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不確実性下の意思決定

クジ(リスク下での選択肢の定式化)

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リスクと不確実性

1枚のコインを投げたときに表と裏のどちらが出るかを調べる状況を想定します。仮に、コインを投げる位置や力、方向、着地面の状態、空気抵抗などコイン投げの結果に影響を与え得るすべての条件を一定にしてコイン投げを繰り返すことができるならば、毎回コインの同じ面が出るはずです。しかし実際には、コイン投げの結果に影響を与え得るすべての条件を特定できるとは限りませんし、また、仮にすべての条件を特定できた場合においても、それらが一定になるように環境をコントロールできるとは限りません。したがって、実際には表と裏がどちらとも出ますし、どちらの面が出るかを完全に予測することはできません。この例のように、どの結果が実際に起こるかを事前に完全に予測できない状況をランダムネス(randomness)と呼びます。また、コイン投げのように、起こり得るすべての結果は分かっているものの、その中のどの結果が実際に起こるかはランダムネスによって支配されているような実験や観察を試行(trial)と呼びます。

選択肢として複数の行動を与えられた主体が、その中のどの行動を選択すべきか検討している状況を想定します。仮に、ある行動を選べばある結果が確実に起こるのであれば、自身にとって最も望ましい結果を確実にもたらす行動を事前に特定できるため、そのような行動を選択すれば良いことになります。ただ、現実の様々な場面において行動と結果は1対1で対応しているとは限りません。ある行動を選択した場合、実際に起こり得る結果として複数の候補が存在し、なおかつ、その中のどの結果が実際に起こるかが完全に予測できない状況、すなわちランダムネスが成立している状況が起こり得るということです。この場合、それぞれの結果がどの程度の確率で起こり得るかを予測した上で、その予測にもとづいて最適な行動を選択せざるを得ません。言い換えると、ランダムネスが成立している状況において合理的・定量的な意思決定を行うためには、主体が選択可能なそれぞれの行動に対して、その行動を選択した場合に起こり得るすべての結果を把握しており、なおかつ、それぞれの結果がどの程度の確率で起こるかを把握している必要があります。意思決定を行う主体が、それぞれの行動の結果として起こり得るすべての結果を把握しているとともに、それぞれの結果が起こる確率を把握している場合、そのような状況をリスク(risk)と呼びます。

一方、意思決定を行う主体が、自身が選択可能な少なくとも1つの行動に対して、その行動を選択した場合にどのような結果が起こり得るかを完全に把握していない場合や、または、起こり得る結果を完全に把握しているものの、それぞれの結果がどの程度の確率で起こるを把握していない場合などには、そのような状況を不確実性(uncertainty)と呼びます。

ある状況がリスクと不確実性のどちらであるかは、問題としている意思決定主体が誰であるかに依存します。客観的には同一の状況に直面していても、その状況に精通している主体にとってそれはリスクである一方、その状況に関する十分な知識や経験を持たない主体にとってそれは不確実性になり得ます。いずれにせよ、現実の意思決定主体が直面する多くの問題は不確実性であり、リスクではありません。ただ、後述するように、不確実性下の意思決定理論の基本モデルでは、不確実性が存在する状況をリスクとして定式化した上で分析を行います。つまり、意思決定主体は自身のそれぞれの行動の帰結として起こり得る結果の一覧を把握しており、かつ、それぞれの結果が起こる確率を把握している状況を想定するということです。

例(リスクと不確実性)
ある人が「洗濯物を屋外に干すべきか」を検討しています。その人が気象予報士であったり、天気予報にアクセスできたり、または天気の動きに精通している農家の人である場合などには、その人が直面している状況はリスクです。一方、天気を読む能力がない人や、天気予報にアクセスできない人にとって、その状況は不確実性です。

例(リスクと不確実性)
ある人が「隕石が地球に衝突するか」を検討しています。その人が天文学者であれば軌道計算を行えるため、その人が直面している状況はリスクです。一方、天文学の素人は隕石が地球に衝突する確率を計算できないため、その人が直面している状況は不確実性です。

 

行動と結果

ある主体が選択可能なすべての行動(action)からなる集合を\(A\)で表記し、これを行動集合(action set)と呼びます。また、行動集合の要素である個々の行動を\(a\in A\)で表記します。特に、行動集合\(A\)が有限集合である場合、その要素を明示的に表現する形で、\begin{equation*}A=\left\{ a_{1},\cdots ,a_{M}\right\}
\end{equation*}と表記します。

