WIIS

凸集合

直線としての超平面

目次

前のページ:

点としての超平面

次のページ:

平面としての超平面

Twitter
Mailで保存

ユークリッド空間における直線

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)において直線を表現するためには、2つの異なる点を指定すれば十分です。なぜなら、2つの異なる点が与えられれば、それらを通る直線は1つに定まるからです。そこで、問題としている直線上にある2つの異なる点\(P,X\)をとります。原点を\(O\)とするとき、\begin{equation}\overrightarrow{OX}=\overrightarrow{OP}+\overrightarrow{PX} \quad \cdots (1)
\end{equation}という関係が成立することに注意してください(下図)。

図:直線
図:直線

直線上の点\(P\)を任意に選んだ上で固定します。点\(P\)の位置ベクトルを\(p\in \mathbb{R} ^{n}\)とします。つまり、ベクトル\(\overrightarrow{OP}\)の終点の座標が\(p\)であり、\begin{equation}\overrightarrow{OP}=p \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立つということです。さらに、直線上にある点\(P\)とは異なる点\(X\)を任意に選びます。点\(X\)の位置ベクトルを\(x\in \mathbb{R} ^{n}\)とします。つまり、ベクトル\(\overrightarrow{OX}\)の終点の座標が\(x\)であり、\begin{equation}\overrightarrow{OX}=x \quad \cdots (3)
\end{equation}が成り立つということです。ベクトル\(\overrightarrow{PX}\)は直線上にある2つの異なる点を結ぶベクトルであるため、直線と平行な非ゼロベクトル\(v\in \mathbb{R} ^{n}\backslash \left\{ 0\right\} \)を任意に選んで固定したとき、何らかのスカラー\(t\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation}\overrightarrow{PX}=tv \quad \cdots (4)
\end{equation}と表すことができます。\(\left( 1\right) \)および\(\left( 2\right),\left( 3\right) ,\left( 4\right) \)を踏まえると、直線上にある点\(P\)の座標\(p\in \mathbb{R} ^{n}\)と、直線に平行な非ゼロベクトル\(v\in \mathbb{R} ^{n}\backslash \left\{ 0\right\} \)をそれぞれ固定したとき、直線上にあるそれぞれの点\(X\)の座標\(x\in \mathbb{R} ^{n}\)は、何らかのスカラー\(t\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}x=p+tv
\end{equation*}という形で表すことができます。これを直線のベクトル方程式(vector equation of a line)と呼びます。\(v\)を直線の方向ベクトル(direction vector of a line)と呼び、\(t\)を媒介変数(parameter)やパラメータ(parameter)などと呼びます。

以上を踏まえると、直線上にある点の座標\(p\in \mathbb{R} ^{n}\)と方向ベクトル\(v\in \mathbb{R} ^{n}\backslash \left\{ 0\right\} \)が与えられたとき、直線上のすべての点の座標からなる集合は、\begin{equation*}L\left( p,v\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ \exists t\in \mathbb{R} :x=p+tv\right\}
\end{equation*}と定まるため、これを直線(line)と呼びます。

例(1次元の直線)
1次元ユークリッド空間における直線は、点\(p\in \mathbb{R} \)と方向ベクトル\(v\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)を用いて、\begin{equation*}L\left( p,v\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \exists t\in \mathbb{R} :x=p+tv\right\}
\end{equation*}と表されますが、点\(p\)と方向ベクトル\(v\)に関わらず、\begin{equation*}L\left( p,v\right) =\mathbb{R} \end{equation*}となります(演習問題)。つまり、\(\mathbb{R} \)における任意の直線は\(\mathbb{R} \)です。
例(2次元の直線)
2次元ユークリッド空間における直線は、点\(p=\left( p_{1},p_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)と方向ベクトル\(v=\left(v_{1},v_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\backslash \left\{ \left( 0,0\right) \right\} \)を用いて、\begin{eqnarray*}L\left( p,v\right) &=&\left\{ \left( x_{1},x_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ \exists t\in \mathbb{R} :\left( x_{1},x_{2}\right) =\left( p_{1},p_{2}\right) +t\left(
v_{1},v_{2}\right) \right\} \\
&=&\left\{ \left( x_{1},x_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ \exists t\in \mathbb{R} :\left( x_{1},x_{2}\right) =\left( p_{1}+tv_{1},p_{2}+tv_{2}\right) \right\}
\end{eqnarray*}と表されます。具体例を挙げると、\begin{eqnarray*}
L\left( \left( 1,2\right) ,\left( 3,4\right) \right) &=&\left\{ \left(
x_{1},x_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ \exists t\in \mathbb{R} :\left( x_{1},x_{2}\right) =\left( 1,2\right) +t\left( 3,4\right) \right\}
\\
&=&\left\{ \left( x_{1},x_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ \exists t\in \mathbb{R} :\left( x_{1},x_{2}\right) =\left( 1+3t,2+4t\right) \right\}
\end{eqnarray*}となります。

