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点列

ユークリッド空間における単調列

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単調列

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)上の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)に関して、\begin{equation*}\forall v\in \mathbb{N} :x_{v}\leq x_{v+1}
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
x_{1}\leq x_{2}\leq x_{3}\leq \cdots
\end{equation*}が成り立つ場合、この点列を単調増加列(monotonically increasing sequence)と呼びます。つまり、単調増加列の項は先へ行くにつれて大きくなることはあっても小さくなることはありません。

\(\mathbb{R} ^{n}\)上の標準的順序\(\leq \)の定義より、\(\mathbb{R} ^{n}\)上の点列が単調増加列であることと、そのすべての座標数列が単調増加数列であることは必要十分です。

命題(単調増加列)
\(\mathbb{R} ^{n}\)上の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)が与えられたとき、任意の\(k\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} \)について、\(\left\{ x_{v}\right\} \)の第\(k\)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)が単調増加数列であることは、もとの点列\(\left\{x_{v}\right\} \)が単調増加列であるための必要十分条件である。
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例(単調増加列)
\(\mathbb{R} ^{2}\)上の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) }\right)
=\left( v^{2},1\right)
\end{equation*}で与えられているものとします。\(\left\{ x_{v}\right\} \)の第\(1\)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left(1\right) }\right\} \)に関しては、任意の\(v\in \mathbb{N} \)について、\begin{eqnarray*}x_{v}^{\left( 1\right) } &=&v^{2}\quad \because \left\{ x_{v}^{\left(
1\right) }\right\} \text{の定義} \\
&<&\left( v+1\right) ^{2}\quad \because v\in \mathbb{N} \\
&=&x_{v+1}^{\left( 1\right) }\quad \because \left\{ x_{v}^{\left( 1\right)
}\right\} \text{の定義}
\end{eqnarray*}が成り立つため単調増加数列です。第\(2\)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left( 2\right) }\right\} \)に関しては、任意の\(v\in \mathbb{N} \)について、\begin{eqnarray*}x_{v}^{\left( 2\right) } &=&1\quad \because \left\{ x_{v}^{\left( 2\right)
}\right\} \text{の定義} \\
&\leq &1 \\
&=&x_{v+1}^{\left( 2\right) }\quad \because \left\{ x_{v}^{\left( 2\right)
}\right\} \text{の定義}
\end{eqnarray*}が成り立つため単調増加数列です。したがって先の命題より点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)は単調増加列です。

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)上の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)に関して、\begin{equation*}\forall v\in \mathbb{N} :x_{v}\geq x_{v+1}
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
x_{1}\geq x_{2}\geq x_{3}\geq \cdots
\end{equation*}が成り立つ場合、この点列を単調減少列(monotonically decreasing sequence)と呼びます。つまり、単調減少列の項は先へ行くにつれて小さくなることはあっても大きくなることはありません。

\(\mathbb{R} ^{n}\)上の標準的順序\(\leq \)の定義より、\(\mathbb{R} ^{n}\)上の点列が単調減少列であることと、そのすべての座標数列が単調減少数列であることは必要十分です。

命題(単調減少列)
\(\mathbb{R} ^{n}\)上の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)が与えられたとき、任意の\(k\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} \)について、\(\left\{ x_{v}\right\} \)の第\(k\)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)が単調減少数列であることは、もとの点列\(\left\{x_{v}\right\} \)が単調減少列であるための必要十分条件である。
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例(単調減少列)
\(\mathbb{R} ^{2}\)上の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) }\right)
=\left( \frac{1}{v},-1\right)
\end{equation*}で与えられているものとします。\(\left\{ x_{v}\right\} \)の第\(1\)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left(1\right) }\right\} \)に関しては、任意の\(v\in \mathbb{N} \)について、\begin{eqnarray*}x_{v}^{\left( 1\right) } &=&\frac{1}{v}\quad \because \left\{ x_{v}^{\left(
1\right) }\right\} \text{の定義} \\
&\geq &\frac{1}{v+1}\quad \because v\in \mathbb{N} \\
&=&x_{v+1}^{\left( 1\right) }\quad \because \left\{ x_{v}^{\left( 1\right)
}\right\} \text{の定義}
\end{eqnarray*}が成り立つため単調減少数列です。第\(2\)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left( 2\right) }\right\} \)に関しては、任意の\(v\in \mathbb{N} \)について、\begin{eqnarray*}x_{v}^{\left( 2\right) } &=&-1\quad \because \left\{ x_{v}^{\left( 2\right)
}\right\} \text{の定義} \\
&\geq &-1 \\
&=&x_{v+1}^{\left( 2\right) }\quad \because \left\{ x_{v}^{\left( 2\right)
}\right\} \text{の定義}
\end{eqnarray*}が成り立つため単調減少数列です。したがって先の命題より点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)は単調減少列です。