主体は自身が選択可能なそれぞれの行動\(a\in A\)について、実際に\(a\)を選択した場合に起こり得るすべての結果(consequence)を把握しているものと仮定します。その上で、行動\(a\)を選択した場合に起こり得るすべての結果からなる集合を\(X_{a}\)で表記し、これを行動\(a\)のもとでの結果集合(set of consequences)と呼びます。結果集合\(X_{a}\)に属する複数の行動が同時に起こることはないものと定めます。つまり、行動\(a\)を選択した場合、結果集合\(X_{a}\)に属する結果の中の1つだけが実際に起こるということです。ただし、どの結果が起こるかは事前に分かりません。

行動集合\(A\)に属する何らかの行動を選択することにより実現し得るすべての結果からなる集合は、\begin{equation*}X=\bigcup_{a\in A}X_{a}
\end{equation*}ですが、これを結果集合(set of consequences)と呼びます。結果集合に属する個々の結果を\(x\in X\)で表記します。特に、結果集合\(X\)が有限集合である場合、その要素を明示的に表現する形で、\begin{equation*}X=\left\{ x_{1},\cdots ,x_{N}\right\}
\end{equation*}と表記します。結果集合\(X\)の要素がどのようなものであるかは分析対象に依存します。

例(行動と結果)
ある人が「洗濯物を屋外に干すべきか」を検討している状況を想定します。以下の2つの行動\begin{eqnarray*}
a_{1} &=&\text{屋外に干す} \\
a_{2} &=&\text{屋外に干さない}
\end{eqnarray*}が選択肢として与えられているものとします。つまり、行動集合は、\begin{equation*}
A=\left\{ a_{1},a_{2}\right\}
\end{equation*}です。行動\(a_{1}\)を選択した場合には以下の2つの結果\begin{eqnarray*}x_{1} &=&\text{晴れになり洗濯物が乾く} \\
x_{2} &=&\text{雨になり洗濯物が濡れる}
\end{eqnarray*}が起こり得るものとします。つまり、\begin{equation*}
X_{1}=\left\{ x_{1},x_{2}\right\}
\end{equation*}です。行動\(a_{2}\)を選択した場合には以下の2つの結果\begin{eqnarray*}x_{3} &=&\text{晴れになり洗濯物が乾かない} \\
x_{4} &=&\text{雨になり洗濯物が濡れない}
\end{eqnarray*}が起こり得るものとします。つまり、\begin{equation*}
X_{2}=\left\{ x_{3},x_{4}\right\}
\end{equation*}です。この場合、結果集合は、\begin{eqnarray*}
X &=&X_{1}\cup X_{2} \\
&=&\left\{ x_{1},x_{2},x_{3},x_{4}\right\}
\end{eqnarray*}となります。

 

クジ(リスク下での選択肢)

主体は自分が選択し得るすべての行動、すなわち行動集合\(A\)を把握しているとともに、行動集合\(A\)に属するそれぞれの行動を選んだときに起こり得るすべての結果、すなわち結果集合\(X\)を把握しているものと仮定します。ただ、主体が直面する状況はランダムネスに支配されており、それぞれの行動を選んだときにどの結果が実際に起こるかを事前に確定できないものとします。その一方で、主体はそれぞれの行動を選んだ場合に、それぞれの結果がどの程度の確率で起こるかを把握しているものと仮定します。つまり、主体がリスクに直面している状況を想定するということです。以上の状況を定式化します。

主体は自身が直面する結果集合\begin{equation*}
X=\left\{ x_{1},\cdots ,x_{N}\right\}
\end{equation*}を把握しているものとします。さらに、行動\(a\in A\)を選んだ場合に、結果集合の要素であるそれぞれの結果\(x_{n}\in X\)が起こる確率\begin{equation*}L_{a}\left( x_{n}\right) \in \mathbb{R} \end{equation*}を特定する関数\begin{equation*}
L_{a}:X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}を把握しているものとします。この関数\(L_{a}\)を行動\(a\)にともなうクジ(lottery)や単純クジ(simple lottery)、ギャンブル(gamble)またはプロスペクト(prospect)などと呼びます。

