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確率空間

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標本空間が非可算集合である場合の問題

コインの表を\(1\)で表し、裏を\(0\)で表すならば、「コインを無限回投げる」という試行の個々の標本点は、\begin{equation*}\left( 1,0,0,1,\cdots \right)
\end{equation*}のような\(0\)と\(1\)から構成される無限列として表されます。\(n\in \mathbb{N} \)回目のコイン投げの結果を\(\omega _{n}\in \{1,0\}\)で表記するのであれば、それぞれの標本点を、\begin{equation*}\omega =\left( \omega _{1},\omega _{2},\cdots \right)
\end{equation*}と定式化できます。標本空間は、\begin{equation*}
\Omega =\left\{ 1,0\right\} ^{\mathbb{N} }
\end{equation*}ですが、これは明らかに有限集合ではなく、また可算集合でもありません。

命題(無限回コイン投げの標本空間)
集合\(\{1,0\}^{\mathbb{N} }\)は非可算集合である。
証明

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標本空間\(\Omega \)が有限集合や可算集合である場合の確率空間についてはすでに議論を行いましたが、上の例のように標本空間\(\Omega \)が非可算集合である場合、確率空間\(\left(\Omega ,\mathcal{F},P\right) \)をどのように定義すればよいでしょうか。試しに、上の例における確率空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)を、標本空間が有限集合や可算集合である場合と同様のアプローチのもとで考えてみます。つまり、事象空間\(\mathcal{F}\)として標本空間のベキ集合\begin{equation*}2^{\Omega }
\end{equation*}を採用するとともに、確率関数\(P:2^{\Omega }\rightarrow \mathbb{R} \)は確率論の公理と必要十分であるような以下の諸命題\begin{eqnarray*}&&\left( P_{1}\right) \ \forall \omega \in \Omega :P\left( \{\omega
\}\right) \geq 0 \\
&&\left( P_{2}\right) \ \sum_{\omega \in \Omega }P\left( \{\omega \}\right)
=1 \\
&&\left( P_{3}\right) \ \forall A\in 2^{\Omega }:P\left( A\right)
=\sum_{\omega \in A}P\left( \{\omega \}\right)
\end{eqnarray*}を満たすことを公理として認めるということです。この場合、\begin{eqnarray*}
P\left( \Omega \right) &=&\sum_{\omega \in \Omega }P\left( \{\omega
\}\right) \quad \because \left( P_{3}\right) \\
&=&1\quad \because \left( P_{2}\right)
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation}
P\left( \Omega \right) =1 \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立ちます。コインに偏りがなく、各回のコイン投げにおいて表と裏が同じ割合で出るものと仮定するのであれば、確率関数\(P:2^{\Omega }\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの根元事象\(\{\omega \}\in 2^{\Omega }\)に対して定める確率は、\begin{eqnarray*}P\left( \{\omega \}\right) &=&P\left( \{\left( \omega _{1},\omega
_{2},\cdots \right) \}\right) \quad \because \omega =\left( \omega
_{1},\omega _{2},\cdots \right) \\
&=&\lim_{n\rightarrow \infty }\left( \frac{1}{2}\right) ^{n} \\
&=&0
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation}
P\left( \{\omega \}\right) =0 \quad \cdots (2)
\end{equation}となるため\(\left( P_{1}\right) \)は満たされます。その一方で、\begin{eqnarray*}P\left( \Omega \right) &=&\sum_{\omega \in \Omega }P\left( \{\omega
\}\right) \quad \because \left( P_{3}\right) \\
&=&0\quad \because \left( 2\right)
\end{eqnarray*}となりますが、これは\(\left( 1\right) \)と矛盾です。したがって、この関数\(P\)は確率論の公理を満たしません。

標本空間\(\Omega \)が有限集合や可算集合である場合には、事象空間\(\mathcal{F}\)として標本空間のベキ集合\(2^{\Omega }\)を採用した上で、確率関数\(P\)に対して確率論の公理を設けました。一方、上の例が示唆するように、標本空間\(\Omega \)が非可算集合である場合には、事象空間\(\mathcal{F}\)として\(2^{\Omega }\)を採用した上で確率関数\(P\)に対して確率論の公理を設けると、公理どうしが矛盾してしまう事態が起こり得ます。そこで、標本空間\(\Omega \)が非可算集合を含めた一般の集合である場合には、事象空間\(\mathcal{F}\)として\(2^{\Omega }\)を採用するのではなく、一定の公理を満たす集合族を\(\mathcal{F}\)として採用します。もちろん事象空間\(\mathcal{F}\)に対して要求する公理は、確率関数\(P\)に対して要求する確率論の公理と矛盾しないものである必要があります。以下では\(\mathcal{F}\)が満たすべき公理を解説します。

