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短期マクロ分析の基礎

国内総所得(GDI)の定義

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生産された付加価値は誰かに分配される

国内総生産(GDP)を「ある一定期間において、ある国の経済において生産された、財・サービスの付加価値の総額」として定義するとともに、以下の関係\begin{eqnarray*}
GDP &=&\text{国内企業による付加価値の合計} \\
&=&\text{国内企業による生産額の合計}-\text{国内企業による中間投入額の合計} \\
&=&\text{国内企業による最終生産額の合計}-\text{海外から購入した中間投入額の合計}
\end{eqnarray*}が成り立つことが明らかになりました。

マクロ経済学の基本原則として、国内で生産された付加価値は必ず誰かに分配される、という考え方があります。企業が生産した財・サービスが販売されると、その売り上げは企業の収入になります。その収入の中から、生産活動の対価として労働者に賃金が支払われ、生産に利用した土地や資本への対価として賃借料や利子が支払われます。さらに、国には税金が支払われ、残りが企業の利潤として分配され、最終的に社会全体に分配され尽くします。この原則は、収入面からGDPを理解する上で基本となります。

国内総生産の分配対象は大きく3つの主体に分類されます。1つ目は財やサービスを生み出す労働者を含む家計です。2つ目は、事業が生み出す利潤を受け取る企業です。3つ目は、税金や補助金などを通じて収入を得る政府です。国内の家計・企業・政府に分配される付加価値の合計が、国内で生み出された付加価値の合計と一致します。

以下では、家計・企業・政府の収入項目としてどのようなものが存在するか、順番に解説します。

 

家計への分配(雇用者所得)

家計の収入項目は雇用者所得(compensation of employees)から構成されます。\begin{equation*}
\text{家計の収入}=\text{雇用者所得}
\end{equation*}

付加価値を生み出すためには労働が必要ですが、雇用者が労働の対価として受け取る分配額を雇用者所得と呼びます。ここでの雇用者とは、生産活動に従事する就業者のうち、個人事業主と無給の家族従事者を除くすべての者です。

雇用者所得は3つの項目から構成されます。1つ目は現金給与(wages and salaries in cash)であり、2つ目は現物給与(wages and salaries in kind)であり、3つ目は使用者社会負担(employers’ social contributions)です。\begin{equation*}
\text{雇用者所得}\left\{
\begin{array}{l}
\text{現金給与} \\
\text{現物給与} \\
\text{使用者社会負担}\end{array}\right.
\end{equation*}

現金給与とは、労働の対価として支払われる現金報酬のことです。基本給や各種手当、賞与(ボーナス)、成果給、歩合給、臨時的な現金支給(退職金の一時金支給など)などが現金給与の具体例です。

現物給与とは、現金ではなく財やサービスの形で支払われる報酬のことです。現物給与された財・サービスは市場価格で評価された上で雇用者所得に計上されます。企業が提供する社宅や寮、社員食堂での食事、社内製品の提供または割引、公用車や通勤バスなどの利用権、無償の保険加入などが現物給与の具体例です。

使用者社会負担とは、企業が従業員のために支払う社会保険料や退職給付積立などです。これらは雇用者個人の手取りにはなりませんが、労働の対価として支払われる所得とみなされ、その額が雇用者所得に計上されます。健康保険料の企業負担分、厚生年金保険料の企業負担分、雇用保険料や労災保険料の企業負担分、退職金制度のための企業積立金、福利厚生費などが使用者社会負担の具体例です。

例(雇用者所得)
ある国の特定の期間における取引データが以下で与えられているものとします。

$$\begin{array}{ccc}
\hline
項目 & 金額(兆円) & 備考 \\ \hline
{\left( a\right) \ 賃金・給与} & 150 & {現金で支払われた税引き前の給与総額} \\ \hline
{\left( b\right) \ 社会保険(雇用主負担分)} & 30 & {企業が負担した健康保険、年金保険料など} \\ \hline
{\left( c\right) \ 社会保険(雇用者負担分)} & 10 & {従業員が給与から天引きされた社会保険料} \\ \hline
{\left( d\right) \ 役員報酬} & 15 & {企業の役員に支払われた報酬} \\ \hline
{\left( e\right) \ 労働者への現物給付} & 5 & {社員食堂、制服の提供など} \\ \hline
{\left( f\right) \ 企業が支払った法人税} & 20 & {} \\ \hline
{\left( g\right) \ 企業の固定資本減耗} & 25 & {} \\ \hline
\end{array}$$

