ユークリッド空間における 2 つの収束列が与えられたとき、任意番目の項について、一方の収束列の項が他方の収束列の項以上であるならば、それらの極限についても同様の大小関係が成り立ちます。また、ユークリッド空間における収束列についても、収束する数列と同様に、はさみうちの定理が成り立ちます。
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収束点列と順序

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の点列である\(\left\{ x_{v}\right\} \)と\(\left\{ y_{v}\right\} \)を任意に選びます。両者の間には、\begin{equation}
\forall v\in \mathbb{N} :x_{v}\leq y_{v} \tag{1}
\end{equation}が成り立つものとします。つまり、任意番目の項に注目したとき、\(\left\{ y_{v}\right\} \)の項が\(\left\{ x_{v}\right\} \)の項以上であるということです。これらの点列がともに収束する場合には、両者の極限の間についても、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }x_{v}\leq \lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

証明は以下の通りです。\(\mathbb{R} ^{n}\)上の順序\(\leq \)の定義より、\(\left( 1\right) \)は、それぞれの\(k\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} \)について、\begin{equation}
\forall v\in \mathbb{N} :x_{v}^{\left( k\right) }\leq y_{v}^{\left( k\right) } \tag{2}
\end{equation}が成り立つことと言い換え可能です。ただし、\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)は点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の第\(k\)座標数列、\(\left\{ y_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)は点列\(\left\{ y_{v}\right\} \)の第\(k\)座標数列です。仮定より点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)と\(\left\{ y_{v}\right\} \)はともに収束しますが、これは、任意の\(k\)について、座標数列である\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)と\(\left\{ y_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)がともに収束することと必要十分です。これと\(\left( 2\right) \)より、任意の\(k\)について、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }x_{v}^{\left( k\right) }\leq \lim_{v\rightarrow
\infty }y_{v}^{\left( k\right) }
\end{equation*}が成り立ちますが、\(\mathbb{R} ^{n}\)上の順序\(\leq \)の定義より、これは、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }x_{v}\leq \lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}
\end{equation*}が成り立つことと必要十分であるため証明が完了しました。

命題(収束点列と順序)

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の点列である\(\left\{ x_{v}\right\} \)と\(\left\{ y_{v}\right\} \)がともに収束するとともに、両者の間に、\begin{equation*}
\forall v\in \mathbb{N} :x_{v}\leq y_{v}
\end{equation*}という関係が成り立つ場合、両者の極限についても、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }x_{v}\leq \lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}
\end{equation*}が成り立つ。

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上の命題において順序\(\leq \)を狭義順序\(\leq \)に置き換えた主張もまた成り立つでしょうか。つまり、収束する点列である\(\left\{ x_{v}\right\} \)と\(\left\{ y_{v}\right\} \)の間に、\begin{equation*}
\forall v\in \mathbb{N} :x_{v}<y_{v}
\end{equation*}という関係が成り立つ場合、両者の極限についても、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }x_{v}<\lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}
\end{equation*}は成り立つでしょうか。以下の例が示唆するように、これは成り立ちません。

例(収束点列と順序)
\(2\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{2}\)の点列である\(\left\{ \left( \frac{1}{v+1},\frac{1}{2v}\right) \right\} \)と\(\left\{ \left( \frac{1}{v},\frac{1}{2v}\right) \right\} \)について考えます。両者の間には、\begin{equation*}
\forall v\in \mathbb{N} :\left( \frac{1}{v+1},\frac{1}{2v}\right) <\left( \frac{1}{v},\frac{1}{2v}\right)
\end{equation*}が成り立ちます。その一方で、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }\left( \frac{1}{v+1},\frac{1}{2v}\right)
=\lim_{v\rightarrow \infty }\left( \frac{1}{v},\frac{1}{2v}\right) =\left(
0,0\right)
\end{equation*}が成り立ちます(確認してください)。

 

有界な収束点列の極限

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)が上に有界であるものとします。つまり、\begin{equation*}
\exists U\in
\mathbb{R} ^{n},\ \forall v\in \mathbb{N} :x_{v}\leq U
\end{equation*}が成り立つということです。これは、それぞれの\(k\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} \)について、\begin{equation}
\forall v\in \mathbb{N} :x_{v}^{\left( k\right) }\leq U_{k} \tag{1}
\end{equation}が成り立つことと言い換え可能です。ただし、\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)は点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の第\(k\)座標数列、\(U_{k}\)は点\(U\)の第\(k\)成分です。\(\left\{ x_{v}\right\} \)が収束するものとします。これは、それぞれの\(k\)について座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)が収束することと必要十分です。これと\(\left( 1\right) \)より、任意の\(k\)について、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }x_{v}^{\left( k\right) }\leq U_{k}
\end{equation*}が成り立ちますが、\(\mathbb{R} ^{n}\)上の順序\(\leq \)の定義より、これは、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }x_{v}\leq U
\end{equation*}が成り立つことと必要十分です。上に有界な点列の極限は、その上界以下であるということです。

命題(上に有界な点列の極限)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)が収束するとともに、上に有界であるものとする。\(\left\{ x_{v}\right\} \)の上界\(U\in \mathbb{R} ^{n}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }x_{v}\leq U
\end{equation*}が成り立つ。
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下に有界な収束点列についても同様の主張が成り立ちます。証明は演習問題にします。

命題(下に有界な点列の極限)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)が収束するとともに、下に有界であるものとする。\(\left\{ x_{v}\right\} \)の下界\(L\in \mathbb{R} ^{n}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}
L\leq \lim_{v\rightarrow \infty }x_{v}
\end{equation*}が成り立つ。
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はさみうちの定理