 

可測空間としての事象空間

標本空間\(\Omega \)が非可算集合を含めた一般の集合である場合、公理主義的確率論の立場のもとでは、事象空間\(\mathcal{F}\subset 2^{\Omega }\)が満たすべき性質を公理として定めます。

事象空間\(\mathcal{F}\)が満たすべき1つ目の性質は、\begin{equation*}\mathcal{F}\not=\phi
\end{equation*}というものです。つまり、事象空間は空集合ではないものと定めます。そもそも確率の測定対象となる事象は少なくとも1つは存在するべきであり、上の公理はそのような要求を反映したものになっています。

事象空間\(\mathcal{F}\)が満たすべき2つ目の性質は、任意の事象\(A\in \mathcal{F}\)に対して、\begin{equation*}A^{c}\in \mathcal{F}
\end{equation*}が成り立つというものです。つまり、事象空間は補集合について閉じているものと定めます。事象\(A\)の確率が測定対象である場合には、「\(A\)は起こらない」という事象に相当する余事象\(A^{c}\)の確率もまた測定対象にしたいところであり、上の公理はそのような要求を反映したものになっています。

事象空間\(\mathcal{F}\)が満たすべき3つ目の性質は、可算事象族を任意に選んだとき、すなわち、任意の\(n\in \mathbb{N} \)について\begin{equation*}A_{n}\in \mathcal{F}
\end{equation*}を満たす集合族\(\left\{A_{n}\right\} _{n\in \mathbb{N} }\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\bigcup_{n\in \mathbb{N} }A_{n}\in \mathcal{F}
\end{equation*}が成り立つというものです。つまり、可算個の事象を任意に選んだとき、それらの積事象もまた事象になるものと定めます。言い換えると、事象空間が可算合併に閉じていることを認めるということです。可算個の事象がいずれも確率の測定対象である場合には、「その中の少なくとも1つが起こる」という事象に相当する和事象の確率もまた測定対象としたいところであり、上の公理はそのような要求を反映したものになっています。

一般に、集合\(X\)の部分集合族\(\mathfrak{A}\)が以上の3つの性質に相当する条件を満たす場合、この部分集合族\(\mathfrak{A}\)を\(\sigma \)-代数(\(\sigma \)-algebra)や可算加法族(countablyadditive class)、もしくは完全加法族(completely additive class
of sets)などと呼びます。さらに、集合\(X\)と\(\sigma \)-代数\(\mathfrak{A}\)の組\(\left( X,\mathfrak{A}\right) \)を可測空間(measurable space)と呼び、\(\mathfrak{A}\)に属する個々の集合を可測集合(measurable set)と呼びます。さらに、可測空間を特徴づける3つの性質を可測空間の公理(axiom of measurable space)と呼びます。公理主義的確率論のもとでは、事象空間\(\mathcal{F}\)が\(\sigma \)-代数であることを公理として定めるということです。言い換えると、標本空間と事象空間の組\(\left( \Omega ,\mathcal{F}\right) \)が可測空間であることを公理として定めるということです。

