教材一覧
教材一覧
教材検索

集合の濃度

連続体(連続体濃度)

目次

Twitterで共有
メールで共有

連続体

これまでの議論を振り返ると、まず、すべての集合を有限集合無限集合に分類した上で、無限集合の中でも自然数集合\(\mathbb{N} \)と等しい濃度を持つ集合を可算集合と呼び、可算集合でない無限集合を非可算集合と呼びました。その上で、選択公理を認める場合には、有限集合\(A\)と無限集合\(B\)をそれぞれ任意に選んだとき、\begin{equation*}\left\vert A\right\vert <\left\vert \mathbb{N} \right\vert \leq \left\vert B\right\vert
\end{equation*}という関係が成り立つことを示しました。つまり、可算集合は無限集合の中でも最小の濃度を持つ集合です。ただ、非可算集合の存在は自明ではないため、カントールの対角線論法を使って、\(\mathbb{R} \)上の有界開区間\(\left( 0,1\right) \)が非可算集合であることを示しました。つまり、\begin{equation*}\left\vert \mathbb{N} \right\vert <\left\vert \left( 0,1\right) \right\vert
\end{equation*}が成り立つということです。

実は、この非可算集合\(\left( 0,1\right) \)は実数集合\(\mathbb{R} \)と等しい濃度を持ちます。つまり、\(\left( 0,1\right) \)から\(\mathbb{R} \)への全単射が存在するということです。このような全単射は数多く存在しますが、一例を挙げると、それぞれの\(x\in \left( 0,1\right) \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{ll}
2-\frac{1}{x} & \left( if\ 0<x<\frac{1}{2}\right) \\
\frac{1}{1-x}-2 & \left( if\ \frac{1}{2}\leq x<1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定める写像\(f:\left( 0,1\right)\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能であるとともに、これは全単射になります(演習問題)。

命題(連続体)
実数空間\(\mathbb{R} \)上の有界閉区間\(\left( 0,1\right) \)に関して、\begin{equation*}\left\vert \mathbb{R} \right\vert =\left\vert \left( 0,1\right) \right\vert
\end{equation*}が成り立つ。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

有界閉区間\(\left( 0,1\right) \)のように実数集合\(\mathbb{R} \)と等しい濃度を持つ非可算集合を連続体(continuum)と呼び、連続体の濃度を連続体濃度(cardinality of continuum)と呼びます。\(\mathbb{R} \)は無限集合であり、そこには無限個の実数が含まれるため、連続体濃度\(\left\vert \mathbb{R} \right\vert \)を自然数として表すことはできません。連続体濃度\(\left\vert \mathbb{R} \right\vert \)を表す記号として、\begin{equation*}\mathbf{c}
\end{equation*}を採用することがあります。\(\mathbf{c}=\left\vert \mathbb{R} \right\vert \)です。繰り返しになりますが、連続体濃度を自然数として表すことはできないため\(\mathbf{c}\)は自然数ではありません。

繰り返しになりますが、\(\mathbb{R} \)上の有界開区間\(\left( 0,1\right) \)に関しては、\begin{equation*}\left\vert \mathbb{N} \right\vert <\left\vert \left( 0,1\right) \right\vert
\end{equation*}が成り立ちます。また、先に示したように、\begin{equation*}
\left\vert \mathbb{R} \right\vert =\left\vert \left( 0,1\right) \right\vert
\end{equation*}が成り立ちます。以上より、\begin{equation*}
\left\vert \mathbb{N} \right\vert <\left\vert \mathbb{R} \right\vert
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\aleph _{0}<\mathbf{c}
\end{equation*}が成り立ちます。連続体濃度は可算濃度よりも大きいということです。

 

有界区間は連続体

\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)をそれぞれ任意に選んだ上で、\begin{equation*}\left( a,b\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a<x<b\right\}
\end{equation*}と定義される集合を\(a\)から\(b\)への有界開区間と呼びます。有界閉区間は連続体です。

命題(有界開区間は連続体)
\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を任意に選ぶ。このとき、有界開区間\begin{equation*}\left( a,b\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a<x<b\right\}
\end{equation*}は連続体である。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)をそれぞれ任意に選んだ上で、\begin{equation*}\left[ a,b\right] =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a\leq x\leq b\right\}
\end{equation*}と定義される集合を\(a\)から\(b\)への有界閉区間と呼びます。有界閉区間は連続体です。

命題(有界閉区間は連続体)
\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を任意に選ぶ。このとき、有界閉区間\begin{equation*}\left[ a,b\right] =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a\leq x\leq b\right\}
\end{equation*}は連続体である。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)をそれぞれ任意に選んだ上で、\begin{eqnarray*}\lbrack a,b) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a\leq x<b\right\} \\
(a,b] &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a<x\leq b\right\}
\end{eqnarray*}と定義される集合を\(a\)から\(b\)への有界半開区間や有界半閉区間などと呼びます。有界半開区間は連続体です。

命題(有界半開区間は連続体)
\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を任意に選ぶ。このとき、有界半開区間\begin{eqnarray*}\lbrack a,b) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a\leq x<b\right\} \\
(a,b] &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a<x\leq b\right\}
\end{eqnarray*}はともに連続体である。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、\begin{eqnarray*}\left( a,+\infty \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a<x<+\infty \right\} \\
\left( -\infty ,a\right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ -\infty <x<a\right\}
\end{eqnarray*}と定義される集合を無限開区間と呼びます。無限開区間は連続体です。

命題(無限開区間は連続体)
実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選ぶ。このとき、無限開区間\begin{eqnarray*}\left( a,+\infty \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a<x<+\infty \right\} \\
\left( -\infty ,a\right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ -\infty <x<a\right\}
\end{eqnarray*}はともに連続体である。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、\begin{eqnarray*}\lbrack a,+\infty ) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a\leq x<+\infty \right\} \\
(-\infty ,a] &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ -\infty <x\leq a\right\}
\end{eqnarray*}と定義される集合を無限閉区間と呼びます。無限閉区間は連続体です。

命題(無限閉区間は連続体)
実数\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選ぶ。このとき、無限閉区間\begin{eqnarray*}\lbrack a,+\infty ) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a\leq x<+\infty \right\} \\
(-\infty ,a] &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ -\infty <x\leq a\right\}
\end{eqnarray*}はともに連続体である。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

有界区間\([a,b],(a,b),[a,b),(a,b]\)と無限区間\([a,+\infty ),(-\infty ,a],(a,+\infty ),(-\infty ,a)\)および全区間\(\mathbb{R} =\left( -\infty ,+\infty \right) \)を総称して区間と呼びます。これまでの議論を踏まえると以下を得ます。

命題(区間は連続体)
実数空間\(\mathbb{R} \)上の任意の区間は連続体である。

空集合\(\phi \)を区間とみなす流儀がありますが、空集合は有限集合であり無限集合ではなく、したがって連続体でもありません。この場合、上の命題において「空集合を除く」との但し書きが必要です。

 

演習問題

問題(無理数集合は非可算)
すべての無理数からなる集合\(\mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \)は非可算集合であることを証明してください。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(非可算集合と可算集合の差集合)
非可算集合\(A\)と可算集合\(B\)の間に\(B\subset A\)という関係が成り立つものとします。このとき、差集合\(A\backslash B\)が非可算集合であることを証明してください。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

Twitterで共有
メールで共有
DISCUSSION

質問とコメント