WIIS

ルベーグ可測関数

可測関数の定数倍は可測関数

目次

Twitter
Mailで保存

ルベーグ可測関数の定数倍はルベーグ可測

実数空間とルベーグ可測集合族からなる可測空間\(\left( \mathbb{R} ,\mathfrak{M}_{\mu }\right) \)が与えられた状況においてルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)を任意に選び、ルベーグ可測関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義します。

実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選べば、それぞれの\(x\in X\)に対して、以下の実数\begin{equation*}\left( kf\right) \left( x\right) =kf\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな関数\begin{equation*}
kf:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能ですが、これもまたルベーグ可測になることが保証されます。

命題(ルベーグ可測関数の定数倍はルベーグ可測)
ルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義されたルベーグ可測関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとする。実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\(kf:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。\(kf\)もまたルベーグ可測関数である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(全区間上に定義されたルベーグ可測関数の定数倍)
全区間\(\mathbb{R} \)はルベーグ可測集合であるため、全区間上に定義されたルベーグ可測関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)をとることができます。実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\(kf:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)を定義すると、先の命題よりこれもまたルベーグ可測関数です。
例(ルベーグ可測関数の定数倍)
ルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義されたルベーグ可測関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。以下の関数\begin{equation*}-f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}はルベーグ可測関数\(f\)の定数倍(\(-1\)倍)であるため、先の命題より\(-f\)もまたルベーグ可測関数です。

ルベーグ可測関数\(f\)が拡大実数値関数である場合にも同様の主張が成り立ちます。具体的には以下の通りです。

実数空間とルベーグ可測集合族からなる可測空間\(\left( \mathbb{R} ,\mathfrak{M}_{\mu }\right) \)が与えられた状況においてルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)を任意に選び、拡大実数値ルベーグ可測関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}を定義します。

実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選べば、それぞれの\(x\in X\)に対して、以下の拡大実数\begin{equation*}\left( kf\right) \left( x\right) =kf\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな拡大実数値関数\begin{equation*}
kf:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が定義可能ですが、これもまた拡大実数値ルベーグ可測になることが保証されます。

命題(ルベーグ可測関数の定数倍はルベーグ可測)
ルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された拡大実数値ルベーグ可測関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が与えられているものとする。実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で拡大実数値関数\(kf:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)を定義する。\(kf\)もまた拡大実数値ルベーグ可測関数である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(全区間上に定義されたルベーグ可測関数の定数倍)
全区間\(\mathbb{R} \)はルベーグ可測集合であるため、全区間上に定義された拡大実数値ルベーグ可測関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)をとることができます。実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で拡大実数値関数\(kf:\mathbb{R} \rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)を定義すると、先の命題よりこれもまた拡大実数値ルベーグ可測関数です。
例(ルベーグ可測関数の定数倍)
ルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された拡大実数値ルベーグ可測関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。以下の拡大実数値関数\begin{equation*}-f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}は拡大実数値ルベーグ可測関数\(f\)の定数倍(\(-1\)倍)であるため、先の命題より\(-f\)もまた拡大実数値ルベーグ可測関数です。

 

ボレル可測関数の定数倍はボレル可測

実数空間と実数空間上のボレル集合族からなる可測空間\(\left( \mathbb{R} ,\mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \right) \)が与えられた状況においてボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)を任意に選び、ボレル可測関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義します。

実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選べば、それぞれの\(x\in X\)に対して、以下の実数\begin{equation*}\left( kf\right) \left( x\right) =kf\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな関数\begin{equation*}
kf:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能ですが、これもまたボレル可測になることが保証されます。

命題(ボレル可測関数の定数倍はボレル可測)
ボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)上に定義されたボレル可測関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとする。実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\(kf:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。\(kf\)もまたボレル可測関数である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(全区間上に定義されたボレル可測関数の定数倍)
全区間\(\mathbb{R} \)はボレル集合であるため、全区間上に定義されたボレル可測関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)をとることができます。実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\(kf:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)を定義すると、先の命題よりこれもまたボレル可測関数です。
例(ボレル可測関数の定数倍)
ボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)上に定義されたボレル可測関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。以下の関数\begin{equation*}-f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}はボレル可測関数\(f\)の定数倍(\(-1\)倍)であるため、先の命題より\(-f\)もまたボレル可測関数です。

ボレル可測関数\(f\)が拡大実数値関数である場合にも同様の主張が成り立ちます。具体的には以下の通りです。

実数空間と実数空間上のボレル集合族からなる可測空間\(\left( \mathbb{R} ,\mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \right) \)が与えられた状況においてボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)を任意に選び、拡大実数値ボレル可測関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}を定義します。

実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選べば、それぞれの\(x\in X\)に対して、以下の拡大実数\begin{equation*}\left( kf\right) \left( x\right) =kf\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな拡大実数値関数\begin{equation*}
kf:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が定義可能ですが、これもまた拡大実数値ボレル可測になることが保証されます。

