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ルベーグ可測関数

単関数の定数倍は単関数

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単関数の標準形の定数倍は単関数

実数空間\(\mathbb{R} \)および\(\mathbb{R} \)上のルベーグ可測集合族\(\mathfrak{M}_{\mu }\)からなる可測空間\begin{equation*}\left( \mathbb{R} ,\mathfrak{M}_{\mu }\right)
\end{equation*}が与えられているものとします。ルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)を定義域とする関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が単関数であることとは、\(f\)がルベーグ可測関数であるとともに、その値域が有限集合\begin{eqnarray*}f\left( X\right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} \ |\ x\in X\right\} \\
&=&\left\{ a_{1},\cdots ,a_{K}\right\}
\end{eqnarray*}であることを意味します。

単関数\(f\)の値域に属するそれぞれの値\(a_{k}\in f\left(X\right) \)に対して、\(f\)による集合\(\left\{ a_{k}\right\} \)の逆像を、\begin{equation*}\left\{ f=a_{k}\right\} =\left\{ x\in X\ |\ f\left( x\right) =a_{k}\right\}
\end{equation*}と表記し、さらに集合\(\left\{ f=a_{k}\right\} \)に関する特性関数を\begin{equation*}\chi _{\left\{ f=a_{k}\right\} }:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \left\{ 0,1\right\}
\end{equation*}で表記します。つまり、\(\chi _{\left\{ f=a_{k}\right\} }\)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値は、\begin{equation*}\chi _{\left\{ f=a_{k}\right\} }\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
1 & \left( if\ f\left( x\right) =a_{k}\right) \\
0 & \left( if\ f\left( x\right) \not=a_{k}\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}です。単関数\(f\)の標準形とは、\begin{equation*}\sum_{k=1}^{K}\left( a_{k}\cdot \chi _{\left\{ f=a_{k}\right\} }\right) :\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}と定義される関数ですが、これはもとの単関数\(f\)と一致します。つまり、以下の関係\begin{equation*}f=\sum_{k=1}^{K}\left( a_{k}\cdot \chi _{\left\{ f=a_{k}\right\} }\right)
\end{equation*}が成り立つため、単関数\(f\)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値は、\begin{eqnarray*}f\left( x\right) &=&\left( \sum_{k=1}^{K}\left( a_{k}\cdot \chi _{\left\{
f=a_{k}\right\} }\right) \right) \left( x\right) \\
&=&\sum_{k=1}^{K}\left[ a_{k}\cdot \chi _{\left\{ f=a_{k}\right\} }\left(
x\right) \right] \\
&=&a_{1}\cdot \chi _{\left\{ f=a_{1}\right\} }\left( x\right) +\cdots
+a_{K}\cdot \chi _{\left\{ f=a_{K}\right\} }\left( x\right)
\end{eqnarray*}となります。

ルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された単関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の標準形が、\begin{equation*}f=\sum_{k=1}^{K}\left( a_{k}\cdot \chi _{\left\{ f=a_{k}\right\} }\right)
\end{equation*}である状況において、実数\(\lambda \in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\begin{equation*}\lambda f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義すると、これはそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{eqnarray*}\left( \lambda f\right) \left( x\right) &=&\lambda f\left( x\right) \quad
\because \lambda f\text{の定義} \\
&=&\left( \lambda \sum_{k=1}^{K}\left( a_{k}\cdot \chi _{\left\{
f=a_{k}\right\} }\right) \right) \left( x\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\lambda \sum_{k=1}^{K}\left( a_{k}\cdot \chi _{\left\{ f=a_{k}\right\}
}\right) \left( x\right) \\
&=&\lambda a_{1}\cdot \chi _{\left\{ f=a_{1}\right\} }\left( x\right)
+\cdots +\lambda a_{K}\cdot \chi _{\left\{ f=a_{K}\right\} }\left( x\right)
\end{eqnarray*}を定めますが、この関数\(\lambda f\)もまた単関数になることが保証されます。

