教材一覧
教材一覧
教材検索

連続型の確率分布

連続型確率変数の期待値

目次

Twitterで共有
メールで共有

連続型確率変数の期待値

確率空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)に加えて連続型の確率変数\(X:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。つまり、\(X\)の値域\begin{equation*}X\left( \Omega \right) =\left\{ X\left( \omega \right) \in \mathbb{R} \ |\ \omega \in \Omega \right\}
\end{equation*}が数直線\(\mathbb{R} \)上の区間であったり、互いに素な区間の和集合であるということです。加えて、確率変数\(X\)の確率分布が確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)によって記述されているものとします。つまり、確率変数\(X\)の値が区間\(I\subset \mathbb{R} \)に属する確率は、\begin{equation*}P\left( X\in I\right) =\int_{I}f_{X}\left( x\right) dx
\end{equation*}であるということです。

問題としている試行のもとで確率変数\(X\)が取り得る値の範囲\(X\left(\Omega \right) \)は分かっていますが、試行はランダムネスによって支配されているため、\(X\left(\Omega \right) \)の中のどの値が実際に実現するかを事前に特定できません。したがって、何らかの手段を通じて\(X\left( \Omega \right) \)の中のどの値が実際に実現するかを予測する必要があります。確率変数\(X\)が離散型である場合には、\(X\)の実現値の見込み値を表す指標として期待値\begin{equation*}E\left( X\right) =\sum_{x\in X\left( \Omega \right) }xf_{X}\left( x\right)
\end{equation*}を採用しました。ただし、\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は確率質量関数です。つまり、\(X\left( \Omega \right) \)に属するそれぞれの値\(x\)と、その値が実現する確率\(f_{X}\left( x\right) \)との積をとった上で、得られた積の総和をとれば\(X\)の期待値が得られます。

確率変数\(X\)が連続である場合には積の総和をとることができないため、代わりに積分\begin{equation*}\int_{x\in X\left( \Omega \right) }xf_{X}\left( x\right) dx
\end{equation*}をとります。ただし、\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は確率密度関数です。これを確率変数\(X\)の期待値(expectation)や平均値(mean)などと呼び、\begin{equation*}E\left( X\right) ,\quad \mu
\end{equation*}などで表現します。つまり、\begin{equation*}
E\left( X\right) =\int_{x\in X\left( \Omega \right) }xf_{X}\left( x\right) dx
\end{equation*}を満たすものとして期待値\(E\left( X\right) \)は定義されます。ちなみに、確率密度関数\(f_{X}\)の定義より、\begin{equation*}\forall x\not\in X\left( \Omega \right) :f_{X}\left( x\right) =0
\end{equation*}が成り立つため、\begin{equation*}
\int_{-\infty }^{+\infty }xf_{X}\left( x\right) dx=\int_{x\in X\left( \Omega
\right) }xf_{X}\left( x\right) dx
\end{equation*}を得ます。したがって、連続型の確率変数\(X\)の期待値を、\begin{equation*}E\left( X\right) =\int_{-\infty }^{+\infty }xf_{X}\left( x\right) dx
\end{equation*}と表現することもできます。期待値\(E\left( X\right) \)は確率変数\(X\)の実現値の見込みを表す指標であり、実際に実現する値とは異なります。

