複数均衡問題とフォーカルポイント
プレイヤーたちが相談できない状況において何らかの選択を迫られた場合に、ある選択肢が他の選択肢よりも注意を引くものであるならば、それをフォーカルポイントと呼びます。ゲームに複数のナッシュ均衡が存在する場合、その中の1つがフォーカルポイントであれば、プレイヤーたちはそれをプレーすることが予想されます。
プレイヤーたちが相談できない状況において何らかの選択を迫られた場合に、ある選択肢が他の選択肢よりも注意を引くものであるならば、それをフォーカルポイントと呼びます。ゲームに複数のナッシュ均衡が存在する場合、その中の1つがフォーカルポイントであれば、プレイヤーたちはそれをプレーすることが予想されます。
戦略型ゲームに複数のナッシュ均衡が存在する場合、プレイヤーたちはその中のどれを実際にプレーすることになるか必ずしも明らかではありません。これを複数均衡の問題や均衡選択の問題などと呼びます。
プレイヤーをランダムに変えて同じゲームを繰り返しプレーした結果、ある時点からプレイヤーたちが一定の戦略をプレーするよう状況が安定するのであれば、それは社会的慣習が形成されたことを意味します。社会的慣習が形成される場合、それはナッシュ均衡です。
プレイヤーたちが事前交渉を行い何らかの合意に至った場合、それを強制する仕組みが存在しないにも関わらず合意が守られるのであれば、そのような合意は自己拘束的であると言われます。自己拘束的な合意は必ずナッシュ均衡である一方、その逆は成立するとは限りません。
合理性の仮定や期待効用仮説を採用する限りにおいて、完備情報の静学ゲームにおける均衡概念はナッシュ均衡しか存在しません。しかし、これはあくまでもゲームの分析者の立場から見たときの考え方であり、プレイヤーの視点から考えてみると話が少し複雑になります。
戦略型ゲームに支配戦略均衡が存在する場合、それはナッシュ均衡であることが保証されます。逆は成立するとは限りません。つまり、ナッシュ均衡は支配戦略均衡であるとは限りません。
戦略型ゲームにナッシュ均衡が存在する場合、そのゲームに支配される戦略の逐次消去を適用すると、そのナッシュ均衡は最後まで残ります。特に、ゲームが逐次消去によって解ける場合、その解はゲームの一意的なナッシュ均衡であることが保証されます。
与えられたゲームにおいてそれぞれのプレイヤーが何らかの戦略によって広義支配される純粋戦略を持つ場合、それをプレイヤーの純粋戦略集合から消去することを通じてプレイヤーたちが選択し得る戦略の組を絞り込む手法を広義支配される戦略の逐次消去と呼びます。
戦略型ゲームの混合拡張においてプレイヤーたちの混合戦略の組に注目したときに、その組を構成する混合戦略がお互いに広義の最適反応になっているならば、その組を広義の混合戦略ナッシュ均衡と呼びます。