完備情報の静学ゲームとはどのようなクラスのゲームであるかを解説した上で、完備情報の静学ゲームを記述するために特定する必要がある情報について説明します。

2018年5月15日:公開

完備情報の静学ゲーム

非協力ゲームは「静学か動学か」という基準と「完備情報か不完備情報か」という基準をもとに以下の 4 種類に分類可能です。当面の間はこの中でも最もシンプルな完備情報の静学ゲーム(static games of complete information)を対象にします。

\begin{array}{ccc}
\hline
& 完備情報 & 不完備情報
\\ \hline
静学 & 完備情報の静学ゲーム & 不完備情報の静学ゲーム \\ \hline
動学 & 完備情報の動学ゲーム & 不完備情報の動学ゲーム \\ \hline
\end{array}

表:非協力ゲームの分類

 

完備情報の静学ゲームは非協力ゲーム

完備情報の静学ゲームは非協力ゲームであることから、プレイヤーの間で自己拘束的な合意が成立しない戦略的状況を扱います。プレイヤーの間に拘束的な合意が成立しない場合には、それぞれのプレイヤーの意志決定は他のプレイヤーの意志決定から独立した形で行われます。

非協力ゲームについて復習する

 

完備情報の静学ゲームは静学ゲーム

完備情報の静学ゲームは静学ゲームであることから、プレイヤーたちが同時に意思決定を行う状況を想定します。言い換えると、それぞれのプレイヤーは他のプレイヤーたちの意思決定の内容を観察できない状態で意思決定を行うということです。

非協力ゲームについて復習する

 

完備情報の静学ゲームは完備情報ゲーム

完備情報の静学ゲームは完備情報ゲームですので、ゲームのルールがすべてのプレイヤーにとって共有知識である状況を想定します。つまり、ゲームのルールを\(P\)で表し、すべてのプレイヤーが\(P\)を知っているという事実を\(P_{1}\)で表し、すべてのプレイヤーが\(P_{1}\)を知っているという事実を\(P_{2}\)で表し、\(\cdots \)などと表記を定めるとき、無限個の事実\(P_{1},P_{2},P_{3},P_{4},\cdots \)が成立することを仮定するということです。

完備情報ゲームについて復習する

 

完備情報の静学ゲームを記述する方法

一般に、ゲームを記述するためにはゲームのルールを構成する「プレイヤー」「順番」「行動」「情報」「結果」「利得」という 6 つの要素を具体的に特定する必要があります。ただし、完備情報の静学ゲームを分析対象とする場合には「順番」と「情報」はすでに明らかです。つまり、「順番」に関してはすべてのプレイヤーが同時に意思決定を行うことが、「情報」に関してはゲームのルールがプレイヤーたちの共有知識であり、それぞれのプレイヤーは他のプレイヤーたちの意思決定の内容を観察できない状態で意思決定を行うことが明らかです。

以上を踏まえると、完備情報の静学ゲームを記述するためにはゲームのルールの残りの要素である「プレイヤー」「行動」「結果」「利得」を具体的に特定すればよいということになります。これらの要素を記述する方法はいくつか存在しますが、以降ではその中でも戦略型ゲーム(game in strategic form)と呼ばれるモデルを紹介します。

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