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最大値の定理・最小値の定理

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最大値の定理

距離空間やユークリッド空間など位相が導入された集合を定義域とし、実数を値としてとる関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}\)を議論の対象とします。定義域\(A\)の部分集合\(X\)がコンパクト集合であるとともに、\(f\)が\(X\)上で連続である場合、最大値・最小値の定理より\(f\)は\(X\)上において最大値や最小値をとることが保証されます。

関数が連続であることと、その関数が上半連続かつ下半連続であることが必要十分である以上、やはり最大値・最小値の定理より、\(f\)がコンパクト集合\(X\)上で上半連続かつ下半連続である場合、\(f\)は\(X\)上において最大値や最小値をとることが保証されます。ただ、この主張をもう少し分割することができます。具体的には、\(f\)が\(X\)上において最大値をとることを保証するためには\(f\)が\(X\)上において上半連続であればよく、また、\(f\)が\(X\)上において最小値をとることを保証するためには\(f\)が\(X\)上において下半連続であればよいということです。証明の方針は以下の通りです。

関数\(f\)がコンパクト集合\(X\)上で上半連続である場合について考えます。つまり、任意の\(c\in \mathbb{R}\)に対して、上方位集合\begin{equation}
U\left( c\right) =\left\{ x\in X\ |\ f\left( x\right) \geq c\right\}
\quad\cdots (1)
\end{equation}が\(X\)上の閉集合であるということです。このとき、\(f\)が\(X\)上において最大値をとること、すなわち、\(f\)による\(X\)の像\begin{equation}
f\left( X\right) =\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R}\ |\ x\in X\right\} \quad\cdots (2)
\end{equation}に対して、その最大値\(\max f\left( X\right) \)が存在することを示すことが目標になります。

点\(c\in f\left( X\right) \)を任意にとると、\(\left( 2\right) \)より、それに対して、\begin{equation*}
\exists x^{\prime }\in X:c=f\left( x^{\prime }\right)
\end{equation*}が成り立ちます。すると\(\left( 1\right) \)より、この\(x^{\prime }\)に対して\(x^{\prime }\in U\left( c\right) \)が成り立つため、\(U\left( c\right) \)が空集合ではないことが保証されます。しかも、\(f\)の上半連続性より\(U\left( c\right) \)は\(X\)上の閉集合です。それぞれの\(c\in f\left( X\right) \)について同様に考えることにより、非空な\(X\)の閉集合からなる集合族\(\left\{ U\left( c\right) \right\} _{c\in f\left( X\right) }\)を構成できます。その上で、この集合族の共通部分\begin{equation*}
\bigcap\limits_{c\in f\left( X\right) }U\left( c\right)
\end{equation*}をとります。この共通部分は空集合ではなく、なおかつ、この共通部分こそが\(X\)上において\(f\)を最大化する\(X\)の点からなる集合であることが示されます(演習問題にします)。しかも、この解集合は\(X\)上のコンパクト集合であることもまた示されます(演習問題にします)。

命題(最大値の定理)
位相が導入された集合上に定義された実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}\)が与えられたとき、定義域の部分集合\(X\subset A\)がコンパクト集合であるとともに\(f:X\rightarrow \mathbb{R}\)が上半連続性を満たすならば、\(f\)は\(X\)に属する点において最大値をとり、なおかつ、\(f\)を最大化する\(X\)の点からなる集合はコンパクト集合になる。
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例(最大値の定理)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
x^{2} & if\ x\not=0 \\
1 & if\ x=0\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします(下図)。

図:関数
図:関数

定義域の部分集合である有界な閉区間\(\left[ -1,1\right] \)に注目した上で、関数\(f\)の定義域を縮小して\(f:\left[ -1,1\right] \rightarrow \mathbb{R}\)とします。有界な閉区間はコンパクト集合であるため、この新たな\(f\)はコンパクト集合上に定義された関数です。しかし、\(f\)は\(\left[ -1,1\right] \)上で連続ではないため、最大値・最小値の定理を利用することはできません。一方、\(f\)は\(\left[ -1,1\right] \)上で上半連続ではあるため、最大値の定理より、\(f\)は\(\left[ -1,1\right] \)上において最大値をとることを保証することはできます。実際、\(x=-1,0,1\)において\(f\left( x\right) \)は最大値\(1\)をとります。

 

最小値の定理

最小値に関しても同様の命題が成り立ちます(証明は演習問題にします)。

命題(最小値の定理)
位相が導入された集合上に定義された実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}\)が与えられたとき、定義域の部分集合\(X\subset A\)がコンパクト集合であるとともに\(f:X\rightarrow \mathbb{R}\)が下半連続性を満たすならば、\(f\)は\(X\)に属する点において最小値をとり、なおかつ、\(f\)を最小化する\(X\)の点からなる集合はコンパクト集合になる。
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例(最小値の定理)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
x^{2} & if\ x\not=0 \\
-1 & if\ x=0\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします(下図)。

図:関数
図:関数

定義域の部分集合である有界な閉区間\(\left[ -1,1\right] \)に注目した上で、関数\(f\)の定義域を縮小して\(f:\left[ -1,1\right] \rightarrow \mathbb{R}\)とします。有界な閉区間はコンパクト集合であるため、この新たな\(f\)はコンパクト集合上に定義された関数です。しかし、\(f\)は\(\left[ -1,1\right] \)上で連続ではないため、最大値・最小値の定理を利用することはできません。一方、\(f\)は\(\left[ -1,1\right] \)上で下半連続ではあるため、最小値の定理より、\(f\)は\(\left[ -1,1\right] \)上において最小値をとることを保証することはできます。実際、\(x=0\)において\(f\left( x\right) \)は最小値\(-1\)をとります。

次回は制約付き最大化問題の概念を定式化します。

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