例(連続型確率変数の期待値)
「\(0\)以上\(1\)以下の実数をランダムに\(1\)つ選ぶ」という試行の標本空間は、\begin{equation*}\Omega =\left[ 0,1\right] \end{equation*}です。選んだ数字の\(100\)倍の金額を賞金としてもらえるというルールのもと、選んだ実数に対応する賞金額を与える確率変数\(X:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\omega \in \Omega \)に対して、\begin{equation*}X\left( \omega \right) =100\omega
\end{equation*}を定めます。\(X\)の値域は、\begin{equation*}X\left( \Omega \right) =\left[ 0,100\right] \end{equation*}という有界閉区間であるため、これは連続型の確率変数です。\(X\)の確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f_{X}\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
\frac{1}{100} & \left( if\ 0\leq x\leq 100\right) \\
0 & \left( otherwise\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。問題としている試行はランダムネスによって支配されているため、\(X\left( \Omega \right) \)に属するどの賞金額\(X\)が実際に実現するかを事前に知ることはできません。そこで、実現する賞金額\(X\)の期待値を用いて試行を評価します。具体的には、\(X\)の期待値は、\begin{eqnarray*}E\left( X\right) &=&\int_{-\infty }^{+\infty }xf_{X}\left( x\right) dx\quad
\because \text{期待値の定義} \\
&=&\int_{-\infty }^{0}xf_{X}\left( x\right) dx+\int_{0}^{100}xf_{X}\left(
x\right) dx+\int_{100}^{+\infty }xf_{X}\left( x\right) dx \\
&=&\int_{0}^{100}\frac{x}{100}dx\quad \because f_{X}\text{の定義} \\
&=&\left[ \frac{x^{2}}{200}\right] _{0}^{100} \\
&=&\frac{100^{2}}{200}-\frac{0^{2}}{200} \\
&=&50
\end{eqnarray*}となります。つまり、問題としている試行を行うと賞金がおよそ\(50\)だけ得られる見込みであるということです。ただし、これは見込みの金額であり、確実に\(50\)を得られるわけではありません。期待値は見込みの値であり、実際に実現する値とは異なります。
例(連続型確率変数の期待値)
「エレベーターが到着するのが待つ」という試行において、エレベーターが到着するまでの経過時間を\(\omega \)で表記します。最長で\(2\)分間待つ必要があるのであれば、問題としている試行の標本空間は、\begin{equation*}\Omega =\left[ 0,2\right] \end{equation*}となります。それぞれの標本点\(\omega \in \Omega \)に対して、\begin{equation*}X\left( \omega \right) =\omega
\end{equation*}を値として定める確率変数\(X:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)を定義すると、その値域は、\begin{equation*}X\left( \Omega \right) =\left[ 0,2\right] \end{equation*}という有界閉区間であるため\(X\)は連続型の確率変数です。\(X\)の確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f_{X}\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
x & \left( if\ 0\leq x\leq 1\right) \\
2-x & \left( if\ 1<x\leq 2\right) \\
0 & \left( otherwise\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。問題としている試行はランダムネスによって支配されているため、\(X\left( \Omega \right) \)に属するどの値\(X\)が実際に実現するかを事前に知ることはできません。そこで、実現する値\(X\)の期待値を用いて試行を評価します。具体的には、\(X\)の期待値は、\begin{eqnarray*}E\left( X\right) &=&\int_{-\infty }^{+\infty }xf_{X}\left( x\right) dx\quad
\because \text{期待値の定義} \\
&=&\int_{-\infty }^{0}xf_{X}\left( x\right) dx+\int_{0}^{1}xf_{X}\left(
x\right) dx+\int_{1}^{2}xf_{X}\left( x\right) dx+\int_{2}^{+\infty
}xf_{X}\left( x\right) dx \\
&=&\int_{0}^{1}x^{2}dx+\int_{1}^{2}x\left( 2-x\right) dx\quad \because f_{X}\text{の定義} \\
&=&\frac{1}{3}+\frac{2}{3} \\
&=&1
\end{eqnarray*}となります。つまり、エレベーターが到着するまでの待ち時間の見込み値が\(1\)分であるということです。ただし、これは見込みの値であり、確実に\(1\)分後にエレベーターが到着するわけではありません。期待値は見込みの値であり、実際に実現する値とは異なります。

 

期待値が有限な実数として定まらない場合

連続型の確率変数\(X\)の確率分布が確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)として記述されている場合、\(X\)の期待値は、\begin{equation*}E\left( X\right) =\int_{-\infty }^{+\infty }xf_{X}\left( x\right) dx
\end{equation*}と定義されます。積分範囲を正負の場合に分けて記述すると、\begin{equation*}
E\left( X\right) =\int_{-\infty }^{0}xf_{X}\left( x\right)
dx+\int_{0}^{+\infty }xf_{X}\left( x\right) dx
\end{equation*}となります。このとき、以下の3通りの可能性が起こり得ます。

まず、\(\int_{-\infty }^{0}xf_{X}\left( x\right) dx\)と\(\int_{0}^{+\infty }xf_{X}\left( x\right) dx\)がともに有限な実数として定まる場合、それらの和である期待値\(E\left( X\right) \)もまた有限な実数として定まります。

続いて、\(\int_{-\infty }^{0}xf_{X}\left( x\right) dx\)と\(\int_{0}^{+\infty }xf_{X}\left( x\right) dx\)のどちらか一方が有限な実数として定まる一方で他方が無限大である場合、それらの和である期待値\(E\left( X\right) \)もまた無限大となります。したがって、この場合には\(X\)の期待値は無限大であるものと定めます。