雇用者所得にカウントされる項目は\(\left( a\right),\left( b\right) ,\left( d\right) ,\left( e\right) \)であるため、雇用者所得は、\begin{equation*}150+30+15+5=200\text{兆円}
\end{equation*}となります。\(\left( c\right) \)は\(\left( a\right) \)に含まれているため、二重計算を回避するために雇用者所得には含めません。\(\left( f\right) ,\left( g\right) \)は雇用者所得としてカウントされません。

 

企業への分配(営業余剰と固定資本減耗)

企業の収入項目は営業余剰・混合所得(operating surplus and mixed income)と固定資本減耗(depreciation)から構成されます。\begin{equation*}
\text{企業の収入}=\text{営業余剰・混合所得}+\text{固定資本減耗}
\end{equation*}

付加価値を生み出すためには雇用者が労働を提供するだけでなく、労働者という単位に還元されない企業という単位においても様々な事業活動を行います。そこで、企業活動の対価として企業が受け取る分配額を、労働者が受け取る雇用者所得とは区別して営業余剰・混合所得と呼びます。\begin{equation*}
\text{営業余剰・混合所得}\left\{
\begin{array}{l}
\text{営業余剰} \\
\text{混合所得}\end{array}\right.
\end{equation*}

営業余剰・混合所得はその名の通り、営業余剰と混合所得から構成されます。営業余剰は法人企業が企業活動の対価として受け取る分配額です。

個人企業については、企業としての事業活動と事業主の個人としての労働を区別するのが困難です。そこで、個人企業については、事業主の雇用者報酬を雇用者所得としてはカウントせず、事業活動の対価と事業主の雇用者報酬をあわせたものを混合所得と呼び、営業余剰・混合所得として計上することになっています。

営業余剰・混合所得の具体例としては、企業が生産活動から得る利潤、企業が所有する土地や建物を貸して得る地代、企業が資金を貸し出して得る利子などが挙げられます。

営業余剰・混合所得を正確に推計するのは困難です。なぜなら、利潤は企業の形態や会計処理によって大きく異なり、経済全体で一貫した基準で集計するのが困難だからです。そこで、国民経済計算では営業余剰・混合所得を直接推計するのではなく、他の項目との関係の中で残余として算出されます。詳細は後述します。

例(営業余剰)
ある年のある企業について以下の情報が得られているものとします。

$$\begin{array}{cc}
\hline
内容 & 金額(億円) \\ \hline
{\left( a\right) \ 営業純益} & 80 \\ \hline
{\left( b\right) \ 地代・不動産貸付収入} & 30 \\ \hline
{\left( c\right) \ 貸付金などの運用益} & 20 \\ \hline
\end{array}$$

\(\left( a\right) ,\left( b\right) ,\left( c\right) \)はいずれも営業余剰としてカウントされるため、この企業の営業余剰は、\begin{equation*}80+30+20=130\text{億円}
\end{equation*}です。

付加価値を生み出すためには資本(投資財)を投入する必要がありますが、生産のプロセスにおいて資本は減耗し、その価値が減少します。この減耗分を固定資本減耗と呼びます。生産に貢献した資本を維持するためには、その減耗分に見合う価値を回収する必要があります。したがって、固定資本減耗は資本の所有者である企業に帰属する資本所得の一部として計上され、将来の設備更新のための原資となります。このように、固定資本減耗は企業の利潤とは異なりますが、付加価値の分配項目の1つとして企業への配分に含まれます。

例(固定資本減耗)
ある年のある企業について以下の情報が得られているものとします。

$$\begin{array}{cc}
\hline
内容 & 金額(億円) \\ \hline
{\left( a\right) \ 建物・設備などの減価償却費} & 40 \\ \hline
{\left( b\right) \ 機械・車両などの減価償却費} & 15 \\ \hline
{\left( c\right) \ ソフトウェア・無形資産の償却} & 5 \\ \hline
\end{array}$$

\(\left( a\right) ,\left( b\right) ,\left( c\right) \)はいずれも固定資本減耗としてカウントされるため、この企業の固定資本減耗は、\begin{equation*}40+15+5=60\text{億円}
\end{equation*}です。

 

政府への分配(間接税と補助金)

政府の収入項目は間接税(indirect taxes)と補助金(subsidies)から構成されます。\begin{equation*}
\text{企業の収入}=\text{間接税}-\text{補助金}
\end{equation*}