例(3次元の直線)
3次元ユークリッド空間における直線は、点\(p=\left( p_{1},p_{2},p_{3}\right) \in \mathbb{R} ^{3}\)と方向ベクトル\(v=\left(v_{1},v_{2},v_{3}\right) \in \mathbb{R} ^{3}\backslash \left\{ \left( 0,0,0\right) \right\} \)を用いて、\begin{eqnarray*}L\left( v,d\right) &=&\left\{ \left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) \in \mathbb{R} ^{3}\ |\ \exists t\in \mathbb{R} :\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) =\left( p_{1},p_{2},p_{3}\right) +t\left(
v_{1},v_{2},v_{3}\right) \right\} \\
&=&\left\{ \left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) \in \mathbb{R} ^{3}\ |\ \exists t\in \mathbb{R} :\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) =\left(
p_{1}+tv_{1},p_{2}+tv_{2},p_{3}+tv_{3}\right) \right\}
\end{eqnarray*}と表されます。具体例を挙げると、\begin{eqnarray*}
L\left( \left( 1,2,3\right) ,\left( 4,5,6\right) \right) &=&\left\{ \left(
x_{1},x_{2},x_{3}\right) \in \mathbb{R} ^{3}\ |\ \exists t\in \mathbb{R} :\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) =\left( 1,2,3\right) +t\left( 4,5,6\right)
\right\} \\
&=&\left\{ \left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) \in \mathbb{R} ^{3}\ |\ \exists t\in \mathbb{R} :\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) =\left( 1+4t,2+5t,3+6t\right) \right\}
\end{eqnarray*}となります。

 

2次元ユークリッド空間における直線と超平面の関係

繰り返しになりますが、2次元ユークリッド空間における直線は、点\(p=\left( p_{1},p_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)と方向ベクトル\(v=\left(v_{1},v_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\backslash \left\{ \left( 0,0\right) \right\} \)を用いて、\begin{equation*}L\left( p,v\right) =\left\{ \left( x_{1},x_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ \exists t\in \mathbb{R} :\left( x_{1},x_{2}\right) =\left( p_{1},p_{2}\right) +t\left(
v_{1},v_{2}\right) \right\}
\end{equation*}と表現される\(\mathbb{R} ^{2}\)の部分集合です。一方、\(\mathbb{R} ^{2}\)における超平面は、非ゼロベクトル\(a=\left( a_{1},a_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\backslash \left\{ \left( 0,0\right) \right\} \)とスカラー\(c\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}H\left( a,c\right) =\left\{ \left( x_{1},x_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ \left( a_{1},a_{2}\right) \cdot \left( x_{1},x_{2}\right)
=c\right\}
\end{equation*}と表現される\(\mathbb{R} ^{2}\)の部分集合です。

\(\mathbb{R} ^{2}\)における直線は\(\mathbb{R} ^{2}\)における超平面でもあります。

命題(2次元ユークリッド空間における直線は超平面)
\(2\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{2}\)の直線\(L\left( p,v\right) \)を任意に選んだとき、これは\(\mathbb{R} ^{2}\)の超平面である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

実は、上の命題の逆も成立します。つまり、\(\mathbb{R} ^{2}\)における超平面は\(\mathbb{R} ^{2}\)における直線でもあります。

命題(2次元ユークリッド空間における超平面は直線)
\(2\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{2}\)の超平面\(H\left( a,c\right) \)を任意に選んだとき、これは\(\mathbb{R} ^{2}\)の直線である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