公理(確率空間は(protectsigma )-代数)
事象空間\(\mathcal{F}\subset 2^{\Omega }\)は、\begin{eqnarray*}&&\left( M_{1}\right) \ \mathcal{F}\not=\phi \\
&&\left( M_{2}\right) \ \forall A\in \mathcal{F}:A^{c}\in \mathcal{F}
\end{eqnarray*}を満たすとともに、任意の可算事象族\(\left\{A_{n}\right\} _{n\in \mathbb{N} }\)について、\begin{equation*}\left( M_{3}\right) \ \bigcup_{n\in \mathbb{N} }A_{n}\in \mathcal{F}
\end{equation*}を満たすものと定める。
例(可測空間)
標本空間\(\Omega \)が任意に与えられたとき、事象空間を、\begin{equation*}\mathcal{F}=\left\{ \phi ,\Omega \right\}
\end{equation*}と定義します。明らかに\(\mathcal{F}\not=\phi \)が成り立ちます。また、\begin{eqnarray*}\phi ^{c} &=&\Omega \in \mathcal{F} \\
\Omega ^{c} &=&\phi \in \mathcal{F}
\end{eqnarray*}となるため\(\mathcal{F}\)は補集合について閉じています。可算事象族\(\left\{A_{n}\right\} _{n\in \mathbb{N} }\)を任意に選んだとき、その任意の要素は\(\phi \)と\(\Omega \)のどちらか一方であることから、\begin{equation*}\bigcup_{n\in \mathbb{N} }A_{n}=\Omega \in \mathcal{F}
\end{equation*}となるため\(\mathcal{F}\)は可算合併について閉じています。したがって\(\left( \Omega ,\mathcal{F}\right) \)が可測空間であることが明らかになりました。
例(可測空間)
標本空間\(\Omega \)が任意に与えられたとき、事象空間を、\begin{equation*}2^{\Omega }
\end{equation*}と定義すると、\(\left( \Omega,2^{\Omega }\right) \)は可測空間になります。実際、\(\Omega \subset\Omega \)が成り立ちますが、ベキ集合の定義より、これは、\begin{equation*}\Omega \in 2^{\Omega }
\end{equation*}を意味するため、\begin{equation*}
2^{\Omega }\not=\phi
\end{equation*}が成り立ちます。また、\(\Omega \)のベキ集合\(2^{\Omega }\)は\(\Omega \)の任意の部分集合を要素として持つため、\begin{equation*}\forall A\in 2^{\Omega }:A^{c}\in 2^{\Omega }
\end{equation*}が成り立つとともに、任意の可算事象族\(\left\{ A_{n}\right\} _{n\in \mathbb{N} }\)に対して、\begin{equation*}\bigcup_{n\in \mathbb{N} }A_{n}\in 2^{\Omega }
\end{equation*}が成り立ちます。したがって\(\left( \Omega ,2^{\Omega }\right) \)が可測空間であることが明らかになりました。

 

測度空間としての確率空間

可測空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F}\right) \)が与えられたとき、確率を記述するために残された課題は、\(\mathcal{F}\)に属するそれぞれの事象に対して、その起こりやすさを特定することです。そこで、それぞれの事象\(A\in \mathcal{F}\)に対して、それが起こる確率に相当する実数\(P\left( A\right) \in \mathbb{R} \)を割り当てる集合関数\begin{equation*}P:\mathcal{F}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を導入します。公理主義的確率論の立場のもとでは、この\(P\)が満たすべき3つの性質を公理として定めます。

集合関数\(P\)が満たすべき1つ目の性質は、任意の事象\(A\in \mathcal{F}\)に対して、\begin{equation*}P\left( A\right) \geq 0
\end{equation*}が成り立つというものです。つまり、任意の事象の確率を非負の実数と定めます。\(P\)が満たすこのような性質を非負性(nonnegativity)と呼びます。

集合関数\(P\)が満たすべき2つ目の性質は、全事象\(\Omega \)の確率に関するものです。まず、以下の命題を示します。

命題(全事象は可測)
可測空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F}\right) \)が与えられたとき、\begin{equation*}\Omega \in \mathcal{F}
\end{equation*}が成り立つ。つまり、全事象は可測である。
証明

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以上の命題より、全事象\(\Omega \)は可測であるため、集合関数\(P\)は\(\Omega \)に対しても確率を付与しますが、\(P\)が満たすべき2つ目の性質として、\begin{equation*}P\left( \Omega \right) =1
\end{equation*}を設けます。全事象の確率を\(1\)と定めるということです。