雇用者所得や営業余剰、固定資本減耗などは付加価値を生み出すことへの対価として家計や企業が受け取る分配額であるのに対し、間接税と補助金の差額は、生産活動に対する対価として政府に分配されるわけではありません。とは言え、その差額は政府部門への付加価値の分配となるため、分配面から見た政府の収入項目として計上されます。

生産物・輸入品に課される税は、財・サービスを購入する際に、購入者が購入価格に上乗せして販売者に支払う税金です。納税者は財・サービスの販売者ですが、税を負担しているのは購入者であるため、購入者がこれらの税を間接的に払っていると言えます。そのようなこともあり、生産・輸入品に課される税は間接税と呼ばれます。間接税の具体例としては、消費税、関税、酒税などの国内消費税、不動産取得税、印紙税等の取引税、固定資産税、自動車税などが挙げられます。

補助金は企業の経常費用を賄い、財サービスの市場価格を低下させる目的で企業に交付されます。補助金は企業の生産コストを下げる方向に働きます。補助金の具体例としては生産補助金、輸出補助金、価格補填金などが挙げられます。

例(間接税と補助金)
ある年の政府財政について以下の情報が得られているものとします。

$$\begin{array}{cc}
\hline
内容 & 金額(億円) \\ \hline
{\left( a\right) \ 消費税} & 90 \\ \hline
{\left( b\right) \ 酒税・たばこ税} & 15 \\ \hline
{\left( c\right) \ 関税} & 10 \\ \hline
{\left( d\right) \ 自動車重量税} & 5 \\ \hline
{\left( e\right) \ エネルギー関連補助金} & 4 \\ \hline
{\left( f\right) \ 農業補助金} & 8 \\ \hline
{\left( g\right) \ 輸出奨励金} & 3 \\ \hline
\end{array}$$

間接税は\(\left( a\right) ,\left( b\right) ,\left(c\right) ,\left( d\right) \)であり、補助金は\(\left( e\right) ,\left( f\right) ,\left( g\right) \)であるため、政府への純分配額は、\begin{eqnarray*}\text{間接税}-\text{補助金} &=&\left(
90+15+10+5\right) -\left( 4+8+3\right) \\
&=&105\text{億円}
\end{eqnarray*}です。

 

国内総所得(GDI)の定義

家計の収入項目は、\begin{equation*}
\text{家計の収入}=\text{雇用者所得}
\end{equation*}であり、企業の収入項目は、\begin{equation*}
\text{企業の収入}=\text{営業余剰・混合所得}+\text{固定資本減耗}
\end{equation*}であり、政府の収入項目は、\begin{equation*}
\text{企業の収入}=\text{間接税}-\text{補助金}
\end{equation*}であることが明らかになりました。これらの総和は、\begin{eqnarray*}
&&\text{家計の収入}+\text{企業の収入}+\text{政府の収入} \\
&=&\text{雇用者所得}+\text{営業余剰・混合所得}+\text{固定資本減耗}+\left( \text{間接税}-\text{補助金}\right)
\end{eqnarray*}となりますが、これを国内総所得(Gross Domestic Income, GDI)と呼びます。つまり、国内総所得は、\begin{equation*}
GDI=\text{雇用者所得}+\text{営業余剰・混合所得}+\text{固定資本減耗}+\left( \text{間接税}-\text{補助金}\right)
\end{equation*}であり、これは「ある一定期間において、ある国の経済において生産された付加価値が、雇用者、資本所有者、政府などの経済主体に分配された所得の総額」に相当する概念です。

多くの場合、以下の記号\begin{eqnarray*}
W &=&\text{雇用者所得} \\
P &=&\text{営業余剰・混合所得} \\
D &=&\text{固定資本減耗} \\
T &=&\text{間接税} \\
S &=&\text{補助金}
\end{eqnarray*}を利用します。ただし、\(W\)はWage(賃金)の頭文字、\(P\)はProfit(利潤)の頭文字、\(D\)はDepreciation(固定資本減耗)の頭文字、\(T\)はTaxes(税金)の頭文字、\(S\)はSubsidies(補助金)の頭文字です。以上の表記にしたがうと、\begin{equation*}GDI=W+P+D+\left( T-S\right)
\end{equation*}となります。

 

