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ルベーグ可測関数

可測関数どうしの和は可測関数

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ルベーグ可測関数どうしの和はルベーグ可測

実数空間とルベーグ可測集合族からなる可測空間\(\left( \mathbb{R} ,\mathfrak{M}_{\mu }\right) \)が与えられた状況においてルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)を任意に選び、2つのルベーグ可測関数\begin{eqnarray*}f &:&\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \\
g &:&\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{eqnarray*}を定義します。すると、それぞれの\(x\in X\)に対して、以下の実数\begin{equation*}\left( f+g\right) \left( x\right) =f\left( x\right) +g\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな関数\begin{equation*}
f+g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能ですが、これもまたルベーグ可測になることが保証されます。

命題(ルベーグ可測関数どうしの和はルベーグ可測)
ルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された2つのルベーグ可測関数\(f,g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとする。関数\(f+g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。すると、\(f+g\)もまたルベーグ可測関数になる。
証明

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例(全区間上に定義されたルベーグ可測関数どうしの和)
全区間\(\mathbb{R} \)はルベーグ可測集合であるため、全区間上に定義された2つのルベーグ可測関数\(f,g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)をとることができます。関数\(f+g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)を定義すると、先の命題よりこれもまたルベーグ可測関数になります。
例(ルベーグ可測関数どうしの和)
ルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された2つのルベーグ可測関数\(f,g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\begin{equation*}af+bg:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義します。ルベーグ可測の定数倍はルベーグ可測であるため\(af\)と\(bg\)はともにルベーグ可測です。また、ルベーグ可測関数どうしの和はルベーグ可測関数であるため\(af+bg\)がルベーグ可測関数であることが明らかになりました。

ルベーグ可測関数\(f,g\)が拡大実数値関数である場合にも同様の主張が成り立ちます。具体的には以下の通りです。

実数空間とルベーグ可測集合族からなる可測空間\(\left( \mathbb{R} ,\mathfrak{M}_{\mu }\right) \)が与えられた状況においてルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)を任意に選び、2つの拡大実数値ルベーグ可測関数\begin{eqnarray*}f &:&\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} } \\
g &:&\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{eqnarray*}を定義します。以下の条件\begin{equation*}
\forall x\in X:f\left( x\right) +g\left( x\right) \in \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が成り立つ場合には、それぞれの\(x\in X\)に対して、以下の拡大実数\begin{equation*}\left( f+g\right) \left( x\right) =f\left( x\right) +g\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな拡大実数値関数\begin{equation*}
f+g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が定義可能ですが、これもまた拡大実数値ルベーグ可測になることが保証されます。証明は先の命題と同様です。

命題(ルベーグ可測関数どうしの和はルベーグ可測)
ルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された2つの拡大実数値ルベーグ可測関数\(f,g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が与えられているものとする。以下の条件\begin{equation*}\forall x\in X:f\left( x\right) +g\left( x\right) \in \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が成り立つ場合には拡大実数値関数\(f+g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が定義可能である。すると、\(f+g\)もまた拡大実数値ルベーグ可測関数になる。

上の命題では2つの拡大実数値ルベーグ可測関数\(f,g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が以下の条件\begin{equation*}\forall x\in X:f\left( x\right) +g\left( x\right) \in \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}を満たす状況を想定しています。この条件が成り立たない場合、すなわち、\begin{equation*}
\exists x\in X:f\left( x\right) +g\left( x\right) \not\in \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が成り立つ場合には、そもそも関数\(f+g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が定義可能であるため、\(f+g\)がルベーグ可測であるか検討することさえできません。具体例を挙げると、何らかの\(x\in X\)のもとで、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&+\infty \\
g\left( x\right) &=&-\infty
\end{eqnarray*}が成り立つ場合、これらの和\begin{equation*}
f\left( x\right) +g\left( x\right) =\left( +\infty \right) +\left( -\infty
\right)
\end{equation*}は不定形になってしまうため、この場合、関数\(f+g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)を定義できず、したがって\(f+g\)はルベーグ可測ではありません。