命題(ボレル可測関数の定数倍はボレル可測)
ボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)上に定義された拡大実数値ボレル可測関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が与えられているものとする。実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で拡大実数値関数\(kf:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)を定義する。\(kf\)もまた拡大実数値ボレル可測関数である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(全区間上に定義されたボレル可測関数の定数倍)
全区間\(\mathbb{R} \)はボレル集合であるため、全区間上に定義された拡大実数値ボレル可測関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)をとることができます。実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で拡大実数値関数\(kf:\mathbb{R} \rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)を定義すると、先の命題よりこれもまた拡大実数値ボレル可測関数です。
例(ボレル可測関数の定数倍)
ボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)上に定義された拡大実数値ボレル可測関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が与えられているものとします。以下の拡大実数値関数\begin{equation*}-f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}は拡大実数値ボレル可測関数\(f\)の定数倍(\(-1\)倍)であるため、先の命題より\(-f\)もまた拡大実数値ボレル可測関数です。

 

演習問題

問題(可測関数の定数倍)
以下の関数\begin{equation*}
\frac{\sin \left( x^{2}+x+1\right) }{2}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}はルベーグ可測ないしボレル可測でしょうか。議論してください。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(可測関数の定数倍)
以下の関数\begin{equation*}
-\ln \left( x+1\right) :\mathbb{R} \supset \left( -1,+\infty \right) \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}はルベーグ可測ないしボレル可測でしょうか。議論してください。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(可測関数の定数倍が生成するσ-代数)
ルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義されたルベーグ可測関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。実数\(k\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\(kf:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義すれば、これもまたルベーグ可測関数になります。では、以下の関係\begin{equation*}\sigma \left( kf\right) =\sigma \left( f\right)
\end{equation*}は常に成り立つでしょうか。議論してください。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

Twitter
Mailで保存

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関連知識

ルベーグ可測関数の定義

ルベーグ集合上に定義された関数によるボレル集合の逆像がルベーグ可測であることが保証される場合、そのような関数はルベーグ可測であると言います。

単関数の定数倍のルベーグ積分

有限な測度を持つルベーグ集合上に定義された単関数の定数倍として定義される単関数のルベーグ積分は、もとの単関数のルベーグ積分の定数倍と一致します。

拡大実数値ルベーグ可測関数の定義

ルベーグ集合上に定義された拡大実数値関数によるボレル集合の逆像がルベーグ可測であることが保証される場合、そのような関数はルベーグ可測であると言います。

ボレル可測関数の定義

ボレル集合上に定義された関数によるボレル集合の逆像がボレル可測であることが保証される場合、そのような関数はボレル可測であると言います。

拡大実数値ボレル可測関数の定義

ボレル集合上に定義された拡大実数値関数によるボレル集合の逆像がボレル可測であることが保証される場合、そのような関数はボレル可測であると言います。

多変数関数の定数倍の偏微分

偏微分可能な関数の定数倍として定義される関数もまた偏微分可能であり、その関数の勾配ベクトルはもとの関数の勾配ベクトルの定数倍と一致します。

可測関数とほとんど至るところで等しい関数

ルベーグ測度空間は完備です。つまり、零集合であるようなルベーグ可測集合を任意に選んだとき、その任意の部分集合がルベーグ可測になります。したがって、ルベーグ可測関数とほとんどいたるところで等しい関数もまたルベーグ可測になります。

可測関数と連続関数の合成関数は可測関数

ルベーグ可測関数とボレル可測関数の合成関数はルベーグ可測です。また、ボレル可測関数どうしの合成関数はボレル可測です。さらに、可測関数と連続関数の合成関数は可測関数です。

多変数関数の定数倍の上積分・下積分・定積分

n次元空間上に存在する有界かつ閉な直方体領域上に定義された多変数関数が多重リーマン積分可能である場合、その関数の定数倍として定義される多変数関数もまた多重リーマン積分可能です。

可測関数どうしの和は可測関数

ルベーグ可測関数どうしの和として定義される関数はルベーグ可測関数です。また、ボレル可測関数どうしの和として定義される関数はボレル可測関数です。

有界関数の定数倍のルベーグ積分

有限測度を持つルベーグ可測集合上に定義された有界関数がルベーグ積分可能である場合、その定数倍として定義される関数もまたルベーグ積分可能です。

有界関数どうしの和のルベーグ積分

有限測度を持つルベーグ可測集合上に定義された2つの有界関数がルベーグ積分可能である場合、それらの和として定義される関数もまたルベーグ積分可能です。

可測関数どうしの差は可測関数

ルベーグ可測関数どうしの差として定義される関数はルベーグ可測関数です。また、ボレル可測関数どうしの差として定義される関数はボレル可測関数です。