します。

例(関数の最大点)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ -1,2\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ -1,2\right] \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{3}-x
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は有界閉区間上に定義された多項式関数であるため連続であり、したがって最大値・最小値の定理より定義域\(\left[ -1,2\right] \)上に最大点が存在します。\(f\)は定義域の内部\(\left( -1,2\right) \)において微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \supset \left( -1,2\right) \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left( -1,2\right) \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =3x^{2}-1
\end{equation*}を定めます。また、\(f\)は定義域の内部\(\left( -1,2\right) \)において2階微分可能であり、2階導関数\(f^{\prime\prime }:\mathbb{R} \supset \left( -1,2\right) \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left( -1,2\right) \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime \prime }\left( x\right) =6x
\end{equation*}を定めます。局所最大化のための1階の必要条件は、\begin{equation*}
3x^{2}-1=0
\end{equation*}であり、これを解くと、\begin{equation*}
x=\pm \sqrt{\frac{1}{3}}
\end{equation*}を得ます。これらは定義域\(\left[ -1,2\right] \)の内点です。さらに、\begin{eqnarray*}f^{\prime \prime }\left( \sqrt{\frac{1}{3}}\right) &=&0\leq 0 \\
f^{\prime \prime }\left( -\sqrt{\frac{1}{3}}\right) &=&0\leq 0
\end{eqnarray*}が成り立つため、これらの点は局所最大化のための2階の十分条件を満たさない一方で必要条件を満たします。したがって、これらの点は最大点の候補です。定義域の内部\(\left( -1,2\right) \)に関数\(f\)が微分可能ではない点は存在しません。また、定義域の境界点は、\begin{equation*}x=-1,2
\end{equation*}です。以上の4つの点が最大点の候補です。これらを比較すると、\begin{eqnarray*}
f\left( \sqrt{\frac{1}{3}}\right) &=&\left( \sqrt{\frac{1}{3}}\right) ^{3}-\sqrt{\frac{1}{3}}=\frac{1}{3}\sqrt{\frac{1}{3}}-\sqrt{\frac{1}{3}}=-\frac{2}{3}\sqrt{\frac{1}{3}} \\
f\left( -\sqrt{\frac{1}{3}}\right) &=&\left( -\sqrt{\frac{1}{3}}\right)
^{3}-\left( -\sqrt{\frac{1}{3}}\right) =-\frac{1}{3}\sqrt{\frac{1}{3}}+\sqrt{\frac{1}{3}}=\frac{2}{3}\sqrt{\frac{1}{3}} \\
f\left( -1\right) &=&\left( -1\right) ^{3}-\left( -1\right) =0 \\
f\left( 2\right) &=&2^{3}-2=6
\end{eqnarray*}であるため、最大点は\(2\)であり、最大値は\(f\left( 2\right) =6\)であることが明らかになりました。
例(関数の最大点)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left( -1,1\right) \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left( -1,1\right) \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{1}{x^{2}-1}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は有理関数であるため連続ですが、定義域\(\left( -1,1\right) \)は有界な閉区間ではないため最大値・最小値の定理を適用できません。ただ、この関数\(f\)は\(\left( -1,1\right) \)上において連続な山形のグラフを持つため最大値を持ちます。\(f\)は微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \supset \left( -1,1\right) \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left( -1,1\right) \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =-\frac{2x}{\left( x^{2}-1\right) ^{2}}
\end{equation*}を定めます。\(f\)は2階微分可能であり、2階導関数\(f^{\prime \prime }:\mathbb{R} \supset \left( -1,1\right) \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left( -1,1\right) \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime \prime }\left( x\right) =\frac{2\left( 3x^{2}+1\right) }{\left(
x^{2}-1\right) ^{3}}
\end{equation*}を定めます。局所最大化のための1階の必要条件は、\begin{equation*}
-\frac{2x}{\left( x^{2}-1\right) ^{2}}=0
\end{equation*}であるため、これを解くと、\begin{equation*}
x=0
\end{equation*}を得ます。さらに、\begin{equation*}
f^{\prime \prime }\left( 0\right) =-2<0
\end{equation*}であるため、点\(0\)は局所最大化のための2階の十分条件を満たします。したがって、点\(0\)は極大点です。\(f\)の定義域\(\left( -1,1\right) \)は開集合であるため境界点を持ちません。また、\(\left( -1,1\right) \)上に\(f\)が微分可能ではない点は存在しません。したがって、点\(0\)が最大点であり、最大値は\(f\left( 0\right) =-1\)です。
例(関数の最大点)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{3}-12x
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は多項式関数であるため連続です。しかし、定義域\(\mathbb{R} \)は有界な閉区間ではないため最大値・最小値の定理を適用できません。さらに、\begin{eqnarray*}\lim_{x\rightarrow \infty }f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow \infty
}\left( x^{3}-12x\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\lim_{x\rightarrow \infty }\left[ x^{3}\left( 1-\frac{12}{x^{2}}\right) \right] \\
&=&\left( +\infty \right) \cdot 1 \\
&=&+\infty
\end{eqnarray*}となるため、\(f\)は\(\mathbb{R} \)上に最大点を持ちません。