例(無限大の期待値)
連続型の確率変数\(X\)の確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f_{X}\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
\frac{1}{x^{2}} & \left( if\ x\geq 1\right) \\
0 & \left( otherwise\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。実際、任意の\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f_{X}\left( x\right) \geq 0
\end{equation*}であるとともに、\begin{equation*}
\int_{-\infty }^{+\infty }f_{X}\left( x\right) dx=\int_{1}^{+\infty }\frac{1}{x^{2}}dx=1
\end{equation*}であるため、\(f_{X}\)は確率密度関数としての要件を満たしています。さらに、\begin{equation*}\int_{-\infty }^{0}xf_{X}\left( x\right) dx=\int_{-\infty }^{0}x0dx=0
\end{equation*}である一方で、\begin{equation*}
\int_{0}^{+\infty }xf_{X}\left( x\right) dx=\int_{1}^{+\infty }\frac{1}{x}dx=+\infty
\end{equation*}であるため、\(X\)の期待値は、\begin{equation*}E\left( X\right) =+\infty
\end{equation*}となります。

最後に、\(\int_{-\infty }^{0}xf_{X}\left( x\right) dx\)が負の無限大\(-\infty \)であり、なおかつ\(\int_{0}^{+\infty}xf_{X}\left( x\right) dx\)が正の無限大\(+\infty \)である場合、それらの和\(\left( -\infty \right) +\left( +\infty \right) \)は不定形であるため、この場合には\(X\)の期待値は存在しないものと定めます。

例(期待値が存在しない場合)
連続型の確率変数\(X\)の確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f_{X}\left( x\right) =\frac{1}{\pi \left( 1+x^{2}\right) }
\end{equation*}を定めるものとします。実際、任意の\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f_{X}\left( x\right) \geq 0
\end{equation*}であるとともに、\begin{equation*}
\int_{-\infty }^{+\infty }f_{X}\left( x\right) dx=\int_{-\infty }^{+\infty }\frac{1}{\pi \left( 1+x^{2}\right) }dx=1
\end{equation*}であるため、\(f_{X}\)は確率密度関数としての要件を満たしています。さらに、\begin{equation*}\int_{-\infty }^{0}xf_{X}\left( x\right) dx=\int_{-\infty }^{0}\frac{x}{\pi
\left( 1+x^{2}\right) }dx=-\infty
\end{equation*}である一方で、\begin{equation*}
\int_{0}^{+\infty }xf_{X}\left( x\right) dx=\int_{1}^{+\infty }\frac{x}{\pi
\left( 1+x^{2}\right) }dx=+\infty
\end{equation*}であるため、\(X\)の期待値は存在しません。

 

不注意な統計学者の法則(LOTUS)

連続型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)の確率分布が確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)によって記述されているものとします。関数\(g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、それぞれの\(\omega \in \Omega \)に対して、\begin{eqnarray*}Y\left( \omega \right) &=&\left( g\circ X\right) \left( \omega \right) \\
&=&g\left( X\left( \omega \right) \right) \quad \because \text{合成関数の定義}
\end{eqnarray*}を定める新たな確率変数\(Y:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。関数\(g\)が\(X\)の値域\(X\left( \Omega \right) \)上で\(C^{1}\)級の狭義単調関数(狭義単調増加または狭義単調減少)であるとともに、確率変数\(Y\)の期待値が存在する場合には、\begin{equation*}E\left( Y\right) =\int_{-\infty }^{+\infty }g\left( x\right) f_{X}\left(
x\right) dx
\end{equation*}という関係が成り立つことが保証されます。これを不注意な統計学者の法則(law of the unconscious statistician)やLOTUSなどと呼びます。証明では置換積分などを利用します。

命題(不注意な統計学者の法則)
連続型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)の確率分布が確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)によって記述されているものとする。\(C^{1}\)級かつ狭義単調な関数\(g:\mathbb{R} \supset X\left( \Omega \right) \rightarrow \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、それぞれの\(\omega \in \Omega \)に対して、\begin{equation*}Y\left( \omega \right) =g\left( X\left( \omega \right) \right)
\end{equation*}を定める確率変数\(Y:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。\(Y\)の期待値が存在する場合には、\begin{equation*}E\left( Y\right) =\int_{-\infty }^{+\infty }g\left( x\right) f_{X}\left(
x\right) dx
\end{equation*}という関係が成り立つ。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

