凸関数・凹関数のスカラー倍

凸関数の正の定数倍として定義される関数は凸関数であり、凹関数の正の定数倍として定義される関数は凹関数です。

凸関数のスカラー倍

凸集合上に定義された多変数関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)とスカラー\(c\in \mathbb{R} \)が与えられたとき、それぞれの\(\boldsymbol{x}\in X\)に対して以下の値\begin{equation*}\left( cf\right) \left( \boldsymbol{x}\right) =cf\left( \boldsymbol{x}\right)
\end{equation*}を定める新たな多変数関数\begin{equation*}
cf:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。

\(f\)が凸関数もしくは狭義凸関数である場合、\(cf\)の凹凸は以下のように定まります。ちなみに、\(c=0\)の場合に\(cf\)はゼロだけを値としてとり得る定数関数であるため、これは狭義凸関数と狭義凹関数のどちらでもありません。

命題(凸関数のスカラー倍)
凸集合上に定義された関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)とスカラー\(c\in \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(cf:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。このとき以下が成り立つ。

  1. \(f\)が凸関数であるとともに\(c\geq 0\)であるならば、\(cf\)は凸関数である。
  2. \(f\)が凸関数であるとともに\(c\leq 0\)であるならば、\(cf\)は凹関数である。
  3. \(f\)が狭義凸関数であるとともに\(c>0\)であるならば、\(cf\)は狭義凸関数である。
  4. \(f\)が狭義凸関数であるとともに\(c<0\)であるならば、\(cf\)は狭義凹関数である。
証明

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例(1変数の凸関数の実数倍)
区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)と実数\(c\in \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(cf:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。1変数関数は\(n=1\)の場合の多変数関数であるため、先の命題より以下が成り立ちます。

  1. \(f\)が凸関数であるとともに\(c\geq 0\)であるならば、\(cf\)は凸関数である。
  2. \(f\)が凸関数であるとともに\(c\leq 0\)であるならば、\(cf\)は凹関数である。
  3. \(f\)が狭義凸関数であるとともに\(c>0\)であるならば、\(cf\)は狭義凸関数である。
  4. \(f\)が狭義凸関数であるとともに\(c<0\)であるならば、\(cf\)は狭義凹関数である。

拡大実数値をとる凸関数についても同様の主張が成り立ちます。つまり、拡大実数値関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\rightarrow \mathbb{R} \cup \left\{ +\infty \right\} \)と非ゼロのスカラー\(c\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)が与えられたとき、それぞれの\(\boldsymbol{x}\in \mathbb{R} ^{n}\)に対して以下の値\begin{equation*}\left( cf\right) \left( \boldsymbol{x}\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
cf\left( \boldsymbol{x}\right) & \left( if\ f\left( \boldsymbol{x}\right)
\in \mathbb{R} \right) \\
+\infty & \left( if\ c>0\wedge f\left( \boldsymbol{x}\right) =+\infty
\right) \\
-\infty & \left( if\ c<0\wedge f\left( \boldsymbol{x}\right) =+\infty
\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定める拡大実数値関数\begin{equation*}
cf:\mathbb{R} ^{n}\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が定義可能です。

\(f\)が凸関数もしくは狭義凸関数である場合、\(cf\)の凹凸は以下のように定まります。証明は先の命題と同様です。

命題(凸関数のスカラー倍)
凸集合上に定義された関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)とスカラー\(c\in \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(cf:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。このとき以下が成り立つ。

  1. \(f\)が凸関数であるとともに\(c\geq 0\)であるならば、\(cf\)は凸関数である。
  2. \(f\)が凸関数であるとともに\(c\leq 0\)であるならば、\(cf\)は凹関数である。
  3. \(f\)が狭義凸関数であるとともに\(c>0\)であるならば、\(cf\)は狭義凸関数である。
  4. \(f\)が狭義凸関数であるとともに\(c<0\)であるならば、\(cf\)は狭義凹関数である。

 

凹関数のスカラー倍

凸集合上に定義された多変数関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)とスカラー\(c\in \mathbb{R} \)が与えられたとき、それぞれの\(\boldsymbol{x}\in X\)に対して以下の値\begin{equation*}\left( cf\right) \left( \boldsymbol{x}\right) =cf\left( \boldsymbol{x}\right)
\end{equation*}を定める新たな多変数関数\begin{equation*}
cf:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。