例(全区間上に定義されたルベーグ可測関数どうしの和)
全区間\(\mathbb{R} \)はルベーグ可測集合であるため、全区間上に定義された2つの拡大実数値ルベーグ可測関数\(f,g:\mathbb{R} \rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)をとることができます。以下の条件\begin{equation*}\forall x\in \mathbb{R} :f\left( x\right) +g\left( x\right) \in \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が成り立つ場合には拡大実数値関数\(f+g:\mathbb{R} \rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が定義可能ですが、先の命題よりこれもまた拡大実数値ルベーグ可測関数になります。
例(ルベーグ可測関数どうしの和)
ルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された2つの拡大実数値ルベーグ可測関数\(f,g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が与えられているものとします。実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、以下の条件\begin{equation*}\forall x\in X:af\left( x\right) +bg\left( x\right) \in \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が成り立つ場合には拡大実数値関数\begin{equation*}
af+bg:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が定義可能です。拡大実数値ルベーグ可測関数どうしの和は拡大実数値ルベーグ可測であるため\(af\)と\(bg\)はともに拡大実数値ルベーグ可測です。また、拡大実数値ルベーグ可測関数どうしの和は拡大実数値ルベーグ可測関数であるため\(af+bg\)が拡大実数値ルベーグ可測関数であることが明らかになりました。

 

ボレル可測関数どうしの和はボレル可測

実数空間と実数空間上のボレル集合族からなる可測空間\(\left( \mathbb{R} ,\mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \right) \)が与えられた状況においてボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)を任意に選び、2つのボレル可測関数\begin{eqnarray*}f &:&\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \\
g &:&\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{eqnarray*}を定義します。すると、それぞれの\(x\in X\)に対して、以下の実数\begin{equation*}\left( f+g\right) \left( x\right) =f\left( x\right) +g\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな関数\begin{equation*}
f+g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能ですが、これもまたボレル可測になることが保証されます。

命題(ボレル可測関数どうしの和はボレル可測)
ボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)上に定義された2つのボレル可測関数\(f,g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとする。関数\(f+g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。すると、\(f+g\)もまたボレル可測関数になる。
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例(全区間上に定義されたボレル可測関数どうしの和)
全区間\(\mathbb{R} \)はボレル集合であるため、全区間上に定義された2つのボレル可測関数\(f,g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)をとることができます。関数\(f+g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)を定義すると、先の命題よりこれもまたボレル可測関数になります。
例(ボレル可測関数どうしの和)
ボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)上に定義された2つのボレル可測関数\(f,g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\begin{equation*}af+bg:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義します。ボレル可測の定数倍はボレル可測であるため\(af\)と\(bg\)はともにボレル可測です。また、ボレル可測関数どうしの和はボレル可測関数であるため\(af+bg\)がボレル可測関数であることが明らかになりました。

ボレル可測関数\(f,g\)が拡大実数値関数である場合にも同様の主張が成り立ちます。具体的には以下の通りです。

実数空間と実数空間上のボレル集合族からなる可測空間\(\left( \mathbb{R} ,\mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \right) \)が与えられた状況においてボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)を任意に選び、2つの拡大実数値ボレル可測関数\begin{eqnarray*}f &:&\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} } \\
g &:&\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{eqnarray*}を定義します。以下の条件\begin{equation*}
\forall x\in X:f\left( x\right) +g\left( x\right) \in \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が成り立つ場合には、それぞれの\(x\in X\)に対して、以下の拡大実数\begin{equation*}\left( f+g\right) \left( x\right) =f\left( x\right) +g\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな拡大実数値関数\begin{equation*}
f+g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が定義可能ですが、これもまた拡大実数値ボレル可測関数になることが保証されます。証明は先の命題と同様です。