国内総生産と国内総所得は一致する

生産で生み出された付加価値は必ずどこかに分配されるため、理論上、国内総生産と国内総所得は一致します。つまり、以下の恒等関係\begin{equation*}
GDP=GDI
\end{equation*}が成り立つというです。その上で、多くの場合、両者をともに表す記号として、\begin{equation}
Y=GDP=GDI \quad \cdots (1)
\end{equation}を利用します。これはyield(算出)の頭文字に由来しているわけではなく、マクロ経済学における歴史的な慣習です。

国内総所得に関しては、\begin{equation*}
GDI=W+P+D+\left( T-S\right)
\end{equation*}が成立するため、これと\(\left( 1\right) \)より、\begin{equation*}Y=W+P+D+\left( T-S\right)
\end{equation*}を得ます。

 

営業余剰・混合所得の再定義

国内総生産と国内総所得は一致するため、以下の関係\begin{equation}
Y=W+P+D+\left( T-S\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つことが明らかになりました。

\(Y\)をGDPとみなす場合、これは各産業の付加価値を合計することにより算出されます。具体的には、経済センサスや各種産業統計、法人企業統計調査、公的機関の業務報告など、多岐にわたる統計を利用して推計されます。

\(W\)すなわち雇用者所得は企業が雇用者に支払う報酬の総額ですが、これは厚生労働省の毎月勤労統計調査、国税庁の民間給与実態統計調査をはじめ、様々な公的統計データや各種調査から得られる情報にもとづいて推計されます。

\(D\)すなわち固定資本減耗は生産過程で消耗した機械・施設などの価値減少分ですが、これは過去から現在までの総固定資本形成(投資)のデータをもとに、残存価値と減耗額を理論的に計算することにより得られます。

\(T,S\)すなわち間接税と補助金は、主に政府の財務統計から把握可能です。

その一方で、\(P\)すなわち営業余剰・混合所得を正確に推計するのは困難です。なぜなら、利潤は企業の形態や会計処理によって大きく異なり、経済全体で一貫した基準で集計するのが困難だからです。そこで、国民経済計算では\(P\)を直接推計するのではなく、\(\left( 1\right) \)を変形することにより得られる以下の関係\begin{equation}P=Y-W-D-\left( T-S\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}を満たすものとして営業余剰・混合所得を定義します。つまり、\(Y,W,D,T,S\)をそれぞれ独立に推計した上で、得られた結果と\(\left( 2\right) \)を用いて\(P\)を導出するということです。

例(営業余剰・混合所得)
ある国の特定の期間における取引データが以下で与えられているものとします。

$$\begin{array}{ccc}
\hline
項目 & 金額(兆円) & 備考 \\ \hline
{\left( a\right) \ 総付加価値} & 450 & {総産出額から中間投入を差し引いた額} \\ \hline
{\left( b\right) \ 雇用者所得} & 200 & {労働者への報酬総額} \\ \hline
{\left( c\right) \ 間接税} & 50 & {消費税、固定資産税、印紙税など} \\ \hline
{\left( d\right) \ 補助金} & 15 & {政府から企業へ支払われた補助金} \\ \hline
{\left( e\right) \ 法人税} & 35 & {企業が支払った所得税} \\ \hline
{\left( f\right) \ 固定資本減耗} & 40 & {生産に用いた資産の価値の減少分} \\ \hline
{\left( g\right) \ 海外からの純要素所得} & 5 & {} \\ \hline
\end{array}$$

営業余剰・混合所得は、\begin{eqnarray*}
P &=&Y-W-D-\left( T-S\right) \\
&=&\left( a\right) -\left( b\right) -\left( f\right) -\left[ \left( c\right)
-\left( d\right) \right] \\
&=&450-200-40-\left( 50-15\right) \\
&=&175\text{兆円}
\end{eqnarray*}となります。\(\left( e\right) \)は\(P\)に含まれるため、\(P\)を上のように残余として計算する際には右辺に登場しません。\(\left( g\right) \)はGDPにカウントされません。

 

国民総所得(GNI)の定義

GDIは問題としている国の内部において分配された付加価値の総額であるため、その分配を受ける個人や企業の国籍を問わず、その国の内部で稼いだ所得であれば、その国のGDIとして計上されます。

逆に、特定の国の国籍に注目した上で、その国に属する個人や企業に分配された付加価値の合計を国民総所得(Gross National Income, GNI)と呼びます。より正確には、GNIは「ある一定期間において、ある国の国民によって生産された付加価値が、雇用者、資本所有者、政府などの経済主体に分配された所得の総額」と定義されます。つまり、ある国に属する個人や企業が得た所得であるならば、その生産活動がどの国において行われたかを問わず、それは彼らが属する国のGNIとして計上されます。