命題(単関数の標準形の定数倍は単関数)
実数空間\(\mathbb{R} \)上のルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された単関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の標準形が、\begin{equation*}f=\sum_{k=1}^{K}\left( a_{k}\cdot \chi _{\left\{ f=a_{k}\right\} }\right)
\end{equation*}であるものとする。実数\(\lambda \in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\(\lambda f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義すると、これは単関数である。
証明

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単関数の定数倍は単関数

実数空間\(\mathbb{R} \)上のルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が、以下の条件\begin{equation*}X=\bigsqcup\limits_{k=1}^{K}A_{k}
\end{equation*}を満たす有限個の互いに素な何らかのルベーグ可測集合\(A_{1},\cdots,A_{K}\in \mathfrak{M}_{\mu }\)と定数\(a_{1},\cdots,a_{K}\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f=\sum_{k=1}^{K}\left( a_{k}\cdot \chi _{A_{k}}\right)
\end{equation*}と表されることは、\(f\)が単関数であるための必要十分条件です。

実数空間\(\mathbb{R} \)上のルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された単関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)および実数\(\lambda \in \mathbb{R} \)が与えられたとき、これらから関数\begin{equation*}\lambda f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義すると、これはそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{eqnarray*}\left( \lambda f\right) \left( x\right) &=&\lambda f\left( x\right) \quad
\because \lambda f\text{の定義} \\
&=&\left( \lambda \sum_{k=1}^{K}\left( a_{k}\cdot \chi _{A_{k}}\right)
\right) \left( x\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\lambda \sum_{k=1}^{K}\left( a_{k}\cdot \chi _{A_{k}}\right) \left(
x\right) \\
&=&\lambda a_{1}\cdot \chi _{A_{1}}\left( x\right) +\cdots +\lambda
a_{K}\cdot \chi _{A_{{}}}\left( x\right)
\end{eqnarray*}を定めますが、この関数\(\lambda f\)もまた単関数になることが保証されます。

命題(単関数の定数倍は単関数)
実数空間\(\mathbb{R} \)上のルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が、以下の条件\begin{equation*}X=\bigsqcup\limits_{k=1}^{K}A_{k}
\end{equation*}を満たす有限個の互いに素な何らかのルベーグ可測集合\(A_{1},\cdots,A_{K}\in \mathfrak{M}_{\mu }\)と定数\(a_{1},\cdots,a_{K}\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f=\sum_{k=1}^{K}\left( a_{k}\cdot \chi _{A_{k}}\right)
\end{equation*}と表されるものとする。実数\(\lambda \in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\(\lambda f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義すると、これは単関数である。
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結論をまとめます。

命題(単関数の定数倍は単関数)
実数空間\(\mathbb{R} \)上のルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された単関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとする。実数\(\lambda \in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で関数\(\lambda f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義すると、これは単関数である。
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例(単関数の定数倍は単関数)
実数空間\(\mathbb{R} \)上のルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された単関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。以下の関数\begin{equation*}-f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を定義すると、これは単関数\(f\)の定数倍として定義される関数であるため、先の命題より、\(-f\)もまた単関数です。

 

演習問題

問題(階段関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して定める値が、ルベーグ可測集合\(A\in \mathfrak{M}_{\mu }\)と定数\(c\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
c & \left( if\ x\in A\right) \\
0 & \left( if\ x\not\in A\right)\end{array}\right.
\end{equation*}と表現されるものとします。\(f\)が単関数であることを示してください。
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問題(可測集合上に定義された階段関数)
実数空間\(\mathbb{R} \)上のルベーグ可測集合\(X\in \mathfrak{M}_{\mu }\)上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値が、\(X\)の部分集合であるようなルベーグ可測集合\(A\in \mathfrak{M}_{\mu }\)と定数\(c\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
c & \left( if\ x\in A\right) \\
0 & \left( if\ x\in X\backslash A\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}と表現されるものとします。\(f\)が単関数であることを示してください。
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