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連立1次方程式

連立1次方程式の加減法と行基本操作の関係

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連立1次方程式の加減法

変数\(x_{1},x_{2},\cdots ,x_{n}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
a_{11}x_{1}+a_{12}x_{2}+\cdots +a_{1n}x_{n}=b_{1} \\
a_{21}x_{1}+a_{22}x_{2}+\cdots +a_{2n}x_{n}=b_{2} \\
\vdots \\
a_{m1}x_{1}+a_{m2}x_{2}+\cdots +a_{mn}x_{n}=b_{m}\end{array}\right.
\end{equation*}が与えられているものとします。ただし、\(a_{ij}\in \mathbb{R} \)は係数、\(b_{i}\in \mathbb{R} \)は定数項、\(x_{j}\in \mathbb{R} \)は変数です。変数の個数\(n\)と方程式の個数\(m\)はともに自然数であり、それぞれ任意に選ぶことができます。

連立1次方程式の解法として、初等数学では加減法(addition subtraction method)を学びました。加減法とは、連立1次方程式を構成する個々の方程式に対して以下の3つの操作を適用することを通じて連立1次方程式を解く手法です。

  1. 第\(i\)式と第\(j\)式を入れ替える。この操作を、\begin{equation*}R_{i}\leftrightarrow R_{j}\end{equation*}で表記する。
  2. 第\(i\)式に非ゼロのスカラー\(k\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)を掛ける。この操作を、\begin{equation*}R_{i}\rightarrow kR_{i}\quad \left( k\not=0\right) \end{equation*}で表記する。
  3. 第\(j\)式のスカラー\(k\in \mathbb{R} \)倍を第\(i\)行に加える。この操作を、\begin{equation*}R_{i}\rightarrow R_{i}+kR_{j}\end{equation*}で表記する。

操作2と操作3を同時に適用することもできます。つまり、第\(i\)式に非ゼロのスカラー\(k\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)を掛けた上で、さらに第\(j\)式のスカラー\(k^{\prime }\in \mathbb{R} \)倍を加えるということです。この一連の操作を、\begin{equation*}R_{i}\rightarrow kR_{i}+k^{\prime }R_{j}\quad \left( k_{1}\not=0\right)
\end{equation*}で表記します。

例(加減法)
変数\(x,y\)に関する連立1次方程式\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{r}
x+y=2 \\
x+3y=4\end{array}\right.
\end{equation*}が与えられているものとします。加減法を適用すると、\begin{eqnarray*}
\left\{
\begin{array}{r}
x+y=2 \\
x+3y=4\end{array}\right. &\rightarrow &\left\{
\begin{array}{r}
x+y=2 \\
0x+2y=2\end{array}\right. \quad \because R_{2}\rightarrow R_{2}-R_{1} \\
&\rightarrow &\left\{
\begin{array}{r}
x+y=2 \\
0x+1y=1\end{array}\right. \quad \because R_{2}\rightarrow \frac{1}{2}R_{2} \\
&\rightarrow &\left\{
\begin{array}{r}
1x+0y=1 \\
0x+1y=1\end{array}\right. \quad \because R_{1}\rightarrow R_{1}-R_{2} \\
&=&\left\{
\begin{array}{r}
x=1 \\
y=1\end{array}\right.
\end{eqnarray*}となるため、与えられた連立1次方程式の解は、\begin{equation*}
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y\end{array}\right) =\left(
\begin{array}{c}
1 \\
1\end{array}\right)
\end{equation*}であることが明らかになりました。

 

行基本操作としての加減法

連立1次方程式\begin{equation}
\left\{
\begin{array}{c}
a_{11}x_{1}+a_{12}x_{2}+\cdots +a_{1n}x_{n}=b_{1} \\
a_{21}x_{1}+a_{22}x_{2}+\cdots +a_{2n}x_{n}=b_{2} \\
\vdots \\
a_{m1}x_{1}+a_{m2}x_{2}+\cdots +a_{mn}x_{n}=b_{m}\end{array}\right. \quad \cdots (1)
\end{equation}の係数行列\(A\)と定数ベクトル\(b\)は、\begin{eqnarray*}A &=&\begin{pmatrix}
a_{11} & a_{12} & \cdots & a_{1n} \\
a_{21} & a_{22} & \cdots & a_{2n} \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
a_{m1} & a_{m2} & \cdots & a_{mn}\end{pmatrix}\in M_{m,n}\left( \mathbb{R} \right) \\
b &=&\begin{pmatrix}
b_{1} \\
b_{2} \\
\vdots \\
b_{m}\end{pmatrix}\in M_{m,1}\left( \mathbb{R} \right)
\end{eqnarray*}と定義され、拡大係数行列\(\widetilde{A}\)は、\begin{equation*}\widetilde{A}=\left( A,b\right) \in M_{m,n+1}\left( \mathbb{R} \right)
\end{equation*}と定義されます。連立1次方程式\(\left( 1\right) \)は行列方程式\begin{equation}Ax=b \quad \cdots (2)
\end{equation}と同値であり、したがって\(\left( 1\right) \)と\(\left( 2\right) \)の解集合は一致します。

連立1次方程式\(\left( 1\right) \)に対して加減法を適用することは、\(\left( 1\right) \)の拡大係数行列\(\widetilde{A}=\left(A,b\right) \)に対して行基本変形を適用することと操作として一致します。ただし、行基本操作とは行列に対して行う以下の3種類の操作の総称です。行列に対して行基本操作を適用することを行簡約と呼びます。