GDIは国内で生み出された付加価値の分配額であるため、そこに海外に居住する自国民や自国企業の所得(海外からの所得)を加え、その一方で、国内に居住する外国人や外国企業の所得(海外への所得)を除外すればGNIが得られます。つまり、以下の関係\begin{eqnarray*}
GNI &=&GDI+\text{海外からの所得}-\text{海外への所得} \\
&=&GDI+\text{海外からの所得の純受取}
\end{eqnarray*}が成立します。

例(GDIとGNI)
日本企業の海外子会社の利益は日本のGDIに含まれませんが、日本のGNIには含まれます。外国企業が日本の工場から得た利益は日本のGDIに含まれますが、日本のGNIには含まれません。

 

国内純所得(NDI)の定義

国内総生産(GDP)から固定資本減耗を除いたものを国内純生産(NDP)と呼ぶのに対し、国内総所得(GDI)から固定資本減耗\(D\)を除いたものを国内純所得(Net Domestic Income, NDI)と呼びます。つまり、国内純所得は、\begin{eqnarray*}NDI &=&GDI-D \\
&=&W+P+D+\left( T-S\right) -D \\
&=&W+P+\left( T-S\right)
\end{eqnarray*}と定義されます。

 

国民純所得(NNI)の定義

国内総所得(GDI)から固定資本減耗を除いたものを国内純所得(NDI)と呼ぶのに対し、国民総所得(GNI)から固定資本減耗\(D\)を除いたものを国民純所得(Net National Income, NNI)と呼びます。つまり、国民純所得は、\begin{equation*}NNI=GNI-D
\end{equation*}と定義されます。さらに、\begin{equation*}
GNI=GDI+\text{海外からの所得の純受取}
\end{equation*}が成り立つため、以下の関係\begin{eqnarray*}
NNI &=&GDI+\text{海外からの所得の純受取}-D \\
&=&W+P+D+\left( T-S\right) +\text{海外からの所得の純受取}-D \\
&=&W+P+\left( T-S\right) +\text{海外からの所得の純受取}
\end{eqnarray*}が成り立ちます。

 

国民所得(NI)の定義

国民純所得(NNI)に関しては、\begin{equation*}
NNI=W+P+\left( T-S\right) +\text{海外からの所得の純受取}
\end{equation*}が成り立つことが明らかになりました。つまり、NNIには政府の収入項目である間接税と補助金の差\(T-S\)が計上されています。そこで、NNIから政府の収入項目を除くことにより得られる指標を国民所得(NI)と呼び、これを、\begin{eqnarray*}NI &=&NNI-\left( T-S\right) \\
&=&W+P+\text{海外からの所得の純受取}
\end{eqnarray*}で表記します。

 

演習問題

問題(正誤問題)
以下の主張の正誤を判定してください。

  1. 国内総所得(GDI)は、雇用者所得、営業余剰、および間接税の3つの主要要素を合計することで計算される。
  2. 政府からの補助金は、企業の生産コストを下げる効果があるため、GDIを計算する際には間接税から差し引かれる。
  3. 企業の役員報酬は、労働の対価ではなく資本の所有者への分配とみなされ、雇用者所得ではなく営業余剰に含まれる。
  4. 固定資本減耗は生産に使われた資産の価値の減少分であり、所得分配の一部であるため、GDIの計算では考慮されない。
  5. 企業が支払う法人税は、企業の利益から支払われる所得税であるため、GDIを計算する際に、構成要素として別途加算する必要がある。
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問題(国内総所得)
ある国の特定の期間における取引データが以下で与えられているものとします。国内総所得を求めてください。

$$\begin{array}{cc}
\hline
項目 & 金額(兆円) \\ \hline
{\left( a\right) \ 賃金・給与} & 180 \\ \hline
{\left( b\right) \ 企業の固定資本減耗} & 30 \\ \hline
{\left( c\right) \ 企業の社会保険負担分} & 20 \\ \hline
{\left( d\right) \ 法人税} & 15 \\ \hline
{\left( e\right) \ 間接税} & 45 \\ \hline
{\left( f\right) \ 補助金} & 10 \\ \hline
{\left( g\right) \ 営業余剰・混合所得} & 105 \\ \hline
\left( h\right) \ 海外からの純要素所得 & 5 \\ \hline
\end{array}$$

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