 

演習問題

問題(関数の最大点)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ 0,2\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ 0,2\right] \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =e^{x}-ex
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の\(\left[ 0,2\right] \)における最大点は存在しますか。存在する場合には具体的に求めてください。
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問題(関数の最大点)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ -5,5\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ -5,5\right] \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{3}-12x^{2}+36x+8
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の\(\left[ -5,5\right] \)における最大点は存在しますか。存在する場合には具体的に求めてください。
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問題(関数の最大点)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ 0,2\pi \right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ 0,2\pi \right] \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{1}{2}x+\sin \left( x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の\(\left[ 0,2\pi \right] \)における最大点は存在しますか。存在する場合には具体的に求めてください。
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実数集合 R の空でない部分集合 A について、そのある要素 a が A の任意の実数以上ならば、a を A の最大値と呼びます。また、a が A の任意の実数以下ならば、a を A の最小値と呼びます。

多変数関数の大域的最適解

多変数関数の値を最大化するような点が定義域上に存在する場合、そのような点を最大点や大域的最大点と呼びます。また、多変数関数が最大点に対して定める値を最大値や大域的最大値と呼びます。

多変数関数の局所最適解

多変数関数の値を最大化するような点が定義域上に存在しない場合でも、変数がとり得る値を限定することにより、その範囲内において関数の値を最大化するような点が存在する状況は起こり得ます。そのような点を極大点や局所的最大点と呼びます。また、関数が極大点に対して定める値を極大値や大域的最大値と呼びます。

可測関数どうしの最大値と最小値は可測関数

有限個の可測関数の値の最大値や最小値を値として定める写像は可測関数です。また、有限個の拡大実数値可測関数の値の最大値や最小値を値として定める写像は拡大実数値可測関数です。

線型不等式制約のもとでの多変数関数の最小化問題

多変数関数の変数がとり得る値の範囲が1本の線型不等式によって制限されている場合に、関数の最小点が満たす条件(クーン・タッカー条件)を特定するとともに、最小点を具体的に導出する方法(ラグランジュの未定乗数法)について解説します。

線型不等式制約のもとでの多変数関数の最大化問題

多変数関数の変数がとり得る値の範囲が1本の線型不等式によって制限されている場合に、関数の最大点が満たす条件(クーン・タッカー条件)を特定するとともに、最大点を具体的に導出する方法(ラグランジュの未定乗数法)について解説します。

順序部分集合の最大元・最小元

非空な順序部分集合のある要素が、他の任意の要素以上である場合、それを最大元と呼びます。また、非空な順序部分集合のある要素が、他の任意の要素以下である場合、それを最小元と呼びます。

順序部分集合の極大元・極小元

非空な順序部分集合のある要素よりも大きい要素がその集合の中に存在しない場合、その要素を極大元と呼びます。また、非空な順序部分集合のある要素よりも小さい要素がその集合の中に存在しない場合、その要素を極小元と呼びます。

関数の最適化