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の点列である\(\left\{ x_{v}\right\} \)と\(\left\{ y_{v}\right\} \)と\(\left\{ z_{v}\right\} \)を任意に選びます。これらの間には、\begin{equation}
\forall v\in \mathbb{N} :x_{v}\leq z_{v}\leq y_{v} \tag{1}
\end{equation}が成り立つものとします。つまり、任意番目の項に注目したとき、\(\left\{ z_{v}\right\} \)の項は\(\left\{ x_{v}\right\} \)の項と\(\left\{ y_{v}\right\} \)の項によって挟まれるということです。両端の点列である\(\left\{ x_{v}\right\} \)と\(\left\{ y_{v}\right\} \)がともに収束点列であるとともに、\(\mathbb{R} ^{n}\)上の同一の点\(\alpha \)に収束する場合、間に挟まれた点列\(\left\{ z_{v}\right\} \)もまた収束するとともに、その極限もまた\(\alpha \)であることが保証されます。これをはさみうちの定理(squeeze theorem)と呼びます。

証明は以下の通りです。\(\mathbb{R} ^{n}\)上の順序\(\leq \)の定義より、\(\left( 1\right) \)が成り立つことは、それぞれの\(k\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} \)について、\begin{equation}
\forall v\in \mathbb{N} :x_{v}^{\left( k\right) }\leq z_{v}^{\left( k\right) }\leq y_{v}^{\left(
k\right) } \tag{1}
\end{equation}が成り立つことと必要十分です。ただし、\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)は点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の第\(k\)座標数列、\(\left\{ y_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)は点列\(\left\{ y_{v}\right\} \)の第\(k\)座標数列、\(\left\{ z_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)は点列\(\left\{ z_{v}\right\} \)の第\(k\)座標数列です。仮定より\(\left\{ x_{v}\right\} \)と\(\left\{ y_{v}\right\} \)は同一の点\(\alpha \)に収束しますが、これは、それぞれの\(k\)について、座標数列である\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)と\(\left\{ y_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)が同一の実数\(\alpha _{k}\)に収束することと必要十分です。ただし、\(\alpha _{k}\)は点\(\alpha \)の第\(k\)成分です。これと\(\left( 1\right) \)、さらに数列に関するはさみうちの定理より、それぞれの\(k\)について、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }z_{v}^{\left( k\right) }=\alpha _{k}
\end{equation*}が成り立ちますが、これは、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }z_{v}=\alpha
\end{equation*}が成り立つことと必要十分であるため証明が完了しました。

命題(はさみうちの定理)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の点列である\(\left\{ x_{v}\right\} \)と\(\left\{ y_{v}\right\} \)が\(\mathbb{R} ^{n}\)上の同一の点へ収束するとともに、これらと点列\(\left\{ z_{v}\right\} \)の間に、\begin{equation*}
\forall v\in \mathbb{N} :x_{v}\leq z_{v}\leq y_{v}
\end{equation*}という関係が成り立つ場合、\(\left\{ z_{v}\right\} \)もまた\(\left\{ x_{v}\right\} \)や\(\left\{ y_{v}\right\} \)の極限と同一の点へ収束する。
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例(はさみうちの定理)
\(2\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}
x_{v}=\left( \frac{\cos v}{v},\frac{\sin v+\cos v}{v^{2}}\right)
\end{equation*}で与えられているものとします。第\(1\)座標数列\(\left\{ \frac{\cos v}{v}\right\} \)については、任意の番号\(v\)について\(-1\leq \cos v\leq 1\)であることから、各辺を\(v>0\)で割ることにより、任意の\(v\)について、\begin{equation*}
-\frac{1}{v}\leq \frac{\cos v}{v}\leq \frac{1}{v}
\end{equation*}を得ます。さらに、\(\lim\limits_{v\rightarrow \infty }\frac{1}{v}=0\)かつ\(\lim\limits_{v\rightarrow \infty }-\frac{1}{v}=0\)であることからはさみうちの定理が適用可能であり、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }\frac{\cos v}{v}=0
\end{equation*}を得ます。第\(2\)座標数列\(\left\{ \frac{\sin v+\cos v}{v^{2}}\right\} \)については、任意の番号\(v\)について\(-1\leq \sin v\leq 1\)かつ\(-1\leq \cos v\leq 1\)であることから、任意の\(v\)について、\begin{equation*}
-2\leq \sin v+\cos v\leq 2
\end{equation*}が成り立ちます。さらに辺々を\(v^{2}>0\)で割ると、任意の\(v\)について、\begin{equation*}
-\frac{2}{v^{2}}\leq \frac{\sin v+\cos v}{v^{2}}\leq \frac{2}{v^{2}}
\end{equation*}を得ます。ここで、\(\lim\limits_{v\rightarrow \infty }\frac{2}{v^{2}}=0\)かつ\(\lim\limits_{v\rightarrow \infty }-\frac{2}{v^{2}}=0\)であることに注目すると、はさみうちの定理より、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }\frac{\sin v+\cos v}{v^{2}}=0
\end{equation*}を得ます。以上より、\begin{equation*}
\lim_{v\rightarrow \infty }x_{v}=\left( 0,0\right)
\end{equation*}であることが明らかになりました。
次回からはユークリッド空間における単調列について学びます。 次へ進む 質問・コメント(プレミアム会員限定) 演習問題(プレミアム会員限定)
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