集合関数\(P\)が満たすべき3つ目の性質は、可算個の排反事象の和事象の確率に関するものです。具体的には、排反であるような可算事象族を任意に選びます。つまり、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall n\in \mathbb{N} :A_{n}\subset \Omega \\
&&\left( b\right) \ \forall m,n\in \mathbb{N} :\left( m\not=n\Rightarrow A_{m}\cap A_{n}=\phi \right)
\end{eqnarray*}をともに満たす集合族\(\left\{ A_{n}\right\} _{n\in \mathbb{N} }\)を任意に選ぶということです。\(\sigma \)-代数である\(\mathcal{F}\)は可算合併について閉じているため、\begin{equation*}\bigcup_{n\in \mathbb{N} }A_{n}\in \mathcal{F}
\end{equation*}が成り立つことが保証されます。つまり、事象列\(\left\{ A_{n}\right\} _{n\in \mathbb{N} }\)の和集合は可測であるため、集合関数\(P\)はこの和集合に対しても確率を付与しますが、\(P\)が満たすべき3つ目の性質として、\begin{equation*}P\left( \bigcup_{n\in \mathbb{N} }A_{n}\right) =\sum_{n\in \mathbb{N} }P\left( A_{n}\right)
\end{equation*}を設けます。ただし、右辺は可算個の事象の確率から構成される無限級数の和であり、これは部分和\begin{equation*}
S_{N}=\sum_{n=1}^{N}P\left( A_{n}\right)
\end{equation*}を項とする数列\(\{S_{N}\}\)の極限\(\lim\limits_{N\rightarrow \infty }S_{N}\)として定義されます。つまり、以上の公理を正確に表現すると、\begin{equation*}P\left( \bigcup_{n\in \mathbb{N} }A_{n}\right) =\lim_{N\rightarrow \infty }\left[ \sum_{n=1}^{N}P\left(
A_{n}\right) \right] \end{equation*}となります。\(P\)が満たすこのような性質を\(\sigma \)-加法性(\(\sigma \)-additivity)や可算加法性(countably additivity)などと呼びます。\(P\)が実数値関数として定義されている以上、上の等式の右辺の和が常に実数値をとることを保証する必要がありますが、このことは後ほど証明します。

以上の3つの性質を満たす集合関数\(P\)を確率関数(probability function)や確率測度(probability measure)などと呼び、確率関数\(P\)がそれぞれの事象\(A\in \mathcal{F}\)に対して定める値\(P(A)\in \mathbb{R} \)を\(A\)の確率(probability)と呼びます。確率関数を規定する以上の3つの性質を確率論の公理(axioms of probability)と呼びます。また、可測空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F}\right) \)と確率関数\(P\)の組\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)を確率空間(probability space)と呼びます。

一般に、可測空間\(\left( X,\mathfrak{A}\right) \)に対して定義される集合関数\(P:\mathfrak{A}\rightarrow \mathbb{R} \)が\(\sigma \)-加法性を満たす場合、それらの組\(\left( X,\mathfrak{A},P\right) \)を測度空間(measure space)と呼びます。公理主義的確率論のもとでは、確率空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)が測度空間であることを公理として定めるということです。

公理(確率空間)
確率空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)に関して、事象空間\(\mathcal{F}\)は、\begin{eqnarray*}&&\left( M_{1}\right) \ \mathcal{F}\not=\phi \\
&&\left( M_{2}\right) \ \forall A\in \mathcal{F}:A^{c}\in \mathcal{F}
\end{eqnarray*}を満たすとともに、任意の可算事象族\(\left\{A_{n}\right\} _{n\in \mathbb{N} }\)について、\begin{equation*}\left( M_{3}\right) \ \bigcup_{n\in \mathbb{N} }A_{n}\in \mathcal{F}
\end{equation*}を満たすものと定める。加えて、確率関数\(P\)は、\begin{eqnarray*}&&\left( P_{1}\right) \ \forall A\in \mathcal{F}:P\left( A\right) \geq 0 \\
&&\left( P_{2}\right) \ P\left( \Omega \right) =1
\end{eqnarray*}を満たすとともに、排反であるような可算事象族\(\left\{ A_{n}\right\} _{n\in \mathbb{N} }\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\left( P_{3}\right) \ P\left( \bigcup_{n\in \mathbb{N} }A_{n}\right) =\sum_{n\in \mathbb{N} }P\left( A_{n}\right)
\end{equation*}を満たすものと定める。
例(確率空間)
標本空間\(\Omega \)が任意に与えられたとき、事象空間を、\begin{equation*}\mathcal{F}=\left\{ \phi ,\Omega \right\}
\end{equation*}と定義します。\(\left( \Omega ,\mathcal{F}\right) \)が可測空間であることは先に示した通りです。さらに、集合関数\(P:\mathcal{F}\rightarrow \mathbb{R} \)を、\begin{eqnarray*}P\left( \phi \right) &=&0 \\
P\left( \Omega \right) &=&1
\end{eqnarray*}を満たすものとして定義すると、\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)は確率空間になります(演習問題にします)。
例(確率空間)
標本空間が、\begin{equation*}
\Omega =\left\{ 1,2,3,4,5,6\right\}
\end{equation*}であるとき、事象空間を、\begin{equation*}
2^{\Omega }
\end{equation*}と定義します。先に示したように、任意の標本空間のベキ集合は\(\sigma \)-代数であるため、以上の\(\left( \Omega ,2^{\Omega }\right) \)は可測空間です。さらに、集合関数\(P:2^{\Omega}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの事象\(A\in2^{\Omega }\)に対して、\begin{equation*}P\left( A\right) =\frac{\left\vert A\right\vert }{6}
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(\left\vert A\right\vert \)は集合\(A\)の要素の個数です。\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)は確率空間になります(演習問題にします)。