確率変数\(Y=g\left( X\right) \)の期待値を求める際、期待値の本来の定義にもとづいて考えるのであれば、\begin{equation*}y=f\left( x\right)
\end{equation*}とおいた上で、確率変数\(Y\)の確率分布を描写する確率密度関数\(f_{Y}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)を特定した上で、\begin{equation*}E\left( Y\right) =\int_{-\infty }^{+\infty }yf_{Y}\left( y\right) dy
\end{equation*}と計算する必要があります。つまり、本来、確率変数\(Y\)の期待値は\(Y\)の確率分布にもとづいて計算する必要があり、確率変数\(X\)の確率分布をそのまま流用できることは必ずしも自明ではありません。であるにもかかわらず、統計学の多くの教科書では、確率変数\(Y\)の期待値を導出する際に、確率変数\(X\)の確率分布を描写する確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}E\left( Y\right) =\int_{-\infty }^{+\infty }g\left( x\right) f_{X}\left(
x\right) dx
\end{equation*}としています。なぜなら、多くの不注意な人は、このような関係が成り立つことが自明であると思いこんでいるからです。ただ、実際には、上の命題が示すように、このような関係が成り立つことはきちんと証明されるべきです。このような背景を踏まえた上で、上の命題は「不注意な統計者の法則(LOTUS)」と呼ばれます。

具体例を通じてこの事実の有用性を確認します。

例(不注意な統計学者の法則)
連続型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)の値域は、\begin{equation*}X\left( \Omega \right) =\left( 0,1\right)
\end{equation*}であるとともに、確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f_{X}\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
3x^{2} & \left( if\ 0<x<1\right) \\
0 & \left( otherwise\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。その上で、それぞれの\(\omega \in \Omega \)に対して、\begin{equation*}Y\left( \omega \right) =\left[ X\left( \omega \right) \right] ^{2}
\end{equation*}を定める確率変数\(Y:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。まずは、期待値の本来の定義にもとづいて確率変数\(Y=X^{2}\)の期待値を求めます。\(Y\)の定義より、\(Y\)の値域は、\begin{equation*}Y\left( \Omega \right) =\left( 0,1\right)
\end{equation*}です。\(Y\)の分布関数\(F_{Y}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が\(0<y<1\)を満たすそれぞれの\(y\in \mathbb{R} \)に対して定める値は、\begin{eqnarray*}F_{Y}\left( y\right) &=&P\left( Y\leq y\right) \quad \because \text{分布関数の定義} \\
&=&P\left( X^{2}\leq y\right) \quad \because Y\text{の定義}
\\
&=&P\left( \left\vert X\right\vert \leq \sqrt{y}\right) \\
&=&P\left( -\sqrt{y}\leq \left\vert X\right\vert \leq \sqrt{y}\right) \\
&=&F_{X}\left( \sqrt{y}\right) -F_{X}\left( -\sqrt{y}\right) \\
&=&F_{X}\left( \sqrt{y}\right) -0\quad \because -\sqrt{y}<0 \\
&=&F_{X}\left( \sqrt{y}\right)
\end{eqnarray*}です。\(f_{Y}\)が点\(y\)において連続である場合には、\begin{eqnarray*}f_{Y}\left( y\right) &=&\frac{d}{dy}F_{Y}\left( y\right) \quad \because
\text{微分積分学の基本定理} \\
&=&\frac{d}{dy}F_{X}\left( \sqrt{y}\right) \quad \because F_{Y}\left(
y\right) =F_{X}\left( \sqrt{y}\right) \\
&=&\left. \frac{d}{dx}F_{X}\left( x\right) \right\vert _{x=\sqrt{y}}\cdot
\frac{d}{dy}\sqrt{y}\quad \because \text{合成関数の微分} \\
&=&\left. f_{X}\left( x\right) \right\vert _{x=\sqrt{y}}\cdot \frac{1}{2\sqrt{y}}\quad \because \text{微分積分学の基本定理} \\
&=&f_{X}\left( \sqrt{y}\right) \cdot \frac{1}{2\sqrt{y}} \\
&=&3y\cdot \frac{1}{2\sqrt{y}}\quad \because f_{X}\text{の定義} \\
&=&\frac{3}{2}\sqrt{y}
\end{eqnarray*}となります。以上より、\(f_{Y}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f_{Y}\left( y\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
\frac{3}{2}\sqrt{y} & \left( if\ 0<y<1\right) \\
0 & \left( otherwise\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めることが明らかになりました。したがって、\(Y\)の期待値は、\begin{eqnarray*}E\left( Y\right) &=&\int_{-\infty }^{+\infty }yf_{Y}\left( x\right) dy\quad
\because \text{期待値の定義} \\
&=&\int_{0}^{1}y\frac{3}{2}\sqrt{y}dy \\
&=&\frac{3}{2}\int_{0}^{1}y^{\frac{3}{2}}dy \\
&=&\frac{3}{2}\cdot \frac{2}{5} \\
&=&\frac{3}{5}
\end{eqnarray*}となります。一方、不注意な統計学者の法則を利用すると、\begin{eqnarray*}
E\left( Y\right) &=&\int_{-\infty }^{+\infty }x^{2}f_{X}\left( x\right)
dx\quad \because \text{LOTUS} \\
&=&\int_{0}^{1}x^{2}3x^{2}dx \\
&=&3\int_{0}^{1}x^{4}dx \\
&=&3\cdot \frac{1}{5} \\
&=&\frac{3}{5}
\end{eqnarray*}となるため、同様の結果が得られました。