クジ\(L_{a}\)はそれぞれの結果\(x_{n}\in X\)に対して確率\(L_{a}\left( x_{n}\right) \)を1つずつ定めるため、これを以下のようなベクトル\begin{equation*}L_{a}=\left( L_{a}\left( x_{1}\right) ,\cdots ,L_{a}\left( x_{N}\right)
\right) \in \mathbb{R} ^{N}
\end{equation*}と同一視できます。ただし、クジ\(L_{a}\)は以下の2つの条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall n\in \left\{ 1,\cdots ,N\right\} :L_{a}\left(
x_{n}\right) \geq 0 \\
&&\left( b\right) \ \sum_{n=1}^{N}L_{a}\left( x_{n}\right) =1
\end{eqnarray*}を満たす必要があります。条件\(\left( a\right) \)は、行動\(a\)のもとでそれぞれの結果\(x_{n}\)が起こる確率は非負の実数であることを意味し、条件\(\left( b\right) \)は、行動\(a\)のもとでそれぞれの結果\(x_{n}\)が起こる確率を特定した上でその総和をとると\(1\)になることを意味します。仮定より、ある行動を選択した場合に複数の異なる結果が同時に起こる可能性を排除しているため条件\(\left( b\right) \)が成り立ちます。

主体が選択する行動が変われば、その行動のもとでそれぞれの結果が起こる確率も変化します。言い換えると、クジ\(L_{a}\)は選択する行動\(a\)に依存して変化するということです。このような事情を踏まえた上で、主体が直面し得るすべてのクジからなる集合を、\begin{equation*}\mathcal{L}=\left\{ L_{a}\ |\ a\in A\right\}
\end{equation*}で表記し、これをクジ集合(lottery set)と呼びます。

例(クジ)
ある人が「洗濯物を屋外に干すべきか」を検討している状況を想定します。行動集合\(A\)には以下の2つの行動\begin{eqnarray*}a_{1} &=&\text{屋外に干す} \\
a_{2} &=&\text{屋外に干さない}
\end{eqnarray*}が含まれているものとします。行動\(a_{1}\)のもとでの結果集合\(X_{1}\)には以下の2つの結果\begin{eqnarray*}x_{1} &=&\text{晴れになり洗濯物が乾く} \\
x_{2} &=&\text{雨になり洗濯物が濡れる}
\end{eqnarray*}が含まれており、行動\(a_{2}\)のもとでの結果集合\(X_{2}\)には以下の2つの結果\begin{eqnarray*}x_{3} &=&\text{晴れになり洗濯物が乾かない} \\
x_{4} &=&\text{雨になり洗濯物が濡れない}
\end{eqnarray*}が含まれているものとします。結果集合\(X\)は、\begin{equation*}X=\left\{ x_{1},x_{2},x_{3},x_{4}\right\}
\end{equation*}です。降雨確率が\(\frac{1}{2}\)である場合、行動\(a_{1}\)にともなうクジは\(L_{1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は、\begin{eqnarray*}L_{1} &=&\left( L_{1}\left( x_{1}\right) ,L_{1}\left( x_{2}\right)
,L_{1}\left( x_{3}\right) ,L_{1}\left( x_{4}\right) \right) \\
&=&\left( \frac{1}{2},\frac{1}{2},0,0\right)
\end{eqnarray*}となります。降雨確率が\(\frac{1}{2}\)である場合、行動\(a_{2}\)にともなうクジは\(L_{2}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は、\begin{eqnarray*}L_{2} &=&\left( L_{2}\left( x_{1}\right) ,L_{2}\left( x_{2}\right)
,L_{2}\left( x_{3}\right) ,L_{2}\left( x_{4}\right) \right) \\
&=&\left( 0,0,\frac{1}{2},\frac{1}{2}\right)
\end{eqnarray*}となります。クジ集合は、\begin{equation*}
\mathcal{L}=\left\{ L_{1},L_{2}\right\}
\end{equation*}です。

多くの場合、結果集合\(X\)上に定義されたそれぞれのクジ\(L:X\rightarrow \mathbb{R} \)は何らかの行動のもとで選択可能であるものとします。つまり、結果集合\(X\)上に定義されたすべてのクジからなる集合を、\begin{equation*}\Delta \left( X\right) =\left\{ L:X\rightarrow \mathbb{R} \ |\ \sum_{x\in X}L\left( x\right) =1\wedge \forall x\in X:L\left( x\right)
\geq 0\right\}
\end{equation*}で表記するとき、\begin{equation*}
\forall L\in \Delta \left( X\right) ,\ \exists a\in A:L=L_{a}
\end{equation*}が成り立つことを仮定するということです。以上の仮定のもとでは、クジ集合を、\begin{equation*}
\mathcal{L}=\Delta \left( X\right)
\end{equation*}とみなすことができます。