\(f\)が凹関数もしくは狭義凹関数である場合、\(cf\)の凹凸は以下のように定まります。ちなみに、\(c=0\)の場合に\(cf\)はゼロだけを値としてとり得る定数関数であるため、これは狭義凸関数と狭義凹関数のどちらでもありません。

命題(凹関数のスカラー倍)
凸集合上に定義された関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)とスカラー\(c\in \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(cf:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。このとき以下が成り立つ。

  1. \(f\)が凹関数であるとともに\(c\geq 0\)であるならば、\(cf\)は凹関数である。
  2. \(f\)が凹関数であるとともに\(c\leq 0\)であるならば、\(cf\)は凸関数である。
  3. \(f\)が狭義凹関数であるとともに\(c>0\)であるならば、\(cf\)は狭義凹関数である。
  4. \(f\)が狭義凹関数であるとともに\(c<0\)であるならば、\(cf\)は狭義凸関数である。
証明

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例(1変数の凹関数の実数倍)
区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)と実数\(c\in \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(cf:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。1変数関数は\(n=1\)の場合の多変数関数であるため、先の命題より以下が成り立ちます。

  1. \(f\)が凹関数であるとともに\(c\geq 0\)であるならば、\(cf\)は凹関数である。
  2. \(f\)が凹関数であるとともに\(c\leq 0\)であるならば、\(cf\)は凸関数である。
  3. \(f\)が狭義凹関数であるとともに\(c>0\)であるならば、\(cf\)は狭義凹関数である。
  4. \(f\)が狭義凹関数であるとともに\(c<0\)であるならば、\(cf\)は狭義凸関数である。

拡大実数値をとる凹関数についても同様の主張が成り立ちます。つまり、拡大実数値関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\rightarrow \mathbb{R} \cup \left\{ -\infty \right\} \)と非ゼロのスカラー\(c\in \mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\} \)が与えられたとき、それぞれの\(\boldsymbol{x}\in \mathbb{R} ^{n}\)に対して以下の値\begin{equation*}\left( cf\right) \left( \boldsymbol{x}\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
cf\left( \boldsymbol{x}\right) & \left( if\ f\left( \boldsymbol{x}\right)
\in \mathbb{R} \right) \\
-\infty & \left( if\ c>0\wedge f\left( \boldsymbol{x}\right) =-\infty
\right) \\
+\infty & \left( if\ c<0\wedge f\left( \boldsymbol{x}\right) =-\infty
\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定める拡大実数値関数\begin{equation*}
cf:\mathbb{R} ^{n}\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が定義可能です。

\(f\)が凹関数もしくは狭義凹関数である場合、\(cf\)の凹凸は以下のように定まります。証明は先の命題と同様です。

命題(凹関数のスカラー倍)
凸集合上に定義された関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)とスカラー\(c\in \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(cf:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。このとき以下が成り立つ。

  1. \(f\)が凹関数であるとともに\(c\geq 0\)であるならば、\(cf\)は凹関数である。
  2. \(f\)が凹関数であるとともに\(c\leq 0\)であるならば、\(cf\)は凸関数である。
  3. \(f\)が狭義凹関数であるとともに\(c>0\)であるならば、\(cf\)は狭義凹関数である。
  4. \(f\)が狭義凹関数であるとともに\(c<0\)であるならば、\(cf\)は狭義凸関数である。

 

演習問題

問題(凸関数・凹関数のスカラー倍)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\frac{1}{2}\left( x+y+1\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の凹凸を判定してください。
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問題(凸関数・凹関数のスカラー倍)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =2\left( x^{2}+y^{2}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の凹凸を判定してください。
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問題(凸関数・凹関数の定数倍)
区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)が凸関数であるものとします。このとき、以下の関数\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ 3f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \\
&&\left( b\right) \ -2f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \end{eqnarray*}の凹凸を判定してください。

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問題(狭義凸関数・狭義凹関数の定数倍)
区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)が狭義凸関数であるものとします。このとき、以下の関数\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ 5f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \\
&&\left( b\right) \ -f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \end{eqnarray*}の凹凸を判定してください。

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問題(凸関数の負の定数倍)
区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)が凸関数である場合、負の定数\(c<0\)から定義される関数\begin{equation*}cf:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}は凸関数であるとは限らないことを示す反例を提示してください。

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