対応のグラフ
対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が与えられたとき、\(b\in f\left( a\right) \)が真になるような順序対\(\left( a,b\right) \in A\times B\)からなる集合\begin{equation*}G\left( f\right) =\left\{ \left( a,b\right) \in A\times B\ |\ b\in f\left(
a\right) \right\}
\end{equation*}を\(f\)のグラフ(graph)と呼びます。\(G\left( f\right) \)は\(A\times B\)の部分集合です。
対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が与えられたとき、順序対\(\left(a,b\right) \in A\times B\)を任意に選ぶと、グラフ\(G\left( f\right) \)の定義より、\begin{equation*}\left( a,b\right) \in A\times B\Leftrightarrow b\in f\left( a\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、順序対\(\left( a,b\right) \)が対応\(f\)のグラフの要素であることと、\(b\)が\(f\)による\(a\)の像の要素であることは必要十分です。
\begin{array}{cc}
\left\{ 0\right\} & if\ x<1 \\
\left[ 0,1\right] & if\ x=1\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応のグラフ\(G\left( f\right) \)は下図の太線で表されます。
直積の部分集合としての対応
繰り返しになりますが、対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が与えられると、直積\(A\times B\)の部分集合である\(f\)のグラフ\begin{equation*}G\left( f\right) =\left\{ \left( a,b\right) \in A\times B\ |\ b\in f\left(
a\right) \right\}
\end{equation*}が一意的に定まり、任意の順序対\(\left( a,b\right) \in A\times B\)に対して、\begin{equation*}\left( a,b\right) \in G\left( f\right) \Leftrightarrow b\in f\left( a\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、順序対\(\left( a,b\right) \)が対応\(f\)のグラフ\(G\left( f\right) \)の要素であることと、\(b\)が\(f\)による\(a\)の像\(f\left( a\right) \)の要素であることは必要十分です(下図)。
逆に、直積\(A\times B\)の部分集合\(G\)が与えられたとき、集合\(A\)のそれぞれの要素\(a\)に対して\(\left(a,b\right) \in G\)を満たすような集合\(B\)の要素\(b\)からなる集合を\(f\left( a\right) \)として定める規則\(f:A\twoheadrightarrow B\)を定めれば、すなわち、それぞれの\(a\in A\)に対して、\begin{equation*}f\left( a\right) =\left\{ b\in B\ |\ \left( a,b\right) \in G\right\}
\end{equation*}を定める\(f\)を定義すれば、\(f\left( a\right) \)は\(B\)の部分集合であることから、この\(f\)は\(A\)から\(B\)への対応になります。しかも、\(f\)のグラフ\(G\left( f\right) \)は\(G\)と一致します。
\end{equation*}を満たす対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が存在する。
議論の結論をまとめましょう。集合\(A\)から集合\(B\)への対応\(f\)が与えられたとき、そのグラフ\(G\left( f\right) \)に相当する直積\(A\times B\)の部分集合が1つだけ定まります。逆に、直積\(A\times B\)の部分集合\(G\)が与えられたとき、\(G\)をグラフとして持つ\(A\)から\(B\)への対応が1つだけ定まります。つまり、\(A\)から\(B\)への対応と直積\(A\times B\)の部分集合は1対1で対応しているため、対応を直積\(A\times B\)の部分集合と同一視しても一般性は失われません。
演習問題
\begin{array}{ll}
\left\{ 0\right\} & \left( if\ x<1\right) \\
\left[ 0,1\right] & \left( if\ x=1\right) \\
\left\{ 0\right\} & \left( if\ x>1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応\(f\)のグラフを図示してください。
\end{equation*}を定めるものとします。この対応\(f\)のグラフを図示してください。
\begin{array}{ll}
\left[ x,0\right] & \left( if\ x<0\right) \\
\left[ 0,x\right] & \left( if\ x\geq 0\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応\(f\)のグラフを図示してください。
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