それぞれの行動にはクジが1つずつ対応するため、行動とクジを同一視した上で、主体が直面する選択肢の集合として行動集合\(A\)の代わりにクジ集合\(\mathcal{L}\)を採用しても一般性は失われません。その上で、クジ集合\(\mathcal{L}\)の要素である個々のクジを、\begin{equation*}L\in \mathcal{L}
\end{equation*}で表記します。特に、クジ集合\(\mathcal{L}\)が有限集合である場合、その要素を明示的に表現する形で、\begin{equation*}\mathcal{L}=\left\{ L_{1},\cdots ,L_{M}\right\}
\end{equation*}と表記します。

 

結果集合が可算集合である場合のクジ

結果集合が可算集合\begin{equation*}
X=\left\{ x_{1},x_{2},\cdots \right\}
\end{equation*}である場合のクジもまた、それぞれの結果\(x_{n}\in X\)に対して、それが選ばれる確率\(L\left(x_{n}\right) \in \mathbb{R} \)を特定する関数\begin{equation*}L:X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}として定義されます。ただし、クジ\(L\)は以下の条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall n\in \mathbb{N} :L\left( x_{n}\right) \geq 0 \\
&&\left( b\right) \ \sum_{n=1}^{+\infty }L\left( x_{n}\right) =1
\end{eqnarray*}を満たす必要があります。条件\(\left( a\right) \)は、クジ\(L\)のもとでそれぞれの結果\(x_{n}\)が起こる確率は非負の実数であることを意味し、条件\(\left( b\right) \)は、クジ\(L\)のもとでそれぞれの結果が起こる確率の総和をとると\(1\)になるということです。ただし、結果集合\(X\)は可算集合であるため、\(\left(b\right) \)の左辺は無限個の実数の和、すなわち無限級数であり、したがって\(\left( b\right) \)が成り立つこととは、部分和\begin{equation*}s_{N}=\sum_{n=1}^{N}L\left( x_{n}\right)
\end{equation*}を項とする数列\(\left\{s_{N}\right\} \)が\(1\)へ収束することとして定義されます。つまり、\(\left( b\right) \)を正確に表現すると、\begin{equation*}\lim_{N\rightarrow \infty }s_{N}=1
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\lim_{N\rightarrow \infty }\sum_{n=1}^{N}L\left( x_{n}\right) =1
\end{equation*}となります。

 

結果集合が非可算集合である場合のクジ

結果集合\(X\)が数直線\(\mathbb{R} \)上の区間であったり、もしくは互いに素な区間の和集合である場合などには、クジ\(L\)は確率密度関数\begin{equation*}f_{L}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}として定義されます。つまり、クジ\(L\)のもとで結果\(x\in X\)が区間\(I\subset \mathbb{R} \)に属する確率が、\begin{equation*}\int_{I}f_{L}\left( x\right) dx
\end{equation*}として定まるということです。確率密度関数の定義より、クジ\(L\)に相当する関数\(f_{L}\)は以下の2つの条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall x\in \mathbb{R} :f_{L}\left( x\right) \geq 0 \\
&&\left( b\right) \ \int_{-\infty }^{+\infty }f_{L}\left( x\right) dx=1
\end{eqnarray*}を満たします。条件\(\left( a\right) \)は、\(f_{L}\)は非負の実数を値としてとり得る関数であること意味し、条件\(\left( b\right) \)は\(f_{L}\)を全区間上で積分すると\(1\)になることを意味します。

同様の状況において、クジ\(L\)を分布関数\begin{equation*}F_{L}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}として表現することもできます。つまり、クジ\(L\)のもとで結果が\(x\)以下の値をとる確率が、\begin{equation*}F_{L}\left( x\right) =\int_{-\infty }^{x}f_{L}\left( t\right) dt
\end{equation*}として定まるということです。特に、確率密度関数\(f_{L}\)が点\(x\in \mathbb{R} \)において連続である場合には、微分積分学の基本定理より、\begin{equation*}\frac{d}{dx}F_{L}\left( x\right) =f_{L}\left( x\right)
\end{equation*}が成り立ちます。