命題(ボレル可測関数どうしの和はボレル可測)
ボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)上に定義された2つの拡大実数値ボレル可測関数\(f,g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が与えられているものとする。以下の条件\begin{equation*}\forall x\in X:f\left( x\right) +g\left( x\right) \in \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が成り立つ場合には拡大実数値関数\(f+g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が定義可能である。すると、\(f+g\)もまた拡大実数値ボレル可測関数になる。
例(全区間上に定義されたボレル可測関数どうしの和)
全区間\(\mathbb{R} \)はボレル集合であるため、全区間上に定義された2つの拡大実数値ボレル可測関数\(f,g:\mathbb{R} \rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)をとることができます。以下の条件\begin{equation*}\forall x\in \mathbb{R} :f\left( x\right) +g\left( x\right) \in \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}が成り立つ場合には拡大実数値関数\(f+g:\mathbb{R} \rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が定義可能ですが、先の命題よりこれもまた拡大実数値ボレル可測関数になります。
例(ボレル可測関数どうしの和)
ボレル集合\(X\in \mathcal{B}\left( \mathbb{R} \right) \)上に定義された2つの拡大実数値ボレル可測関数\(f,g:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }\)が与えられているものとします。実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で拡大実数値関数\begin{equation*}af+bg:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \overline{\mathbb{R} }
\end{equation*}を定義します。拡大実数値ボレル可測関数どうしの和は拡大実数値ボレル可測関数であるため\(af\)と\(bg\)はともに拡大実数値ボレル可測関数です。また、拡大実数値ボレル可測関数どうしの和は拡大実数値ボレル可測関数であるため\(af+bg\)が拡大実数値ボレル可測関数であることが明らかになりました。

 

演習問題

問題(可測関数どうしの和)
以下の関数\begin{equation*}
\ln \left( x\right) +\frac{1}{x}:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}はルベーグ可測ないしボレル可測でしょうか。議論してください。

証明

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問題(可測関数どうしの和)
以下の関数\begin{equation*}
\frac{\sin \left( x+1\right) }{2}+\frac{\cos \left( x+1\right) }{2}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}はルベーグ可測ないしボレル可測でしょうか。議論してください。

証明

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関連知識

ルベーグ可測関数の定義

ルベーグ集合上に定義された関数によるボレル集合の逆像がルベーグ可測であることが保証される場合、そのような関数はルベーグ可測であると言います。

拡大実数値ルベーグ可測関数の定義

ルベーグ集合上に定義された拡大実数値関数によるボレル集合の逆像がルベーグ可測であることが保証される場合、そのような関数はルベーグ可測であると言います。

ボレル可測関数の定義

ボレル集合上に定義された関数によるボレル集合の逆像がボレル可測であることが保証される場合、そのような関数はボレル可測であると言います。

単関数どうしの和のルベーグ積分

有限な測度を持つルベーグ集合上に定義された2つの単関数の和として定義される単関数のルベーグ積分は、もとの2つの単関数のルベーグ積分の和と一致します。

拡大実数値ボレル可測関数の定義

ボレル集合上に定義された拡大実数値関数によるボレル集合の逆像がボレル可測であることが保証される場合、そのような関数はボレル可測であると言います。

多変数関数の和の偏微分

偏微分可能な関数どうしの和として定義される関数もまた偏微分可能であり、その関数の勾配ベクトルはもとの関数の勾配ベクトルの和と一致します。

関数の和の微分

微分可能な関数どうしの和として定義される関数もまた微分可能です。

可測関数とほとんど至るところで等しい関数

ルベーグ測度空間は完備です。つまり、零集合であるようなルベーグ可測集合を任意に選んだとき、その任意の部分集合がルベーグ可測になります。したがって、ルベーグ可測関数とほとんどいたるところで等しい関数もまたルベーグ可測になります。

可測関数と連続関数の合成関数は可測関数

ルベーグ可測関数とボレル可測関数の合成関数はルベーグ可測です。また、ボレル可測関数どうしの合成関数はボレル可測です。さらに、可測関数と連続関数の合成関数は可測関数です。

可測関数の定数倍は可測関数

ルベーグ可測関数の定数倍として定義される関数はルベーグ可測関数です。また、ボレル可測関数の定数倍として定義される関数はボレル可測関数です。

有界関数の定数倍のルベーグ積分

有限測度を持つルベーグ可測集合上に定義された有界関数がルベーグ積分可能である場合、その定数倍として定義される関数もまたルベーグ積分可能です。

多変数関数の和の上積分・下積分・定積分

n次元空間上に存在する有界かつ閉な直方体領域上に定義された2つの多変数関数が多重リーマン積分可能である場合、それらの和として定義される多変数関数もまた多重リーマン積分可能です。

可測関数どうしの差は可測関数

ルベーグ可測関数どうしの差として定義される関数はルベーグ可測関数です。また、ボレル可測関数どうしの差として定義される関数はボレル可測関数です。

有界関数どうしの和のルベーグ積分

有限測度を持つルベーグ可測集合上に定義された2つの有界関数がルベーグ積分可能である場合、それらの和として定義される関数もまたルベーグ積分可能です。