  1. 第\(i\)行と第\(j\)行を入れ替える。この操作を、\begin{equation*}R_{i}\leftrightarrow R_{j}\end{equation*}で表記する。
  2. 第\(i\)行に非ゼロのスカラー\(k\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)を掛ける。この操作を、\begin{equation*}R_{i}\rightarrow kR_{i}\quad \left( k\not=0\right)\end{equation*}で表記する。
  3. 第\(j\)行のスカラー\(k\in \mathbb{R} \)倍を第\(i\)行に加える。この操作を、\begin{equation*}R_{i}\rightarrow R_{i}+kR_{j}\end{equation*}で表記する。

操作2と操作3を同時に適用することもできます。つまり、第\(i\)行に非ゼロのスカラー\(k\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)を掛けた上で、さらに第\(j\)行のスカラー\(k^{\prime }\in \mathbb{R} \)倍を加えるということです。この一連の操作を、\begin{equation*}R_{i}\rightarrow kR_{i}+k^{\prime }R_{j}\quad \left( k_{1}\not=0\right)
\end{equation*}で表記します。

例(行基本操作としての加減法)
変数\(x,y\)に関する連立1次方程式\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{r}
x+y=2 \\
x+3y=4\end{array}\right.
\end{equation*}が与えられているものとします。行列方程式に言い換えると、\begin{equation*}
Ax=b
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\begin{pmatrix}
1 & 1 \\
1 & 3\end{pmatrix}\left(
\begin{array}{c}
x \\
y\end{array}\right) =\left(
\begin{array}{c}
2 \\
4\end{array}\right)
\end{equation*}となります。拡大係数行列を行簡約すると、\begin{eqnarray*}
\widetilde{A} &=&\left( A,b\right) \\
&=&\begin{pmatrix}
1 & 1 & 2 \\
1 & 3 & 4\end{pmatrix}
\\
&\rightarrow &\begin{pmatrix}
1 & 1 & 2 \\
0 & 2 & 2\end{pmatrix}\quad \because R_{2}\rightarrow R_{2}-R_{1} \\
&\rightarrow &\begin{pmatrix}
1 & 1 & 2 \\
0 & 1 & 1\end{pmatrix}\quad \because R_{2}\rightarrow \frac{1}{2}R_{2} \\
&\rightarrow &\begin{pmatrix}
1 & 0 & 1 \\
0 & 1 & 1\end{pmatrix}\quad \because R_{1}\rightarrow R_{1}-R_{2}
\end{eqnarray*}となるため、行簡約後の行列方程式は、\begin{equation*}
\begin{pmatrix}
1 & 0 \\
0 & 1\end{pmatrix}\left(
\begin{array}{c}
x \\
y\end{array}\right) =\left(
\begin{array}{c}
1 \\
1\end{array}\right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y\end{array}\right) =\left(
\begin{array}{c}
1 \\
1\end{array}\right)
\end{equation*}となります。これはもとの連立1次方程式の解に他なりません。

 

加減法が有効であることの根拠

連立1次方程式\begin{equation}
\left\{
\begin{array}{c}
a_{11}x_{1}+a_{12}x_{2}+\cdots +a_{1n}x_{n}=b_{1} \\
a_{21}x_{1}+a_{22}x_{2}+\cdots +a_{2n}x_{n}=b_{2} \\
\vdots \\
a_{m1}x_{1}+a_{m2}x_{2}+\cdots +a_{mn}x_{n}=b_{m}\end{array}\right. \quad \cdots (1)
\end{equation}と同値な行列方程式\begin{equation}
Ax=b \quad \cdots (2)
\end{equation}が与えられているものとします。\(\left( 1\right) \)に加減法を適用することは、\(\left( 1\right) \)の拡大係数行列\begin{equation*}\widetilde{A}=\left( A,b\right)
\end{equation*}を行簡約することと操作として一致します。\(\widetilde{A}\)を行簡約することにより行列\begin{equation*}\widetilde{B}=\left( B,c\right)
\end{equation*}が得られた状況を想定します。つまり、\(\widetilde{B}\)は\(\widetilde{A}\)と行同値であるということです。すると行列方程式\begin{equation}Bx=c \quad \cdots (3)
\end{equation}が得られますが、これは\(\left( 1\right) \)に加減法を適用した後の連立1次方程式と同値です。加減法が連立1次方程式の解法として有効であるためには、加減法を適用する前後において連立1次方程式の解集合が変化しないことを保証する必要があります。つまり、\(\left( 2\right) \)と\(\left( 3\right) \)の解集合が一致することを保証する必要があるということです。実際、\(\left( 2\right) \)と\(\left( 3\right) \)の解集合は一致します。

命題(加減法が有効であることの根拠)
変数ベクトル\(x\in \mathbb{R} ^{n}\)に関する行列方程式\begin{equation}Ax=b \quad \cdots (1)
\end{equation}が与えられているものとする。ただし、\(A\in M_{m,n}\left( \mathbb{R} \right) \)は係数行列であり、\(b\in \mathbb{R} ^{m}\)は定数ベクトルである。拡大係数行列\begin{equation*}\widetilde{A}=\left( A,b\right) \in M_{m,n+1}\left( \mathbb{R} \right)
\end{equation*}と行同値な行列\begin{equation*}
\widetilde{B}=\left( B,c\right) \in M_{m,n+1}\left( \mathbb{R} \right)
\end{equation*}を任意に選んだ上で、行列方程式\begin{equation}
Bx=c \quad \cdots (2)
\end{equation}を定義する。このとき、\(\left( 1\right) \)と\(\left( 2\right) \)の解集合は一致する。
証明

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