 

連続型確率変数の定数倍の期待値

連続型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)と実数\(c\in \mathbb{R} \)が与えられたとき、それぞれの\(\omega \in \Omega \)に対して、\begin{equation*}\left( cX\right) \left( \omega \right) =cX\left( \omega \right)
\end{equation*}を定める新たな確率変数\(cX:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。\(c=0\)の場合には、任意の\(\omega \in \Omega \)に対して、\begin{equation*}\left( cX\right) \left( \omega \right) =0
\end{equation*}となるため\(cX\)は定数値関数であり、したがって離散型の確率変数になります。そこで以降では\(c\not=0\)の場合について考えます。\(X\)の確率分布が確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)によって記述されており、なおかつ\(X\)の期待値\(E\left( X\right) \)が存在する場合、\(cX\)の期待値\(E\left(cX\right) \)が存在することが保証されるとともに、両者の間には、\begin{equation*}E\left( cX\right) =cE\left( X\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。証明では不注意な統計学者の法則を利用します。

命題(連続型確率変数の定数倍の期待値)
連続型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)および非ゼロの実数\(c\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから確率変数\(cX:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。\(X\)の確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)のもとで\(X\)の期待値が存在する場合、\(cX\)の期待値もまた存在し、\begin{equation*}E\left( cX\right) =cE\left( X\right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(連続型確率変数の定数倍の期待値)
連続型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)に関して、\begin{equation}E\left( X\right) =3 \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つものとします。確率変数\(2X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\omega \in \Omega \)に対して、\begin{equation*}\left( 2X\right) \left( \omega \right) =2X\left( \omega \right)
\end{equation*}を定めるものとして定義されますが、その期待値は、先の命題より、\begin{eqnarray*}
E\left( 2X\right) &=&2E\left( X\right) \\
&=&2\cdot 3\quad \because \left( 1\right) \\
&=&6
\end{eqnarray*}となります。

 

連続型確率変数の1次スケーリングの期待値

連続型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)と非ゼロの実数\(c,d\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)が与えられたとき、それぞれの\(\omega \in \Omega \)に対して、\begin{equation*}\left( cX+d\right) \left( \omega \right) =cX\left( \omega \right) +d
\end{equation*}を定める新たな確率変数\(cX+d:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。\(X\)の確率分布が確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)によって記述されており、なおかつ\(X\)の期待値\(E\left( X\right) \)が存在する場合、\(cX+d\)の期待値\(E\left(cX+d\right) \)が存在することが保証されるとともに、両者の間には、\begin{equation*}E\left( cX+d\right) =cE\left( X\right) +d
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

命題(連続型確率変数の1次スケーリングの期待値)
連続型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)および非ゼロの実数\(c,d\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから確率変数\(cX+d:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。\(X\)の確率密度関数\(f_{X}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)のもとで\(X\)の期待値が存在する場合、\(cX+d\)の期待値もまた存在し、\begin{equation*}E\left( cX+d\right) =cE\left( X\right) +d
\end{equation*}という関係が成り立つ。