 

演習問題

問題(クジ)
ある人が「\(1000\)万円の資産をどのように運用すべきか」を検討している状況を想定します。以下の3つの行動\begin{eqnarray*}a_{1} &=&\text{国債を購入する} \\
a_{2} &=&\text{株に投資する} \\
a_{3} &=&\text{仮想通貨を購入する}
\end{eqnarray*}が選択肢として与えられているものとします。つまり、行動集合は、\begin{equation*}
A=\left\{ a_{1},a_{2},a_{3}\right\}
\end{equation*}です。行動\(a_{1}\)を選択した場合には以下の1通りの結果\begin{equation*}1010\text{万円(利子として}10\text{万円を得る)}
\end{equation*}が起こり得るものとします。つまり、\begin{equation*}
X_{1}=\left\{ 1010\right\}
\end{equation*}です。行動\(a_{2}\)を選択した場合には以下の3通りの結果\begin{eqnarray*}&&1200\text{万円(株価が上昇し}200\text{万円を得る)} \\
&&1000\text{万円(株価はそのまま)} \\
&&800\text{万円(株価が下落し}200\text{万円を失う)}
\end{eqnarray*}が起こり得るものとします。つまり、\begin{equation*}
X_{2}=\left\{ 1200,1000,800\right\}
\end{equation*}です。行動\(a_{3}\)を選択した場合には以下の3通りの結果\begin{eqnarray*}&&2000\text{万円(暗号通貨が暴騰し}1000\text{万円を得る)} \\
&&1000\text{万円(暗号通貨の価格はそのまま)} \\
&&0\text{万円(暗号通貨が暴落し}1000\text{万円を失う)}
\end{eqnarray*}が起こり得るものとします。つまり、\begin{equation*}
X_{3}=\left\{ 2000,1000,0\right\}
\end{equation*}です。結果集合は、\begin{eqnarray*}
X &=&X_{1}\cup X_{2}\cup X_{3} \\
&=&\left\{ 2000,1200,1010,1000,800,0\right\}
\end{eqnarray*}となります。国債からは確実に利子を得られるものとします。株価の値上がり・そのまま・値下がりは等確率で起こるものとします。暗号通貨の値上がり・そのまま・値下がりは等確率で起こるものとします。以上の想定のもと、クジ集合を特定してください。

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問題(クジ)
ある人が「どのギャンブルで遊ぶか」を検討している状況を想定します。以下の3つの行動\begin{eqnarray*}
a_{1} &=&\text{コイン投げで遊ぶ} \\
a_{2} &=&\text{ルーレットで遊ぶ} \\
a_{3} &=&\text{カードゲームで遊ぶ}
\end{eqnarray*}が選択肢として与えられているものとします。つまり、行動集合は、\begin{equation*}
A=\left\{ a_{1},a_{2},a_{3}\right\}
\end{equation*}です。行動\(a_{1}\)を選択した場合、コインを投げて表が出れば\(1\)万円を得られますが、裏が出れば賞金を得られません。つまり、\begin{equation*}X_{1}=\left\{ 1,0\right\}
\end{equation*}です。行動\(a_{2}\)を選択した場合、ルーレットには合計\(37\)個の数字が記されており、事前に定めた\(18\)個の数字の中のどれかが選ばれれば\(1\)万円を得られますが、残りの\(19\)個の数字の中のどれかが選ばれれば\(1\)万円を失います。つまり、\begin{equation*}X_{2}=\left\{ 1,-1\right\}
\end{equation*}です。行動\(a_{3}\)を選択した場合、合計\(52\)枚のカードの中から1枚を選び、選んだカードがエースならば\(2\)万円を得られますが、選んだカードがスペードのクイーンならば\(5\)万円を失います。その他のカードの場合には賞金を得られません。つまり、\begin{equation*}X_{3}=\left\{ 2,-5,0\right\}
\end{equation*}です。結果集合は、\begin{eqnarray*}
X &=&X_{1}\cup X_{2}\cup X_{3} \\
&=&\left\{ 2,1,0,-1,-5\right\}
\end{eqnarray*}となります。コイン投げにおいてコインの表と裏は等確率で出るものとします。ルーレットではすべての数字が等しい確率で選ばれるものとします。カードゲームではすべてのカードが等しい確率で選ばれるものとします。以上の想定のもと、クジ集合を特定してください。

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