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空事象

空集合\(\phi \)は任意の集合の部分集合であることから、これと標本空間\(\Omega \)の間にも、\begin{equation*}
\phi \subset \Omega
\end{equation*}という関係が成り立ちます。事象は標本空間\(\Omega \)の部分集合として定義されることを踏まえると、上の関係は\(\phi \)もまた事象であることを意味します。そこで、このような事象\(\phi \)を空事象(empty event)と呼びます。

標本空間\(\Omega \)の中には空事象\(\phi \)と整合的な標本点は存在しないため、空事象は問題としている試行によって決して起こらない現象に相当します。

例(空事象)
「1つのサイコロを1回投げて出た目を観察する」という試行の標本空間は、\begin{equation*}
\Omega =\{1,2,3,4,5,6\}
\end{equation*}です。例えば、「\(7\)の目が出る」という事象と整合的な標本点は\(\Omega \)の中に存在しないため、この事象は空事象\(\phi \)です。また、「2つの目が同時に出る」という事象と整合的な標本点もまた\(\Omega \)の中には存在しないため、この事象もまた空事象\(\phi \)です。
例(空事象)
「1つのサイコロを2回投げて出た目を観察する」という試行の標本空間は、\begin{equation*}
\Omega =\left\{ \left( i,j\right) \ |\ i,j\in \left\{ 1,2,3,4,5,6\right\}
\right\}
\end{equation*}です。ただし、標本点\(\left( i,j\right) \)は「1回目に\(i\)が出て2回目に\(j\)が出る」という結果に相当します。例えば、「2回の目の和が\(13\)以上である」という事象と整合的な標本点は\(\Omega \)の中には存在しないため、この事象は空事象\(\phi \)です。また、「2回のうち少なくとも1回は負の目が出る」という事象と整合的な標本点もまた\(\Omega \)の中には存在しないため、この事象もまた空事象\(\phi \)です。
例(全事象)
「ある工場が1日に生産する製品の中から1000個を抽出した上で不良品の個数を計測する」という試行の標本空間は、\begin{equation*}
\Omega =\left\{ 0,1,2,\cdots ,1000\right\}
\end{equation*}です。「不良品が\(1001\)個である」という事象と整合的な標本点は\(\Omega \)の中には存在しないため、この事象は空事象\(\phi \)です。

次回から集合演算について学びます。

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