単調増加列と単調減少列を総称して単調列(monotone sequence)と呼びます。言い換えると、ある点列が単調列であることとは、その点列が単調増加もしくは単調減少の少なくとも一方であることを意味します。ちなみに、以下の例のように、単調増加かつ単調減少であるような単調列も存在します。

例(単調列)
\(\mathbb{R} ^{n}\)上の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の一般項が、点\(c\in \mathbb{R} ^{n}\)を用いて、\begin{equation*}x_{v}=c
\end{equation*}として与えられているとき、任意の番号\(v\in \mathbb{N} \)について、\begin{eqnarray*}x_{v} &=&c\leq c=x_{v+1} \\
x_{v} &=&c\geq c=x_{v+1}
\end{eqnarray*}がともに成り立つため、この点列は単調増加かつ単調減少であるような単調列です。

例(単調ではない点列)
\(\mathbb{R} ^{2}\)上の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) }\right)
=\left( v^{2},\frac{1}{v}\right)
\end{equation*}で与えられているものとします。\(\left\{ x_{v}\right\} \)の第\(1\)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left(1\right) }\right\} \)に関しては、任意の\(v\in \mathbb{N} \)について、\begin{eqnarray*}x_{v}^{\left( 1\right) } &=&v^{2}\quad \because \left\{ x_{v}^{\left(
1\right) }\right\} \text{の定義} \\
&<&\left( v+1\right) ^{2}\quad \because v\in \mathbb{N} \\
&=&x_{v+1}^{\left( 1\right) }\quad \because \left\{ x_{v}^{\left( 1\right)
}\right\} \text{の定義}
\end{eqnarray*}が成り立つため単調増加数列である一方で単調減少数列ではありません。第\(2\)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left( 2\right) }\right\} \)に関しては、任意の\(v\in \mathbb{N} \)について、\begin{eqnarray*}x_{v}^{\left( 2\right) } &=&\frac{1}{v}\quad \because \left\{ x_{v}^{\left(
2\right) }\right\} \text{の定義} \\
&>&\frac{1}{v+1}\quad \because v\in \mathbb{N} \\
&=&x_{v+1}^{\left( 2\right) }\quad \because \left\{ x_{v}^{\left( 2\right)
}\right\} \text{の定義}
\end{eqnarray*}が成り立つため単調減少数列である一方で単調増加数列ではありません。したがって点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)は単調増加列と単調減少列のどちらでもありません。
例(単調ではない点列)
\(\mathbb{R} ^{2}\)上の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) }\right)
=\left( \left( -1\right) ^{v},1\right)
\end{equation*}で与えられているものとします。\(\left\{ x_{v}\right\} \)の第\(1\)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left(1\right) }\right\} \)に関しては、例えば最初の3つの項に関して、\begin{eqnarray*}x_{1}^{\left( 1\right) } &=&-1<1=x_{2}^{\left( 1\right) } \\
x_{2}^{\left( 1\right) } &=&1>-1=x_{3}^{\left( 1\right) }
\end{eqnarray*}が成り立つため単調増加数列と単調減少数列のどちらでもありません。したがって点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)は単調増加列と単調減少列のどちらでもありません。

 

演習問題

問題(単調列)
\(\mathbb{R} ^{2}\)上の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) }\right)
=\left( 1-\frac{1}{v},1+\frac{1}{v}\right)
\end{equation*}で与えられているものとします。この点列は単調列ですか。議論してください。

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問題(単調列)
\(n\geq 2\)であるものとします。\(\mathbb{R} ^{n}\)上の単調増加列\(\left\{x_{v}\right\} \)のすべての項が異なる場合、この点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)は上に有界ではない主張は正しいでしょうか。議論してください。
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次回は有界な単調列が必ず収束することを示します。

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