以上の2つの命題より、2次元ユークリッド空間において超平面と直線は概念として一致することが明らかになりました。

命題(2次元ユークリッド空間における超平面と直線の関係)
\(2\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{2}\)の部分集合\(X\)が任意に与えられたとき、\(X\)が\(\mathbb{R} ^{2}\)における直線であることと、\(X\)が\(\mathbb{R} ^{2}\)における超平面であることは必要十分である。

一般に、ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)上の直線\(L\left( p,v\right) \)を特定するためには、その直線上の点\(p\)と方向ベクトル\(v\)を指定する必要があります。上の命題によると、2次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{2}\)を議論の対象とする場合には直線\(L\left( p,v\right) \)は超平面\(H\left( a,c\right) \)と一致するため、法線ベクトル\(a\)とスカラー\(c\)を指定することを通じて直線を特定することもできます。

 

演習問題

問題(直線は非空集合)
ユークリッド空間上の点\(p\in \mathbb{R} ^{n}\)と方向ベクトル\(v\in \mathbb{R} ^{n}\backslash \left\{ 0\right\} \)をそれぞれどのように選んだ場合でも、直線\(L\left( p,v\right) \)は非空な\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合であることを示してください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(点と直線の関係)
\(2\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} \)の部分集合\(X\)が任意に与えられたとき、\(X\)が\(\mathbb{R} ^{2}\)における直線であることと、\(X\)が\(\mathbb{R} ^{2}\)における超平面であることは必要十分であることが明らかになりました。以上の事実を踏まえたとき、超平面の法線ベクトルとしてゼロベクトルを認めるとどのような問題が生じるでしょうか。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(1次元空間における直線)
1次元ユークリッド空間における直線は、点\(p\in \mathbb{R} \)と方向ベクトル\(v\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)を用いて、\begin{equation*}L\left( p,v\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \exists t\in \mathbb{R} :x=p+tv\right\}
\end{equation*}と表されますが、点\(p\)と方向ベクトル\(v\)に関わらず、\begin{equation*}L\left( p,v\right) =\mathbb{R} \end{equation*}となることを示してください。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

前のページ:

点としての超平面

次のページ:

平面としての超平面

Twitter
Mailで保存

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関連知識

予算超平面(予算線)と限界交換率

予算集合に属する消費ベクトルの中でも、所得をすべて使い切るようなものからなる集合を予算超平面と呼びます。特に、2財モデルにおける予算超平面を予算線と呼びます。関連して、実質所得と名目所得、相対価格と絶対価格を定義します。

直線の定義とその表現

空間において直線は様々な形で定義可能です。ベクトル方程式を用いる方法、媒介変数表示、法線ベクトルを用いる方法などについて解説します。

線分の定義とその表現

空間において線分は様々な形で定義可能です。ベクトル方程式を用いる方法や媒介変数表示などについて解説します。

直線の法線ベクトルと直交補空間

直線の方向ベクトルと垂直なベクトルを直線の法線ベクトルと呼び、直線の法線ベクトルをすべて集めてできる集合を直線の直交補空間と呼びます。

直線どうしの交点

同一空間上に存在する2本の直線の共通部分が非空であるとき、それらの直線は交わると言います。また、2つの直線が共有する点を交点と呼びます。

平行な2本の直線

2本の直線が平行であることの意味を定義するとともに、2本の直線が平行であることを判定する方法について解説します。

直線どうしの位置関係

空間上に存在する2本の直線が与えられたとき、それらの位置関係としては4パターン(一致する・平行かつ異なる・交差する・ねじれの位置にある)が起こり得ます。

点と直線の間の距離

空間上に存在する直線は様々な形で表現されます(ベクトル方程式・法線標準形・媒介変数表示など)が、それぞれの場合において、点と直線の間の最短距離を求める方法を解説します。

アフィン部分空間の定義と具体例

ベクトル空間の部分空間上に存在するすべてのベクトルに同一のベクトルを加えることにより得られるベクトル集合をアフィン部分空間と呼びます。

超平面

ユークリッド空間における超平面と呼ばれる概念を定義するとともに、法線ベクトルと超平面の関係や、点と超平面の距離について解説します。

点としての超平面

1次元ユークリッド空間において点(1点集合)と超平面が概念として一致することを示します。

平面としての超平面

ユークリッド空間における平面と呼ばれる概念を定義するとともに、3次元ユークリッド空間において平面と超平面が概念として一致することを示します。