公理主義のもとで確率について考えるということは、確率論の公理だけを議論の前提として認めることを意味します。つまり、確率空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)に関する命題はいずれも、\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)が測度空間であることを規定する先の公理から導かれてはじめて正しいものとして認められます。次回以降では、代表的な可測集合すなわち事象を明らかにするとともに、それらの確率を特定する上で役立つ命題を紹介します。

 

演習問題

問題(確率空間)
標本空間\(\Omega \)が任意に与えられたとき、事象空間を、\begin{equation*}\mathcal{F}=\left\{ \phi ,\Omega \right\}
\end{equation*}と定義します。さらに、集合関数\(P:\mathcal{F}\rightarrow \mathbb{R} \)を、\begin{eqnarray*}P\left( \phi \right) &=&0 \\
P\left( \Omega \right) &=&1
\end{eqnarray*}を満たすものとして定義します。\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)が確率空間であることを示してください。
証明

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問題(確率空間)
標本空間が、\begin{equation*}
\Omega =\left\{ 1,2,3,4,5,6\right\}
\end{equation*}であるとき、事象空間を、\begin{equation*}
2^{\Omega }
\end{equation*}と定義します。集合関数\(P:2^{\Omega }\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの事象\(A\in2^{\Omega }\)に対して、\begin{equation*}P\left( A\right) =\frac{\left\vert A\right\vert }{6}
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(\left\vert A\right\vert \)は集合\(A\)の要素の個数です。\(\left( \Omega ,2^{\Omega },P\right) \)が確率空間であることを示してください。
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問題(確率空間)
コインの表を\(1\)で表し、裏を\(0\)で表すならば、「コインを無限回投げる」という試行の個々の標本点は、\begin{equation*}\left( 1,0,0,1,\cdots \right)
\end{equation*}のような\(0\)と\(1\)から構成される無限列として表されます。\(n\in \mathbb{N} \)回目のコイン投げの結果を\(\omega _{n}\in \{1,0\}\)で表すならば、それぞれの標本点を、\begin{equation*}\omega =\left( \omega _{1},\omega _{2},\cdots \right)
\end{equation*}と定式化されます。標本空間は、\begin{equation*}
\Omega =\left\{ 1,0\right\} ^{\mathbb{N} }
\end{equation*}ですが、本文中で示したように\(\Omega \)は非可算集合です。以上を踏まえた上で、まず、「1回目に表が出る」という事象\(A_{1}\)と、「1回目に裏が出る」という事象\(A_{0}\)をそれぞれ定式化してください。続いて、事象空間として、\begin{equation*}\mathcal{F}=\left\{ \phi ,A_{1},A_{2},\Omega \right\}
\end{equation*}を採用し、集合関数\(P:\mathcal{F}\rightarrow \mathbb{R} \)が、\begin{eqnarray*}P\left( \phi \right) &=&0 \\
P\left( A_{1}\right) &=&P\left( A_{2}\right) =\frac{1}{2} \\
P\left( \Omega \right) &=&1
\end{eqnarray*}を満たすとき、\(\left( \Omega,2^{\Omega },P\right) \)が確率空間であることを示してください。
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公理主義的確率論において、確率に関するあらゆる命題は確率論の公理から導かれて初めて正しいものとして認められます。そこで以降では、確率空間が満たす代表的な性質を公理から導きます。

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